それでは、お楽しみに!!
「彼方さん!エマさん! そんなダンスではラブライブで勝ち残れませんよ!! もう一度ステップの練習です!!」
放課後、スクールアイドル同好会(仮)の様子を見に行った俺が見たのは、大きな声で彼方やエマにそう言うせつ菜の姿だった。
「ごめんね、せつ菜ちゃん~ 彼方ちゃんもっと頑張るよ~」
「うん、私も頑張らなきゃ! もっと色々教えてね、せつ菜ちゃん!」
「はい! では、ステップの練習からやりましょう!」
……良かった。一瞬、険悪な雰囲気にでもなるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、どうやら問題なくやれているようだ。
「ステップの練習の前にちょっとだけ休憩しないか? お茶買ってきたぞ」
「あっ! 輝助くん!」
「こーちゃん、来てくれたんだ~!」
「輝助先輩……そうですね。春とはいえ水分不足で倒れては元も子もないですし……少し水分補給しましょうか」
俺がそう話し掛けると、三人は練習を止め、俺の周りに集まってくる。
俺が買ってきたペットボトルのお茶を飲みながら、エマが俺にこう話し掛けてきた。
「せつ菜ちゃんと彼方ちゃんに聞いたけど、輝助くんも同好会のメンバーだったんだね~」
「まぁ、一応マネージャーって形になるのかな?」
「確かに前まではマネージャーって感じでしたけど、最近の輝助先輩は楽曲提供者って感じになってますね。私のCHASEもDIVEも、輝助先輩が作曲して下さったんですよ!」
「そうなんだ~」
「今は~彼方ちゃんのソロ曲作ってくれてるんだよね~?」
「あぁ……それはちょっと後回しにして、今は全員で歌う曲を作ろうと思ってる」
「全員曲!いいですね!! 全員で歌う曲が決まれば、あとはラブライブ予選に向けてその曲で練習するのみです!」
「彼方ちゃんは後回しだと~! ちょっとムッとするけど、全員曲作るなら許してあげる~」
そんな風に楽しく談話していると、誰かが声を掛けてきた。
「あのー、もしかしてぇ~、スクールアイドル部ですかぁ~?」
声を掛けてきたのは小柄な子だった。髪はシルバーアッシュのショートカット。この学園は特に髪色に指定はないので、こういう髪色の生徒はたまに見るが……胸のリボンの色が黄色なので新入生か。
入学からすでに髪色を染めてるという事はよほどオシャレ好きとかなのだろうか? 地毛の可能性も否定は出来ないけど……
「あっ……はい!私達がニジガクのスクールアイドル同好会です!まだメンバーが5人になっていないので、正式な同好会にはなっていないんですけど……」
せつ菜がそう言うと、声を掛けてきた一年の子は俯いて何かを呟いた。
「み……」
「「「「み?」」」」
「見っつけたぁぁぁぁ!!!!」
その大声につられてもう一人、一年生がやってくる。
「どうしたの、かすみさん!? 見つけたって、もしかして、スクールアイドル部……!?」
そのもう一人の少女は……俺の事を知っているらしく……
「……!? ……内村……輝助先輩……?」
「……? どうして俺の名前を……? どこかで会った事あったっけ?」
思わずそう言ってしまった俺に彼女は少しだけ悲しそうな表情をしたが、すぐに笑顔を作り、こう自己紹介をした。
「あっ……すいません。覚えて……ないですよね。私、
「あーそうだったか。ごめんな、あんまり覚えてねぇや……」
中学の頃に卒業したこども演劇教室。あそこで一緒だった子か。あの頃の事はもうあんまり覚えてないな……
「いえ、もう3年くらい前の事ですし……仕方ないです」
やはり、どこか悲しげだ。いつかちゃんと思い出さなきゃな……
「かすみんは、中須かすみって言います! 実はかすみんとしず子の二人でスクールアイドル部を探しててぇ~、かすみん達も入部したいんですけどぉ~?」
彼女達はどうやら入部希望者だったようだ。
中須さんのその言葉にせつ菜が感激している。
