奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

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学校の放送で自分の名前を呼ばれると一瞬ドキッとするよね

 

「ふわぁ…眠…」

 

しかし、こうして一夜明けてもまだ信じられないな。

 

昨日の出来事は夢だったんじゃないかとさえ

思うくらいだ。

 

しかし、体中の筋肉痛がそれが夢ではなかったことを証明してくれる。

 

「優のライブ、母さんも行きたかったわ。」

 

「別に、来るもんでもなかったって。」

 

「母さん嬉しくて…ギターをやってない優なんて優じゃないからね。」

 

「なんじゃ、そら。」

 

けど、そうか。

…当たり前のことが当たり前じゃなかったんだもんな。

 

「んじゃ、行ってくる。」

 

昨日も大変だったけど、今日は今日で大変な一日になりそうだ。

 

 

 

 

 

「ん?」

 

げっ…我らがプロデューサーチュチュ様では

ありませんか。

 

…何故こんなところに?

 

絡まれるとめんどうそうだな…よし、さりげなくすれ違う作戦でいくか。

 

「よう、チュチュ。昨日ぶり。良い天気だな。」

 

「Good Morning!」

 

 

 

 

 

 

 

「って待ちなさい!」

 

「ぐぇっ!」

 

作戦失敗。

 

ていうかいきなり引っ張らないでもらえます?

 

「なーんだよーもう…」

 

「どういうことよ!?」

 

「どういうことよ!?ってどういうことよ?」

 

「ロッカ・アサヒ!逃げられたのよ!」

 

完全に嫌われてんじゃん。

 

「てか、昨日いつでも来なさいとか言ってたやんか。何で来ちゃってんだよ。」

 

フットワーク軽すぎんだろ。

 

「もしかして、昨日の謝罪でもしに来たとか?」

 

「謝罪?…まさか!」

 

「だよね。」

 

「プロデューサーとしての挨拶がまだだったと

思って…ジャパニーズは礼儀を重んじるんでしょう?」

 

昨日ブッ潰すとか言ってた子がそれ言う?

 

「そっか、頑張れよ。んじゃ。」

 

「Bye!」

 

 

 

 

 

 

「って、だから待ちなさいってば!」

 

「ほげっ!?」

 

おまっ…だから引っ張んなって!

首絞まったわ。

 

「ゲホッ…もう始業のチャイムが鳴るんですが?」

 

「そうなの?なら仕方ないわね…」

 

「そういうこと。じゃあな。」

 

…ていうか、あいつ学校は?

 

 

 

 

「危ない危ない…ギリギリセーフ。」

 

ちょっと時間食ったけど何とか間に合っ…

 

「あ!来た来た!」

 

「星川!凄かったね!昨日!」

 

「いつの間にRASに入ったの!?」

 

「チュチュとのラップバトル面白かったよ!」

 

「やっぱり、ギター弾けたんじゃん!」

 

 

 

わあぁー…やっぱりー…

 

案の定というべきか、朝っぱらから教室は大盛り上がりであった。

 

てか、ラップバトルとか言ったの誰や。

 

「皆さん静かに。席について。」

 

先生ナイスタイミングです。

 

 

 

 

「すごかったよねー!朝日さんスカウトされてたし!」

 

その朝日さんは何故か俺を睨んでいるが。

 

「よう、昨日は大変だったなぁ。」

 

「ポ、ポピパさんは捏ねさせへんよ!」

 

「はぁ?」

 

捏ねる?何の話だよ。

 

「昨日、ブッ潰すって…」

 

あぁ、そのことか。

 

「安心しろよ、そんな気はサラサラねーから…

少なくとも俺はな。」

 

「本当に?」

 

「むしろ俺はポピパさんを応援してる側の人間だぞ?仮にチュチュの奴がそんなことをしようもんなら俺が止めてやるよ。」

 

まったく余計なことを言ってくれたもんだよ。

俺まで双方のファンに敵視されちゃ敵わんぞ。

 

「でも、昨日のライブでわかっただろ?俺はともかく、他のメンバーの人達はRoseliaと比べても

遜色ないレベルだ…悪くはないと思うけどな。」

 

俺は化けると思う。

 

「無理強いはせんけどさ…一度話合ってみろよ。」

 

「…うん。」

 

あの感じだとまた来そうだけどな。

 

 

 

 

『1年A組 朝日 六花さん。 星川 優くん。

至急、生徒会室までお越しください。』

 

はい、休憩終了のお知らせ。

そしてフラグ回収。

生徒会室ってのがこれまたきな臭い。

 

「なんやろ?」

 

「朝日、俺お腹痛いから無理って言っといて。」

 

「えぇ!?」

 

「俺とお前が呼ばれたってことは、ぜってー

チュチュの奴だろ。行きたくない。」

 

結局、ごねてもキリがなさそうだったので

しぶしぶ生徒会室へ。

 

 

 

 

 

「失礼しまーす。」

 

「Hello!」

 

「…失礼しました。」

 

「待ちなさいってば!」

 

チュチュめ…やっぱりいやがったか。

 

あと、朝日さん…俺の後ろに隠れるのやめてもらってもいい?あなたも女子だからさ、触られると意識はしちゃうわけよ。

 

「なんで俺まで呼んだし。」

 

「スムーズに話を進めるためよ!」

 

いや、進まないと思う。

 

「優君のギターあたしも観たかったなぁ…おねーちゃんも良い刺激になったって言ってたよ!」

 

日菜先輩にそう言われるが、何だかむず痒い。

 

「ロッカ・アサヒ!RASに入りなさい!私のバンドに入ってガールズバンド時代を終わらせるのよ!」

 

「いや、誘い文句。」

 

当の本人めっちゃ怖がってるし。

…あといい加減俺から手を離そうな?

 

「まぁなんにせよさ…一度チュチュのスタジオで演奏をみてもらったほうが…」

 

そこまで言いかけたところでチャイムが鳴る。

 

「午後の授業がありますので…」

 

つぐ先輩が申し訳なさそうに切り出す。

 

「…仕方ないわね。それじゃ二人とも、授業頑張ってね!」

 

チュチュ様、あなたもきちんと学校へ行きましょうね。

 

 

 

「終わったぁ…長い…長い一日だった…」

 

質問する輩をすべて捌ききり、悲鳴をあげる体に鞭打って授業も寝ずに聞いた。

 

頑張った自分にご褒美あげたいわ。

 

帰ろう。一刻も早く。

 

何だかイヤな予感がするし。

 

 

 

後日聞いた話だが、やはりチュチュがパレオを

伴って放課後に来ていたそうで散々だったらしい。巻き添えになった戸山は泣いていいと思う。

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