奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

3 / 68
生徒会長襲来

 

 

入学式も終わり、今日から本格的な授業が始まる。

 

いざ始まってみると予想通りというべきか

進学校というだけあって授業中に居眠りや私語をしている生徒はいなかった。

 

真面目ちゃんかお前ら…って俺が異質なだけか。

 

俺はというと、さすがにそんな中で眠りにつくわけにもいかず、とりあえずノートだけはとっているという次第である。

 

「はぁーっ…」

 

疲れたわー。

 

1時間近く授業受けて休息時間が10分とかおふざけにもほどがあるやろ。

等価交換とやらの法則に則ってその分休ませろ。

 

「どうしたの?ため息ついて」

 

「あぁ…えっと…」

 

なんだっけ、名前忘れちった。

 

「もう忘れたの?自己紹介したじゃん…

戸山 明日香。」

 

「あぁ、そうそう!戸山な。」

 

唯一俺に話しかけてくれる良くできたしっかりしてそうな子。

 

「戸山はさー…やっぱ進学校だからここ

受けたわけ?」

 

「うん。良い大学行っときたくて…」

 

ちゃんと考えてんだな。偉いわこの子。

 

「しっかりしてんなー…」

 

「そうかな?」

 

「だって俺らまだ入学したての高校一年よ?卒業後の進路考えてるやつなんてそうそういねーって…」

 

「そうやって過ごしてたらあっという間に3年過ぎちゃうよ?」

 

うん、ごもっともですな。

 

っていっても将来のこととか言われても

ピンとこないしなー。

 

何してんだろ…未来の俺って。

 

 

 

 

「やっと終わったー」

 

帰り支度を済ませ、教室を出る。

なんだかザワついているが俺には関係ないことだろう。

 

「あっ!」

 

…あの人、確か生徒会長の…氷川日菜だっけ?

 

…一瞬目があったんだが。

 

…ていうか、俺のほう見て

あっ!って言わなかったか?

 

…そんなわけないか。ないよな?

 

「ねぇ!君!」

 

話しかけられてる気がするけど気のせいだろう。

 

そうだ、きっとそうだ。

 

「ねぇってば!」

 

よく考えたら生徒会長が俺なんかに話しかけるわけないしな…

 

「うぇっ!?」

 

変な声出た。だって急に腕掴むんだもんこの人。

 

「ちょっといいかな?」

 

「え、えと…用事があるのでえぇぇぇっ!?」

 

返事をする間もなく腕を引っ張られ生徒会長は走り出した。

 

「すぐ終わるよ!お話聞くだけだから!」

 

すぐ終わらんやつだろそれ絶対!

 

強制イベントかよ!

 

…それにしても人間って人一人引っ張ったままこんな速く走れるものなんだなー

…人間ってなんだっけ?

 

 

 

 

 

結局俺は生徒会長室に連行されてしまった。

 

「よかったらどうぞ。」

 

「あ、ども。」

 

副会長的な人がお茶を出してくれた。

 

あーうめぇ。

 

直感でわかるわ。この人絶対いい人。

 

「あ、あのー…それでご用件は?」

 

「んー…男の子の生徒って珍しいから…つい♪」

 

つい♪じゃねぇわ。

 

感覚派の究極形かよこの人。

 

参ったな。お茶出された手前、帰っていいですか?なんて言えないしな…

 

「えーと、氷川…先輩」

 

「日菜ちゃんでいいよー!」

 

いや、ダメだろ。

 

「お名前聞いてもいいかな?」

 

「あ、鈴木です。」

 

「うっそだー!星川 優君でしょ?」

 

バレとんのかい…じゃあ何で聞いたし。

 

「優君、学校はどう?楽しい?」

 

「や、入学したばっかですし…まだなんとも…」

 

「そっかー、何かあったらこの日菜ちゃんに遠慮なく相談してね!」

 

絶対嫌やわ。

 

「つぐちゃんも!相談にのってあげてね!」

 

「は、はい!」

 

うん…やっぱこの人はいい人だわ(確信)

 

この人に相談しよう。絶対。

 

「そういえば…男子生徒って俺しかいないんですかね?」

 

「うん!優君一人だよ!」

 

すごい良い笑顔で言いきりよったよ。

 

俺の最後の希望を打ち砕きやがったよ。

 

良い笑顔で。

 

…黙っていれば間違いなくかわいいのにねぇ。

 

そうか…仕方ない、腹括るか。

 

「氷川先輩…」

 

「なーに?」

 

「せいぜい頑張りますよ…先輩の言うような…るんってするような学園生活、送れるようにね」

 

「うん!頑張ってね!優君!」

 

って、んなわけあるかい。俺は平和に過ごしたいんだっつーの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なになに、呼び出し?」

 

「星川何やったの?」

 

「会長と話したんでしょ?いいなー」

 

こいつら、クラスの連中か。

 

馴れ馴れしい野次馬め。

 

「別に、男子の生徒は珍しいからって色々話聞かれただけだよ。」

 

「そうなんだー」

 

「でも実際、男子いるなんて思わなかったしねー」

 

そうなのか。

 

「やっぱ、その…浮いてるよな…俺。」

 

「え、気にしてんの?」

 

「かわいいー!」

 

「星川って面白いんだね!」

 

かわいい言うなおもろい言うな。

 

「別に気にしてねーし!ほら、散った散った!」

 

「えー!」

 

冗談じゃない。

 

何勝手に人を面白いやつ認定してるんだ。

 

俺は一人で生きていくんだ。

 

腹を括ったってのはそういうことだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。