虹の花咲くその日まで   作:T oga

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今回は愛さん回です! それではどうぞ!!



26話 未知なる道の果てへ

 宮下と天王寺がスクールアイドル同好会に入部してから最初に迎えた月曜日、俺はせつ菜達に呼ばれ、同好会の新しい部室に来ていた。

 

「改めて、宮下愛です! 今日からスクールアイドル頑張るよ!」

「天王寺璃奈……よろしく」

「はい! 二人ともこれからよろしくお願いします!!」

 

 宮下と天王寺をせつ菜が歓迎する。

 

「愛さんも璃奈ちゃんも、内村先輩と会うのは始めてだよね! 内村先輩、自己紹介お願い出来ますか?」

「えっと……俺は内村輝助。同好会の協力者って形で作曲や振り付けなどを担当してる。よろしくな」

 

 高咲に挨拶を振られ、俺が自己紹介をすると宮下が反応した。

 

「去年、うちらが一年生の時に生徒会長だった人だよね!よろしく~! うっちー先輩って呼んでもいい?」

 

 いきなり渾名をつけられた。これがコミュニケーションお化けの底力か……

 

「あ……あぁ、別に好きに呼んでくれて構わない」

「ありがとー! うっちー先輩!!」

 

 眩しい笑顔だな。なんていうか太陽みたいな……

 

「内村先輩……えっと、よろしく……お願いします」

「あぁ、よろしくな」

 

 天王寺は宮下とは対象的にあまり表情が動かない。人見知りなのかと思ったが、後から聞いた話だとどうやら表情を顔に出すのが苦手なようだ。

 

 俺が二人と挨拶をし終えると、中須が手を叩いてこう言った。

 

「それでは内村先輩も来て下さった事ですし、早速練習始めましょう!!」

「やる気満々だね、かすみさん」

「もちろんだよ! 今まで色々あって、ちゃんと練習出来なかったんだもん!」

 

 悪気はないんだろうが、桜坂への中須の返事に対して少しせつ菜が申し訳なさそうな顔をした。

 

「あんまり気にするなよ、せつ菜」

「はい……ありがとうございます、輝助先輩」

 

 せつ菜へ軽くフォローを入れている間にも同好会メンバーの会話は続く。

 

「しばらくの間はグループに分かれてやりたい練習をするんだったよね?」

 

 エマが皆にそう聞いた。どうやら、先週そのような話になっていたようだ。

 

「彼方ちゃんは~踊りがちょっと苦手だから、柔軟をちゃんとやりたいな~」

「柔軟なら果林ちゃんが手伝ってくれるって言ってたよ。後で私が迎えに行くつもりなんだ」

「カリンってもしかしてあの読モの!? じゃあアタシも今日は踊りの練習の方やろうかな~!」

「じゃあ、私も愛さんと一緒で……」

 

 彼方とエマ、宮下と天王寺は朝香とともに柔軟をやるようだ。

 

「歩夢は歌の練習がしたいんだよね!」

「うん。ダンスもいいけどまずは歌が上手くなりたいの」

「今のままでも歩夢の歌はすっごく上手いよ~!前歌ってくれた時、私トキメいちゃったもん!!」

「もう、侑ちゃん……///」

 

 上原が高咲の言葉にめちゃくちゃ照れてる。

 これも後で聞いた話なのだが、上原は以前高咲の前で歌って踊ってみせた事があったらしい。

 子星第一高校のソロスクールアイドル『一ノ瀬美羽』の最新曲である『Dream with You』を歌ったようで、高咲は「可愛かったんだ~」などとその時の感想を話してくれた。そこで上原はまた照れていたのだが……まぁ、それはいい。

 

「私も今日は歌の練習をしたいと思います。発声の仕方などで歩夢さんに教えられる事もあると思いますし」

「あー!じゃあ、かすみんも歌にする! しず子の発声教えて欲しかったんだー!」

「わかった。じゃあかすみさんにも教えてあげるね」

 

 ということで高咲と上原、桜坂と中須が歌の練習をする事に決まった。

 

「せつ菜はどうする?」

「輝助先輩こそ、どうするんですか?」

 

 質問を質問で返された……

 

「うーん、そうだな……」

 

