『捷三号作戦警戒』ってやつらしいけど前段は出来ても後段は出来そうにないな。
あ~~~冬月欲しいよ~~~
―続き
医務室を出た芙二は自室に戻ることなく、そのまま付近の海岸端まで歩く。そしてさっき見た同郷人のことを思い浮かべながら能力を使用して姿見を変える。勿論、自身を見えないようにして。
芙二「出せそうなものやってみるか」
そういうと試製深海艤装:
モチーフは魔装騎士の持つ盾だがサイズは芙二の身長を余裕で超える大きな盾からナックルのような形にまで手に【装着】するという条件で変形可能だ。干渉の能力のおかげで大蛇の換装をノータイムで可能となっている。
芙二「ふぅ……とりあえずシャドーボクシングやってみるか」
そういって構えの姿勢をとる。範〇刃牙じゃないからイマジナリーカマキリとか出せないけどもとりあえず、そこに――目の前に
芙二「こう、だッ!!」
全然やったこともないシャドーボクシングを行う。前世に動画で散々見たのを思い出しながら『シッ! シッ!』という呼吸をしながらナックルに換装させた大蛇を目の前に打つ。一発一発に殺意を込めて行うにつれだんだんと速さが出て、激しさも増していく。
ただ打つだけではなくたまにガードもしながら目の前に向かって打つ、打つ、打つ!
最後に思いきり妄想上の手練れの上半身をぶち抜く――だが、目の前には当然何もなくドシャと前のめりに倒れた。
芙二「……ぺっ! 砂が口ン中に入った……水は~~っと」
そういうと懐からペットボトルを取り出して中身を口に含んで吐く。これを何回かするとマシになったので次は試製深海艤装:137mm連装砲へ換装するが……流石に通じないと思い元の形に戻す。
次は狂獄龍忌呪を使って、いつぞやのキメラ装備へ変化する。しかし今回は前回と若干違うみたいだ。頭にペストマスクを被ってるのはいつものことだが、今回のペストマスクは目元から下が見えない方になっていた。え、正体バレるやん……いや能力使用すればバレないか。
頭にはペストマスク(ハーフ)
首から下:上半身+下半身
青〇主装備(頭以外)モチーフに禍々しさが出てるし……あれ、この時点では羽がないや。もしかして俺の記憶を参照してる感じ? いやいやペストマスク(ハーフ)と青〇主一式みたいなのって絶対に合わない。ギザミ一式に合わせるぐらい合わない。
芙二「青電〇装備のような感じ、か。え、なんで? いやかっこいいけどさ……つか、それなりに重いのな。あ~……あれか、敵が強いから無意識のうちに防御力高そうなのをやりましたってか?」
それはそれでレパートリーが増えていいけどさ。今、この状態で羽も生やしたら……
無機物な羽、もとい翼は何対出てくるんだろうか? 一対? 二対?
とりあえず【黄昏の欠片】から怨念結晶を二個取り出して嚙み砕くっと。
ガリッガリッ!と硬い物を砕く音が誰もいない海岸端に響く。待てど生えてくる気はしない。どうやらこの状態は羽が生えないよう、だ? いや感じるぞ! 背中辺りがもやもやする感じが!
