とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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書き溜めⅢ

なんか長くなってた。なんでだ? おかしい


二章 48話『そうだ、甘味を作ろう』

 

 

―続き

 

 現在時刻、14時を過ぎた頃。第一艦隊は南西諸島近海より、帰投した。

 芙二は出撃を行ったサラトガらに工廠にて明石が用意した籠の中に艤装を入れその足で入渠してこいと指示を出した。サラトガは軽く一礼するのを見た川内達も頭を下げて雑談しながら工廠へ向かった。

 この場に残ったのは残ったおどおどしてる名取と芙二だが立ち止まっても仕方ないので共に船を工廠裏へ停めに向かった。

 

 装甲船を他から見えないようにすると名取が声を上げて驚いていた。まぁそうなるな、

 目の前にあったデカい船が影も形も見えなくなったら驚くかと納得した芙二は名取を連れて工廠へ向かった。この時間だったら冷葉は多分工廠に居るだろうと思ったからだ。

 

 船を停めて、工廠に向かうまで時間は10分程。もしかしたらまだサラトガ達がいるかと思ったが居なかった。明石が皆の艤装が入った重そうな籠を軽々と持ち上げていた。

 芙二と名取に気がついた明石が声を掛けてくる。

 

明石「提督。お疲れ様です。今回の戦闘は激しかったようですね。皆さんの艤装を見ていれば分かります。これはこれで、私もやり甲斐がありますよ! おや、そこの方は――名取さんですか?」

 

芙二「や、明石。いやぁ今回はなんだかすごかった気がするよ。でもこれからだよ。今回は皐月の小破が一番大きな損害だからね。あぁそうだよ。よくわかったね?」

 

明石「いやいや一応()()()()()()()()に当たって誰がどれに合うかって下調べしないといけないんですよ。それだから――あっ」

 

芙二「専用の艤装を作る? それはその艦娘(個人)専用の艤装か? ――明石、お前は……」ジィ~

 

明石「あ、いや隠してたわけじゃなくってですよ? 提督みたいに環境を変えるほどじゃないので……あっ! 違う。そうじゃなくて、えっと。名取さんはドロップ艦ですか?」

 

芙二「俺の能力でも覗けないのは凄いと思うぞ……お前のでも凄いと思うがな。えっと、そうだ。名取はドロップ艦だ。ボス撃破したら、めっちゃ光ってた」

 

名取「……」オドオド

明石「え?(チラ見)……光ってた?」

 

芙二「そうだ。原理は分からんけど、めっちゃ光ってて触れたら名取になった」

明石「な、なるほど? まぁまた一人仲間が増えましたね! そういえば冷葉補佐も誰か建造していたような」

 

芙二「ほぉ……? まぁ建造してもいいって言ったしな。それはおいといて。明石さんよ、今夜ちょ~っと話しましょ??」ニヤニヤ

 

明石「え!? な、なんですか。その黒い笑みは……」

芙二「いや~……すげぇ事聞いたからな~……」ヘヘヘ

 

名取「……ひっ」ビク

明石「ほ、ほら提督がそんな顔するから名取ちゃん、泣きそうじゃないですか」

 

芙二「え、俺の顔そんなにひどい?」キョトン

明石「ゲスいこと考えてる悪漢みたいでしたよ」

 

芙二「えぇ……傷つくわぁ。おっと、そんなことしてる場合じゃない。冷葉を探してるんだった」

明石「私はこれ持って奥へ行きますので。では失礼します」

 

芙二「おー頑張ってなー」ノシ

名取「……あ、ありがとぅ……ござぃます……」ペコペコ

 

 明石を見送った2人は改めて冷葉を探そうとする。

 また修理に時間がかかるようだったら後で差し入れに行こうと思う芙二であった。

 

芙二「ん? どうした?」

名取「いっいえ……なんでもないです」ジワ……

 

芙二「え、俺なんか変なことした!? まだゲス顔(さっきの顔)が気持ち悪くて心に傷を負った感じ??」

名取「い、いえそうではなくて……」

 

芙二「そっか。そうじゃないならよかった。“艦娘を泣かすクソ野郎(悪漢)を発見したわ! これより――砲撃を行う!”――え? 今なんて?」

名取「え? なんか、聞こえて――」

 

