とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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今回も色々書きたかった結果、ごちゃごちゃしてしまい没案が何個か出ました。
あといろんなのを削ったらまぁ短くなった。


二章 53話『行方不明な憲兵と遭難艦娘について ①』

―続き

 

 芙二は神通らに先に帰投するよう、命令を出した。神通は何か言いたそうだったが『分かりました』とだけいい皆と共に泊地へ戻ってもらった。

 

 残った紫月と夕張は芙二の顔を見ていた。『あれ? 私達は?』とでも言いたげだった。

 視線に気がついた芙二は二人に『船内に戻っていて。少ししたら我々も向かうから』と言って船内へ向かわせる。二人は『分かった』と頷いて船内へ。

 

 デッキに残った芙二はこういう事が起きてもいいように講じておいた能力を念のため掛ける。もしも、があってはならないためだ。

 

 二人に掛けたものは『芙二が行ったことに対して疑問を抱かない』という認識を変えさせた。船内にいる憲兵に秘密が漏れる事を怖れてのことだ。敵か味方か分からない――今は後悔しない方を選択するのは無難だろう。

 

 空中に視線を送るとそこには浮遊する深海棲艦の魂あるいは誰かの残留思念の塊がちらほらとあった。芙二はいつもの行動をし、深海棲艦の魂を怨念結晶と魂晶に分ける。

 分けた際、ある深海棲艦の魂の記憶を見ることが出来た。芙二の顔は曇り始めた。曇らせた光景はあまりにも凄惨で残酷なものだったからだ。それと同時に深海神棲姫(お姫さん)の言葉も頭の中に蘇った。脳内で再生される あの時の表情と言葉を思いながらこう思った。

 

 

『そりゃあ……怨念というかまぁ減らないわな。誰かが鎮めてやらないと……敵に慰められても!って思うかもしれないけどさ』

 

 魂晶はアビスの元へ。怨念結晶は黄昏の欠片へ。そういえばこの黄昏の欠片の中に封印されていた怪物ってなんだったんだろうな、と思いながら芙二も船内へ。 

 

 船はそのまま泊地へ向かうのだった。

 

 

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 船を工廠裏に停泊させ、二人を降ろす。降ろされた芙二に『ありがとう』と一言。芙二は『どうも』といい、泊地の玄関まで案内する。ついていく二人はその先に10人ほど人がいる事に気づいた。その中の一人が芙二に気がつき、声を掛けた。

 

 

冷葉「お、芙二! お前の後ろにいるのが例の人物か!」

 

 

 二人を確保してからすぐに冷葉に無線を飛ばしていた。応答した冷葉は事実を聞くと大慌てで八崎に内線を飛ばした。内線を貰った八崎も芙二が行方不明者を見つけたという知らせを聞くとすぐにこの間、お世話になった憲兵の 池谷に連絡をした。

 

 池谷は死体が見つかっただけでも嬉しいというのにまさか生きてることを知らされて自分の部下、数人を集めてすっ飛んできてくれたのだった。

 

 芙二の所にいる紫月と夕張を見たら池谷は涙を流していた。それほど、なのか。そう思い、冷葉に感謝の文を口にした。

 

芙二「ん、そうだ。冷葉、執務中にすまない。「いやいやお前が謝る事じゃねぇ! 深海棲艦と交戦中によく見つけられたって感心するわ!」そうか。ありがとう。八崎さん、二人をお願いできますか?」

 

 冷葉は芙二に対してよくやったと感心していた。芙二は目の前の女憲兵に紫月と夕張のことをお願いした。

 

八崎「えぇ。任せてください。池谷憲兵、神威憲兵とその艦娘を護送しますよ。軍の病院で色々診てもらいましょう。お二人ともいいですか?」

池谷「ズビッ……あぁそうだな。君、神威憲兵とそこの艦娘を護送車まで連れて行って」

 

 他の憲兵から渡されたティッシュで鼻をかんだ池谷は涙声のまま、自分の部下に指示を送る。指示を出された憲兵は『了解しました』と礼をし紫月と夕張の元へ行った。

 

憲兵「おぉ……神威憲兵! こうしてまた会えたことを自分は嬉しく思います! そこの艦娘のお嬢さんももう安心してほしいのであります!」

 

 開口一番、そういうと嬉しそうな顔をしたまま紫月と夕張を安心させようとして暖かい言葉を掛けた。紫月は『ありがとう。池谷憲兵、護送するのは僕だけにしてもらえないかな?』という事を急に言った。

 池谷も二人の前にいる憲兵、冷葉も八崎も吃驚した顔をしていた。何故、と池谷が問う前に紫月が口を開く。

 

 

紫月「理由は彼女、夕張は現在負傷しているんだ。小破、というよりかは中破に近いイメージかな。ここは幸いにも泊地。艦娘の傷を癒せるところ。彼女は一旦、ここで入渠してから後日大本営へという形にしてもらえないだろうか」

 

 

池谷「ふむ……そういう事か。小破ならまだしも中破に近い艦娘を数時間、護送車の中で過ごさせるというのは如何なものかという事だね。ふ~~む……分かった。神威憲兵の言う事を呑もう。芙二提督殿、冷葉補佐殿。一時的でいいから、ここで保護してもらえないだろうか」

 

 

芙二「了解しました。池谷憲兵殿。うちで傷が癒えるまでの間は保護しましょう。夕張、いいかな?」

 

夕張「え!? えっと、はい。よろしくお願いします」

 

芙二「良し、冷葉。至急、内線を飛ばして明石でも大淀でもいい呼んでくれ。一番ドッグは第一艦隊が使用してるだろうから……二番ドッグか三番ドッグへ。任せた」

 

冷葉「了解。それでは失礼します」

 

 

 池谷たちに軽く一礼すると駆け足で施設内へ向かった。そして池谷は八崎にも指示を出し、行動を始めた。三十分が経つ頃には憲兵達は皆、護送車へ入っていた。残されたのは池谷と八崎、芙二、夕張の四名だ。八崎は見送ります、と池谷に言った。池谷は車へ向かう際、芙二に向けてこう言った。

 

池谷「芙二提督殿。貴方も後ほど事情聴取をさせていただきます。神威憲兵を見つけた場所等をお聞かせください。連絡はまた後で後日しますので」

 

芙二「了解しました。池谷憲兵、私も見送らせてください」

池谷「いえいえ。それは結構。八崎憲兵も芙二提督殿も大丈夫です。今はそこな艦娘のケアをお願いします」

 

 横目でちらりと夕張を見る。視線が合った夕張は気まずそうに目を逸らした。

 

池谷「では、私はこれで失礼します」

 

 三人に向かって池谷は敬礼をし、去って行った。芙二は『さてと』と呟き、八崎にアイコンタクトを試みる。意図を感じ取った八崎は芙二に『行っていいですよ』と。

 芙二は『ありがとう』といい、執務室を目指して向かう。残った八崎と夕張は軽く自己紹介をしてこれから来る人を待っているのだった。

 

―続く

 




スランプ?に陥ってしまうとかなり大変ですね。というか、清霜編移さない方が良かったかも? まぁいいか。
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