CiRCLEのラウンジには黒猫が住んでいる   作:シス

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CiRCLEのラウンジには黒猫が住んでいる

 私の名前はクロ。CiRCLEのラウンジという場所に住んでいる元野良猫です。名前の響きからして雄だと思うでしょうがこれでも雌ですよ。あ、ちなみに誰に話しているかって言いますと……野良猫時代にお会いした、猫界の喫茶店を運営していた猫マスターから、そう挨拶しろと教えてもらったのです。

あと、人語も理解できるように教えてもらいました。なので、人の言葉も少しは理解できます。マスターみたいに人語を喋ったり、コップ持って洗ったりすることはできませんが……。

 

 

 

閑話休題(それはともかく)

 

 

 

 

野良猫生活からおさらばして一年以上経ち、今日も今日とてラウンジのCATタワー最上階でお昼寝中だったのですが……どうやら来客のようです。

 

「あら、クロ?……どこにいったのかしら?」

 

 む?その声は、ご主人の次に大好きなあの人の声だ。体を起こして、一伸びしてから声を上げる。そうすると、あの人がこちらに気付いてくれたようで、最上階から少しだけ顔を出した私を見て、銀に輝く髪を揺らしながら顔をあげて、私の名前を呼んでくれた。なので、もう一度返事をする私。

 

「にゃあ」

 

「クロ。そこにいたのね。おいで」

 

「にゃ!」

 

 手招きをする姿が見えたので、最上階から最短距離で一気に駆け下りて、あの人のもとへ行く。あの人が目の前でしゃがんで待っていてくれたので、あの人の足に体を擦り付ける。今日も来てくれたんですねと声をかける。と言っても、(わたし)の言葉は理解できないみたいだけど……。

 

「ふふっ……クロちゃん、今日も可愛いわね」

 

 と、言って私を優しく撫でてくださるあの人。しばらく撫でられたりくすぐられたり、おもちゃで遊んでもらったりしていた。と、そこに茶色の少し波打った髪を揺らしながら、派手目の人が来た。あ、この人は――

 

「ゆーきなっ!やっぱりここにいたんだね」

 

「り、リサ!ど、ど、どうかしたのかしら?」

 

 と、私を撫でるのを中断してしまうあの人こと、友希那のお嬢。私の事を大切にしてくれているし、何よりもすっごく優しく撫でてくれて、大好きな人。そして今来たリサのお嬢は、よくチュールをくれて、遊んでくれるいい人。この二人が来たら残りの三人も来るのかな?

あ、ちなみになんでお嬢ってつけるかといいますと、私、元裏路地猫界のトップにいまして、周りからお嬢お嬢って呼ばれていたんです。それで、私も人に対して〇〇のお嬢とか、○○の旦那という呼び方をしてます。ご主人はご主人ですけどね。

 

「いやぁ、練習終わってみんなで帰ろうかってなった時に、いなくなってるしさ~」

 

「そ、それについては謝るわ……でも、よくここにいるって分かったわね」

 

 と、少し顔を赤めながらリサのお嬢と話している友希那のお嬢。二人で色々と話しているけど、私と遊ばないの?と声をかけると、リサのお嬢がしゃがんできて私の頭を撫でながら

 

「おークロちゃん。今日も可愛いねぇ。《《チュール》食べる?」

 

「みゃ!」

 

とある言葉に即座に反応する。あれは大好物。ご主人は「食べすぎだよ!」って、時々怒ってくるけど、好きなものは仕方ないし、くれる物をもらわないのは失礼だと思うんです。猫的には。あ、できればチュールはカツオ味でお願いします。

 

「はい、友希那」

 

「え?私?」

 

 と、私の目の前でチュールを開ける前に友希那のお嬢に渡すリサのお嬢。むっ。これは野良猫時代、とある飼い犬のポチくん(柴犬系雑種の雄・当時五歳)が言っていた「食事の際、一分ぐらい待たされる」って愚痴っていたやつですか!?しかも「きちん待てないと、その待つ時間がどんどん伸びていく」ってポチくん言っていたんですけど!?

 私が軽く絶望を覚えていると、友希那のお嬢が封を切って私の口元にチュールを持ってきてくれたではありませんか!食べていいのか一度友希那のお嬢を見ると、小さく頷いてくれたのでさっそく噛みつくようにしてチュールを口にする。

 友希那のお嬢が、私のペースに合わせて出してくれるので、とっても食べやすい。あ、チュールは今日もカツオ味です。まあ、他の味でも食べるけど、やっぱりカツオが一番です。(個“猫”の感想です)

 

「湊さん、今井さん。こちらでしたか」

 

「友希那さーん!って、クロだー!!」

 

「クロちゃん……元気そうだね」

 

 と、チュールを食べ終えると同時に部屋に入ってくる三人のお嬢達。あ、やっぱり集まってきた。順に紗夜のお嬢とあこ。そして燐子のお嬢。よくこの五人で集まってなにかやっているようだけど、私はご主人からこの部屋と、この部屋を出たところにある机の上までしか出させていもらえないので、何をやっているかは分からないですが。

この間、脱走した先の部屋に変な縦に長い網がついた置物があって、それで爪とぎしていたら、ご主人にこっぴどく叱られたのはいい思い出。でも、なんで黒い線をかじっちゃダメだったんだろう?

それはともかく、紗夜のお嬢に挨拶しておこう。いつもいつも構ってくれないから、こういう時にアピールしておかないと!あ、あこはいつも一緒に走り回ったり、遊びまわったりしている仲間ですよ?……え?人?いやいや、あれは私同様猫ですよ。ええ。

 

「湊さん、黙っていなくなるのはやめて……って、なんでクロが私の足にスリスリしているんですか?」

 

「さあ?好かれたんじゃない、紗夜?」

 

「うらや……なんでもないわ。……みんな、黙っていなくなってごめんなさい。そろそろ行きましょう」

 

 と、紗夜のお嬢の代わりに友希那のお嬢が頭を撫でてくれた。あれ?今日はもうおしまい?

 

「クロー?また今度遊ぼうね!」

 

「クロちゃん、またね」

 

「クロ、今度違う味のチュール持ってくるからねー。楽しみにしててよー?」

 

「みゃおん」

 

 と、代わる代わる私を撫でてから部屋から出て行こうとする五人。また来てねと声をかけてから、私はCATタワーの最上階に昇る。今日も遊んでもらえたし、おやつももらえた。明日も来てくれると嬉しいな。なんて思いながら毛づくろいする私なのでした。

 その後、ご主人にチュール貰った事がバレて、その日の夕食を減らされました。解せません!!

 

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