奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

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御簾を上げようぜ

「バンドリ?」

 

「うん!決勝は武道館でやるんだって!あこも

出たかったなー…」

 

「Roseliaは出ないのか。」

 

近々ガールズバンドチャレンジというイベントがあるそうで、予選を勝ち抜いたバンド二組は

武道館行きの切符を手に入れられるのだそうだ。

 

それにしても武道館とは…

キャパ一万人は優に越えるドデカイ会場だぞ?

そんな中でやるってか。

 

「お姉ちゃんもその話ばっかりしてるよ。」

 

「へー、ポピパさんは出る気なんだな。」

 

これはまた楽しみが増える。

Roseliaが出ないっていうのは少々勿体ない気もするが。

 

「楽しみや~!」

 

目を輝かせているのは…最近ポピパさんの

ライブがなくて成分が不足している朝日 六花さん。

どこか別世界へ行っているようなので放置しておく。お前にはお前でサプライズな出来事が待ってるんだ…せいぜい頑張れな。

 

 

 

 

「げっ…」

 

授業も終わり、帰ろうとした矢先にチュチュから着信があった。バイトもないし、練習もないからゆっくりしようと思ったのになぁ…。

 

「もしもーし?なんぞ『ユウ!今すぐ来なさい!今すぐよ!』」

 

…用件だけ言って切りやがった。

まだ返事してないのに。

とにかく今すぐ来いってか…仕方ない。

 

 

 

「おーっす。パレオ。」

 

「お疲れさまです。」

 

「来たわね!」

 

「来たわよ…で、どした?」

 

「Come on!」

 

ついて来いってか?まったくもう…どこまでも

マイペースなお子様だこと。

 

「見つけたわ…ユウ…あなたの言うとおりだったわ!」

 

「何だよ?見つけたって。」

 

俺、何か言ったっけ?

 

「ロッカ・アサヒよ!面白い動画を見つけたの!」

 

「面白い動画?」

 

しかし、テンションたっけーな…こいつ。

モニターに映し出されたその映像は…

 

「これって…文化祭の…」

 

忘れもしない、あの時の。

文化祭の…朝日 六花の狂暴なギターソロの映像だった。誰か撮ってたのか。

 

「Excellent!言うだけのことはあるじゃない!」

 

「だろ!?あいつはすげぇんだよ!」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「いったぁ!?」

 

な、何も手握ったぐらいで蹴ることないでしょうに…つい熱くなっちまったのは認めるけどさ。

 

「あぁ!チュチュ様!お止めください~!」

 

「にしても…そうか。お前もわかったか。

あいつのギター(ぢから)ってヤツがさ。」

 

「OKよ!ロッカ・アサヒをRASにスカウトするわ!」

 

無事にプロデューサーのお墨付きも得られたことだし、あとは本人次第といったところか。

まぁ、断る道理もないとは思うけど。

 

「あ、ところでさ…バンドリってイベントがあるの知ってるか?」

 

「Of course!武道館だなんて私達にふさわしい

ステージじゃない!そこでRoseliaをブッ潰してやるわ!」

 

「えーと、チュチュ様?盛り上がってるとこ悪いんだけど…」

 

「何よ?」

 

「Roselia、出ないらしいっすよ?」

 

「なっ…Really…?」

 

毒気抜かれてやんの。

 

「うん、マジで。他ならぬRoseliaのメンバーから聞いたからな。」

 

「どういうことよ!?ミナト ユキナ…どこまで

私をコケにするつもり!?」

 

あーキレてらっしゃる。

てか、そのRoseliaに対する対抗心は何なんだよ。

 

「何でそないRoseliaに拘るん?何かあったのか?」

 

「ユキナは私のプロデュースを断ったのよ!」

 

「何だ…そんなことか。」

 

「…()()()()()?」

 

おっと?言葉のチョイスミスった説。

地雷踏んじゃったかな?

 

「Sorry。飴ちゃんやるから許してな。」

 

「いらないわよ!!」

 

はぁ…ったく、小さいのは背丈だけにしろってな。

仕方ないからわかりやすく説明してやっか。

 

「例えばよ?例えばの話…俺がどこぞのプロデューサーだと仮定しようか。そんで、お前のところにやって来て『私についてくればこのバンドは絶対に大成する!』とか言われたらチュチュはこの話受けるか?」

 

「それは…」

 

「受けないだろ?Shut Up!プロデューサーなんかNo Thank youよ!とか言いそうだもんな。」

 

「ぐ、ぬぬぬ…」

 

ぐぬぬって口に出す子初めて見た。

 

「湊さんは自分達の奏でる音で高みを目指したいのよ。そういうお人なの。根っこはお前に似てんだよ…きっとな。」

 

まぁ、気概は買うけどな。

もうちょい情熱の向ける方向を考えてほしいけど。

 

「でもさ、良かったじゃん。ガールズバンドチャレンジって…案の定俺は出れなかったわけだ。」

 

「…そうね。」

 

「ユウさんとはもっと一緒に演奏したかったのですが…」

 

パレオが残念そうに言う。

 

「そう言って貰えるだけでもありがたいってもんよ…パレオ。」

 

本来ならばあり得なかったことだしな。

どんな形であれ俺が表舞台に立つってことは。

 

「ありがとな…チュチュ。」

 

「何よ?急に…」

 

「いや…なんやかんやお前にはつっかかったけどさ…感謝はしてるぜって話。こんな機会一生なかっただろうし。」

 

「礼を言うのは早いんじゃなくて?まだライブも終わっていないのよ?」

 

「そうでした…ライブ、頑張るからよ…

共に御簾を上げようぜ。」

 

「はい♪」

 

「…私の台詞を取らないで。」

 

疑いようがない。

このメンバーならば無敵だ。

必ず良いライブになる…。

それに、あいつが加われば…

 

「面白くなりそうだ。」

 

どんな化学反応を起こすのか…今から楽しみだな。

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