思った以上に難しいですね。
「ちょっといい?」
頭上から声が聞こえる。
その声で意識が覚醒する。
まったく誰だ?
俺の睡眠を妨害しやがって。
ん?待てよ?
俺の睡眠を妨げる存在っていったら
かーちゃんぐらいなもんなんだが…
明らかに他人の声だ…ホントに誰だ?
この感触…机かこれ。
「あれ…ここ、どこ?」
「学校の教室だよ。」
…そうだった。入学式だったっけ今日。
ていうかこの子、さっきおたんちん娘(仮)
のプリント拾ってあげてた優しい
女子生徒じゃん。
俺に何か用かね?
「これ、プリント。渡したいんだけど。」
「あー…悪い悪い。おもいっきり爆睡してたわ。」
「登校初日だよ?」
そう言われましても…この状況でどう
モチベをあげろというんだ。
…そうだ。
ちょうどいい機会だし、この子に聞いてみっか。
「ちょいと聞いてもいい?」
「何?」
「見た感じ女子生徒ばっかりなんだけど…男子生徒っていないんかな?」
いるよな?
いるに決まってるよな?(迫真)
「んー…羽丘は去年まで女子高だったみたいだし…いない…かも?」
「まじすか…」
聞きたくなかった衝撃の事実。
「はぁー…女子高だったんかよ、ここ。」
今日一のため息出たわ。
それにしたって男子生徒のもう一人や二人くらいはいてもいいだろうに…どんな奇跡よこれ。
「知らなかったの?」
この女子生徒も半ば呆れ顔である。
「だってさー俺こっちに越してきたばっかりだし…家から近いってだけでテキトーに受験したのよ。」
「適当に受験して受かるとこでもないんだけどね…」
「え、そうなん?」
「うん。羽丘は進学校だから。」
「えぇ…」
聞きたくなかった衝撃の事実その2
「知らなかったんだ…」
うん、知らなかったんだ…。
無知は罪ってのは本当だな。
「今みたいに寝てたら授業についていけなくなっちゃうよ?」
え、この子俺の心配してくれてんの?
さっきはプリント拾ってあげてたし…
ひょっとしていい子?
「だいじょーぶ。俺やればできる子。」
「…自分で言っちゃう?」
「言っちゃう。」
だって俺だもん(謎の自信)
「…ふふっ。名前、聞いてもいい?」
「あぁ…えっと、田中 一郎です。」
「…絶対嘘でしょ?」
うっそ、何でバレたん?
仕方ない、真面目に自己紹介すっか。
「星川 優ってんだ。よろー。」
「私、戸山 明日香。よろしくね。」
誰とも関わる気はなかったんだけどなぁ…
なんかいい感じに談笑みたいなのしちまったよ。
それを悪くないとも感じてしまった。
いかんいかん。
人間関係なんて煩わしいだけなんだ。
これからは会話も最低限にしよう。
…それでいいんだよ。学園生活なんて。
程なくして先生がやってきた。
自己紹介という名のくそイベを消化した後
HRをやって家路についた。
「っだいまー。」
「おかえり。」
「疲れたわー。」
「疲れたって…今日は授業もなかったんでしょ?」
「まーそうなんだけどさ…」
色々と…ね。
「そうそう、優の写真たくさん撮っておいたから!」
「別に撮らんくてもいいって言うたやん…」
「で、学校は楽しめそう?」
「それがさ、男子生徒が俺だけっぽいんだよね…」
「良かったじゃない。」
かーちゃんよ…何故そうなる。
「しかも進学校なんだってさ。勉強もきついんだろうなぁ…憂鬱だよもう。」
さっきは強がったがやっぱりきちーわ。
「頑張りなよ!」
「へーへー…」
さてと、こういう時はひと昼寝でもしますかね。
「そういえば優、話は変わるんだけど」
「何?」
「あーちゃん…元気にしてるかねぇ」
「あー…」
…懐かしいな。
引っ越してきたとはいったが
俺はもともとはこっちに住んでいたのだ。
あーちゃんとはその時に遊んでいた子である。
唯一俺が気を許していた仲でもあった。
「今何してんだろ…元気にしてっかなー」
「会いにいってみれば?」
「いや…いーよ。」
何話していいかもわからんし、直前まで引っ越すの言わなかったこと怒ってるだろうし。
わんわん泣いてたなー。あの時は。
まぁ、今はまだいいか。
落ち着いたら会いにいってみよう。
いつになるかはわからんが…いずれな。