奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

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大饗宴という名の公開処刑

 

月曜日の昼休み。

 

学園の曰く付きの井戸がある場所。

 

そこが饗宴(?)の場となった。

 

 

 

「おーい、みんな来たっぽいぞー。」

 

戸山に朝日に巴先輩、モカちゃん先輩。

 

…と、あと一人知らない人がいる。

誰だろ?

 

黒髪の一部に赤いメッシュを入れた

女子生徒。

 

ぶっちゃけるとめっちゃ怖い。

 

あの人もAftergrowの人…だよな?

 

「ふっふっふ…」

 

「えー皆さん、お時間のない中お集まり

頂き誠に感謝です。」

 

「もー!言わせてってばー!」

 

ばかたれ。打ち合わせしただろうが。

 

変なアドリブ入れずにその通りにやらんかい。

 

時間ねーんだってばよ。

 

「モカ、あの人は?」

 

「あこちんのクラスメイトの優ちん。」

 

「へぇ…男子なんていたんだ。」

 

ですよねー。すみません。

異物が紛れ込んじゃいまして…。

 

「大丈夫。優ちんは健全な

男の子だよ~。」

 

モカちゃん先輩、言い方。

 

どちらとも取れるからねその発言。

 

誤解だからね?名も知らぬ赤メッシュ

先輩。

 

まぁいい…気を取り直していくか。

 

「…えーと、あぁ?」

 

宇田川が作成した(恐らくりんりんという人も協力したと思われる)台本に目を落とすが、内容を見て思わず固まる。

 

俺の役目はこの台本を読み上げること。

 

なのだが…しかし、これは…

 

これを俺に読めというのか?

 

縋るように目配せするも返ってきたのは清々しいまでのドヤ顔であった。

 

おのれ…覚えていろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「万古不易の闇より命ずるは共鳴――

我が叫―こえ―に共鳴せし、青薔薇の誇りを持つ者達よ――今ここにその姿を顕さん!

 

…友希那さんのカッコいい呪文でRoseliaの皆がババーン!とさんじょー!」

 

 

 

「仮初めの衣を脱ぎ、真なる姿を!

 

えーっと…さ、紗夜さん?リサ姉、りんりん、そして大魔姫あこが雷と共にドーンと出てくる!」

 

 

 

 

 

 

 

ごめん…やっぱりもう帰っていい?

 

メンタルに計り知れないダメージを負いそうなので…ていうかもう負ってる。

 

赤メッシュ先輩なんかはもうドン引きしてるもん。

 

ついでに言うと戸山と朝日もドン引きしてる。

 

そういう目で見られてもゾクゾクしないからね?

 

追い討ちにしかならないからな?

 

 

 

 

なんてこった…大饗宴とは名ばかりの公開処刑じゃねぇか。

 

頼まれたって二度とやらんぞ畜生。

 

その後もメンタルにダメージを負いつつも

俺は廚二病全開な台詞を効果音を交えつつ

精一杯朗読した。

 

詳細は割愛する。

 

俺のメンタル面を考慮して。

 

 

 

 

 

「はぁ…むっちゃ疲れた。」

 

「…でね、紗夜さんのギターがジャーン!ってなって…あこの中の闇の力が覚醒してドーン!ってなってね…それからあこのドラムがドコドコドコドコダーン!って感じで締めるの!」

 

「あー…盛り上がってるとこ悪いけど

ちょっといいか?」

 

「なになに?」

 

「ツッコミ不可避。カオスすぎるわ。」

 

他でもない俺が置いてきぼりをくらってる。

 

「えー!」

 

「お前なぁ、結局ドーン!とかダーン!

とか擬音ばっかりじゃねぇか…Roseliaの

カッコよさを具体的に表現したかったんだろ?」

 

「うん!だからあこね!あこのカッコいいを形にするにはRoseliaのライブのカッコよさを伝えるのが一番かなーって思ったんだ!」

 

いや、だからな…それじゃいつも通りだよって話をしとるわけで…こう、何て言うのかな?くそ、もどかしい…。

 

「皆さんはどうでした?Roseliaのカッコよさ、伝わりました?」

 

「何か…闇の力がヤバいことだけはわかった。」

 

わかったのかよ!?赤メッシュ先輩…

あんた何者?

 

「あこちんワールド全開だったね~。

優ちんも気合い入ってたし~。」

 

そこは触れないでくれ…。

 

「でさ、結局あこの言うカッコいいって何?闇の…力?」

 

だよな?そうなるよな戸山?

ナイスツッコミ!

 

「えーっ!?それを今説明したのにー!」

 

うん、だからできてなかったんだよ…残念ながら。

 

「でも、Roseliaのカッコよさは何となく

伝わったかな…。」

 

そう言いながらもフォローは入れる。

そういうとこしっかりしてんね戸山は。

 

確かにな…何となく…本当に朧気だけど、

カッコよさみたいなのは伝わったっちゃ

伝わったかな。

 

Roseliaのライブは観たことないけど。

 

「ん?…っていうかRoseliaのライブを観たことないのって…もしかして俺だけ?」

 

「そうだったの~?優ちん。」

 

「まぁ、お恥ずかしながら…」

 

「アタシ達は一緒にライブしたこともあるぜ。」

 

「そうだったんですか…」

 

何だよ…あんだけ息巻いといて俺だけがあまりピンとこないってオチかよ…なんじゃそりゃ。

 

「優も今度ライブやる時は観に来てよ!」

 

「あーわかった…結局、この目で直接観ないことにはわからないってことね。」

 

「そういうこと~。」

 

「モカちん!おねーちゃん!蘭ちゃんも

聞いてくれてありがとね!」

 

赤メッシュ先輩、蘭ちゃんっていうのね…

 

「優もありがと!」

 

「いや、俺は別に…」

 

黒歴史増やしただけやぞ。

 

「みんな!次の時間移動教室!」

 

あ、そうだっけ?やべ。

 

「次の科目の先生、遅れると怖いよ!」

 

しゃーない走るか。

 

カッコいいに真摯に向き合うお前はほんのちょっとだけカッコよかったかな。

 

口には絶対出さないけど…。

 

願わくばそのままのお前でいてくれ。

 




こんな小説にも評価を頂きました。
ありがとうございます。
書けるとこまでは書こうと思っていますので今後とも評価、感想共にお待ちしております。
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