奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

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勝者は

 

『 YES!YES!YES! 』

 

響いたのはチュチュの声。

勝者は…

 

「…RAS。」

 

僅差の接戦だった。

どちらが勝ってもおかしくはない内容だった…

と思う。

 

RAS(ラース)RAS(ラース)RAS(ラース)RAS(ラース)!」

 

会場はRASコール一色となった。

 

「んー…なんだかな…」

 

票を入れた身としては嬉しいはず…なのだが…

どこか喜べない自分がいた。

 

こんなものが…果たして勝利と呼べるものなのか?

 

 

 

 

 

「いやー凄かったっすね。」

 

「あぁ…ってお前、いつの間にいたんだよ。」

 

「たった今ですよ、市ヶ谷先輩。」

 

日菜先輩達と別れ、なんとかポピパさん達を

見つけ出して合流することができた。

 

「皆さんどうも。」

 

戸山やポピパさん達の他、Aftergrowの皆さんも

一緒だったようだ。

 

「RASが勝ちましたね。」

 

「あんまり嬉しそうじゃねーな…RASに

票入れたんだろ?」

 

「んー…なんていうか複雑ですね…素直に喜べないっていうか…」

 

「ねぇ、あのチュチュって人…何であんなにRoseliaに拘ってるの? 」

 

美竹先輩(思わぬ方向)から質問が飛んで来た。

気のせいかちょっと怒ってらっしゃる?

 

「…一言で言うと、湊さんにプロデュースを

断られたから…ですかね。」

 

「プロデュースを断られたからって…

それだけでかよ?」

 

市ヶ谷先輩が呆れたように言う。

 

「残念ながらそれだけなんです…」

 

「なるほどね…ありがと。」

 

「蘭はね~なんだかんだRoseliaのことが

気になってるんだ~。」

 

「モカ!」

 

「そういうことですか。」

 

意外だな…美竹先輩がねぇ。

 

「違うから。」

 

なるほど、この人もツンデレなのね…了解了解。

 

 

 

「それにしてもロックのやつ…初のライブに

してはなかなか良かったっすね。」

 

ブッ倒れて裏で休んでるみたいだが。

 

「うん!凄かった!」

 

香澄さんが同意してくれる。

 

「それもこれも、皆さんがロックの背中を押してくれたおかげです…あいつ、ポピパさんに

憧れてバンドやりたいって言っててね…

ずっとメンバー探してたんですよ。」

 

「ロック、優に感謝してたよ。いつも心配して

くれてるから頑張らなきゃ…って言ってた。」

 

「え…」

 

花さんから思いもよらぬ発言が飛び出す。

 

「そうですか…あいつ、そんなことを…」

 

バカだなぁ…俺なんか何もしてないだろうに。

 

 

 

「ポピパさんのライブも楽しみにしてますよ。」

 

「本当!?来てくれる?」

 

「勿論、可能な限り行きますよ。」

 

「ありがとー!いっぱいライブするね!」

 

元気がいいなぁ、香澄さんは。

越えるべき壁の高さを実感したはずなのに

気落ちした様子が微塵もない。

 

あくまでも自分達の音を信じるってスタンスか。

どんな困難にも揺らがない強さ。

それがPoppin'Partyの強みなわけね。

 

「とにもかくにも、武道館へ行くにはどちらかを引きずり降ろさなきゃいけませんよ?」

 

「わ、わかってるよ!」

 

Roseliaだってこのまま終わるとは思えない。

今日の敗戦を糧に必ず復活するはずだ。

 

…それに引き換え、RASの方は若干不安だな。

 

チュチュのやつが今日の勝利に浮かれて

天狗にならなきゃいいけど…まぁ、あの様子じゃ無理な話かな。

 

勝敗の結果とは対照的っつーか…

こりゃ、釘さしといたほうがいいかもしれないな。

 

「ポピパさん達も、チュチュに何かされそうに

なったら言ってくださいね。俺が懲らしめて

やりますから。」

 

「え、えーと、乱暴なことはしちゃダメだよ?」

 

りみりん先輩(だっけ?)…ブッ潰すって言われてるのにも関わらずなんて心が広いんだ。

 

俺ならやられる前にやるね。

先手必勝って言うじゃん?

 

 

 

大ガールズバンド時代を揺るがすであろう

頂上バトルはRASに軍配が上がった。

 

ロックもデビュー戦にしては上々の出来。

不安材料はないように思えるが…

どこかで落とし穴というものは必ずある。

 

その時、RASはRASでいられるのか…

 

俺は堪らなくそれが怖かった。

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