そろそろ激突する人物の話となります。
―続き
東第一泊地内へ侵入を試みた清霜たちだったがそこの提督と憲兵により作戦は失敗してしまった。寄せ集めのクズは全く使えなく全員塀の向こうへと旅立った。
清霜の目の前にいる男はそれにより『人件費を払わなくていいのは良い事だ』と笑って言った。清霜の影にいた深葬姫は『もとより払う気などなかっただろ』と思っていた。
でも清霜は『持ち帰ったら持ち帰ったらで結局は実験動物にされてるでしょ?』と楽しそうな雰囲気で話した。
その言葉に『あぁ勿論! ヒトを実験材料に出来る機会なんて滅多とないからね!』と目を輝かせて清霜に返した。しかし清霜は『ふぅん』と興味なさそうだった。
興味なさげにしていた清霜を見てか、研究員は『それでも収穫はあった』と言う。それに対して残念そうに清霜は口を開く。
清霜「収穫? 時雨ちゃんは殺せなかったし……あ、もしかしてあの提督と憲兵?」
研究員「そうだ。あそこに素晴らしい実験材……素材がいるとは思わなかった。人間だというのにあそこまで動けるのは本当に素晴らしい事だ。あの二人を交配実験の材料として是非扱ってみたい! 何度も出産を繰り返させ、出来た子を何回か解剖して隅々まで……」
自分の世界に入ったらしく、ブツブツとなにやら考えを言い始めてしまい会話が続かなくなる。清霜はため息交じりに言うが聞こえてないようだ。
清霜「あ、いや大丈夫。そこまで聞いてないって……はぁ。ねぇ、深葬姫はどう思う?」
深葬姫『貴様が戦った提督とやらについてか? それともクズ共と戦ってた憲兵についてか?』
清霜「提督の方。あんな人間いる? 私達みたく海の上に立って……砲撃を耐えうる盾を持つ人間が」
深葬姫『我らの時代には居たかも知れぬが今の時代には存在するとは到底思えぬ。それに……』
清霜「それに?」
深葬姫『…………(それにあの人間から深海神棲姫と似た気配がした、などとは言えまい。言ったところで一々説明するのも癪だ。ここは適当な事実を言っておくか)』
清霜「黙ってどうしたのさ」
深葬姫『恐らく奴は大本営の秘密なのだろうな、と』
清霜「秘密? なんで?」
深葬姫『考えてみろ。海上を自由に歩ける人間が居て堪るか。向こうもそこの研究員と似たようなことをしたんじゃないかってな。そこな奴は実験材料の種類が多いが向こうは人間を使ったんじゃないか?』
清霜「そうだよね。あんな人間が居るはずないもんね」
深葬姫『そうだ。逆に考えろ、我らは弱みを握ったのだ。その弱みの使い方を間違わなければ
清霜「時雨ちゃん以外にも……!」
深葬姫『そうだ。最良な結果は泊地そのものも手に入れられるかもしれない、な。そうしたら艦娘を建造して、
清霜「そうすれば私達の姉妹も……」
深葬姫『いずれはな……その案をぶつぶつ言っとる男に提案しれやれ』
清霜「うん! そうする!」
研究員の元に近づいてく清霜を見た後に『はぁ』と溜息を吐く深葬姫。あることないこと言って誤魔化せて良かった。しかしあの男が大本営の秘密、か。馬鹿言え、あんなのが秘密なわけなかろうと。
深葬姫は芙二の姿を一目見て正真正銘の化け物と見抜いていた、が。それ以上にあの
(あの化け物からどうして裏切り者と同じ匂いが……? あれは別世界の生物だな。我らとは全くの別物。眷属でも何でもない……まぁいずれ対峙する時が来るだろうし、その時に分かればいいか)
そう考えたまま清霜の方へ行った。後にその案を行って自分達に
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翌朝、清霜は目が覚める。どうやら自分の部屋にいたようだ。起きてすぐに空腹だという事を感じた。何か食べる物がないかと思い、部屋の中を歩き回った時何かを足で蹴とばした。
それはこの灰暗い檻の中で蠢く
清霜「!」
食べものだと分かるとすぐさま、飛びついて噛み殺す勢いで噛みつく。蠢くそれは激痛により一層激しい動きをするが清霜の目には
それが食べられまいと抵抗をしているのだとしか思わなかった。だからこそ、仕留める為に思いきり噛みつく。それは『ひぎっ!』とか『ガァっ……モガァ!』と痛みに哭く。
