「チュチュ、邪魔するでー。」
ってあれ?誰もいないのか?
そんなことある?
パレオもいないとは珍しいな。
「おーい…っているやん。」
当の本人は俺が来たことにも気づかないのか
何かのライブの動画を熱心に見ていた。
「Roseliaじゃねーかよ。」
「what!?いたんなら声掛けなさいよ!」
「今まさにやったわそれを。」
しかしなんだ…お前もわかってるな。
「これもしかしてRoseliaがやったっていう
主催ライブの映像?」
「YES。」
「マジか!ちょ、俺も見たいんだけど。」
いや、しかし画面越しでもわかるわ。
圧倒的ハイクオリティな音楽は。
「いいよな、Roselia。しかしお前もファンだったとは。」
「NO!そんなわけないでしょ!」
は?何でキレられたん?
ファンでもないのに動画なんか見ないだろうが。
「じゃあ何で見てんだよ?」
「決まってるじゃない…ブッ潰すバンドを目に
焼き付けておくためよ!」
うん…一ミリもわかんねぇわ。
てか、ブッ潰す言うた?
「今にみてなさい…ミナト ユキナ…!!」
湊さんが何したっていうんだよ。
ま、いいや。色々とめんどくさそうだから何も
聞かないでおこう。
万が一の場合は頭グリグリの刑に処すが。
「ところで、どうしたのよ?今日は個人
「いや、ちょっと話があってさ…」
「まさか、抜けるだなんて言わないでしょうね?」
「うっ…」
いきなり良いトコついてくんなコイツは。
切り出しづれぇわ。
「…当たらずと雖も遠からずってところだな。」
「…ライブまで一ヶ月を切ってるのよ?許されるハズないでしょ?」
「もちろん、ライブは全力でやるよ。俺が言いたいのはその後の話だよ。」
「その後?」
「俺もさ…色々と調べたり、考えたりもしたんだよ。」
「…それで?」
「大ガールズバンド時代とは…よく言ったもんだよな。」
いや、ホント…誰が言ったかは知らないが。
「何の話よ?」
「今や行われているライブイベントの殆どが
ガールズバンドってのを前面に押し出したもの
ばかりだ。」
「当然でしょ?」
「なら、わかってるはずだろ?このままいきゃ
ダメだってことぐらいはさ。」
チュチュの顔が僅かながら歪んだ気がした。
「お前はナンセンスな理由とか言うかもしんねーけど…やっぱり男の俺じゃ近いうちに限界が来るわけよ。ライブを主催する分には問題ないんだろうけどさ…さすがに毎回毎回主催ライブなんてやれんだろ。」
「…してよ。」
「ん?」
「どうしてよ!?」
「はぁ!?」
今説明したやんか。
ていうか何か泣きそうなんだけどコイツ。
「あなたには奏でる
それなのに…どうして…そんな理由で…」
「あー…チュチュ様?」
いくら小生意気なちびっ子とはいえ、泣かせるのは罪悪感が半端ないわけで…泣かないでな?
「…わかってたわよ。いずれ限界が来るって…
レイヤからあなたの話を聞いた時も期待なんてしていなかった…But、ユウのギター
そこまで俺のこと買ってくれていたのか。
その割にはスパルタだったがな。
「花園さんだっけ?あの人みたいにサポートギターっつーことでさ…次のライブじゃやらせてもらうけど…その後は別のギタリストをスカウトすればいい。」
「…あなた達のようなギタリストがそう簡単に
見つかるとは思えないけれど…」
「いや、いる。」
とんでもないのがな。
「一人知ってる。安心しろ…そいつはたぶん
お前が求めていたであろう音を出すやつだ。」
「あなたがそこまで言うほどのギタリストがいるっていうの?」
「あぁ、バンドをやりたがってて、幸い今は
フリーだ。」
「どうして早く言わないのよ?」
えぇ…理不尽。
「まぁ本人がどう言うかはわからないし、無理矢理ってわけにもいかんだろうから保証はできないけどな。」
「NO problem!」
あ、無理矢理にでも入れる気だなコイツ。
「知り合いなのね?」
「あぁ、同じクラスのやつ。だから話つけるのも簡単。もちろん女子だ。バンド経験もあるらしいし。」
「…………」
急に黙ったと思ったら、何か考えてんな。
「いいわ…ユウ、まだ彼女には何も言わないで
ちょうだい。」
「え?いいのか?」
「YES!あなたは次のライブの準備に専念しなさい!」
急にテンション上がりやがった。
現金なやつだな…。
「サポートだからといって中途半端な演奏はOutrageous!」
「わかってるよ。」
「それで?そのギタリストの名前は?」
「朝日 六花。間違いなく俺以上のギタリストだ。」
「やけに推すわね。」
「あいつの演奏を聴いたのは一回だけだけど…
何かこう…音にブン殴られたような気持ちになった。」
「…ふーん…ロッカ・アサヒね…面白そうなギタリストじゃない。」
新しい玩具を見つけたような顔してらっしゃるわー。
チュチュ様、ご満悦のようで何よりです。
てわけで朝日…あとは頼んだ。
どうなるかはわからんが。