芙二「! 砲弾が飛んでくる!? 名取、ちょいとすまん!」

名取「え? は、はい!? きゃっ……え?」

 

 

 飛んでくる砲弾に対して、受け止めようかと思ったがそれだと名取も巻き込むことになるので突き飛ばし、自らを犠牲にした。名取がしりもちを突く際に痛みを伴わないようにしたのが原因で防御をせずに見事直撃する。

 

 ボゴン! ボゴン!と弾が当たり爆破音が工廠に響く。何が起きたのだと思ったのか妖精がわらわらと出てきたようだ。

 

名取「え? 一体何が……あ、て、提督さん!?」

 

 突き飛ばされ、しりもちをついた名取だが痛みを感じないことを不思議に思うよりも先に提督である芙二の方を見て驚く。何者かに撃たれ、直撃したのだ。

 

 普通なら即死、良くても後遺症は免れないだろうと名取は考えていた。

 しかし現実は違ったようでモクモクと焼き焦げる煙が上がり、嫌な臭いがする。

 だが芙二は立っていた。だけど煙の所為で表情までは見えなかった。

 

芙二「……」プスプス

名取「て、提督さん? だ、大丈夫ですか……?」

 

 心配そうに名取は声を掛ける。普通だったら死んでいるはず、だと思った。それが普通だ。しかし名取の呼びかけによって芙二からの反応が返ってくることは――あった。

 

芙二「けほっ……誰だよ。俺に砲撃するやつはよぉ……!!」

名取「提督さん!? だ、大丈夫ですか!? 今すぐにでも入渠へ向かわないとぉっ」

 

芙二「いんや大丈夫。上着が焼けた程度で済んだわ。帽子は――焦げてら。ははは……撃った奴ぁ出てこんかぁ!!」

名取「いっ!?」ビク

 

 上着や帽子が焼け焦げて笑っていた芙二だったが突如として怒りを露わにして声を張り上げた。その声もまた工廠へ響いたのだ。となりの名取がビクッと大きく震えた。

 工廠の奥からスタスタと歩いてくる音が聞こえてくる。

 

??「……なによ。そんな声出さなくても行ってやるわ」

 

 声の主は突然の砲撃を行ったのにも関わらず悪びれることなくツンとした態度で芙二に向かってそう言った。

 

芙二「なんだ。その態度は――いやお前は曙だな? なら、分かる。その態度もその言動も」

曙「えぇそうよ。綾波型 その八番艦。曙よ。よろしくね頼むわ。名も知らぬ咎人さん?」

 

芙二「咎人って…………おいおい。俺はこれでも提督だぜ? そこらへんは理解してくれないと困る」

曙「あぁ……提督なのね。そこの艦娘を泣かせるようなロリコンかと思ったじゃない」

 

名取「……私は泣いてなんかないですよ?」

曙「あぁそうなのね。それじゃ私の早とちりだった、というわけ。それは提督に申し訳ない事をしたわね。謝ればいいかしら?」

 

 反省する様子が見えないので芙二のヘイトは高まっていく。

 この無作法な娘をどうしてやろうかと思ったのだが聞きなれた声が聞こえると溜まっていた怒りはすっと冷めていった。

 

??「そうだろう。そうだろう。君は上司に無断で砲撃を行った挙句に、蔑称で呼ぼうとしてるじゃないか」

 

曙「あら――冷葉?補佐じゃない。冷や汗が凄いけど大丈夫かしら?」

 

冷葉「はぁ……芙二。こいつにお灸を据えてやれるか?」

芙二「ん~……お灸は据えないけど……次やったら、それなりに罰を与える。曙よ、人に対して砲撃を行うな。あぁ深海棲艦やクソ野郎だったらかまわないけどな」

 

冷葉「芙二が言うなら……いいか。っとお前さんの隣に居る艦娘は誰だ? ドロップ艦か?」

 

芙二「あぁそれは――「名取と言います。よろしくお願いします」そういうわけだ。ドロップ艦で間違いはない、が。あれ? 出会った時よりも変わってる?」

 

冷葉「どういうことだ?」

芙二「いやおどおどしてないっていうか……」

 

