「ポピブイ…だと…?」
それは戸山、宇田川、ロックの仲良し三人組が
楽しげに話しているのをチラッと聞いたのが
始まりだった。
え、ちょ…何それ?
ポピブイって…ポピパさんもMVを作ったってこと?俺、何も聞いてないんだけど?
三人娘に聞いてみれば案の定でした。
ポピパさんのMV、ポピブイなるものが作成されていたそうだ。
早速視聴した。
「俺、ハブられたんか…?」
市ヶ谷先輩…俺に声ぐらいかけてくれても…
あれ、なんだろう…画面がよく見えねぇや…
おかしいな…動画の出来は物凄く良いはずなのに。
とりあえず、全部ブッ込んでみました的な動画だったのだが、うまくまとめられていた。
ウサギとかチョココロネとかちょこちょこ
よくわからないものも映りこんではいたが。
だからこそ…
「俺も…俺も入れてほしかった…」
「げ、元気出して?」
「ロック…お前何最後ちゃっかりセンターに
居座ってんだよ…一番おいしいポジションじゃねーか…ずっる…。」
「え、えぇっと…」
「…それはそうと、御宅のプロデューサー
ついにRoseliaに宣戦布告しやがったな。」
文字通り、チュチュがRoseliaに対し宣戦布告とも取れるような内容の動画をアップしていたのだ。
内容は早い話がRASとRoseliaの直接対決。
それがdubにて行われる。
…いつの間にそこまでこぎつけたのやら。
しかし、思ったよりも実現するのが早かったな。
チュチュも動画内で言っていたが、RASと
Roseliaの頂上バトル。正直楽しみではある。
「頑張るのはいいけど…ムチャだけはすんなよ?ロック。」
「うん。」
「宇田川、RASは一筋縄じゃいかないぞ?」
「うん!あこ、頑張る!」
と、コイツは敵が強ければ強いほど燃えるタイプだったか。
「優はライブに行くの?」
「そりゃ、もちろん。」
ロックの初舞台だし、見届けないわけにはいかない。
「あぁ?」
日菜先輩から電話だ。
随分と珍しい…イヤな予感しかしないけど…出るか。
「もしもし?」
「あ、もしもし!優君?」
「はいはい、どうしました?」
「んーとねー、おねーちゃんがチュチュちゃんと話したいことがあるらしーんだけど、アポなしはマズイでしょって話になったんだよね!」
「…なるほど。そういうことなら、俺から
チュチュに話つけときますよ…ていうか
ご一緒してもいいですか?」
「うん!いーよ!」
「それじゃあ、待ち合わせ場所決めて
またあとで合流しますか。」
「うん!じゃあねー!」
…あーあ、終わったなアイツ。
まぁ、あんだけ煽りまくったんだ…当然の結果か。
チュチュよ…自業自得だ。
残念ながら俺にはどうすることもできん。
「すみません…手間をかけさせてしまって。」
「いえいえ、気にしないでください。俺もあいつには用事があったんでちょうど良かったですよ。」
俺は紗夜日菜先輩と合流し、チュチュのいるスタジオへと向かっていた。ちなみにチュチュには
連絡済である。
「いや、しかしすみませんねー…ウチのプロデューサーがごちゃごちゃと好き勝手に…」
「いえ…あのような挑発は受け付けなければ良い話なので…それを…湊さんが…」
そう。
そこがわからないのだ。
紗夜先輩の言うとおり相手にしなければそれで
済む話なのに…ましてや、RoseliaはOver the Futureライブなるものが控えてるという話だ。
それならば、そもそもこういったバンドリというイベントに参加すること自体、スケジュール的にもマイナスにしかならないのでは?とも思う。
が、そんなことがわからない湊さんではないだろう。
何かを意図して今回の話も受けたんだとは思うけど。
「………」
湊さん?
紗夜先輩には何も言ってないのかな?
その意図みたいなのが伝わっていないみたいなんですが…紗夜先輩見るからにご立腹だもの。
あの人何も言わなさそうだからなー…言葉足らずというか。
…とりあえず、話題を変えようか。
「あ、あー…でもあれですね…姉妹揃ってギター
やってるなんて仲がよろしいというか…」
「…………」
…あれ?何か微妙な顔された?
何かダメだった?
「…星川さんはいつ頃からギターを?」
「え、あ、俺ですか?」
急に話題を振られたので驚いた。
「小学校あがるぐらいの頃からですかね…中三あたりからちょっとブランクがあったんですけど…なんやかんや今でもやってます。」
「そう…ですか。道理であのような素晴らしい
演奏ができるはずです。」
ベタ褒めやんか。なんか恥ずかしい。
「いやいや、俺にはギターしか取り柄がありませんから…」
「とうちゃーく!」
いつの間にか着いたみたいだな。
何も起こらず穏便に……いくわけはないか。
「いらっしゃいませ!」
パレオが出迎えてくれる。
「んー…あ、レオナちゃん!」
「レオナちゃん?知り合いすか?」
「うん!ファンの子でいっつもライブに来てくれるんだ!」
へぇー…パレオってパスパレのファンだったのか。
「覚えていてくださって光栄です!ですが今は
パレオと申します。」
…改名したのかな?
「Welcome!サヨ・ヒカワ!ヒナ・ヒカワ!」
出たよ、ちびっこプロデューサー。
数分後にはそのイキリ顔が涙でびしょびしょになることだろうよ。まぁ、任せとけ。何かあっても俺が納めてやっからよ。
数分後。
「あー…ポテトがうまいわ。」
「お口にあったみたいで何よりです♪」
「んー最高。しかし、パレオがパスパレファンだったとはなー…」
「はい♪…ところでユウさん…日菜ちゃんとお知り合いだったんですね。」
「まぁな。先輩後輩ってだけだけど。」
「う、羨ましいですー!」
え?数分前の啖呵切ってたお前はどこ行ったのかって?
だってねぇ…怖いんだもん。
肉食動物が睨み合ってる中わざわざ入ろうとする人っている?
…いないっしょ?そういうこと。
それにしてもこのポテトうめぇ。
日菜先輩も大満足だ。
「日菜、帰るわよ。」
「え、もうー?」
どうやら話し合いは終わったようだ。
…良い結果にはならなかったみたいだな。
「あ、ちょいとお待ちを二人とも。俺も行きます。」
「ユウ!あなたも当然来るわよね?RASとRoseliaの頂上バトル!」
「あたり前だろ。だから半端なライブはするんじゃないぞ?」
「Of Course!」
それならいい。
「星川さん、ありがとうございました。」
「いえいえ、俺何もしてませんし(事実)。」
「…絶対に負けません。」
敵愾心MAXだなぁ…チュチュよ、怒らせてはいけない人を怒らせたな。
「RASは手強いですよ。」
「相手が誰であろうと…私は私の演奏をするまでです。」
あくまでも冷静に、目の前の紗夜先輩は静かに
闘志を燃やしていた。
どちらか勝つのか…まったく想像がつかねぇや。
頂上バトル。その時は確実に近づいていた。