RASとPoppin'Partyのdubでの対バン。
票数はRASが圧倒的だった。
ただの対バンならば手放しで喜べるのになぁ…
どっちも応援している身としては
やはり複雑なところではある。
こればっかりは票数という括りがある以上
仕方のない話なのだが。
「んじゃ、撮りますよー。」
来る12月4日。花さんの誕生日である。
ロックはスタッフとして、俺とますきさん
レイヤさんは手伝い兼観客として
GALAXYに来ていた。花さんが自分の誕生日を
忘れているという珍事案があったものの
滞りなくライブも終わり現在に至る。
写真を撮り終えると同時にランキング更新の
知らせが来たようで、ポピパさんは上位圏内に
入ったようだ。
ライブしまくった甲斐があったみたいだな。
これなら…
「あ…」
レイヤさんが小さく呟いた。
何があったのか理由はすぐにわかった。
「RAS…順位が落ちてる…」
そう…Roseliaが一位に浮上した。
とはいえ両者にそこまで差はなく、一度の
ライブでひっくり返るような票数ではある…
…と、
その証拠にレイヤさん達は即招集がかかったようだ。
名残惜しそうではあったが、そのまま三人とは
別れることに。
「まさか、Roseliaがひっくり返すなんてな…」
市ヶ谷先輩が呟くが、俺はなんとなくそうなる
気がしていた。OVER THE FUTURE LIVEの影響は
計り知れなかったってわけだ。
…武道館への切符争いはより一層激しくなるだろうな。そうなってくると、心配なのはやっぱり
ポピパさん。ただでさえ、ライブハウスを梯子しているってのに…これ以上頑張ると本当に誰かがブッ倒れかねない。
市ヶ谷先輩がここが正念場だぞ…と皆さんに
発破をかけている手前、口は出せないが。
その裏で、抱いていたイヤな予感が現実になろうとしているということに俺はまだ気づいていなかった。
期末試験…それは避けられぬ運命であり、高校生にとっては最大の試練である。なくなればいい…と思う人間が大半を占めるだろう。かくいう俺もその一人だった…
そう…以前までは。
だが、今の俺は違う。
復習も体調管理(前日睡眠時間10時間)も
バッチリである。教室に入ると、私やってなーい…やばいわーなどというやり取りがそこかしこで繰り広げられていた。
おいおい、仮にも進学校だろうにここは。
そりゃやばいんでねーの?
おっと、ここにも一人。
天下の大魔姫あこ様がヤマ勘だなんだと
おっしゃっている。その言葉が出てくる時点で
不勉強がひしひしと伝わってくるな。
「150ページからの古文はおそらく出るから
やっといたほうがいいぞー…ほら、教科書開いた。」
「あ、おはよー!」
「おはよう。」
「おっす。」
「…はぁ。」
おーい、一人超絶ため息ついてるけど…
お前のことだぞロック。
RAS内で何かあったに千円。
戸山曰くさっきからこんな調子なのだとか。
「…一応、聞くけど何かあったのか?」
「あ、おはよう。」
気づいてなかったんかい。
「どうせまたチュチュのやつが何かアホなこと
言い出したんだろ?」
「…う、うん。」
「ほっとけよ。あいつの癇癪は今に始まったことじゃないだろ。いずれおさまるって。」
「…だといいんやけど。」
話を聞くにRoseliaに抜かれた影響かチュチュの
横暴っぷりは加速度的にひどくなっていたらしい。
すべてチュチュの指示に従うこと。
そんな条件を出してきたそうだ。
当然聞き入れられるわけもなくますきさんは
帰ってしまったらしい。
そりゃ、そうなるわ。
「ったく、何をやっとるんだか…」
そんなことやってる場合かっての…
外部の俺があまり口を出すことじゃないのかもしれないが…今回ばかりはちょっとな。
「…出ないな。」
チュチュに直通で電話をかけると確実にケンカになりかねないので、パレオを経由したのだが…
立て込んでるのか?様子を聞こうと思ったんだけど。
頼むぜ…今日もライブがあるんだからな。
悪い影響がモロに出ないようにしてくれよ…
しかし、そんな俺の心配は無情にも打ち砕かれることになる。
「え?」
いよいよ、ライブが始まろうという時。
即座に違和感があることに気づく。
そう…パレオがいないのだ。
どういうわけだ、こりゃ。
そんなことはお構い無しとばかりに演奏が始まる。
おいおい…何のアナウンスもなしかよ?
どうしたんだ?パレオ…お前なら例え這ってでも火の中水の中ライブに来るはずだ…
何かあったのか?
演奏のほうはというと…忖度なしに今までで一番酷いものだった。パレオがいないのを抜きにしてもだ。まるでバラバラだ。
「なにしてんだよ…」
バラバラなのを纏めあげるのがプロデューサーの
役目だろうが。
おかげで、続くはポピパさん達の演奏だというのに、あまり耳に入らなかった。
「…よう。」
「…来てたのね。」
「そりゃあな。」
ライブ後。一人帰ろうとするチュチュを呼び止めた。
あまり口出しするつもりはなかったが、事情が
変わった。
「…パレオはどうした?電話かけても繋がんねーんだ…折り返しもないし…」
「…知らない。」
「知らないってどういうことだよ?メンバーの
スケジュール管理とかもプロデューサーの仕事だろうが。ましてや、パレオだぞ?お前が知らないわけ…」
「知らないったら知らないの!」
チュチュはそう吐き捨てると有無を言わさず
帰って行った。
…知らないって顔じゃなかったぜ。
あれは心当たりがある顔だ。
いいのかよ…お前はそれで。