 逡巡の末、導き出された結論は……

 

「じゃあ、両方見るか~!」

「ふふっ、輝助先輩らしいですね! では、私もご一緒します!」

「まずは上原と桜坂の歌から聞かせてもらうよ。作曲の参考にしたいしな」

 

 

 

 そうして、一週間。スクールアイドル同好会はグループに別れて各々、研鑽を磨いた。

 

 俺は模試などで同好会に参加出来なかったり、眼鏡を失くしたせつ菜に頼まれて一緒に彼女の眼鏡探しを手伝ったりなど、色々あったが……まぁ(おおむ)ね順調であろう。

 

 ちなみにせつ菜の眼鏡は、宮下と天王寺に『スクールアイドルとは何か?』という概論の説明をしていた中須がせつ菜に無断で使っていた。

 自分に合ってない度の入った眼鏡を掛けてまで見た目に重視した結果、そのあと目を痛めて目薬を差していたのは中須らしいなと笑ったよ。

 

 

 そして、金曜日の夜になり、せつ菜からこんな連絡が来た。

 

『今日皆さんとも話したのですが、やはり虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は全員ソロでの活動を進める事に決めました!』

「まぁ、そうだろうとは思ってたよ。一応今、全員のソロ曲作ってるところだ」

 

 上原、中須、桜坂、宮下、天王寺、それにエマも彼方もせつ菜も全員違った個性と輝きがある。

 一つにまとめるより、各々の輝きをそれぞれが磨いていく方が俺も良いと思っていた。

 

『さすがは輝助先輩です! それでは皆さんのソロ曲の制作よろしくお願いしますね! おやすみなさい!』

「ああ、おやすみ」

 

 まぁ、上原と天王寺の曲以外はもう何となく出来てきてはいるんだが……

 

 明日は確か、同好会メンバーはレインボープロムナードで走り込みをするって言っていた覚えがある。確かせつ菜か彼方から聞いた話だ。

 

 俺は別の用事があるから行かないんだけどな。

 

 俺は以前の作曲中、ギターのチューニングをしている時、弦を引っ張りすぎて切ってしまったので、そのギターを修理に出したのだが、それについて昨日店から連絡があり「修理が終わった」との事なので明日受け取りにいく予定をしている。

 

 午前中すぐにギターを取りにいって、昼からまた作曲の続きをしなければ……!

 

 そんな事を思いながら、俺は寝床についた。

 

 

 

ピピピピ……♪

 

「……朝か」

 

 朝になるとあらかじめ設定してあったスマホのアラームが鳴った。俺はスマホのアラーム機能を目覚まし代わりに使っている。目覚まし時計はあまり好きじゃない。

 

 父はどうやら休みのため寝ているようだ。

 

 俺はトーストを焼いて朝食を食べた後、身支度をして外に出る。今日は快晴だな。

 

「……さて、少し早いけどギター取りにいくか~」

 

 小さくそう独り言を呟いて、俺は自転車に跨がり、修理したギターを受け取りに向かった。

 

 


 

 

「ありがとうございました~」

 

 修理したギターを受け取って、店から出たその時、せつ菜から電話が来る。

 

「もしもし。どうした、せつ菜?」

『輝助先輩! 助けて下さい! 彼方さんが道端で寝ちゃってて……』

「あー、わかった。場所送ってくれ」

 

 せつ菜から送られてきた地図を見るに、彼方が寝ているのは海浜公園近くのコンビニの前辺りのようだ。

 

 俺は修理したギターを背に担いだまま、自転車に乗って彼方を起こしに向かった。

 

 

「あっ! 先輩、こっちです!」

 

 海浜公園まで辿り着くと、近くにいたせつ菜が俺を見つけて手招きする。

 

 そんなせつ菜の近くには、歩道で寝ている彼方がいた。これはまた、すごい所で寝てるな……

 

「ありがとうございます。急にお呼び立てしてすみません輝助先輩。彼方さん、起こそうとしたのですが、なかなか起きなくて……」

「大丈夫だ。安心してくれ、すぐ起こすから」

 

 心配するせつ菜にそう言いながら、彼方の頭をポンと叩く。

 

「……ん~? ふぁ~、彼方ちゃん寝ちゃってた~?」

 