名取「いえ……気がついたら提督さん達といたのでその辺はまぁ……おいといてください。それでもなんというか、その。私、曙ちゃんを見てたらなんだかイライラしてきちゃって」

 

曙「はぁ? なんでなのよ」

 

名取「初対面の人に向かって砲撃するのはあんまりじゃないかって思いまして。提督さんも奇跡的に生きてるけど、次は多分死んじゃいます。でもそんな曙ちゃんに提督さんは寛大な処置をしてくれました。普通はそこの補佐と呼ばれた人みたいに厳罰が下されると思います」

 

 曙の態度に流石の名取も怒っている様だった。さっきまでとは違ってズバズバ喋っていく。砲撃された芙二もちょっとだけ驚いていた。

 

芙二「……(おや。この名取思ったよりも喋るぞ! 知ってる名取はもうちょっと大人しいし意見もズバッと言わないと思ってたけどここの名取は大人しくないんだな)」

 

名取「なので、もう二度とやらないでください。何度もあると私の心臓も止まってしまいます。私の心臓を止めたいのであれば――勝手にしてくださいね。ただその前に私が曙ちゃんの腕をへし折るかもしれません」ニコ

 

 さらっと恐ろしい事を曙に告げる名取。芙二はゆっくりと名取の顔を見た。

 見た感じでは人が怒る時と同じような感じだったため“あぁ怒ってるんだな”と他人に分からせる雰囲気を醸していた。

 

芙二「……(思ったよりも怒ってらっしゃる? というか、海上で見たあの感じは――)」

冷葉「怒ると怖いタイプか」ボソ

 

曙に「ッ! その、悪かったわよ。きゅ、急に撃ったりして」シュン

名取「私よりも提督さんにちゃんと謝ってください」ニコ

 

 名取の笑みに押された曙は自分のやったことが悪い事だと認めて反省を口にした。

 しかし名取は相手が違うといった。曙は芙二の方を向いて気まずそうにしていた。

 

曙「ぅ……」

芙二「……」

 

 小さく声を漏らす曙に対して芙二は冷たい目を向けるとさらに縮こまってしまった。

 そんなに怒ってない芙二はちょっとだけ罪の意識が芽生える。しかしそのまま許すわけにはいかないのだ。本来、しっかり叱るべきなのだが名取がそうさせたのだ。

 

名取「…………」

曙「その、砲撃したりしてごめんなさい」

 

芙二「まぁ許すかな。あんなのじゃあ俺は死なないから。あ、でも冷葉にはするなよ? 普通に死ぬ」

冷葉「そうだな。俺だったら首が飛んでるな」

 

曙「…………ありがと」

名取「(提督さんも強がってるなぁ……ふふ、可愛い人)良かったね。曙ちゃん」ニコニコ

 

曙「えぇ……(名取……さん、怖かったわ)」

 

芙二「っ!?」ゾク

冷葉「? どうした芙二。なんかあったのか?」

 

芙二「いやちょいと寒気が……後で一枚羽織ってくるわ。タンクトップ一枚じゃ冷える」

冷葉「そうだな(なんで薄い生地でできてるタンクトップも燃えてないんだ? いや野暮か聞かないでおこう)」

 

芙二「それはそれとして、名取と曙をどうするかだな。誰か暇そうなやつに――いや大淀さんにお願いしようかな」

冷葉「なんでだ? 案内だけだったら誰でもいいじゃないか」

 

芙二「いやそれだけじゃなくて寮内の空き部屋も把握してるのは大淀さんくらいだろ」

冷葉「空き部屋……なるほどな。それは確かに大淀さんぐらいだわな。ちょいと呼んでみるか」

 

芙二「今何してるか分かる?」

冷葉「今は~~……執務中だったと思う」

 

芙二「そっか……んー俺がやろうかな。偶には、ね。書類仕事も俺がやらんと」

冷葉「いやいやお前は海上で指揮を執ったろ? こういうのは俺がやるからいいよ」

 

芙二「いやまだ余裕があるから大丈夫」

冷葉「なにがなんでも手伝うぞ」

 

芙二「はぁ……お前も今日くらいはやんなくていい気がしたけど仕方ないな」

冷葉「良し、それじゃ大淀さん呼ぶか」

 

