虹の花咲くその日まで   作:T oga

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お待たせしました!!

やっぱりちょっと文字数多めの4000文字強になってしまいましたが、楽しく書けました!

この話を執筆する際に何回かアニガサキ3話を見直したんですが、やっぱ「DIVE!」は神曲ですね!

SPYAIR好きなので、ああいう曲は大好物です!
DIVE!を作曲してくれたSPYAIRのMOMIKENさんに最大限の感謝を!!




24話 彼女は大好きを叫んだ

『……ってことがあったんだよ~』

「ふーん。そっか」

 

 夜、バイトを終えた彼方から電話が来た。今日の潮風公園で朝香達と話した内容についてだ。

 

 聞いた話によると、同好会について悩んでいるエマを見た朝香がせつ菜の正体を暴き出し、彼方達とともに生徒会室に行って中川と話したのが昨日の事。

 

 本当は中須も一緒に連れていこうとしたのだが、昨日の中須は上原や高咲と潮風公園でスクールアイドルの練習をしていて、桜坂からの連絡に気付かなかったのだそうだ。

 

 彼方達はせつ菜とちゃんと話そうとしたのだが、取り付く島もなかったらしい。

 

『こーちゃんは、生徒会長がせつ菜ちゃんだって知ってたんだよね』

「あぁ、正体を隠すなら生徒会になるのが一番楽だって誘ったのも俺だよ」

『なんで、教えてくれなかったの~?』

「せつ菜に口外しないで欲しいって言われてたんだよ。あいつの親、厳しいらしいからさ。スクールアイドルやってんのバレると不味いんだと」

『そっか~ それじゃ仕方ないね……』

 

 そこまで話して、俺は考える。

 

 彼方とエマと桜坂、それに中須、高咲、上原……

 

「あのさ、もう六人いるんだし、今いるメンバーでスクールアイドル同好会を作り直せば良いんじゃねぇの?」

『それ、果林ちゃんにも言われたよ~。でもね……』

 

 


 

 

『みなさんはどう思いますか?せつ菜ちゃん、やめてもいいんですか?』

『『『それは嫌だよ!』』』

『せつ菜ちゃんすっごく素敵なスクールアイドルだし、活動休止になったのは私たちの力不足もあるから』

『彼方ちゃん達お姉さんなのに、みんなを引っ張ってあげられなかった~』

『お披露目ライブは流れてしまいましたけど、みんなでステージに立ちたいと思って練習してきたんです!せつ菜さん抜きなんてあり得ません!』

『かすみんもそう思います!せつ菜先輩は絶対必要です!確かに厳しすぎたところもありましたけど、今はちょっとだけ気持ちが分かる気がするんですよ! 前の繰り返しになるのは嫌ですけど、きっとそうじゃないやり方もあるはずで……それを見つけるにはかすみんと全然違うせつ菜先輩がいてくれないとダメなんだと思うんです!』

 

 


 

 

「中須がそんな事を……?」

『ね~ かすみちゃん大きくなったよ~』

 

 にわかには信じられないが……中須にも何か思うところがあったのだろう。

 

『こーちゃんも、ホントはせつ菜ちゃんに戻ってきてもらいたいんでしょ~?』

 

 ……彼方も、痛いところをついてくるな。

 

 確かに俺も、せつ菜にはまだまだスクールアイドルとして舞台で輝いてもらいたいと思っている。あいつはもう自分の夢は叶ったと言ったが、あれはどうせ強がりでまだ後悔しているんだろう。多分「自分の大好きが他人の大好きを否定した」とか思ってるんだろうな……

 

 

『侑ちゃんがね、明日せつ菜ちゃんを説得してみるって言ってたんだ~。だからね、彼方ちゃん達は侑ちゃんに賭けてみようと思うの』

 

 高咲侑……どうやってせつ菜を説得するつもりなのかは知らないが、こういう時は失敗した想像はあまり考えない方がいい。

 俺も高咲に賭けてみるか……

 

「わかった。んじゃ、俺も協力するよ。詳細教えてくれ」

『うん。明日はね~』

 

 

 …………

 

 

 そして、次の日の放課後──

 

 

