中二病の魔法使い   作:休も

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いったんシリアスは終わり


後日譚のような何か

生徒たちがいなくなり大広間に残っているのはダンブルドアとルークス、そしてフリントだけだった。他のものはダンブルドアが出ていかせた。

 

「さて、話してもらうよ。フリント。何で同じ寮の人間に薬を持ってまで俺に危害を加えようとしたのかを」

 

「るか…れるか…るか」

 

「ん?」

 

「認められるか!!!!穢れた血が僕より優秀だと?ありえない。ありえない。ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない!!!!!!!!」

 

それはあまりにも異常な光景だった。ひたすら呪詛を吐き続けるフリントの目は焦点があっていない。なのに狂ったように呪詛を吐いている。

思い返せば、違和感を抱くシーンはいくつもあった。何よりもルークスが違和感を抱いているのは開心術を掛けた際に感じているノイズだった。彼が全力で覗こうとしても心の表層しか覗くことができなかった。そんなことはルークスにとっては初めてだった。否、一度だけ体験したことがあった。グリンデルバルトに初めて開心術を掛けた時だ。しかし、あの時はこのようなノイズがあったわけではない。

 

ホラー映画のワンシーンの様に顔掻きむしり、叫び声をあげる彼は誰がどう見ても異常だった。ルークスは、思考の停止を余儀なくされる。フリントが杖を出したからだ。

 

「エクスペリアームズ!!!!」

 

ルークスは武装解除呪文を放つ。次の瞬間にはフリントの杖が弾き飛ばされる。しかし、フリントは止まらなかった。

 

「ワンドレス・マジック!?」

 

ルークスの杖腕がまるで何かに掴まれているかのように動かないくなる。

 

それはルークスが習得に苦戦し、現在も習得しきれていない技能だった。

杖無し魔法は無言呪文よりも更に難易度が高く、多くの魔法使いには不可能である。炎と同様に魔法は猛り、混沌しており、揮発性がある。故に魔法使いはそれを繋ぐために杖を使い、それをコントロールする最大の技術が求められる。

 

そんな説明をルークスはされた記憶がある。初めてワンドレスマジックの練習をしたルークスは「杖無し魔法」は、地震の最中に自転車を両手をハンドルから離して運転するようなものだと感じた。

 

そんな高等技能をこの男が使えるのか?

 

「お前、誰だ?」

 

ルークスはようやく違和感の正体に触れた。そう、誰かの思考がフリントの思考と混ざっているからノイズがあるのだとルークスは推測した。

 

「………」

 

もはやフリントはしゃべらない。しかし、フリントはなくしたはずの杖を握りしめていた。

 

「なッ!?」

 

「アバダケ―――」

 

「エクスペリアームズ」

 

フリントの体は今まで見たことがないほど吹き飛んでいった。ルークスの視線の先、そこにいたのはダンブルドアだった。

 

「やはり、強力な呪いが彼を支配しているようじゃな」

 

「…もう少し早く助けてくれてもよくないですか?もしかして囮に使うために僕を残したんですか?」

 

「…こうなる可能性は考えておった」

 

「…そうですか。いつからですか?」

 

「君がアイリスと共に襲われた時からじゃ。彼の様子もまた異常じゃった。セブルスも同じ意見を持っておった」

 

ルークスは怒りよりも納得が先に来ていた。スネイプが何故自分の頼みごとをあっさりと引き受けてくれたのか、疑問に思っていないわけではなかったからだ。

 

「原因はわかりますか?」

 

「今のところは何とも言えぬの…じゃが一つ言えることはとても邪悪な存在が関わっておることじゃな………さて、寮に戻りなさい。あまり夜更かしをすると身長が伸びなくなってしまうぞい」

 

茶化し始めたダンブルドアを見て諦めたようにため息をついた。

 

「おやすみなさい。先生」

 

「ああ、、良い夜を。ルークス」

 

 

 

 

 

 

次の日に今回の件に関する処罰が言い渡された。グリッドは謹慎、フリントは長期間の謹慎処分を言い渡された。結果、スリザリンは-100点の減点をされた。ハッフルパフは、ルークスの劣勢をひっくり返す機知と勇気を称えられ100点の加点を受け、他の寮は嘘の証言をしたことと勇気をもって証言を訂正したことで-20点の減点と40点の加点を受けた。トンクスの受けた分と合わせると150点分の加点。

 

この結果によってルークスの評判はうなぎのぼりになった。優秀だが、問題行動やスリザリンとのもめ事を抱えていたせいで評価が分かれていたが、昨晩の立ち回りと寮への莫大な貢献によって確固たる地位を確立したと言えた。

 

