「………」
さぁ、どうだ!?
全身全霊…今俺ができる最高の演奏をしたつもりだ。これでダメだったら…もうしょうがないな。
「どうだった?俺の演奏は。」
「………」
あ、あれ?
ちょっと?無言が一番怖いんですけど。
チュチュ様?
何か言って?
「…クは?」
「ん?」
「…ブランクがあるって言ってたわよね?どのくらい?」
「んー、一年くらい…かな。」
「一年!?それほどの演奏
「え、いや受験とか…その…色々とあってですね…」
なんか、ご立腹?何でだ?
てか、それほどの演奏力って…
「えーっと…?」
「…合格よ。」
…合格。
「ユウ・ホシカワ。貴方のRAS入りを許可するわ!」
マジ?合格!?
「はぁ…合格か…良かった。」
「ブランクを感じさせないSweetな演奏だったわ!」
Sweet?とりあえず、褒めてくれてるってことで解釈していいのかな?
「お前…なかなかやるな。」
マスキングことますきさんからもお褒めの言葉がかかる。
「すごいです!マッスーさんが褒めるだなんて
花さん以来ですよ?」
どうもね、パレオちゃん。
…でもまだまだなんだ。
改良の余地はまだある。
これで満足なんかしちゃいられない。
…そうだろ?チュチュ様よ。
「やっぱりすごい。昔のまま…ううん、昔以上に力強い演奏だったよ。」
「いやぁ、まだまだですよ…レイさん。」
「ユウ…今日から貴方はRASのユウよ!」
「まんまやんか。」
「Shut up!」
「RAISE A SUILENの意味は
簾って…あれか?
なんか、部屋の入り口とかにあるぶら下がってる暖簾みたいなやつ。
「それを掲げることが表舞台に立ち続けるって
意志の表明になる!」
「表…舞台。」
「YES!」
…表舞台か。
馴染みのない言葉だが…なんかいいね。
チュチュ…お前にホイホイついてきて正解だったぜ。
面白いモノが見れそうだ。
こいつは本気で大ガールズバンド時代を終わらせる気なんだ。動機はともかくとして、その熱量はおよそ中二のガキんちょが抱くモノにしちゃデカすぎる気もするが…チュチュにはチュチュなりの信念があるのだろう。
「これで俺が女子だったらねぇ…」
何も文句はないんだけど。
「まだ、そんなことを気にしているの?貴方の前にも何人ものギタリストガールズ達をスカウトしたけれど…誰も私の求める音を出せる子はいなかった…タエ・ハナゾノと貴方ぐらいよ。性別なんて些細な問題なの。私の求める音が出せるかどうか…それが重要なのよ。」
「そうか…」
ちびっ子とかガキんちょとかバカにしてたけど…こいつも色々と考えてんだな。
「数ヶ月後にはライブを計画しているから、それまでには
「え、ライブ!?」
「当たり前じゃない!ユウ…貴方も立つのよ!
表舞台へ!そして、
「…最強。」
わりと安っぽい言葉もこいつが言うと説得力がある。
「YES!最強!ガールズバンド時代は終わりを
告げ…
新たな世界ね。
是非とも見てみたいもんだな。
それにしても、トントン拍子に話が進みすぎて
実感がまるで湧かねぇ。けれど、やるからには…
こいつのいう最強の音楽を奏でてやるよ。
そうだよな…男だとか、女だとか関係ないよな。
時には俺のような異端児も必要だろう。
小さいことを気にしすぎていたようだ。
「チュチュ。」
「何かしら?」
「ますきさん…パレオちゃん…レイさん。」
「?」
「よろしくお願いします。」
血が騒ぐってこういうことか。
今、ようやくわかったよ。