「えっ? 本当に? 入部希望者……ですか!?」
「よかったな、せつ菜」
「はい! これでスクールアイドル同好会を設立出来ます!!」
こうして、ついに5人のメンバーが集まり、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が本格的に始動した。
あれから数日後──
キーンコーンカーンコーン
午後の授業が終わり、放課後。俺は全員曲の作曲をする為、音楽室へと向かおうと教室を出た。
一応、俺も同好会のメンバーだ。同好会が練習をしている間は出来るだけ学校にいるようにしている。その為、家ではなく音楽室での作曲という訳だ。
「あら? 内村君。また音楽室の鍵を借りに来たの?」
職員室に音楽室の鍵を借りに行くと先生からそう声を掛けられた。
「最近、良く音楽室を使ってるわね。スクールアイドル同好会の作曲……だっけ?」
「はい」
「頑張ってね。まだ出来たばかりの同好会で知名度もあんまりないと思うけど、応援してるわ」
「ありがとうございます」
先生からも期待されている。俺があいつらの為に出来るだけいい曲を作って、その曲でラブライブに連れてってやるんだ。頑張らなくちゃ……
音楽室に着いた俺は早速、ピアノに向かう。
(……ここは、力強く……いや、逆に静かな感じにした方がいいのか……でも、静かにするとここだけ浮いてるような感じになっちまうんだよな……)
そんな感じで必死になって、集中して曲を作っていると……
「ていっ!」
誰かに急に手刀を食らわされた。
「いてっ!?……って彼方?」
俺に手刀を食らわせたのは彼方だった。気付いたら、彼方の他に、せつ菜やエマ、中須に桜坂……同好会の皆が音楽室に集まってきていた。
「それに、皆も……練習は?」
「もう終わったよ~。こーちゃん迎えに来た~」
「コースケ先輩、すっごい集中してましたね! かすみん達が入ってきても全然気付いてなかったし」
「もしかして私達、無視されてるんじゃないかって思っちゃいました……」
「そうだったのか、ごめんな桜坂……皆も」
俺が謝ると、エマは俺を心配してこう言った。
「……輝助くん、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だよ。出来るだけ早く曲作れるようにするからさ。もう少し待っててくれ」
「そうじゃなくって、身体の方。詰め込みすぎてない?」
「詰め込みすぎ……?」
そんなつもりはないけどな……
「輝助先輩!今日、部室で話して、お披露目ライブをする事に決めたんです! 輝助先輩の曲が出来たら、お披露目ライブで発表する予定ですので、早めに作曲お願いします!」
「おう。りょーかい!」
せつ菜もこう言ってるし、やっぱり早めに曲を作った方がいいな。
「でも、今日はそろそろ終わりにしましょう! エマさんの言う事も一理あります!」
「あぁ、わかった。でも、もう少しだけいいか?」
「はい! 何か気になるところがあれば、相談に乗りますよ?」
「あーじゃあ……ここなんだけどさ……」
と、こんな風になんだかんだで上手くやっていた同好会。しかし……
「かすみさん! もっと振りを大きく! 熱量が感じられません!」
「せつ菜ちゃん、少し休憩しよ?」
「詰め込みすぎは良くないよ~」
「そんな時間はありません! スクールアイドルが大好きなんでしょう!? やりたいんでしょう!? こんなパフォーマンスではファンの皆に大好きな気持ちは届きませんよ!!」
「でもっ!! こんなの全然……可愛くないです!! 熱いとかじゃなくって!かすみんは可愛い感じでやりたいんです!!」
まさかあんな事になるなんて……
読んで頂いてありがとうございます!
次の20話で第1部が終了になります。
第2部からはアニガサキ本編に突入しますので、これからも変わらず応援して下さると嬉しいです!
感想、評価、誤字報告等々もお待ちしてます!!