奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

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かけがえのない人達と

ライブから数日。

RASの勢いはとどまるところを知らず、ついには

Roseliaを抜き去り票数トップの座に踊り出た。

 

RoseliaとRASの武道館行きは揺るがないものと

なりつつあった。

 

そうなると、気になるのはポピパさんだな。

…ちょっとそっちの方に顔出してみるか。

 

 

 

というわけで、やって参りました市ヶ谷先輩の家。

 

万実さんに案内してもらい、中へ入れてもらう。

ちょうど皆さん集まっているそうだ。

 

「「「「「おー!」」」」」

 

何だか一致団結してるみたいだな。

決起集会的なのをやっていたのだろうか。

 

 

 

「気合い入ってますねー。」

 

「うわぁっ!って、なんだ…優かよ。」

 

「こんばんは。アポなしですみませんね。

ケータイの充電が切れちゃって。」

 

「スパイ…とかじゃねーよな?」

 

「そんなわけ…ポピパさんのことが気になったんで、ちょっと来てみたんですよ。」

 

「いいけど、邪魔はするなよ?」

 

「はーい。」

 

「まぁまぁ、有咲。せっかく来てくれたんだし…

これ、ウチのパンなんだけど、良かったら食べて?」

 

「いいんですか?じゃあ、お言葉に甘えて…」

 

ドラムの沙綾先輩がこれまた美味そうなパンを

出してくれた。

 

「沙綾ちゃん家のパン、美味しいよ♪」

 

マジか…りみりん先輩のお墨付きかよ。

絶対美味いだろこんなん。

 

「いただきます。」

 

「どうかな?」

 

「…すんげー美味いっす。」

 

パン食っただけなのに感動した。

今まで食ったパンの中で一番美味いわ。

冗談抜きで。

 

「家がパン屋さんなんですか?」

 

「うん!商店街にある山吹ベーカリーってところ。」

 

商店街か…今度行ってみよう。

これは一度食ったら忘れられなくなるな。

 

 

 

 

「…っと、そういえば、自己紹介がまだでしたね。」

 

「別にいいだろ?みんな知ってるよ。」

 

「いやいやいや!先輩がお世話になってるんですし、是非ともご挨拶させてくださいよ。」

 

「なってねぇ!」

 

一つ咳払いをして立ち上がる。

いや、緊張するなー。

 

「…えー、先輩の幼馴染やってます…

星川 優といいます。1月27日生まれの水瓶座。

血液型はA型。明太子大好きです。嫌いなものは納豆ですかねー…趣味は昼寝とギターかな。

あとは…そうだ!好きな女性のタイプは…」

 

「あー!もういいだろ!そんなことまで聞いてねーよ!」

 

ちょっ…ここからだったのに…

 

「納豆、私もダメなんだー…」

 

「わかります?香澄さん。あのネバネバがちょっとねー…」

 

「引っ越して来たんだっけ?」と沙綾先輩。

 

「えぇ、3月の終わり頃に越してきました。」

 

「本当にびっくりしたけどな…お前がまたこっちに来てるなんて…それにしても、よく羽丘に入れたな。」

 

「こう見えて、A判定だったんですよ?」

 

あの時はやけくそで猛勉強してたってのもあるけどな。

 

「そんなわけで、先輩ともどもよろしくお願いします。」

 

「よろしくねー!」

 

「あぁ、それと…香澄さんの妹さんにはだいぶ

お世話になっております。」

 

「明日香ちゃんに迷惑かけんなよ?」

 

「はい。」

 

「あっちゃんと仲良くしてねー!」

 

「勿論です。」

 

 

 

 

 

「じゃーねー!有咲!」

 

「あぁ。」

 

「すみませんね、お邪魔して。」

 

「ホントだよ。」

 

「また、来ます。」

 

「来んな。」

 

時間も遅くなってきたので、帰宅することに。

 

 

 

「有咲ちゃんと仲良しなんだね。」

 

帰宅途中にりみりん先輩からそんな言葉を

投げかけられる。

 

「そうなんですよ。もうね、昔は毎日のように

遊んでましたよ。」

 

「そうなんだー…昔の有咲ってどんな子だったのかな?」

 

香澄さんのほうからも質問が来る。

いいですね…どんどん聞いちゃってください。

 

「すごく大人しい子でねー…人見知りっていうか…俺以外の人と遊んだことなかったんじゃないかな?あ、小さな頃の写真…良ければ今度持ってきますよ。」

 

「えぇっ!?見たい見たい!」

 

「…先輩のピアノの発表会とか、色々行ったりもしましたね…けど、親父の仕事の都合で引っ越さなきゃならなくなっちゃいまして…」

 

「それで、離ればなれになっちゃったんだ…」

 

沙綾先輩がまるで自分のことのように呟く。

 

「でも、また会えた…優と有咲。」

 

「そう…ですね。」

 

そう、花さんの言うとおりだ。

運命ってのも捨てたものじゃない。

 

「ずっと心配でした…俺がいなくなっても大丈夫かなって。」

 

けれど…

 

「けれど、ポピパさんの主催ライブでその心配は吹き飛びました。先輩のあんな楽しそうな顔…

初めて見ましたよ。あぁ、かけがえのない人達と出逢えたんだなって…幼馴染としてお礼を言わせてください。」

 

「うぅん、有咲ちゃんには私達も助けてもらってるから…」

 

「頑張ってくれてるもんねー…有咲。」

 

「結構ガチでしたもんね先輩…武道館への道!

とか紙に書いたりして。」

 

「有咲、ずっと前から言ってたから…みんなで

武道館に行きたいって。」

 

花さんからこれまた意外な事実が。

 

「そうなんですか…ずっと前から。」

 

本当に…本当に変わったな。

 

変えられたってのもあるけど、他でもない

市ヶ谷先輩が一歩を踏み出した結果でもある。

 

「…改めて、お礼を言わせてください。皆さんのおかげです…先輩のことも…ロックのことも…」

 

そして、俺自身…最後の一歩を踏み出す

きっかけをくれたことも。

 

「武道館…立ってくださいね。そん時は必ず

行きますから。」

 

「うん!頑張る!」

 

そう言いきる香澄さんを見て、この人達なら

なんやかんや武道館行っちゃうんじゃねーかな?と思う俺であった。

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