気づけば50話達成してました!
これも皆さんのおかげです!
これからもよろしくお願いいたします。
「ん…」
着信の音で目を覚ます。
チュチュからだ。
「んあ…どした?」
「ロッカ・アサヒがスタジオに来たわ。」
「マジか?それで、どうだった?」
あいつ、行ったのか…
あんだけ怖がってたのに…一体どういう風の
吹き回しだ?
「正直拍子抜けね…不合格…はっきりとそう言ってやったわ。」
「そうか、そりゃ良かっ…あぁ!?不合格!?」
「Yes。」
「ちょ、ちょっと待て…そんなわけねーだろ?
お前も見ただろ?あの演奏。」
「その良さがまるで出ていなかった…
他人の顔色を伺うような演奏だったわ…
あんな演奏は No Thank Youよ。」
なるほど…なんとなくではあるがわかった。
恐らくはチュチュの指摘通りなのだろう。
あいつは
「もう一回チャンスをやることはできないのか?お前だってこのままじゃ不本意だろ?」
「…それは彼女次第ね。」
あいつ次第…か。
「じゃあよ、本来の力が出せればワンチャンあるわけだな?」
「そうなるわね。」
「…よし、わかった。」
「何か考えでもあるの?」
「まぁ、見とけって。」
「…遅くに悪かったわね。」
「気にすんなよ。わざわざサンキューな。」
「何か悪いことしちまったなーって思ってさ…」
「なるほどね。ますきさんが引きずってったわけだ。」
そういうことか、色々と合点がいったわ。
「別に、引きずっちゃあいねーけど…」
ラーメン銀河でのバイト中、今は客もいないのでますきさんに先日の事の詳細を聞いていた。
「それは…チュチュが最も嫌う演奏ですね。」
「あぁ…GALAXYで聴いた時はそんなんじゃなかったんだけどな…」
「…それって、暴れるような演奏だったでしょ?」
「あぁ!そりゃあまぁ凄かったぜ!うまく言えないけどさ!」
「でしょ?」
やっぱりな…わかる人にゃわかるんだよ。
それが正当に発揮されないだなんて…
「歯痒いなぁ…くっそ…。」
かと言って、俺にできるのは発破をかけてやることぐらいだが。
明日にでもあいつと話をしてみよう。
もう…報われてもいい頃合いだろ?
「あれ、先輩からメッセージだ。」
不在着信もある。
…そうだった。
あろうことか忘れていた。
ブッ潰す発言でまだ誤解を招いている可能性が…
『色々と聞きたいことがあるから折り返し電話くれ。』
やべ…怒ってねーよな?
…市ヶ谷先輩に嫌われたら俺生きていけねーぞ?
「あ、もしもーし。」
「おう、遅くに悪いな。」
「いえいえ…先輩、その…単刀直入に聞くんすけど怒ってないんすか?」
「怒る?何の話だよ?」
「いや、ライブに来てくれてたでしょ?そん時にウチのプロデューサーがブッ潰すだの失礼なこと言っちゃったから…皆さん怒ってないのかなーと…」
「あぁ…別にウチらは気にしてねーよ。」
「そ、そうですか…なら良かった。近々謝らせますんで…必ず。」
「それより、びっくりしたぞ…お前がまさかRASのギターやってるなんてな。」
「どうでした?良かったっしょ?ちょっとは見直したでしょ?」
「あぁ…皆も凄かったって言ってたぞ…特に
おたえの奴はな。」
「おたえって…花さん?」
「あぁ。」
マジかー…嬉しい。
やっぱり、同じ分野の人からお褒めの言葉をいただけるのは嬉しいもんですな。
「それで、ロックのことなんだけどさ…」
「あいつがどうかしました?」
「RASを不合格になったみたいなんだよ…お前何か聞いてないか?」
「あぁ…今それで絶賛頭を悩ませ中ですよ。」
「ない知恵絞っても何も出ないだろ。」
「辛辣!」
「ウチらも何かできないかって考えてたんだよ。」
「なるほど…あ、そういえば先輩…
ポピパさんはバンドリに出場するんですか?」
「あぁ。」
「そうすか…たぶん、あいつにとっては
それだけで十分だと思いますよ。」
「そうか?」
「えぇ、俺も明日あいつと話してみようと思ってるんで…また何かあれば連絡します。」
「あぁ、遅くに悪かったな。」
「いえいえ…二十四時間いつでもかけてください。」
「コンビニかよ…」
「はぁーっ…良かった。」
気にしてないみたいだ。
それに、バンドリにも出場するっていうし…。
とにかく明日だ。
あいつと話そう。
…どうしてこんなにもあいつのことが気になるのか…今になってなんとなく分かった気がする。
境遇や環境は違うかもしれないが…
俺はあいつに…同じギタリストとして
シンパシーを感じていたのかもしれない。