奏でることを忘れた少年   作:TAKACHANKUN

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その熱は

 

本日は5月4日の土曜日。天気は快晴である。

 

「んーいい朝だ…」

 

時刻は12時35分。

 

うん。朝じゃないね。

 

母ちゃんさー何で起こしてくれへんの?

 

どっか行ってんのか?

 

星川家の飯担当は基本俺になっている。

 

なのでいつもは起こしにくるはずなのだが…

 

居間へ行くと案の定書き置きがあった。

 

 

 

 

『優へ お茶しに行ってきます。勝手にご飯作って食べててね☆』

 

☆はいらねーぞおばさん。

 

 

 

 

『出動!パステル*レンジャー!』

 

「…レンジャーってピンクしかおらんやんけ…」

 

他のメンバーどこ行ったんだよ。

 

 

 

 

…って何テレビに一人でツッコミ入れてんだ俺は。

 

しょうもな。

 

くっそ…宿題さえなければな。

 

いや、やろうとはしたんすよ?一応。

 

その前にまずは部屋の片付けだと意気込んだのが運の尽きだったね。

 

小学生の頃にやったゲーム(RPG)を見つけてしまってもう大変。

 

いやー久々にやると面白いんだこれが。

 

うーん…いうてあと3日も休みあるし

あとちょっとくらいはやってもいいんでないか?

 

話的にもいいところだったし…

モヤモヤしたままだと宿題も手につかんやろ。

 

「ん?」

 

携帯にメッセージが入っていた。

 

クラスの女子か…何だろ。

 

 

 

『今日はRoseliaの主催ライブだよー!

ホントに来ないの?』

 

Roseliaの主催ライブ?

 

誰が行くかっての。

 

ていうか今日だったんだ。

 

 

 

 

『あこちゃん出るよー!ドラム凄いんだって!』

 

今度は別のやつからだ。

 

あいつドラムだったのかよ…てっきり

カスタネット担当かと思ってたわ。

 

 

 

 

『もしかして、宿題終わってないの?(笑)』

 

また別のやつから…お前ら絶対一緒にいるだろ。

 

しかも内容…腹立つわー。

 

宿題?そんなもん楽勝だってんだよ。

 

星川優を見くびるなよ。

 

こちとら羽丘受かっとんじゃい。

 

宿題なんぞちゃっちゃと終わらせたるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー優…ってあら?」

 

「ノックしいや。」

 

「ごめんごめん…珍しいねぇ、アンタが

勉強してるだなんて…」

 

「熱はねーぞ。」

 

「あら、そうかい?じゃあ今日の夕飯は

母さんが作るから…頑張りな。」

 

「んー。」

 

…そうか、もうそんな時間か。

 

夕飯までにもうひと頑張りするか。

 

…の前に、あいつらにメッセージ返して

なかったのを思い出した。

 

しかたないから返してやるか。

 

画面を開くとまた新たにメッセージが来ていた。

 

 

 

『Roselia凄かったよー!来ればよかったのに』

 

ふーん、そんなに凄かったのか。

 

 

『人もたくさんいたよー!あこちゃんも

凄かった!』

 

宇田川も…ちゃんとできたみたいだな。

 

 

『宿題ガンバー!また学校で!』

 

見とれよ…今日中に終わらせたるからな。

 

 

 

『おつーおやすみ』

 

よし、これでええやろ(適当)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったぁ…」

 

長かった。いや、マジで。

 

…もう深夜の3時やん。

 

シャワー浴びて寝よ。

 

…それにしても、あいつら楽しそうだったな。

 

文面からでもイヤというほど伝わってきた。

 

それだけ熱狂できるものがあるっていうのはいいことだと思う。

 

…俺にだって確かにあったんだ。

 

その熱が。

 

けれどそれは…その熱は…今はクローゼットの中に押し込められている。

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