そのまま清霜は噛み千切り、咀嚼した。生の状態の肉を咀嚼し、飲み込むととても美味しいといった感想を口にして再度噛みついたり食べやすいように引き千切る。
先ほどまで抵抗していた食べものは白目を剥き、口から血の泡を吐いて絶命していた。ときおり痙攣するが熱は冷めていずれ、死後硬直により硬くなるだろう。が、その前に清霜は食べ尽くすことはしない。美味しいところだけ食べて、後はモルモットに食べさせるのだ。
しかしモルモットはグルメなのか、ナマモノは食べない様だった。だからたまに来る職員にそのことをいい指示を煽り、行動した。
焼却炉と書かれたところの近くに置いておいたらいいと言われたので部屋を出てそこまで引っ張る。力なく垂れる上半身を掴みズルズルとそこまで持って行くのだ。血も内臓もぼとぼとと垂れるためあまりやってほしくないとその職員は言っていたが。
清霜「ついた」
目的地に着いたのか、下半身は既にないナニカをそこへ置く。立ち去ろうとしたら『お嬢さん! 落とし物だよ!』と声が掛かる。振り向くと顔にやけどの跡が目立つ二メートルほどの金髪で白衣の男が背骨剥き出しの下半身を片手で持ち上げていた。清霜は駆け寄っていった。
清霜「職員さん!」
職員「また来たのか? やっぱり肉はナマじゃダメだよな! いいぜ、受け取るから焼けるまで待ってな!」
そう言うと焼却炉の大きな蓋を開けるとその中へ上半身と下半身を投げ入れた。
蓋はしないのかごうごうと焼ける音が聞こえる。一時的焼き窯となった焼却炉は肉を満遍なく焼いて行く。五分もすれば、肉は焼けいい匂いが窯からした。
『完成か、そらよっと!』そういって男はかなり大きなフック棒を掴んで焼いた上半身と下半身を一つずつ引っ張り上げて大きめのカートの中に入れていく。
いい匂いがするので近づくとまだそれの表面はパチパチと音を立てていた。これならグルメな奴らも大喜びだろう、と思い手で口を覆った。
そして満面の笑みで『ありがとう』と言ってカートを引っ張って行こうとした時、職員の男に止められる。
職員「そのカートはお嬢さんにあげるよ! また焼きたくなったらここに来るといい。日中は必ずいるから!」
清霜は手を振って焼却炉を立ち去った。モルモットたちの餌付けをしようとしたが先に姉に挨拶をしようと思い、夕雲のいる部屋へ向かった。
清霜「夕雲姉さん! おはよう!」
夕雲がいるだろう部屋の前にて元気よく挨拶をする。挨拶をしてから何分後かに夕雲は出てきて清霜の方を見るも、途端おぞましい物を見たかのような表情をして部屋の中に入ってしまう。
清霜「夕雲姉さん? どうかしたの?」
急に部屋に入ってしまったので清霜は驚いて理由を聞こうとする。
夕雲は声を震わせて『今日は体調が良くないの。清霜さん、ごめんなさい』と言った。
清霜「そっか! じゃあ、また明日だね!」
ガラガラとカートを引きながら夕雲の部屋の前から去った。
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清霜が去った事が分かると夕雲は安堵の息を吐く。がしかしすぐに身体はブルブルと震えだした。
夕雲「なんてことを……守るべきものを……」
見てしまった。妹の隣にあるカートの中身を。あの中には人間だった何かが入っていた。
しかも
夕雲「あのおぞましい物体を美味しそう、だなんて……私もそろそろ限界、なの?」
部屋の中で震える夕雲。いっそ自害してしまおうか、とも考えるがそれは出来そうにないと思った。自身が死ぬと、さらに被害者を出すのではないかと思っていたからだ。
(この地獄はいつ終わるのでしょうか……誰か、私を)
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清霜はモルモットの元へ行くとそこにはガスマスクを着用し白衣を着た職員が数名いた。
朝の挨拶をすると何名かからは会釈を返された。一人からそのカートの中身のことを聞かれると満面の笑みで答えた。
答えを聞いた職員は頷き、先に言っていいと合図をした。清霜はそれに従って鼻歌を歌いながらガラガラと引いて中に入った。
清霜が中に入ったのを見計らって声を出して会話を始めた。
職員A『おい見たか? あの深海棲艦、焼いた人型の生物を持っていたぞ?』
