パレオが失踪した。
どうしてそうなったのかはまったくわからない。
俺のほうからもパレオに何度か電話をしてみたのだが全て繋がらなかった。
そのうえ折り返しもない…そうなるとパレオが
意図的にそうしているという説が濃厚になる。
チュチュに聞いても知らないっ!と
怒られる始末。
「知らないってどういうことだよ?
メンバーのスケジュール管理とかもプロデューサーの仕事だろうが。ましてや、パレオだぞ?
お前が知らないわけ…」
「知らないったら知らないの!」
ちっ…こいつ…。
こうなったら何言っても火に油注ぐだけか…
他の三人もまったく心当たりがないみたいだし…さて、どうしたものかな。
「…悪い予感が当たっちまったな…。」
できればその悪い予感は当たってほしくは
なかったのだが…
パレオ失踪から遡ること数日前。
「Poppin'Partyです!」
ただいまPoppin'Partyのライブ中。
何でも彼女達は3Weeksライブって名目で毎日
ライブをやるみたいだ。
とんだハードスケジュールだな…ブッ倒れたりしないか心配である。
毎日ライブってことなので毎日行きたいところではあるが、残念ながら現実的に無理な話だ…
なんとも勿体無い。
「えっ…dubでやるんですか?」
「う、うん…マッスーがdubでやろうって。」
そんな中、Poppin'PartyとRASがdubにてライブを行うという話を沙綾先輩から聞いた。
かねてより行こうと思っていた山吹ベーカリーさんにお邪魔中である。
dubでライブか…確かに現状最も有効な手段ではある。キャパが多いと入る票もおのずと多くなる。
ただ…相手が相手だ。
RASが相手となるとほとんど票が喰われてしまう可能性がある。それゆえ、どこのバンドも
RASとは対バンを避ける傾向にある。
必然的にRASのワンマンになってしまうというわけだ。
「それはまた…ハイリスクハイリターンってヤツですね。」
「…だね。」
大博打も大博打だ…そういうのはキライじゃないけど。
そうなると…チュチュがまた無駄に煽るんだろうなぁ…あれからあいつとはなんとなく顔を合わせづらくて、会っていないけど。
「チュチュのやつがまた何か言うかもしれませんが…気にしないでくださいね。お仕置きしてやりますんで。」
「あはは…あんまり乱暴なことはしちゃダメだからね?」
それはたぶん無理な相談だなーと思いつつ、会計を済ませて店を出た。
しかし…
「…買いすぎたな。」
あまりに美味しそうなパンばかり並んでたもんだから…まぁ、いいか。
「ポピパさんとdubでやるんですってね。」
「あぁ、今から楽しみで仕方ねぇ!」
燃えてんなーますきさん。
俺も楽しみだけどさ。
あ、今バイト中ね。
「チュチュはまたブッ潰してやるわ!とか言ってるんでしょうね…まったく。」
「気合いが入ってるのはいいことだろ。」
「そうなんでしょうけど…なーんか嫌な予感がするんですよね…」
「なんだよ?嫌な予感って。」
「うまく説明はできないんですけど…なんとなく、そんな気がして…」
「気にしすぎじゃねーのか?」
「だといいんですが…」
「それより、優。お前にちょっと手伝ってほしいことがあるんだけどさ。」
「手伝ってほしいこと?」
「あぁ。」
何でも近々、花さんの誕生日だそうで、プレゼントとか何だとかを色々と計画しているそうな。
「そういうことなら。」
「頼んだぜ。」
誕生日の日付けを聞いて気づいたけど、もう
冬なんだな。
月日が経つのって本当に早いもんだと
実感する。
ジャネーの法則とかってあるけど、あれウソなんじゃないかって思うわ。