ピンポンパンポーン

 

《普通科2年 中川菜々さん、優木せつ菜さん。至急、西棟屋上まで来てください》

 

 上原の放送を俺は生徒会室前の曲がり角にある柱の影に隠れながら聞いていた。

 

 俺の手元にあるのは、昼休みに記入を終わらせた屋上の使用許可証。中川が屋上に向かってから、これを副会長に提出して、せつ菜の屋上ライブを認めてもらう。

 

 高咲がせつ菜の説得に成功した後、せつ菜には「同好会を廃部にする」などと言って他のメンバーを混乱させた責任を取ってもらわなくてはならない。その責任を取る方法として、始まりの歌を歌ってもらう。つまり、一度は「廃部にする」と言った張本人にスクールアイドル同好会再開の狼煙(のろし)を上げてもらうという事だ。

 劇的なシナリオだろ? 脚本家は俺だ。

 

 昨日、彼方から中川とせつ菜を同時に屋上に呼び出して、屋上で高咲がせつ菜を説得すると聞いて思いついた。

 

「わざわざ、せつ菜と一緒に呼び出すなんて……」

 

 小さくそう呟きながら、中川が生徒会室から出て来て、西棟の屋上へと向かう。

 

 俺には……気付かなかったようだな。よし!

 

 

コンコンコン

 

「音楽科三年、内村輝助です」

 

 俺がそう言って生徒会室の扉をノックすると、副会長の声が生徒会室の中から聞こえてきた。

 

「内村先輩?どうぞ!生徒総会はもう終わっていますので……あっ、中川会長は今、いらっしゃいませんけど」

「えぇ、知ってますよ。それでは、失礼します」

 

 ちなみに俺の後に副会長に就任したのは、去年会計だった子だ。中川と同じ普通科二年で、名前は……忘れた。

 

 生徒会室に入ると、副会長の他に神枝右月さんと左月さんの双子書記と、会計の子や監査の子、風紀委員長もいた。ちなみに生徒総会は生徒会メンバー6人と風紀委員長1人で行っている。

 

 懐かしいな……俺も去年良くやった。

 

「内村元会長」

「どのようなご用件でこちらに?」

 

 神枝姉妹がすぐにそう聞いてきたので、俺は手に持っていた屋上の使用許可証を見せる。

 

「中川にはもう口頭で了承貰いましたけど、一応使用許可証持ってきました。さっき、せつ菜と一緒に屋上に呼び出されたでしょう? その件です」

 

 勿論、了承を貰ったというのは嘘である。

 

「あぁ、さっきの放送はスクールアイドル同好会だったんですね。分かりました。判子押せばいいんですよね」

「はい。お願いします」

 

 副会長はそう言って屋上の使用許可証に押印した。

 

「ありがとう。じゃあ、失礼しました」

 

 

 まずここまでは完了。さて次は放送室だな。

 

 

「コースケ先輩!待ちくたびれましたよ~!」

「すまん、中須」

 

 屋上の使用許可証を副会長に提出した後、俺は上原と中須が待っていた放送室までやってきた。

 高咲がせつ菜を説得した後、曲を流す為だ。

 

「じゃあコースケ先輩、バトンタッチですよ!あとよろしくです!」

「おう。お前らは屋上で様子見に行くんだろ?」

「はい!歩夢先輩、行きましょう!!」

「うん。侑ちゃんの事も気になるし、早く行こう」

 

 そうして二人は屋上へ向かった。

 

「すいませんね、放送室使わせてもらっちゃって……」

「大丈夫ですよ。あの可愛い一年の子から()()()()()も貰いましたし」

 

 お礼のブツ……って? あぁ、中須の手作りコッペパンか。

 

 「中須らしいな」と笑いながら、放送部の生徒と話していると彼方とテレビ電話が繋がった。

 

『こーちゃん、せつ菜ちゃん来たよ~』

 

 高咲とせつ菜の会話を屋上から彼方に生配信してもらって、俺はそこから様子を見る。

 

 さて、高咲のお手並み拝見といこうじゃないか……!