 芙二は大淀の執務を引き継ごうと思い、そう言ったが冷葉が手伝うと聞かないため良しとしてしまった。

 冷葉は小さくガッツポーズをして、無線機に手をかけ大淀を呼んだ。

 通話口で冷葉は大淀に対して“大淀さんにしか頼めない事がある。だから今から工廠へ来てほしい”と伝えると大淀は了承し、これから工廠へ来てくれるという。

 

芙二「やったな」

冷葉「そうだな。さて、冷葉。書類を片付けたら俺らは飯の支度だ。いいな?」

 

芙二「応とも。構わないぜ」

 

 2人がそう話しているとこちらへ向かって来る足音が聞こえたので振り向くとそこには大淀がいた。

 

大淀「あ、提督! お疲れ様です。今回の出撃はどうなりました?(あれ、なんでタンクトップ一枚なんですかね)」

 

芙二「大淀こそ、執務中にすまない。今日の出撃はどうにか勝てたよ」

 

大淀「それは良かったです。それで私にしかできない事とは……あら? そこの2人は?(深く聞かないでおきましょう……)」

 

芙二「名取、曙。大淀に自己紹介を頼む。簡潔に言うと名取はドロップ艦、曙は建造だ」

 

名取「えっと私は長良型 三番艦の名取です。よろしくお願いします」

曙「私は綾波型 八番艦の曙よ。よろしくお願いしますっ!」

 

大淀「なるほど。名取さんに曙さんですか。私に案内と部屋決めをしてほしいって事ですね。執務もさっき終わったばかりなのでいいですよ。ただ――」

 

芙二、冷葉「「ただ?」」

 

大淀「私におふたりが作った甘味を戴ければ――……なんて思いました。はは、すみません。頭を使った後なのでどうしても甘味が恋しいというか」////

 

 そういうと照れくさそうにして前髪を弄っていた。

 そのしぐさを見た2人はあることを考えた。

 

芙二「冷葉」

冷葉「お前の言いたいこと、考えたことは分かるぞ」

 

芙二「大淀さん。チョコレートを使った甘味で良ければ一時間で作り上げれるんだが……」

大淀は「え、いやいいですって! 今日、出撃したサラトガさん達にあげてください!」

 

芙二「そうだけども――いや全員が食っても余る分の甘味を作り上げるか」

冷葉「分かった。んじゃあ――ちょっと食堂行くわ」

 

芙二「オーケー。大淀さん、2人の案内と部屋決めが終わったら渡しに行こう。疲労も吹き飛ぶ甘味を食べさせてあげるわ」

 

大淀「えぇ!?」

冷葉「ということだから。そいじゃぁな?」

 

 大淀のささやかな願望を聞いた2人は速攻で甘味を作り上げようと思ったのだ。それからの行動は早い。芙二は何が余ってるか能力を応用させて棚からリストアップさせ作るものを決める。

 それを冷葉に伝えるとすぐさま了承してどれを作るかも決め、大淀に確認を取った。自分が漏らしたささやかな願いを快諾してもらえた驚く大淀を無視し2人は工廠を後にする。

 

 さすがの速さに大淀だけではなく、名取や曙も啞然としていた。

 

曙「早くない? あの2人ってあんなんなの?」

大淀「えぇ。……しかし楽しみになって来ました。これはきっとっ! とびきりでしょう」ジュルリ

 

名取「そんなに、ですか? 私少しだけ興味が湧いちゃいました。良ければ私もいいですかね?」

 

大淀「いいと思いますよ。是非、2人が作る甘味を食べてみてください。きっと――いいえ。案内に入ります。おふたりとも準備はいいですか?」ハッ……フキトル

 

名取「大丈夫ですよ」

曙「いいわよ」

 

 大淀が言いきらなかったわけを2人は考えていたが、その答えは一時間後に分かると思うとワクワクして大淀の後ろをついて周った。

 

――――――

――――

――

 

 ―食堂 厨房にて

 

冷葉「さて、ここから調理を始めるわけだが……何を作ろうか」

芙二「そうだな。生チョコトリュフなんてどうだ? あんまり凝ったのじゃなければすぐに作れる。今回は時間制限があるからな。量産できる甘味の方が喜ばれるだろう?」

 