 すると、彼方はゆっくりと目を覚ました。

 

「すごいです。私がどれだけ揺さぶっても起きなかったのに……」

 

 せつ菜は感心しているが別にすごい事だとは思ってない。俺の前だと彼方はいつもこんな感じですぐ起きるんだよなぁ……

 

「彼方……お前、どうせまた昨日の夜ちゃんと寝てないんだろ?」

「寝たよ~? 三時間くらい」

「睡眠時間が足りてねぇんだよ……ったく」

 

 まだ歩道に座り込んで、立とうとしない彼方に睡眠の重要性を説きながら無理矢理立たせる。

 

「うー! 彼方ちゃん、自分で立てます~!」

「じゃあ、立て! 早く行くぞ! レインボープロムナードだっけ?」

「あっ、はい。そうです!」

 

 そんなこんなで彼方を連れて、俺とせつ菜はレインボープロムナードへと向かった。

 

 その途中……

 

「あっ! カナちゃんにせっつー! あとうっちー先輩じゃん!」

 

 もうすでに走り込みをしているらしい宮下と出会った。

 

「愛さん! 早いですね!」

「もう走ってるの~? すごいね~愛ちゃんは」

「さっき、エマっちも居たよ! ちょっと話してたんだ!」

 

 どうやら、エマももう来ているようだ。

 

 宮下は俺の背中に背負っているギターを見て、こう言った。

 

「あれ? うっちー先輩! その背中のって……?」

「あぁ、ギターだよ」

「やっぱり!!」

 

 その後、宮下は驚きの言葉を言い放つ。

 

「あのさ、うっちー先輩! 私今めちゃくちゃ歌って踊りたい気分だからさ! ギターでなんか弾いてよ!!」

 

 え?

 

「公園で私もせっつーみたいに歌う! ほら、来て! うっちー先輩!!」

 

 そう言って、宮下は急に俺の手を引いて、レインボー公園まで走る。

 

「いや、ちょっ……まっ……」

「ほら! 早く!早く!!」

 

 おそらくこれは止めても無駄みたいだな……

 

「わかった! わかったから、腕引っぱるのやめてくれ!」

 

 

 そして、レインボー公園に着いた宮下と俺は歌う曲を決めて、準備をする。

 

 曲は宮下のソロ曲として俺が一昨日くらいに作ったばかりの歌。本当はキーボードメインの曲なんだが、とりあえずギターで軽く弾いたら「これにしよ!」と宮下は言った。歌詞はまだ決まってないが、歌いながら即興で作るらしい。……そんな事出来るのか?

 

 

「何なに?」

「なんか、ゲリラライブみたいだよ?」

 

 

 徐々に賑やかしが増えていく。

 

 

「じゃあ、行くよ! うっちー先輩!!」

「あ、あぁ……」

 

 本当に大丈夫なんだろうか?

 

 そう不安に感じたが、彼女の歌が始まったその瞬間、その不安は吹き飛んだ。

 

 

 朝が来て~ ヒカリ溢れたら~♪

 走り出そ~う Go together~~♪

 

 Ohhhhh! HIGH FIVE!! ハロー! ♪

 

 

「……っ!?」

 

 すげぇな、宮下……!さっき聞いたばかりの曲にもうこんな歌詞をつけられるなんて……

 

 

「「はい! はい! はい! はい!」」

 

 

 賑やかしに来た中学生くらいの女子達が合いの手をして盛り上がる。

 

 そんな様子を見て、さらに人が集まってきた。

 

 

 ほら、始まるよ Sparkling day! ♪

 

 

 ────♪

 

 

 太陽になりたいよ~♪

 

 Ahhhhh! Gimme Five~~♪

 

 

 ……歌いきった。初めて聞いた曲に即興で歌詞をつけて、この完成度……

 

 宮下愛。こいつは……いつでもどこでもアガれる『楽しいの天才』だ!

 

 




読んで頂いてありがとうございます!

途中、なんて書いたらいいかなって迷うところが多々ありまして……今もこの描写の仕方で良かったのかなって疑問に思ってる箇所が多いです。
もし何かありましたら感想や誤字報告などで教えて下さい!よろしくお願いします!
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