とある泊地に着任した提督のお話   作:ふじこれ

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①を書き上げてからすぐに筆を執ったら設定がガバガバなのがバレた件。


二章 54話『行方不明な憲兵と遭難艦娘について ②』

―続き

 

 

 

 芙二は執務室へ来ていた。ノックしても反応がないため入るとそこには誰もおらず、電気が消してあったがカーテンまで閉じられてなかったので日差しが入り込んでそれなりに明るかった。

 

 休憩することなくそのまま、端末を取り出し大鳳の元へ掛けた。海堂元帥にも掛けようと思ったが現在の時刻は十四時過ぎ。普段なら執務を行っているだろう。会議をしてるかもしれないし、海へ行き艦娘(現場)の指示を執っているかもしれない。そう判断したので大鳳へ掛けるが、通じない。ひとまず置いてから『そりゃそうか』と思った芙二はリコールすることはなく次の行動へ移った。とりあえず、冷葉に内線を掛ける。

 

 

芙二「芙二だ。冷葉、現在どうなっている? 夕張は入渠させたか?」

冷葉「ん、大丈夫だ。今、明石と大淀さんが夕張の状況を診ている。俺は追い出されたんでこれからお前のいるところへ向かおうとしていたんだがな」

 

芙二「了解。まぁ後で明石か大淀に状況を聞けばいいか」

冷葉「だな、ところでお前はあの二人とどこで会った? 海上……じゃないよな? 夕張はともかくあの憲兵は人間だからな。向こうに話す前に俺に話して欲しい」

 

芙二「分かった。今、丁度時間がある。お前も今空きがあるなら来い」

冷葉「了解っと。すぐ行くからな……あ? 神通ちゃん? あぁこんにちは。今話してるのは誰か? えっと芙二よ? え?! なになに、その顔は! 『私もついて行きたい?』そりゃ構わねえけど……芙二いい?」

 

 

 芙二がいる執務室へ冷葉が来るという事になった。通話が終わりだという時に何やら誰かの受け答えをするかのような声に変わった。相手は神通の様でなにやら芙二と話をしたいらしい。

 しかもなにか冷葉も吃驚するような表情をしていると。その時、芙二は思った。

 出撃していた神通らもあの深海棲艦と会敵してるだろうから聞くチャンスだと。なので許可を出した。

 

 

芙二「あ、いいぞ。ちょうど手間が省けた。そのまま連れてきて」

冷葉「了解。神通ちゃんと二人で向かうわ」

 

 そのまま通話は終了した。芙二は二人を待つのだった。

 

 

=======

 

 

 執務室にて

 

 芙二しかしない静かな執務室内に冷葉達が来たことを告げるノック音が響く。一言『どうぞ』というと扉が開く。先は冷葉と神通がいた。正面に立つ二人に向かって口を開く。

 

芙二「さ、二人とも。ソファに腰を掛けてくれ」

冷葉「なんだ。珍しく椅子に座ってやんな? (サマ)になってるじゃないか」

 

神通「提督、失礼します」

芙二「ん、今日の出撃ご苦労様。皆大丈夫だった?」

 

 ソファに腰を掛ける冷葉と神通。芙二が神通を労いながら今日のことについて触れる。

 神通の眉がピクッと動く。その様子を見て『何かあったな』と考える芙二。まぁ何かというのは最後に見た深海棲艦達だろうけど。冷葉は『二人について』聞きたいと言い先にそちらを話すことになった。

 

芙二「まずは……神通、ちょっと前に通信が出来なくなった時あったろ? すまん、あれは俺が意図的にやったんだ」

 

神通「! それはどういった――「意図で、か?」はい」

 

芙二「それはな、海上にドローンが三機飛んでたんだわ。どこの誰が飛ばしてるかは分からんけどね。本部の見回りかと思ったけど無視してたんだけど、明らか嫌なモンを感じたんでな? 能力を使って妨害しようかと思ってやったら妨害出来たけどお前達との通信も一時的にダメにしちゃったってだけ」

 

 そう言いながら座ったまま頭を下げる。神通はぷるぷる震えだした。隣に座った冷葉は『怒らせたな、南無南無』と脳内で呟いていた。しかしそれとは真逆の反応だった。

 芙二の顔を見たまま、声を張り上げた。

 

 

神通「なるほど……あの時はっ! て、提督の身に何か起こったんじゃないかって……でも提督は失礼ですが私達よりも化け物染みてる(強い)ので……でも心配でっ!」

 

芙二「……ありがとうね。神通。相変わらず、滲みるわぁ~~……っと話を戻すよ」

冷葉「神通ちゃんも一旦落ち着いて。芙二、水持ってくるわ」

 

 

 『勝手にしな』と冷葉に言うと立ち上がり、コップを取りに向かった。

 

 

芙二「で、まぁあの二人との出会いを簡潔に話すとだな……電波妨害を行った後にすぐ、遠くで爆発音が聞こえたような気がしたんだよね」

 

