人が、怖い。
『 』が、怖い。
怖いものへと立ち向かった結果がこれだと言うのなら、俺は、諦める。
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広島県広島市の某所。住宅街の薄暗い細道。そこには、異常が渦巻いていた。
「た、助け⋯⋯痛い⋯⋯」
宙に浮かぶ女性。足を伝い、流れる血。まさに、普通ではない景色だった。そして、それを眺める者がいた。
「なんで、
家の中から眺めていた少年は、そう小さな声で呟く。己は、家から出てないのに。何故、と。あれは、きっと俺のせいだ。少年は、今までの経験からそう結論づけた。ならば、何とかしなければ。あの女性を助けなければ。少年は、外へ出る。
「あ、ああ。た、助けて」
血を流した女性は懇願する。目に入った少年に対して。そして、少年は。
「今、降ろしてあげます。ただ、それが貴方にとって救いとなるかは、運次第だ」
少年は手を天に掲げ、体内で燻るおどろおどろしい何かを呼び起こす。その何かが昂り、溢れ出す瞬間に合わせ、手を振り下ろす。直後、轟!!!と凄まじい音と共に辺り一面が白に塗り潰される。
「
少年はそれだけ言い残してその場を去り、家へと帰る。後に残ったのは、地に伏せた女性と、砕けて大穴を空けたアスファルト道路のみだった。
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「成程ねぇ、こりはほぼ呪術師の仕業だねぇ」
「分からんですよ、呪詛師かも」
「アホか、呪詛師が人助けなんかするかよぉ。これをやったやつを見つけてさっさとお仕事終わりにしよぉ」
「ですね」
男女が仲良さげに話している。それは普通だろう。格好に関しても、何も可笑しくはない。ただの人。ただ、少年の目にはそうは映らなかった。
「どういう事だ。アイツら、間違い無い。同族だ」
少年はカーテンを閉めてベッドに身を投げる。そして、考える。今の今まで、自分と同じ存在になど会った事が無い。それが、今となって現れた。しかも、封じていた
「俺の事を探しに来たのか」
少年は、昨日女性に向かって言った言葉を思い出す。
『貴方は、運が良かったですね』
「俺はついてなかったみたいだ」
ピンポーン、と自分の家の呼び鈴がなる。バレてる、逃げようが無い事を察した少年は下へと降りていき、覚悟する。
「どうなるかな」
少年はドアを開けた。
「どうもぉ、えっとですねぇ。警察なんですけどぉ、向こうの道路がめちゃくちゃになっててぇ、何か知りませんかぁ?」
喋り方に癖がある女性が話しかけてきた。少年は一旦、白を切ってみる事にした。
「いえ、ずっと家にいるので。確かに昨晩、大きな音がした気はしますけど、ヘッドホンしてたもんで」
女性は柔和な表情をしているが、目には鋭い光が宿っていた。そして、唐突に少年に対して手のひらを向ける。その瞬間、衝撃が少年を襲った。顔を何かで殴られた様に後ろへと吹き飛ぶ。
「嘘ついちゃダメですよぉ、現場の残穢がここに続きているのは分かってますしぃ。それにぃ、あなたについての調査も済んでいるのでぇ。着いてきてくれますねぇ、
「ちょ、如月先輩!何してんすか!!急に一般人に呪力飛ばすなんて!!」
男は女性の肩へと掴みかかり、怒声を飛ばす。
「ちゃんと加減しましたよぉ。それにぃ、彼はちゃんと受けてますよぉ?自分の呪力でぇ」
先輩と呼ばれた女性は指さす。男は目線をそちらに向けると、鼻を抑えながら立ち上がる司がいた。
「あんた、きっといい人じゃないな。その力は危険なんだ」
司は女性に視線を飛ばす。それを受けた方は何食わぬ顔で言葉を紡ぐ。
「その言い方ぁ、てっきり呪力制御出来てるもんだと思ってましたけど、そうでもなさそうですねぇ」
如月は顎に手を当てて考え込む。数瞬の間。そして、あっ!と声を出す。
「春夏秋冬君、その力の使い方知りたくないですぁ?」
「なんだって?」
「如月先輩、まさか⋯⋯」
男は何かを察したようでハッとしていた。
「面倒なことは全部、五条さんにぶん投げればいいんですよぉ。という訳でぇ、呪術高専に来るといいですよぉ」
司は何が起ころうとしているか理解出来なかった。しかし、今日が間違い無く、大きなターニングポイントになる事は何となく分かった。