冷葉「いい案だな。人数分の材料はあるのか?」

芙二「勿論ある。だけど少し心配なんだが……」

 

冷葉「なるほどなー何が足りなくなりそう?」

芙二「チョコレートと生クリーム」

 

冷葉「逆にココアパウダーはあるの?」

芙二「ある。市販のココアでも行けんじゃね?」

 

冷葉「なるほどなぁ~~」

芙二「俺の部屋の冷蔵庫にあった気がするから少し見てくるわ」

 

冷葉「了解。俺はスマホで調べて作り始めとくわ。妖精さんにも丸める時手伝ってもらうかな」

 

芙二「それはいいと思う。手伝って貰った報酬で生チョコトリュフをあげたらいいさ」

冷葉「んじゃ、調べるわ。芙二、なるはやで頼むわ」

 

芙二「おっけー」

 

 芙二は食堂を出て一度、自分の部屋に戻り上着を取ると一枚羽織る。

 そして冷蔵庫を漁りはじめた。

 

芙二「あったけど、これ使ったらなくなるなー……経費で落とせないか後で相談してみよう」

 

 冷蔵庫から生クリームとチョコレートを取り出すとそのまま空間移動をする。

 ものの3分足らずで厨房に戻った芙二の姿を見て、冷葉と妖精さんらは声を上げないようにして驚いた。そしてトレーにある程度砕いたチョコレートを置き、生クリームはボウルの中に入れる。

 

 タンクトップ一枚だった芙二が上着1枚羽織ってるのを見て変に安心した。

 

冷葉「(服着たんだな。流石にそのままではやらないか)」

芙二「(やらんぞ)」

 

冷葉「!?(こいつ、直接脳内に!)」

 

 互いに別々の作業をしてる2人だが脳内で一連のやり取りがあったのは妖精さん達には秘密だ。

 

 芙二はボウルの中にある生クリームを少し大きな鍋に入れて弱火でコトコトと煮る。

 まぁ沸騰しない直前を測るのだが……大丈夫だろう。

 

 そして冷葉と妖精さんはチョコレートをさらに細かくしていく。熱い状態の生クリームを加えた際に早く溶かすためだ。あらかじめ砕いたチョコレートは耐熱ボウルの中に入れておく。

 今回はチョコの量が多い為、三つの耐熱ボウルに分け入れた。

 

 沸騰直前の熱い生クリームをおたまで掬い、チョコの入った三つの容器の中に入れてい行く。そして火傷をしないように気をつけながら妖精さんや冷葉が掻き混ぜていく。

 

 チョコレートと生クリームが完全に溶け、クリーム状になったらラップをかけて冷やすのだがここで芙二が再登場。能力を応用させて、熱をゆっくり奪っていく。

 あらかた熱を奪ったら冷蔵庫の中にボウルを三つ入れて固まるのを待つ。

 

 その間にも芙二と冷葉は洗い物をする者と次の工程に移る者の二つに分かれる。

 今回は芙二が洗い物で妖精さんと協力している冷葉にトレーやらスプーンやらココアパウダーやらを準備してもらう。

 

 洗い物が終わる頃には、もうすぐで取り出す時間になりそうであったので芙二は冷葉達と共に冷蔵庫の前で少し雑談をした。

 

妖精さんA「今回は何を作ったんです? 甘い匂いがしましたけど」

芙二「頑張ってる皆にね。疲れが吹き飛ぶ甘味を作ってあげようかと思ったの」

 

妖精さんB「なるほど……それは私達も食べていいです??」

冷葉「勿論。食べちゃいけないなんてことはないよ」

 

妖精さんC「やった! やった!」

妖精さんD「ありがとです」

 

妖精さんA「芙二提督殿はどうしてこういうことが思いつくのですか?」

芙二「ん? 俺は――まぁうん。ワイワイとやるのが好きなんだよね」

 

冷葉「菓子も出せるからか? ここが喫茶店かなんかだったらきっと繁盛してると思うわ」

 

芙二「いやいや現実はそんなに甘くないって。ま、そろそろ甘味が欲しくなる時間だろ? これ食って最後まで頑張ってって事で……取り出すか」

 

冷葉「おっけー。妖精さん、手を洗ってきて―。芙二は――洗ってあるか」

芙二「応とも。先に出しとくわ」

 

