虹の花咲くその日まで   作:T oga

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さて、ついにアニガサキ本編を書ける日がやってきましたよ!!

ここまで長かった~。第1部は序章と閑話含めて全24話ですからね。2クールじゃねぇか(笑)

第2部はアニガサキ本編を輝助の視点から見ていく話になります!たまにアニガサキになかった追加描写なども入れていきたいです!

この第2部1話はアニガサキの1話と一緒に見て下さると分かりやすいかと思います!

アニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第1話「はじまりのトキメキ」
https://nico.ms/so37604089

アニメと合わせて、こちらの小説もお楽しみ下さい!!



21話 終わりの日

ミーンミンミンミー ミーンミンミンミー

 

 蝉の鳴き声が街中に響き、アスファルトが弱火にかけたフライパンのように焼けている蒸し暑い真夏の午後──

 

 俺──内村(うちむら)輝助(こうすけ)は小学生の頃からの親友を家に招き、ともにゲームをして遊んでいた。

 

「いいのかよ、受験勉強は?」

「夏休みなんだから、たまには頭を休ませるのも必要だろ」

 

 親友の問いに俺はそう答える。

 

「まぁ、それもそうか」

「そうだよ……っと!」

「うわっ……!?ちょ……!?」

 

 やっていたゲームはとあるアニメの対戦ゲーム。キャラを一対一で戦わせるよくあるものだ。

 

「これで…………勝ち!」

「はぁ~負けた~! やっぱり輝助は何をさせても天才だよなぁ……」

「そんな事ねぇよ」

「去年はニジガクで生徒会長もしてたんだろ」

「まぁな、もう後輩に譲ったけどさ」

「さぞかし、頼れる生徒会長だったんだろうよ」

「だから、そんな事ないって……」

 

 本当に、俺はそんな対した人間じゃない。俳優と女優の間に生まれて、昔から芸能界で活躍出来るようにと英才教育を受けただけのただの高校三年生だ。

 

「俺なんかより、すげぇやつはいるよ」

「ふーん。前に言ってたスクールアイドルの子たちか?」

「アイツらもだけど、もっとすげぇやつがいるんだよ」

 

 そう、彼女だ。俺が出来なかった事を笑顔で成し遂げ、あのスクールアイドルフェスティバルも成功させたスクールアイドル同好会の部員を今も引っ張っていっている彼女──

 

「そいつ……高咲侑って言ってさ──」

 

 


 

 

 時は戻り──春。

 

「じゃあ、行ってきます」

「おう……最後のライブ。しっかり決めてこい」

「はい!」

 

 今日は職員会議で授業が早めに終わる日だった。14時半には授業が終わった為、すぐ準備に取りかかり、今からダイバーシティ東京のフェスティバル広場の大階段にて優木せつ菜のラストライブが開催されようとしていた。

 

 俺はせつ菜を舞台へ見送った後、一人の女性へ連絡を取る。

 

「もしもし、神枝先輩? 撮影大丈夫そうですか?」

『えぇ……問題ありませんわ。でも本当にこれが最後なんですの?』

「再び立ち上がってくれるのを祈りたいですけどね」

 

 東大への入学を果たした神枝先輩に協力してもらって、俺はせつ菜のラストライブを動画に納める事にした。この動画をネットに投稿して、せつ菜がいた証を残しておきたいと思ったからだ。

 

「じゃあ、神枝先輩。撮影お願いしますね」

『わかりましたわ。ではまた後ほど』

 

 そうして神枝先輩との電話を終える直前、電話の向こうの客席から次のような噂話が耳に入ってきた。

 

「あれ? せつ菜ちゃん一人?」

「新しいグループのお披露目だったよね?」

 

 実は一度作った宣伝用のポスターまで変える事は出来なかった。というより俺もせつ菜もポスターを作り直し忘れていたので、急遽そのままのものを使用した。

 

 今回のライブがラストライブだと言う事もまだファンの誰にも知らせていない。

 