少なくとも表立ってルークスを非難する者はいなくなった。

 

「ガリバー・マクミラン。僕は君に謝罪しないといけない。あの夜、君のことを疑って悪かった」

 

朝談話室で頭を下げるルークスは注目を浴びていた。

 

「い、いや、いいって!頭を上げてくれよ!別に、君の立場なら誰でも周りを疑いたくなるって!そりゃ………詰め寄られたのは驚いたけど俺も君のことを疑ってたしお互い様さ」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。ディゴリーも悪かったね。あまりも乱暴だった」

 

「いや僕こそ、悪かった。言い過ぎたし、君の気持も考えるべきだったよ」

 

ルークスの謝罪を受け入れる二人をみてハッフルパフの生徒たちは一息ついた。正直、ルークスの貢献は大きく彼を認める上級生はかなり多いが、よくない感情を抱くものも少なからずいる。それは、嫉妬だったり恐怖だったり様々だ。しかし、一番多いのは畏敬だった。特に1年生たちは同年代とは思えないほどの才能を見せつけるルークスに恐怖と憧れをない混ぜた様な感情を向けていた。

 

そして彼らに共通する感情がルークスの行動の読めなさ具合に対する警戒心だった。

 

「それから僕のことはディゴリーじゃなくてセドリックと呼んでくれ」

 

そう言って手を差し出すセドリックにルークスは自身の手を差し出した。正直、アイリスの次ぐらいに自分に負の感情を向けない彼を見て、ルークスは戸惑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単に朝食を済ませたルークスは医務室へ向かった。窓から見える外の天気は昨日の雪がウソのような晴れ模様だった。医務室の扉には鍵がかかっていないようだった。

 

医務室の中は朝日が差し込んできており柔らかい光は室内にいる者を包んでいるかのようだ。マダム・ポンフリーはどこかに行っていて、少なくとも姿は見えなかった。

 

「アイリス、起きてるか?」

 

「ルークスですか?ええ、起きてますよ」

 

カーテンを開くと、パジャマ姿のアイリスがベッドの上に座っていた。ルークスは、いつもはローブ姿しか見る機会がなかったので新鮮だと感じていた。

 

じっと自分を見つめるルークスに気が付いたのか、アイリスはいたずらっぽく笑った。

 

「私が絶世の美少女であることは世界の真理かもですけど、そんなに見惚れるのは少し恥ずかしいですね~」

 

「その程度で羞恥を感じるような人間ではないだろ…」

 

呆れたようにため息をつくルークスは変わらぬアイリスを見て安心した。

 

「一応、終わったぞ」

 

「聞いてます。シアから大体のことは聞きました」

 

「そうか」

 

「………」

 

「………」

 

沈黙が二人を包む。二人とも何から話せばいいのかわからなくなっていた。

 

「あの———「ありがとう」」

 

アイリスは完全に混乱した顔だった。

 

「ありがとう」

 

ルークスが改めて、アイリスの眼を真っすぐ見ながらそう言うと、アイリスは一瞬、視線を下げた後、ルークスを見つめ直した。

 

「なんで」

 

ルークスはアイリスの喋らせる気がなかった。

 

「お礼を言ってなかったからな。手伝ってもらえなかったら、たぶん勝てなかったから。それに、スリザリンの攻撃に対応できなかったのは俺のミスだ、………だから別に罪悪感なんか抱かなくていい。俺はアイリスに感謝しか抱いていないし、罪悪感なんか向けられたくない」

 

ルークスの偽らざる本心だった。さらにまくしたてる。

 

「それに!あの時、俺に痛い感情を向けずに向き合って助けるって言ってくれたことは、すごくうれしかった。だから、やっぱりお前が謝る必要なんかない」

 

ルークスはアイリスにそれを抱いてほしくなかったし向けてほしくなかった。他大勢にはうんざりするほど向けられたその感情を、アイリスにだけは向けられたくなかったのだ。

 

アイリスは目を丸くし、ルークスの顔を凝視した。ルークスにはアイリスがわずかにだが怖がっているように見えた。

 

「でも、私は———」

 

「うるさい。俺がいいっていったからいいんだ」

 

ルークスがそういうとアイリスはさらに目を見開き、そして笑った。

 

「ではそういうことにしてもらいましょう!私は悪くない!むしろ私を守ってくれなかった騎士が悪いと!」

 

「俺はグリフィンドールじゃないからな。騎士役を求めるのは勘弁してくれ」

 

「何言ってるんですか?こーんな美少女の騎士をやれるなんて光栄でしょう?」

 

「フッ」

 

「鼻で笑いましたね!?」

 

こうしてホグワーツを騒がせた事件は収拾がつき、クリスマスが到来しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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