芙二「っぉ? おぉ~~? いってぇ!?」
バリバリバリと音を出しながら鋼鉄の翼……もとい機械の翼が一対生えた。生えた時はかなり痛かった。その翼だけで芙二の身長よりも大きなのが二枚も。海面の 上に立って自分の姿を確認する。確かに防御力高そうだ。それにいつものキメラ装備とは違って色もテーマも統一感が出てきたような感じがする。
芙二「上下の鎧も羽もメインは黒色か。赤い線が縦横、非対称に入って厨二心を刺激するな……ただまぁ、ペストマスクがハーフなのがなぁ……あ、いやバシネット風に改造してみるか。バシネットだと完全な重装備の頭だしなぁ……まぁバシネット風だから被る感じのペストマスクを……」
作業に入る前に海上から自室へ瞬間移動する。そして重そうな鎧から換装し、普段着に変え床に座り込む。朝食の準備時間まで頭装備の魔改造を開始したのだった。
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時刻は午前五時過ぎ 芙二の私室にて
芙二「出来た! まぁとりあえずはこれでいいとしよう。ちょっと工廠持って行って妖精さんに見てもらおうっと」
作業開始から一時間ほどでバシネット風ペストマスクを完成させ、さっきの
工廠に向かう途中、自主練帰りの川内に会ったのだが物凄い驚かれたのだった。
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午前六時四十分 食堂
冷葉は朝食の準備に取り掛かっていた。今日のメニューはシンプルに塩サケ、味噌汁、卵焼き、ポテトサラダ。それに白米。白米はもうセットして炊けるのを待つだけだ。
後は芙二が来て分担するのだが、来る気配が一向になかった。
冷葉「芙二が寝坊……? 珍しくも……ないか?」
ジャガイモを蒸かそうとして準備をしながらそう呟く。バシー海峡から帰ってきてから芙二の周辺はごたごたしてるような気がする。行方不明の憲兵や夕張を拾って来るし。そういえば、今日か明日か大本営から呼び出しが来そうな気がする。
蒸し器に水を張りジャガイモを何個か入れ、火をつけて始める。蒸す時間は十五分か、まぁ長くとも二十分だろか。芙二が来る気配がないのでそのまま別々の準備も平行して始める。そんな時、食堂のドアは開き誰かが入ってきた。しかし目をやる余裕はないので声だけ返す。
冷葉「すまん! 誰だか分からないが、今は手が離せん! 要件だけ言ってくれ!」
芙二「あー、俺だ。冷葉。遅れてきて悪いんだけどさ、ちょっと汚いままだと衛生上やべぇから部屋戻るわ」
冷葉「ん? どゆこ……と? え? 誰、お前」
芙二のいう事が理解出来なくてどういうことだと聞くべく振り向く。『汚いままでくるなよ』って言おうとしたが扉の前にいる黒色の重装備の人物を見て固まる。
芙二「いや、そのままよ。俺ちょっと部屋戻ってシャワー行ってくるわ」
冷葉「あ、そうしてくれ」
あまりの衝撃に冷葉は目を丸くしたまま言った。芙二は『すまない』と言って音を立てずに姿を消した。しばらく啞然としているがすぐに“はっ”と我を取り戻し朝食作りに戻るのだった。
冷葉「え……? あいつの装備、この間よりもなんか進化してないか? 」
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芙二「さてと……」
部屋についた芙二は解除し、普段着へ戻る。解除してから思ったが所々汚いしこもっていた所為か匂いも酷かった。これは今夜にでもお手入れした方が良さそうだ。
着替えとタオルを雑につかむとそのまま風呂場へ行った。冷葉に任せきりの手前ゆったりと浸かるわけにもいかずさっと済ませて、着替え髪を乾かしそのまま食堂へ向かった。
午前七時 食堂
芙二は再び扉を開け、『冷葉すまん!』と言いながら厨房へ入った。冷葉は『ようやく来たか』といいそのまま『おはよ』と言った。芙二は頭を下げた後に『おはよ、朝はありがとう』と言った。