冷葉「気がしたって……あ、でもお前だったらチート(それ)で方角とか分かるんだっけ」

芙二「そ。だから爆発音が聞こえたような場所へ向かうとそこには燃え上がるイ級がいた」

 

冷葉「は? イ級が燃えてた? じゃあ、爆発音ってのはそいつが……」

芙二「いやちゃう。話しだと憲兵は直接やってない」

 

 芙二が話す間、神通は黙って聞いていた。冷葉が戻ってくると神通の目の前に水の入ったコップを置き、芙二にも同様のことをした。自分のは最後に置くと『よっこらせ』という掛け声と共に座った。

 

 

神通「あ、あの冷葉補佐……ありがとうございます」

冷葉「ん? あぁ気にしないで。ささ、次は? イ級が燃えてんだっけ。そこで出会ったの?」

 

 

 水を出してくれた冷葉に神通はお礼を言うも冷葉はニカッと笑って『どうも』と言った。

 話に戻し、そこから出会ったのか聞く。

 

 

芙二「そうだね。あの憲兵の指示で夕張に一か八かの行動をさせたらしい」

冷葉「フム? 一か八か? それはなんだ? 芙二たちを見て行ったって事か?」

 

芙二「うん、そうだね。俺達が戦闘をしているのを見えて行動したらしいよ」

冷葉「見えて? お前ら海上で戦闘していたんだよな? 仮にそこの憲兵達がいる島の岸からどれぐらい離れてたんだ?」

 

芙二「えっと確か15キロくらいかな「15キロ? はは、馬鹿言うなよ。お前は規格外だけどあの憲兵はどう見ても人間だろ? 艦娘だって普通の艦娘だろ? 明石のような特異でもなんでもないんだろ? 遭難&行方不明になってた二人がどうにかして――あのドローンはあの憲兵のものだろう?!」いや本人に確認取ったけど知らないってさ」

 

 

冷葉「じゃ、じゃあなんだっていうんだよ! 説明がつかない……!」

神通「提督、冷葉補佐。横から失礼します。あの憲兵は実は提督と同じ存在じゃないのですか?」

 

冷葉「存在……? ってことはあの憲兵も人間じゃないって事?」

芙二「……俺の眼には人間と映った。だけど、サバイバルが出来るだけじゃ3週間近くも生きれないと思う」

 

 そういうと冷葉は目を逸らしながら続けた。

 

冷葉「……ま、まぁ運が良かっただけだよな」

芙二「本人からおいおい聞けばいいんじゃない?」

 

冷葉「そうだな。とりあえずアレだな? 類は友を呼ぶ。化け物には化け物が集う運命なのかもな? ……言っとくと俺は人間だぞ」

 

芙二「分かってるって。()()()()()()()()()()()から安心しろって……さて、二人との出会いは大体分かったかな?」

 

冷葉「あの憲兵もしかして怖い奴? あんなにイケメンムーブかまして??」

神通「えぇ大体わかりました。……でもたかが人間の憲兵がイ級の死体?を爆発させる指示を出せる方が……いえ、失礼しました」

 

冷葉「いいんだぜ、神通ちゃん。この際、恐ろしいって言っちゃえよ。いやいや肝据わり過ぎだろ、だとしたらよぉ!!」

 

芙二「へい、冷葉。落ち着きたまえ……水飲んどけ? な?」

 

 冷葉は芙二が助けた憲兵も人間ではない?という考えが殆ど事実へ変わっていく様に耐えられない様だった。ただでさえ、目の前に規格外(芙二)がいるのに。もしかして類友で集まってくるのでは……? と考え始める冷葉だった。

 

 水を飲んで落ち着く、冷葉。熱が冷めてきたのか、ふと芙二に質問する。

 

冷葉「そういえばよ。神通ちゃんに何か聞きたいんじゃなかったか?」

 

 

 言われて『あ、そういえば』と思い出したかのような風な表情をする。冷葉が芙二に聞いたことで神通も神通で顔を曇らせる。

 

 『え? なに? 今日の出撃で何かあったの?』と冷葉は二人に話しかける。神通が顔を曇らせながら口を開こうとした時、芙二が先に口を開き神通へ率直に聞いた。

 

 

芙二「神通、お前達は今日の出撃で会敵した深海棲艦に違和感を持ったな?」

冷葉「違和感……?」

 

神通「はい。提督と合流する前に遭遇した深海棲艦はとても苦しそうな顔をしてました。あの海域で起きた()()()()()の影響を受け、動けないといったことではないと思っております」

 

冷葉「異常な現象? 今日、何があった?」

 

 

 神通が異常な現象と口にした辺りで冷葉の目が真剣なものへ変わった。神通は今日、攻略したバシー海峡で起きた異常な現象について話した。

 

 

