それでは、どうぞ (*´・∀・)つ!!
「東雲学院スクールアイドル部でした!! ありがとうございました!!」
俺はこの日、彼方と二人でジョイポリスに来ていた。遥の初舞台──東雲学院のライブを見に来たのだ。
「いや~、遥ちゃん可愛かったね~!」
「ははは、そうだな。まだ遥は後ろの方だったけど」
「それでも一年生からライブに出られるなんてさすがは遥ちゃん! 彼方ちゃんもお姉さんとして鼻が高いよ~!」
「確かにな。でも、さすがは東雲学院って感じですげぇ興奮する舞台だった! 彼方も色々勉強になったんじゃないか?」
「うん! 彼方ちゃんも遥ちゃん達に負けてられないよ~ 明日からも練習頑張ろう!」
スクールアイドルの名門である東雲学院のライブはやはり迫力のある興奮の
まだ一年生の遥は後ろの方でバックダンサーという立ち位置での舞台入りだったが、それでも出られるだけで凄い事だ。
「彼方は今から遥に会いにいくんだろ?」
「うん! こーちゃんも一緒に行く~?」
「いや、俺はいいや。まだ作曲の続きあるしな」
「今は果林ちゃんの曲を作ってるんだっけ?」
「あぁ、前にお前の曲作った時に天王寺が使ったDAWソフトをもっと試してみたいんだ」
彼方の曲『My Own Fairy-Tail』を作曲した時、天王寺からDAWソフトの使い方を教えて貰った俺は、父さんと、元々母さんのマネージャーであった俺のマネージャーの
その作曲ブースで俺は今、朝香の曲を作曲しているところなのだ。
「作曲ブースは使える日が限られてるからな。出来るだけ早く作りたいんだよ」
「そっか~!頑張ってね」
「おう。んじゃ行ってくる」
そうして朝香の曲『Starlight』も完成し、それから一週間が立った日の放課後──
「全員のPVも完成したし、そろそろライブに向けて動き出した方がいいんじゃないか?」という話をしに行く為、同好会の部室へ向かっていた俺は部室棟の階段を登っている途中で中須の大きな声を耳にする。
「えぇー!? ライブ!?」
中須達が部室内でなにやら話しているようだ。中須の大声は同好会の部室から聞こえた。
俺は慌てて階段を駆け上がり、部室の前までやってくる。
すると、中から皆の声も聞こえてきた。
「色々足りないのは分かってる。でもみんなに見て欲しくなって……」
この声は……天王寺だな。
「それにPVはキャラに頼っちゃったから……。クラスの子たちはいいって言ってくれたけどアレは本当の私じゃないから……。ダメ……かな?」
どうやら、天王寺がライブをやりたい。って話のようだ。俺も天王寺には特にライブで経験値を上げていって、自分に自信を持ってもらいたいと思っていたので、これは都合がいい。やはり天王寺もこのままではダメだと思っていたんだろう。
「いいんじゃない?」
「決めるのは璃奈ちゃんだよ?」
「私は璃奈さんの決めたことを応援しますよ」
「そうです。チャレンジしたいという気持ちは大事なことだと思います」
宮下とエマ、せつ菜と桜坂が肯定した。
俺ももちろん賛成だ。
「それで、いつやる予定なの?」
朝香がそう質問すると天王寺はこう答えた。
「たまたま空きが出たから来週の土曜……」
え?
「ほんとに急じゃん!!」
うるせっ!!
部室内の声を聞く為、扉に耳を当てていた俺は中須の大声に驚いて、思わず扉から後ずさる。
少し耳がキーンってした。中須の声ホントうるせぇな……。元気で声量があるっていうのはスクールアイドルとしては利点なんだが……
俺は再度耳を傾け、部室内の会話を聞く。
「結局、みんな応援するんじゃ~ん」
「……ありがとう」
えっと……どうやら皆、賛成のようだな。良かった良かった。
そんな風に思って、部室の扉の前で一人「うんうん」と頷いていたら、急に彼方がこう言った。
「それで? こーちゃんはいつまでそこにいるの?」
あれ? ……どうやらバレていたようだ。
俺が扉を開けて部室に入ると、朝香とエマが口を開いた。
「内村くん、バレバレよ?」
「すぐに入ってこればいいのに」
まぁ、そうなんだけどさ……俺みたいな健全な男子にとって女子しか居ない空間ってのはなんだかんだで入りづらい雰囲気あるんだよ……
なんて言ったところで誰も共感はしてくれないと思うので、俺は「ははは……」と愛想笑いをするのみであった。
「ステージ演出はある程度、希望に添ってくれるみたいだけど」
俺が部室に入った後、天王寺のジョイポリスでのライブについて改めて詳しく教えてもらい、『ソロライブ璃奈ちゃんステージ大作戦』の作戦会議が始まった。作戦名の立案は高咲で今も高咲がホワイトボードの前で仕切っているのだが……
ホワイトボードの位置はそこでいいのか?