冷葉「気にすんな。お前のおかげでいくらか作る速度が上がったんであんまり苦労しちゃいねぇよ。そんなことより、さっきのは?」
芙二「さっきのは新しい装備かな。ちょっと前に作ったからよ、その足で妖精さんに見せに行ってたんだわ」
冷葉「なるほどねぇ。それでどうだった? 反応は、よ」
芙二「まぁ予想通りの反応。開発ン所も建造ン所も目を輝かせて飛び起きてたよ。その前に艦娘に見つかったけどさ」
冷葉「? 曙か名取には説明してないんだよな? そいつらだったのか?」
芙二「いや川内。くっそビビられたわ。向こうは自主練帰りだったのか夜戦帰りだったのかは分からんけどさ。主砲を構えられたわ」
冷葉「あ~~……安易に想像がつく。でもさっき見た時には何もなかったけど砲撃されても傷一つ付かなかったのか?」
芙二「いンや? 俺だって声掛けたら『なんだ。提督か。全く、驚かせないでよ!!』と言われてしまった」
冷葉「そりゃな。さっきまで薄暗かったんだ。そんな中どうせお前だから音もなくヌッと現れたんだろ? 俺だってビビるし、通報するわ」
芙二「だよなぁ……今度からは気をつける」
冷葉「次からにしろよな? ったくよ……お前さんの仕事は洗い物を任せようかと思うんだけどいいな?」
芙二「構わない。あ、そだ。昼間、シェリルさんとこ行ってくる」
冷葉「お、そうか。
芙二「そんなトコ。夕張のを見させてもらったけどありゃあ……すげぇわ」
冷葉「俺らからしたらお前も大概だと思うけどな。お前が言うほどだろうから、相当だな?」
そう聞かれたので芙二は笑ったまま話し出した。夕張の記憶を見たから言える事もある。
芙二「もうね。天災そのもの。あんなのが本気で暴れたら死人は出るわ、艦娘どころか深海棲艦ですら抵抗許されることなく瞬殺だわ。現代兵器? 核でも落としてダメージあるかないかだぜ?」
冷葉「……そっか。で、勝率は?」
芙二「……話聞いてた? 俺ですら勝つか分からんのだぜ?「勝率は?」……十パー」
冷葉「一割あんなら行けるだろ? それともお前のチートオブチートじゃ勝てないってか?」
芙二「まさか、さ。それにしても言うねぇ冷葉。被害を出さずってのは無理なだけだ。つぅ―か、よ」
冷葉「何だ?」
芙二「相討ちの可能性も視野に入れとけよ。時雨を乗っ取った偽神が可愛く見えるレベルだ」
冷葉「お前なら大丈夫さ。きっとな。やる前から諦めてたら勝てるもんも勝てねぇぞ」
芙二「……そうだな。ありがと、冷葉。さて、そろそろ皆がここに来る頃だ。配膳の支度をしよう」
冷葉の言葉は芙二の心に届いた。言葉を飲み干し炉心へ焼べた。芙二の心に火は灯り徐々に大きくなっていく。そのとき考えていたことは同郷人を殺す、まではいかなくとも無力化させることを決意したのだった。
十分もしないうちにボチボチ艦娘も八崎も集まり出した。カウンターから今日の朝飯だよ、と朝食の入ったトレーを渡す。受け取った艦娘らはニコニコと話しながら好きな席へ着いた。冷葉が渡している時に丁度八崎も来て、朝の挨拶を交わした。
八崎「おはようございます。冷葉殿。朝からありがとうございます。私も今度お手伝いさせてください」
冷葉「おはようございます。八崎さん。それはありがたい。是非、お願いします。芙二~! 味噌汁をついで~」
芙二「あ~ぃよ! ちょいまち!」
八崎は芙二にも朝の挨拶を交わす。芙二もマスク越しだが八崎に聞こえるように大きな声を出して返した。
芙二「冷葉、一人前おまちっ! あ、俺、飯届けに医務室へ行ってく――提督。その必要はないですよ」
明石の声がしたので声の方を向くと夕張と一緒に来ていた。夕張を知らない艦娘もいるのでちょっとだけ食堂内がざわつく。しかし知っている艦娘が事情を説明したためざわつきはすぐに収まった。
夕張「提督、おはよう。さっきはありがとね」