 本当に急に始めたラストライブであった為、歌と踊りと衣装、そして明莉(あの人)の母親である江東区長の(つて)を使って用意してもらった舞台以外は何の準備も出来なかったのだ。ラストライブだと言う件については後で虹ヶ咲学園のホームページに中川が記載しておくと言っていた。

 

 

「…………」

 

 大階段を降りてきたせつ菜は喋らない。どうやらMCはやらないようだな。

 

 せつ菜は右手を固く握る。あれは曲の開始を示す合図。

 

 俺はその合図を確認した後、すぐにCDの再生ボタンを押す。

 

 

 はし~りだした~ 思いは強くす~るよ~♪

 な~やんだら~ 君の手をに~ぎろ~♪

 

 

 そして、終わり(ライブ)が始まった。

 

 

 ────♪

 

 

 夢はいつか~ほら、輝き出すんだ~

 oh Yeaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaah!

 

 

 ラスサビは歌ではなく、叫び(シャウト)だった。テンションが上がってライブパフォーマンスをしているようにも見えるが、違う。

 

 あれはせつ菜の決別の咆哮だ。

 

 叫び(シャウト)の後のやりきった顔はどこか憂いを帯びているようにも感じる。

 

 こうして、優木せつ菜のラストライブも終わり、本当にせつ菜は……居なくなったのだった。

 

 

 

 その後、中川や神枝先輩と話してから家へと戻った俺は神枝先輩の撮ってくれた動画を編集して、投稿する。

 

 投稿した動画を再確認するが、どうやら問題はなさそうだ。

 

 関連動画に文化祭の時のせつ菜のライブ動画も上がっている。おそらくあの時の観客の一人が撮っていたのだろう。

 

 他にも半年ほど前に発表された子星第一高校のソロスクールアイドル『一ノ瀬美羽』の新曲「Dream with You」や東雲学院や藤黄学園、青藍高校などのスクールアイドル部の動画も関連動画として上がっている。

 

 色々な学校のスクールアイドルの動画を見て、俺は涙を流した。

 

「こんな風に、アイツらを舞台に立たせてやりたかったな……」

 

 

 そして、朝──

 

 夜遅くまでスクールアイドルの動画を見ていた為、若干寝不足気味ではあったが、俺はいつも通りの時間に家を出る。

 

 すると、いつものように彼方が家の前で待っていた。

 

「あっ!こーちゃん、やっときた~! あのね。昨日の夜、せつ菜ちゃんからラインが来て……」

「おはよ、彼方。せつ菜は同好会やめたんだろ」

「こーちゃん、知って……?」

「あぁ……昨日、本当はお披露目ライブの日だったよな?」

「……うん。でも同好会があんなことになっちゃって、お披露目ライブなんか出来ないから……」

「やったんだよ、せつ菜一人でな。ラストライブとして……」

「えっ……?」

 

 彼方は驚き、目を見開いた。

 

「俺はあいつの意思を汲んだ。あいつが始めた同好会だ。あいつが辞めたいなら、俺は止められないよ……」

 

 そう口を開いた俺の顔を見て、彼方は何かに気付いた。

 

「あっ、こーちゃん……目……」

 

 昨日流した涙でまだ少しだけ目が腫れていたのだろう。それを見た彼方はそれ以上、何も言ってこない。

 

「……行くか、彼方」

「うん。そうだね……」

 

 こうして、俺と彼方はいつものように二人で虹ヶ咲に登校した。

 

 そんな朝の雰囲気は、二年前の俺の母親が死んだ時にも劣らないほどの暗い雰囲気であった。

 

 

 そして、何事もなく授業は終わり──放課後。

 

「どこ行ったんだ? 彼方のやつ……」

 

 俺は今、彼方を連れて帰る為、校内を探し回っている。

 

 保健室は今見てきたのだが、居なかった。その為、俺は次の候補地である中庭に来たのだ。

 

 今日は日射しが暖かいし、中庭の草の上とかで寝ているんじゃないかと思ったが、どうやらここも外れらしい。

 

「いない……ってことは、どこかのベンチで寝てるのか? うーん……」

 

