「うん、うん。心配しなくても大丈夫だから。また連絡するね」
司は電話を耳から話して前を向く。目の前には寺の様な大きな建造物。ここが話に聞いていた呪術高専なる場所らしい。
「ちゃんと親族の方に連絡出来たぁ?」
司の横に立った如月はそう問いかける。
「はい、事情はひとまず説明しておきました⋯⋯それで、これから俺はどうなるんですか?」
司はそう問う。今は質問するしか出来ることがない。少しでもなにか情報引き出さなくてはと必死だ。
「まぁ、説明してくれるかどうかは微妙だけどぉ。五条先生なら君が悩んでる事ぉ、きっと解決してくれるよ」
「そうですか」
話の節々に出る五条という人物の名前。司は内心、心配していた。もしも、新興宗教の怪しい教祖みたいな奴が現れたらどうしよう、と。この力の事を利用しようとしているのだったら、その時は。
「五条先生ぇ、入りますねぇ」
考え込んでいる間にどうやら例の人物のいる場所に着いていたようだ。如月がドアに手を掛けて、横に引く。そして、中にいたのは。
「おぉ、キタキタ。遅かったね、アマネ。んで、隣にいるのが〜、えっと〜、あぁ、ひととせ君ね!」
軽薄で、髪が真っ白な、バンダナの様な物で両目を覆っている怪しい男だった。
「やっぱり、騙されてましたか。悪いですけど新興宗教には手を貸しません。では失礼します」
司はすぐ様、回れ右して部屋からの脱出を試みる。
「まぁまぁ、そう言わずにちょっと話を聞いていってよ。減るもんじゃないだろ?」
驚愕だった。先程まで部屋の中で椅子に腰を降ろしていた白髪の男が、目の前に立っていた。物理的に不可能だ。なら、この男も力の使い手なのか、という考えるが司の頭の中を巡る。
「君がそこの男を見て不安になるのも分かるけどぉ。話だけでも聞いていきなよぉ。きっと君の為になるよぉ」
「酷いなぁ、こんなグッドルッキングガイ五条の見た目のどこに不満があるんだい?アマネ」
「ぜんぶぅ」
茶番が繰り広げられているのを他所目に、司はどうするべきか考えていた。そして、決断する。
「話を、聞かせて下さい。結局、説明が欲しくてわざわざこんな所まで来たのは俺だ。ただし、俺にとって有益じゃないと判断したら、その時点で帰らせてもらいます」
「うん、それでいいよ。とにかく話を聞いてもらわなきゃ始められないしね」
五条は条件を受け入れて、元の場所へと戻る。そして、近くにあった椅子への着席を2人へと勧める。
「さてと、それじゃあ。授業の時間だ」
******
「呪霊に呪術⋯⋯ですか」
五条から説明を受け、頭の中で情報を整理する。確かに、今までの経験と今の話を擦り合わせると、嘘を言っている様には感じない。
「分かりました。あなたが嘘を言っているとは思わない。そこで、俺をここに招いた理由の方を聞いていいですか?」
司はそう切り出す。もしも、この話をしたいだけならわざわざ東京まで来る必要なんて無いのだ。
「そうだね、そこについてなんだけど。春夏秋冬司君、この学校の生徒になる気は無いかな?」
五条は笑顔でそう司に持ち掛けた。