職員B『見たさ、アレは人間か?』
職員C『いや深海棲艦か狗だろ』
職員D『狗……か。あり得そうだ』
職員E『まぁ私達はそのまま仕事をしていよう』
職員F『そうだな……やはり深海棲艦は人間を喰うのか。とても恐ろしいな』
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部屋の中はそれなりに広いが柵があり一つ一つと区切られている。清霜は自分が任せれている場所へ行くとなにやら人だかりができていた。近づいてみるとそこにはガスマスクをした男とル級が性交をしていた。
嫌がるル級に対してガスマスクをつけている男はかなり興奮しているようだった。
衣服を破き、無理矢理口を奪い、自身の一物を――……挿入した。屈辱なのかル級は泣いたまま動かなくなった。死んだわけではない、と思う。嗚咽が聞こえてくるから。
人の群れの中に入った清霜は傍観していた。自分にはどうすることも出来ないから。
自分が任された個体と職員が性交していてもなにも思わなかった。深葬姫は顔色を悪くしていたが。犯されてからずっと聞こえていた嗚咽もやがて嬌声に変わっていった。ル級は諦めたのか、職員がコツを掴んだのか。どんどん腰の振りが早くなると共にル級が何か言っていた。
清霜「……ネぇ」
異種姦が見られると沸き立つ職員が皆、興奮する場の中で蚊の鳴くような声で一言。
饐えた臭いや生臭い臭いが充満するなかもう一つ臭いが増えた。それは――……
バァン!! バァン!! バァン!!
『え?』興奮が最高潮に達した時、清霜は艤装を取り出し人の群れに向かって三発は放っていた。音の方を振り向くと無表情のまま砲を構えていた深海棲艦の姿が目に入った。性交をしていた者以外は……いや場そのものが静まりかえった、いや大混乱に陥った。方角を決めていなかったので誰かの腕が落ちたか、腹を抉られたのか。頭が吹き飛んだのか知らないがそれはとてもどうでもよかった。
今から行うのは殺戮ではない。掃除なのだ。錯乱した職員は逃げ惑う。部屋の出口へ向かうも清霜がそれを許さない。彼女は無表情のまま男の頭部を掴み、握りつぶした。それを見て悲鳴を上げても遅い。次々に握りつぶし、鋭い爪で腹を裂き内臓をぶちまけるなどその場にいた人間を殺して回った。それも無表情のまま。傍から見ていた、深葬姫はどうしてそこまで怒っているのか、分からなかった。
深葬姫『おい……貴様』
清霜「……黙ってて。そのまま動かないで」
言われた深葬姫は動かずにいようとしたが、どうやら違う様だった。清霜は性交し始めた男の左肩を吹き飛ばした。
ガスマスクの職員「あぎっ!? がぁぁぁあああ!!」
清霜「……確か、男ってここをこうすればいいんだよね?」
痛みに叫ぶ職員を無視し、股間へ目線を向ける。そしてそのまま思いきり踏みつぶした。
ガスマスクの職員「っ!!!!!!!!」
急所を潰され、ショック死する寸前。清霜の艤装は男の頭部を貫いた。そのまま倒れ伏す職員。ル級はまだ絶頂の余韻に浸っていたようで現実には戻ってきていない様だった。
清霜は血と硝煙の匂い立ち込める場所にてカートの中身を取り出し、ル級の目の前で食べ始める。肉の匂いに気がついたのか、ル級は清霜にくれと合図を送る。清霜は焼かれた下半身を差し出し、与えていた。そんななか入口にいた職員が入ってきて絶叫する。
そりゃそうだ。辺りは人間の死体だらけなんだから。理由を聞かれたが食事中だったためそこにあるカメラから見ていたモノに聞けと言った。死体の処理を任されたため、自分が食べていた残りをル級に与えて、飛び散った内臓や手足をカートの中へ雑に入れた。
この部屋内にいた人間は全員殺したのでかなりの量となってしまった。また焼却炉へ行かなければならなくなったのでル級へここに残るように言った。が、拒否され自分もついてくると言った。清霜は今食べてる分はどうするのか、と聞いたところ指を差した。
そっちを向くと暴れ過ぎたのか、柵が壊され他の人間の管轄のモルモットがこちらの肉を見ていた。だから上げた。焼いた食べかけも、捕れたて新鮮な生肉も。そのおかげもありカート一個分で済んだので、さきほどの男に頼みに行こうと思い部屋を後にした。