 他の場所を探しに行く為、中庭から離れようとした時、「スクールアイドル同好会」という単語が聞こえた。

 

「さっきの子たち、スクールアイドル同好会見つけられるかな」

「愛さんが教えたんだもん……大丈夫」

 

 あれは……部室棟のヒーローとの異名も名高い情報処理学科二年の宮下愛。もう一人はリボンの色からして一年生か。

 

 話の流れから察するに宮下達は誰かにスクールアイドル同好会の部室を教えたようだ。……もう、同好会は廃部になっちまったんだけどな。

 

 何の用かは知らないけど、すまないな。どこぞの誰かさん。

 

「それより、愛さん……あのね」

「ん? どしたん、りなりー? ……あっ!もしかしてアタシをここに連れてきた理由?」

「うん……実はね……」

 

 明るい髪色だが、大人しそうな印象に見えるその一年生の彼女は中庭の草むらを指差すと、こう言った。

 

「猫……白いからはんぺんって名前にしたんだけど……」

 

 彼女の声に合わせてか、草むらから一匹の白猫が顔を出す。

 

 ……って、猫ぉ!? なんで学校に猫が!? どこかから迷いこんだのか?

 

 宮下も俺と同じような事を思ったらしく……

 

「本当だ。どうしたんだろ? 迷いこんじゃったのかな?」

「ううん。今日の朝、学校の近くで捨てられてて拾ってきたんだけど……うちのマンションはペット禁止だったはずだから愛さん家で飼えないかなって思って……」

「うーん。私の家は飲食店だからな~」

「やっぱりむずかしい?」

「ううん、とりあえず親に相談してみるよ~」

「私もマンションでペット飼えないか、管理人さんに確認してみる」

 

 うーん。猫ねぇ……。とりあえず明日……は土曜日だから来週くらいに生徒会へ報告しとくか~

 

 え?俺? いや、猫とかの動物飼うのって絶対めんどくさいだろ……俺はやだ。

 

 その前にまずは彼方だ。彼方、今日バイトあるのか? あるなら、早く起こさないと……

 

 

 校内を探し歩いて数十分後──

 

「やっと見つけた」

 

 ようやく、彼方は見つかった。

 

 すやぁ~ すやぁ~

 

 彼方お嬢様は良くお眠りだが、あれで意外と危険察知能力は高い。男が近寄ってくると絶対起きるんだよなぁ……ってことで起こしに行こう。

 

 1歩……2歩……3歩……ほら

 

 ( ゚д゚)ハッ!

 

 やはり俺が近づくより先に彼方は起きた。

 

「マズイ! もう夕方じゃ~ん。急がなきゃまたせつ菜ちゃんに……っ!? ……もう、怒られないんだっけ……」

「……代わりに俺が怒ってやるよ」

「あっ、こーちゃん」

「帰るぞ、彼方」

「……うん。わかった~」

 

 

 

 そんなこんなで虹ヶ咲学園の校舎を背に下校する二人とは相反して、下校中に振り返り、校舎の外から学園を見つめる生徒が一人……

 

……ぬぬぬぬぬっ!…………かすみんはやっぱり諦めませんよ!!」

 

 




読んで頂いてありがとうございました!!
この第2部1話は友達と遊ぶ→せつ菜のライブ→スクールアイドルの動画を見て夜更かし→幼馴染と登校→放課後、愛璃奈と遭遇→下校 とアニガサキ1話とほぼ同じ流れにしてみました!

アニガサキの1話挿入歌「Dream with you」はまだ歩夢と出会っていない輝助が曲を作れる訳がないですし、侑ちゃんもまだ作曲は出来ませんので、他のスクールアイドルの歌を歩夢がカバーしたという風に辻褄合わせをさせて頂きました。

1話の侑ちゃんのスマホの着信音が日進月歩……じゃなかった……えっと「夢への一歩」でしたよね!あれも同様に他の人の楽曲という事にしておいて下さい。ってか、そうしないと話の辻褄が合わなくなる。

次回からもこんな感じでアニガサキの辻褄合わせをしていけたらなと思っています!次回もお楽しみに!!
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