俺の位置からだとホワイトボードに何が書いてあるのか全く見えないし、なんならホワイトボードの影に隠れて天王寺の顔も、天王寺の隣に座っている宮下も見えない。別に作戦名が大きく書かれているだけのホワイトボードのようなので見なくてもさして問題はないけどな。
「映像は自分で作れる」
「りなりー得意だもんね」
「うん」
ライブの背景映像は天王寺が自分で作るようだ。
「でもパフォーマンスは自信ない。だから教えてほしい」
「璃奈ちゃん、歌は前の練習の時も可愛く歌えてたし、もっと自信持っていいと思うよ」
「ありがとう、歩夢さん。でも踊りは全然ダメだから……」
「これから練習すればいいんだよ~。彼方ちゃんも練習するから、一緒に頑張ろ」
確かに以前の柔軟の時の彼方と天王寺は酷かったけど、身体の固さは日々の積み重ねで解決出来る。あと、問題になるのは……
「それで肝心の歌はどうするんだ? 俺が作曲するか?」
「ううん。歌も自分で作りたいって思ってて……実はもうすぐ完成するんだ。出来たら内村先輩に確認してもらいたい」
歌も自分で作曲しているようだ。だからPV撮影の時、俺の作曲を断ったんだな。天王寺ならDAWソフトが使えるし、歌も問題なさそうだ。
「もし、作曲で困った事あればすぐ言えよ?」
「わかった」
「さて、璃奈さんのライブについても粗方決まりましたし! 早速練習始めましょうか!!」
せつ菜のその号令で、今日も同好会の練習が始まった。
それから一週間、天王寺は柔軟や発声練習・ダンスレッスンなどを毎日真剣にこなしていった。
天王寺が作った曲『ツナガルコネクト』も無事に完成。ライブの背景映像なども出来て、準備は万端。
週の後半は少し用事があって部室へは立ち寄れなかったが、彼方やせつ菜から色々と話は聞いた。天王寺の表情についてで一悶着あったらしいが、それも無事解決したとの事だ。
そして、土曜日。ライブ当日。
『初めまして。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の天王寺璃奈です。今日は今の私にできる精一杯のライブを見てもらいたいです。楽しんでくれると嬉しいな!』
自己紹介動画でも使ったキャラクターがそう言った後、舞台の幕が上がった。
出てきたのは、VRゴーグルのようなもので顔を隠した天王寺。
「何あれ……?」
観客の一人がそう呟いた。俺も同感だ。
しかし、そんな観客のざわめきは一瞬にして消し去られた。
はずむココロ! 飛ぶようなテンション! ♪
さぁ Connect しよ! ♪
歌とともに表情がコロコロ変わるゴーグルのドット画面と舞台上でピョンピョンと可愛く飛びはね踊る天王寺の姿に俺も含め、観客はただただ圧倒されていた。
「天王寺さん、すごい……」
虹ヶ咲の制服を着た一人の女子生徒がそう呟く。リボンの色は黄色……一年生……という事はおそらく天王寺と同じクラスとかだろうか?
しかし、本当にすごい
この歌も振り付けも、背景映像も……そしてあのゴーグルも……俺や同好会メンバーの助けを借りてすべて天王寺が作り上げたものだ。
「もう俺が作曲しなくても、同好会はここまでの
悲しくはない。むしろそれが嬉しいと感じていた。
一年前のあの日、中川が生徒会室に現れて、俺と中川の二人から始まった同好会……それが今はもう俺なしでもここまでの
まるで自分の子供の成長を見届ける親のような目線で俺は天王寺の舞台を見ていた。その俺の目は涙に濡れてキラキラと輝いていたはずだ。
それと同時に自分の抱いている夢への憧れがより強くなった。
アイドルの芸能事務所を立ち上げる。
その夢への憧れが……
読んで頂いてありがとうございました!!
今まで隠していた輝助の卒業後の進路を今回ついに公開させて頂きました!
輝助は将来、芸能事務所の社長になる為に今は芸能界でのコネクションを広げている最中です。
母親が亡くなってから出なくなっていたテレビにも再び出演したりしています。今はドラマの撮影なども始まっていて、たまに学校を休んでいる日もある。って設定です。
ちなみに25話のかすみんのセリフは「かすみんも将来、先輩の立ち上げた芸能事務所に入りたいですし!」になります。
次回は彼方回です!お楽しみに!!
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