 冷葉は手伝いをしてくれる妖精さんと共に手を洗いに行く。そのとき、芙二は冷蔵庫からトレーに入った固まった状態の生チョコを取り出す。

 冷えているようで冷蔵庫から取り出されたトレーに触れるとひんやりとした。

 

 準備されたものをそれぞれのトレーの前に出し、いよいよ丸める作業に入る。

 芙二は先に手袋をつけ、冷葉達を待つ。1分もしないうちに冷葉達が戻り、準備万端の芙二を見て、いそいそと準備をした。

 

 ようやく準備が整ったので早速役割分担を提案した。

 1つはトレーの中にある生チョコをスプーンでくり抜き丸め、空きトレーに並べる係。

 

 もう1つは丸めた生チョコにココアパウダーを振りかける係。

 初めてやる事なのか、妖精さん達は揉めることなくすぐに決まった。

 

 ここからは生チョコトリュフを作り上げていく。

 妖精さん達は自分らで甘味を作るという工程をとても楽しんでいた。中には大人の拳ほどの物を作る妖精さんもいたがそれはそれで微笑ましい事だった。

 芙二と冷葉は生チョコが溶けないように、と思いながら一口大に丸め次々とトレーの空きを埋めていく。

 

 ココアパウダーをかける妖精さんも大忙しだった。なんせ、自分達でやるよりも何倍ものスピードで生チョコトリュフ(報酬)が仕上がっていく。

 

 そして13分ほどで3トレー分の生チョコは捌けた。

 大淀さん達と妖精さん達の分は皆に振る舞うものとは別の容器に入れ分ける。それともう1つ、小皿を用意する。その中に生チョコトリュフを7個ほど入れる。

 

冷葉「よっしゃ。これで完成だな!」

芙二「そうだな。あ、これ妖精さん達に、ね」

 

 小皿を出すと妖精さん達は目を輝かせて自分達の作ったものを手に取り食べる。

 

妖精さん達「「~~!!」」

 

 目をカッと開き、驚く。甘い、甘い、美味しい。とてもシンプルな感想だが食べた妖精さんはそう思った。そして1人の妖精さんが芙二に質問した。

 

妖精さんD「ね、ねぇ? みんなに上げてもいい?」

芙二「構わんぞ。これ、皆に渡してな?」

 

 少し大きな箱を質問してきた妖精さんに手渡しにするととても喜んで1人、皆の元へ向かった。

 それを見てまだ食べていた妖精さんらは“あれだけ美味しかったら自分達の分がなくなるのでは!?”という考えになったらしく 口の中に詰め込むと芙二と冷葉にペコペコ頭を下げて、後を追ったのだった。

 

冷葉「よかったな。妖精さん達」

芙二「それな。めっちゃ喜んでもらったわ」

 

 改めてやってよかったと思う2人。

 

芙二「そいじゃあ……冷葉。大淀さんの所いって差し入れしてくれない?」

冷葉「え? いいけど、お前はどうするん?」

 

芙二「俺? 俺は片付けして、そっから米を炊いとく。いつもよりも多めにな。冷葉、今日の夕飯はちょっとだけ豪華にしないか? 間宮さんと伊良湖さんたち来ちゃうと何かしら変わると思うんだよね」

 

冷葉「あ~俺らが作ってたしな。皆が皆、別々の物を食べれるようになるんじゃないか?」

 

芙二「その辺は相談したいところ――まぁいいや。これ、大淀さんの分ね。他の娘達にあったら俺を訪ねるようにって伝えといて」

 

冷葉「はいよー。確かに受け取った。んじゃ、俺は行ってくるわ」

芙二「行ってら―」

 

 冷葉は大淀に疲れが飛ぶ魔法がかかったモノ(生チョコトリュフ)の入った箱を渡すために食堂を後にしたのだった。

 

 残った芙二は鼻歌を歌いながら片付けをしていった。

 そして米を研ぐのだった。

 

 

 

―続く

 

 

 




新キャラクター
 
あまり臆病ではない軽巡洋艦 名取

ゲームの曙よりも少しだけ攻撃性のある駆逐艦 曙

……こんな感じに少しづつまとめてけばよかったんじゃね?と若干後悔。
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