冷葉「なるほどな……最初遭遇した個体は影響を受けていなかった?「はい、バシー海峡に突入した際、私達は異変に気がつきました」なるほど……その後動けたのは芙二のおかげで? それともその異常は急に終わった?」

 

神通「いえ、提督に一時的に手助けしてもらってました。その後は普通に戦闘を行えました。私達にだけ作用するようなモノでした」

 

冷葉「深海棲艦の奇襲に気がついたのは? 誰だ?」

神通「龍驤さんです。彼女が速攻で発艦させましたので被害はゼロです」

 

冷葉「敵の艦載機は撃ち落としたか?」

神通「いえ、こちらの艦載機と接触する手前空中で急停止しそのまま海へ落ちていったそうです」

 

冷葉「なんでだ?」

芙二「それは俺にも分からん。だが、神通。その深海棲艦の最期はお前達がトドメを差したか」

 

 ずっと冷葉と神通だけの会話に芙二が混ざり、神通にトドメを差したかを聞いた。神通は首を横に振る。そして『私が判断に迷ってるとき、喀血し絶命しました』と言った。

 

芙二「なるほど……その際、ただ死んだだけだったのか?」

冷葉「芙二、それはどういう……?」

 

神通「いえ、こちらを見て憐れんでいるようでした。まるでこれから我々に何か不吉な事が起こるとでも言ってるような、そんな表情でした」

 

芙二「……(なるほど。直接、魂から断片的な記憶を見てからだけどなんとなく分かったわ)」

冷葉「芙二? 何か思い当たる節があったのか?」

 

芙二「いや……ない、訳ではない。アレらは――多分時雨の失敗作だ」

 

冷葉、神通「「失敗作……?」」

 

 

 芙二は眉間に皺を寄せ、苦い顔をしながらそう口にした。途端、神通と冷葉は理解出来ないと言った表情をする。二人の顔を見ずにそのまま、仮説を話す。殆ど当たってると思うと付け加えて。

 

 

芙二「時雨から聞いたろ? そういう実験を行ってる奴らがいるって。後、サラの着任パーティーの時にもここに侵入されてる。その時に深海棲艦も艦娘も実験してる的なことを言ってた。薬の副作用は分からないけど……きっとそうだと思う」

 

冷葉「薬を投与して思うような結果じゃないから……あの海域に廃棄したって事か?」

芙二「だと、思うんだけど……あのドローンは」

 

冷葉「そうだ。そうだよ。ドローンはクズ共が使ってたとして何のための――」

芙二「そりゃまぁ観察じゃない? 逃げたのか、何なのか知らないけどさ。片道切符で戦闘データでも取りたかったんじゃない?」

 

冷葉「…………深海棲艦に同情するわけじゃないが、それはあんまりじゃないか」

 

芙二「まぁ。そうだよね。俺らは殺す側だけどもそれはそれで黙祷でもしてればいいさ。問題はそういう連中が艦娘も対象としてることがやべーだろ」

 

冷葉「…………場所は分かるのか? いやお前の能力なら…………」

芙二「いやすまん。そこまで有能なもんじゃないんだわ。でもまぁうちのモンに手ぇ出したら流石に…………な?」

 

冷葉「それは俺も同意。だけど殺すなよ? トドメは俺がやる」

 

 二人で鬼のような形相を浮かべながら物騒な事を口にする。神通は人間の冷葉に対して怒らせたら怖い人?と思っていたがたかが艦娘(私達)にここまで愛着を持ってもらえるとは嬉しく思うのだった。

 

 時刻は十五時を越え、十六時になろうとしている。冷葉は夕食の支度があるから失礼するといい執務室を後にしようと思うとき、神通も席を立ち一礼して去って行くのだった。

 

 

 ======

 

 

芙二「……さて、残りの執務を行いますか」

 

 

 そう言って席を立って、ファイルを探しに引き出しへ向かう。引き出しを開け、中のファイルを取り出すときふとあの記憶が思い起こされる。

 

 

 何処か独房の様な暗くて湿っている場所。そこに記憶を見たあのヲ級と深海棲艦の姫級とが話し合っている。あのヲ級は酷く怯えていたようだが、お構いなしと姫級は嗤って何かを刺した。

 

 濁音交じりの声が聞こえる。あれはあのヲ級が吐きながら呻いたのだろうか。

 

 

 

    『お前は――失敗ダ』

 

 

 

 ヲ級の耳にはそんな言葉が聞こえ、意識は闇へ消えていった。

 

 

 =======

 

 

 嫌な記憶見せやがって……と舌打ちをする。

 

 

芙二「もしかしたら……あの姫級と近いうちにドンパチするかもな」

 

 

 いやそんなわけないかと吐き捨て、残りの執務に手を付けるのだった。

 

 

 

―続く

 




どんどん現実味を帯びていく……


 余談ですけどありふれ読んでたら『清水ァァアア!!』と南雲かオリキャラに叫ばせたくなったのでありふれの二次創作書くかもです。

では次回もよろしくお願いします
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