呪術廻戦・辻   作:ドラゴン竜

3 / 11
呪連桂月・2

「生徒になる気は無いかい?」

 

 

 五条は司の目を覗き込みながらそう聞いた。目隠しをしているのにも関わらず、何もかも見透かされているような雰囲気だった。

 

 

「⋯⋯無いです。今の話が本当ならば僕は尚更こんな所にいるべきじゃ無い。閉じこもってなければ、ならないんです」

 

 

 司の返答は今までの経験を踏まえた上だった。あの化け物が呪霊であるなど関係ない。人と関わってはならない。それが自分の生き方なのだ。

 

 

「ふーん、そっか。でも、やっぱりここに居た方がいいよ。その方が君としては都合がいいと思うよ」

 

 

 五条はそう諭す様に告げた。

 

 

「ッ、ですからここには────」

 

 

「君の両親の()()について知りたくないの?」

 

 

 瞬間、蘇るあの日の事。

 

 

「───────」

 

 

******

 

 

 車で揺られて3時間。司は後部座席で眠りについていた。

 

 

「着いたよぉ」

 

 

 のほほんとした女性の声で目を覚ます。頭を振るい、車を降りる。周りを見回して場所を確認する。目の前に映るのは、森の中に不自然にそびえ立つ豆腐型のコンクリートの建造物。

 

 

「ここはどこですか?」

 

 

 司は結局、分からずに目の前に立っている如月に質問を投げる。如月はスマホを弄って、まるで答える気が無さそうだ。

 

 

「あー、恵ぃ。説明して差し上げてぇ?」

 

 

「自分ですればいいじゃないですか」

 

 

「先輩めーれーだぁ」

 

 

「ちっ、分かりました」

 

 

 恵と呼ばれた男は、車の中に置いてある紙を手に取って説明を始める。

 

 

「ここは、まぁお前の事を検査する為の施設みたいなもんだ。入学試験だと思ってくれ」

 

 

「な、なるほど?」

 

 

「急に色々と言われて混乱するのも分かるが、お前の為だ」

 

 

 目の前でそう説明する恵は何処か気だるそうで、他人との関わりを拒んでるようにも見えた。しかし、それでも隠しきれない優しさが滲み出ていた。

 

 

「とりあえず分かりました。あの建物に入ればいいんですよね?」

 

 

 そう問いかける司に恵は頷きで答える。

 

 

「じゃあ、行ってきます」

 

 

 そう2人に告げて建物に向かって歩き始めた司。その背中を眺める2人。

 

 

「大丈夫かねぇ、彼ぇ」

 

 

「それは、相手次第でしょう」

 

 

「恵の時はどうだったのぉ?」

 

 

 如月の問いに少し考え込む恵。

 

 

「俺の時は2()()()()()

 

 

「彼はどうなるのかねぇ」

 

 

 既に、司の姿は見えなかった。

 

 

******

 

 建物の正面にあった唯一の扉を潜ると、薄暗い一本道が続いていた。道の端に等間隔に置いてある小型の灯篭が道を照らしていた。薄気味悪い場所だ、と司は思った。

 

 

 道なりに歩いていると、開けた所に出た。上を見上げるとシャンデリアの様な物体がぶら下がっている。それが空間が照らしているようだ。

 

 

「ようこそ、試験会場へ〜」

 

 

 暗闇が溶け出るように人が現れる。黒い装束に身を包み、口元には笑みを浮かべていた。

 

 

「えっと、はい」

 

 

 司はなんと答えていいか分からずに、一先ず相槌をうつ。

 

 

「まぁ、緊張しないで。気合い入れてしっかり臨んでくれたまえ」

 

 

 黒装束が手印を結ぶ。

 

 

「じゃあ、始めるよ。コイツをビビらずに倒せれば合格だ」

 

 

 そう言って後ろを指さす。司はその方向に目を向けると、いた。()()が。

 

 

「何でッ、それが!」

 

 

「それじゃ、試験開始ね」

 

 

 空間に鐘の音が、鳴り響く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。