着いてきたル級の股の辺りを見ると白く黄ばんだ液体が垂れていたが清霜は大して気にせず焼却炉へカートを引っ張った。
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焼却炉へ着くとさきほどの職員が対応してくれた。清霜は笑みを浮かべながらカートの中身を渡した。顔に火傷跡がある金髪の職員はガスマスクをつけた職員とは正反対の表情をする。ニカっと笑って言った。
職員「ほぉ。さっきの音はお嬢ちゃんがやったのかっ! はははっ!! こりゃいい! これくらいあったらお嬢ちゃんと……おや? なんでそっちの嬢ちゃんは服を着てないんだ?ワケありだな? まぁなんかあったのかは聞かないでやるよ。ほれ、俺の白衣でよけりゃくれてやるよ」
そういって自身の白衣を抜いでル級に着せた。ル級はそうされると思っていないらしくきょとんとした顔をしていた。白衣の中は紺色のTシャツを着ていたようでそのままカートの中身を雑につかんで炉の中へ入れた。肉が焼けるまで待ってる間、清霜、ル級、職員は椅子に腰かけていた。暇になったので目の前の職員へ名前を聞いた。
清霜「ねぇ、職員さんはなんていうの?」
職員「あ? 名前か? お嬢ちゃん、そういう時は自分から名乗るのが言ってもんだぜ?」
清霜「わたしは清霜。職員さんの名前は?」
職員「そっか、清霜か。深海棲艦にも名前があんのか、それはいいな。という事はそこのお嬢ちゃんにも名前があるのか?」
清霜「そうね。だけど、わたしは元々艦娘なの。そこのモルモットはル級っていうのよ」
職員「おっと。そうだったか、それは失礼。清霜のお嬢ちゃんとル級のお嬢ちゃんに改めて自己紹介をしなくちゃあな。俺はレベリタっていう者だ。こんな名前でこんな見た目だが一応日本人だよ」
清霜「レベリタ……? それが名前なの?」
ル級「……レ、べリ、ア?」
レベリタ「そう。それが俺の名前。ル級のお嬢ちゃんはアレか失語症みたいなもんか? そうやって俺の名前を覚えようとしてくれてるのを見るとなんだか愛着が湧くってな!」
清霜「なにそれ?」
レベリタ「まぁそういう病気みたいなもんさ。清霜のお嬢ちゃん、ル級に優しくしてやってくれな」
清霜「……それなりには、するよ」
レベリタ「そっか。まぁその調子なら大丈夫だろ。もうそろそろ肉が焼けるぞ。カートをもう一つ貸してやるから謝肉祭でも行っときな」
清霜「謝肉祭……?」
レベリタ「肉に感謝する祭りみてぇなモンだ。今日犠牲になった人間に感謝しながら、喰らうんだぜ」
清霜「分かった。そうする。行くよ、ル級」
肉も焼き上がり、カートを一つ追加してもらった清霜はル級を連れてカートを二つ押してさっきの部屋へ戻りレベリタが言っていた『謝肉祭』を行うのだった。
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レベリタに謝肉祭を勧めれた日から三日後深葬姫の力も本人が驚くほど早い段階で引き出せていた。そこから10日ほどの時間が経つ。清霜は相変わらずル級と仲良くしていた。
深海棲艦とそれを超える化け物の力を手に入れた清霜に敵などほとんどいない。ル級だけではなく、ヲ級やリ級、ツ級などとも仲良くなっていった。今なら連合艦隊を組めるほどに戦力も集まり、募ってきた。
そして明日、第一作戦は行われる。まずは怪物を檻へ。二日ほど閉じ込めて。
明後日には本命の……第二作戦に入る。エサに食いついたら仕留めるのが、正解でしょ?
清霜「ねェ、深葬姫。明後日が楽しみでならない。時雨ちゃんだけじゃなくて――ほかの艦娘も奪えるのだから」
深葬姫『そうだな。貴様が私の力を使う――……初陣なのだからな。せめていいモノを見せろ、な?』
■■を始める準備は整った。計画が狂わないことを祈るばかりだ。
―続く
新キャラクター
レベリタ(年齢不詳)
金髪黒目のハンサム。身長は研究所内職員の中でもっとも高い200センチ
性格は明るく、タメ口でも気にしないタチなので話しかけやすい。
なんで
グロテスクやエロティックに関心が無いのか全く気にしない素振りを見せる。
好物は肉。生肉よりも焼いた肉。
話は一歩ずつ前進。