「んー…」
俺は悩んでいた。
『俺でよければ力になりますよ』
ドヤ顔かましてそう言ったまではよかったのだが…
星川優、清々しいまでのノープランである。
「どうすっかなー…」
カッコいいってのを具体的に説明だろ?
そんな宇田川をふと夢想してみるが…
「なんかやだな…」
推しだった清廉潔白を謳うアイドルが実はタバコ吸ってましたみたいな。
そんなのはあいつじゃないよなぁ。
無理にアイデンティティーをぶっ壊す必要もないのではないか?という疑念に駆られる。
いや、でも…あいつも殻をやぶろうとしてることだし、ここはやっぱ協力するべきか…
それとなくあいつから聞き出して助言するってのが一番なのかな。
間違っても、お前の姉ちゃんから相談受けてよーなんてことは口が裂けても言わないが。
「どうしたの?ぶつぶつ言って…」
「おっ!お二人さん…いいとこに来た。」
戸山に朝日…この二人は宇田川と結構仲良いからな。
建設的な意見が聞けるかもしれん。
幸い宇田川もまだ来てないことだし。
「いやさ、実は昨日宇田川の姉ちゃん…
巴先輩って人から相談を受けてな」
「巴先輩?」
「aftergrowさんの人やね。」
「あふたーぐろう?…もしかして、バンド組んでる系?」
「うん、aftergrowさんってバンドの
あこちゃんと同じドラム担当の人なんよ。」
じゃあ、姉妹揃ってドラマーなんか。
ていうかバンド名超かっけぇなおい。
そんなネーミングセンスがほしかったものだ。
と、話が逸れたな。
「あいつ、自分の思うカッコいいってのを詳しく説明できるようにーって試行錯誤してるらしいのよ。」
「そういえばあこ、この前そんなこと言ってたような…」
「そのカッコいいって中には巴先輩も含まれてるらしくて…自分は協力できないけど何とかしてやりたい…そこで俺に相談したらしいのよ。」
「それで、優は引き受けたんだ?」
「まーな。これでも一応男だしな。だから、巴先輩も俺に相談したんだと思うし。」
「なるほど、だから唸ってたんだ。」
「え?俺そんなんなってた?」
「うん。あーとか、んーとか言ってたよ。」
「それは忘れて。」
だって難しいんだもん。
「あ、ちなみにこのこと宇田川には内緒な。」
「わかってる。」
「でさーなんか良き案ないかなぁ…」
「うーん…難しいね。」
「あこちゃん、この前はRoseliaのカッコよさを伝えれるようにって言ってたよね?」
「そうだね。」
「となると、カギになるのはRoseliaか…。」
うーん、困った。
非常に困った。
俺、Roseliaのこと何も知らねー。
「おはよー!」
そんな中来てしまった物語の主人公。
宇田川あこ。
こいつの執筆した小説読んでみたいわ。
擬音祭りになること必至である。
ドーン!とかバーン!とか
「…宇田川、最近いつものアレやらんなぁ。」
「え?アレって?」
「…ふっふっふ、皆の者!待たせたな!
闇より顕れし大魔姫あこさんじょー!
ドーン!
…みたいなヤツ。」
刹那、教室の音という音が消え、俺の声だけが虚しく響く。
数名の女子が大丈夫?保健室行く?みたいな顔してたのは納得がいかん。
なんで示しあわせたかのように黙るねん
お前ら。
そんで、宇田川には寛容なくせに俺には
理不尽なんだなお前ら。
「あこね、カッコいいっていうのをもっともっと色んな人に知ってもらうにはどうしたらいいかなーって考えてる最中なんだ!」
「そ、そうか。」
誰か、誰か俺のメンタルケアを早急に!
ちなみに戸山達は察してくれたのか、席をはずしてくれた。
「それでね、あすかやろっか達をびっくりさせてあげるんだ!」
「うんうん。」
「モカちんにも協力してもらってるんだけど、中々うまくいかないんだー。」
「モカちん?」
「うん!おねーちゃんと同じクラスの人。」
そうか、幼馴染にも協力してもらってるって言ってたっけ。
「もしかして、aftergrowってバンドの人か?」
「うん!そーだよ!優、おねーちゃん達のこと知ってたの?」
「ま、まぁ噂くらいはな。」
モカちんって人ともコンタクトを取る必要があるか…。
「…俺も協力してやろうか?男子の意見も取り入れる価値はあると思うぞ。」
「ホント!?ありがとー優!」
手を握るな手を。男子なんだからな一応!
「題して、超カッコいい追求大作戦ってとこか。」