 

 

『あっ……高咲侑さん』

『こんにちは。せつ菜ちゃん』

『……エマさんたちに聞いたんですね』

『そうなんだけど、音楽室で話していた時にそうじゃないかなって』

 

 どうやら、高咲は以前中川と話した時にせつ菜の正体を察していたらしい。

 

『それでどういうつもりですか?』

『ごめんなさい!』

 

 初手、謝罪とは……高度な説得術だな。

 

『なっ!?……なんですかいきなり!?』

『昨日「なんでスクールアイドルやめちゃったのかな」とか言っちゃったから。無神経すぎたかなって』

 

 そんな事を言ったのか、高咲は……

 

『はぁ……気にしてませんよ。正体を隠していた私が悪いんですから。……話が終わったのなら』

『あっ! まだあるの!』

『……何ですか?』

『私は幻滅なんてしてないよ。スクールアイドルとしてせつ菜ちゃんに同好会に戻って欲しいんだ』

 

 さて、ここからが本題か……

 

『えっ……!? 何を……! もう全部分かっているんでしょう!私が同好会にいたらみんなのためにならないんです!私がいたらラブライブに出られないんですよ!?』

『だったら……だったらラブライブなんて出なくていい!』

 

 マジか!? まさかの発言が高咲から飛び出した。おそらく、せつ菜も心底驚いている事だろう。ここからは顔は見えないが……

 

『あ、いや……ラブライブがどうだからとかじゃなくって……』

 

 高咲はそう言ってから自分の言葉の意味を説明する。

 

『私はせつ菜ちゃんが幸せになれないのが嫌なだけ。ラブライブみたいな最高のステージじゃなくてもいいんだよ。せつ菜ちゃんの歌が聴ければ十分なんだ』

 

 なるほど……

 

『スクールアイドルがいてファンがいる。それでいいんじゃない?』

『どうしてこんな私に……』

 

 ……懐かしいセリフだ。昔、俺が中川にソロのスクールアイドルを薦めた時も、同じようなセリフを言っていた。

 

『言ったでしょ、大好きだって。こんなに好きにさせたのはせつ菜ちゃんだよ』

『あなたみたいな人は初めてです……』

 

 なんて、暴論……傲慢だが、単純で分かりやすい。若干、理屈っぽくなってしまう俺とは全く違うけれど、悪くない。嫌いじゃない。

 

『期待されるのは嫌いじゃありません。ですが本当にいいんですか? ……私の本当のワガママを、大好きを貫いてもいいんですか?』

『もちろん』

 

 どうやら、説得は成功したようだな。

 

『分かっているんですか?』

 

 

 ……? 中川が眼鏡を外した。何するつもりだ?

 

 

『あなたは今 自分が思っている以上にすごいことを言ったんですからね』

 

 

 三つ編みもほどいた。……いや、まさか……?

 

 

『どうなっても知りませんよ!』

 

 

 ちょ……!? 待て待て待て待て……!!?

 

 

『これは始まりの歌です!』

 

 

 ……やっぱり!

 

 

 そうた~かく~ 果て~なく~♪

 

 

 確かに歌ってもらおうとは思ってたけどこんな急に、せつ菜の方から歌い出すとは思ってなかった……!

 

 俺は慌てて、DIVEのCDを再生するポイントをずらす。……えっと……12秒からスタートしよう!そうしよう!

 

 

 私だけの光、放ちた~い♪

 

 

「ここだ!!」

 

 

 DaaaaaaaaaaaaaaaaIVE!!

 

 

せつ菜 (え?……曲?放送?……もしかして、輝助先輩?……でも、なんで……? ううん、今はステージに集中!!)

 

 

 自信なくしてたら~♪

 

 

 …………はぁ、間に合った。

 

 もし、CHASEを歌われたらヤバかった。CDを取り替えてたら、音を出すのがもっと遅れてただろうしな……

 

 ってか、あいつアカペラで歌うつもりでいたのか……? やっぱすげぇよ、せつ菜は……

 

『こーちゃん、ナイス』

 

 彼方から一言メッセージが来た。

 

「焦ったわ……」

 

 本当に……

 

 

 こうして、優木せつ菜は無事復活し、スクールアイドル同好会は再始動したのであった。

 

 




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