芙二の姿を見かけたのかトコトコと速足で近づいてきて照れたように言った。一部の艦娘の目からハイライト一瞬が消えたが。芙二も厨房から出てゴム手袋を外し、夕張の方へ近づいて言った。
芙二「ん、俺の方は大丈夫。それよりも夕張こそ大丈夫?」
『大丈夫!』と笑って言う夕張を見ると芙二は『そうか』と短く返す。そして夕張の頭を軽く撫でながら『何ともなくて良かったわ』と言って流しへ向かった。
突然撫でられた夕張は撫でられたところを擦りながら驚いた顔をしていた。その顔が面白かったのか明石はクスクスと笑い、冷葉はすぐに手を出そうするよなと呟いていた。
それはそれとして冷葉は切り替えて明石に話しかける。
冷葉「明石。それに夕張ちゃんも。もう回復したんだね。二人の分もすぐ出すから」
明石「あ、はい。夕張さん、適当な席を確保しておいて」
夕張「え?! は、はい!」
バタバタと慌てながら席を選ぶ夕張。迷っていると川内から声が掛かったのでそれに乗ることにした。川内たちの近くに丁度二席あったのだ。
夕張「えっと、ありがとう。あなたの名前はなんていうの?」
川内「私? 私は川内! よろしくね、夕張ちゃん!」
夕張「う、うん。こちらこそ――……明石さん! 席確保しました!」
明石「はいはーい。場所なんて聞いてれば分かるからすぐに持って行きますよ」
その後夕張は明石が来るまでの間、川内を始め周りの艦娘から質問攻めにあった。
明石「夕張さーん。朝食持ってきましたよ……ってなんか疲れてるっぽいけど大丈夫です?」
夕張「えぇ一応……ここの艦娘って好奇心旺盛なのね……」
どこか疲れている夕張の顔を見て明石は思う。『あなたに興味を持った艦娘が多いだけで……まぁ青葉さんや秋雲さんは別の目的かも知れませんけど』と。流石に明石が来たのか川内らは夕張に絡むのをやや辞めた。夕張と明石は朝食を食べ始めるのだが――今度は皐月や如月と言った駆逐艦娘から話しかけられていくのだった。
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皆の中で食べ終わる人が出てくる中、冷葉は皆に今日の予定を伝えた。そして食べ終わっていた者は返却口に空のトレーを返し食堂を後にした。それを見たのか残りの者も慌ただしく掻き込んで咀嚼していた。
食べ終わると返却口へ流してそのまま小走りで食堂を抜けていった。
芙二は芙二で次々に来る食器やらトレーを次々に洗っていく。ついには最後に出した艦娘の分まで追いついてしまった。まだ食べている明石と夕張を見て芙二はもう少し待つかと思い、手を拭いて厨房から出てきた。
冷葉は既に執務を行うべく、食堂には居なかった。今いるメンバーは芙二と明石、夕張の三名だけだった。明石はこちらに向かって来る芙二に対して『提督? 朝食取りました?』と聞いてきた。
芙二は『大丈夫。先に取ったよ』と嘘を吐く。『そうですか』と明石。夕張が『今日は何をするんですか?』と聞いた。『今日は知り合いの所に話しをしに行くだけかな。早くて夕方には帰ってくるんじゃないかな』と。
それを聞いた夕張は『そうなんですね……提督も大変ですね』といい湯呑みに注いであった茶を飲んで一息吐いていた。芙二は明石に『厨房の中、入っていいからさ。食器つけておいてもらえる?』と言って明石に任せて一度食堂を出た。
明石「提督は忙しそうですし……とっとと言われたことをやりましょう?」
夕張「え、あ、はい!」
明石の問いに返事したまま動こうとすると妖精さんが出てきて『トレー受け取るよー』といいテーブルにあった二人前のトレーを持って厨房奥へ消えていった。
ただただその様子を見ている事しか出来なかった明石は夕張の肩を叩いて『工廠へ行きましょう?』と言うのだった。
―続く
話はゆっくりと進む。
ダブルクロスやってたんでちょうど青電主の装備が浮かんだんでそれをモチーフに禍々しくしてみました。カラーリングはなんだろ、黒と赤銅色が混じった感じ?