楽しんで頂けたら嬉しいです!それではどうぞ~
天王寺のライブの後、俺は高咲にとある依頼を受けた。
「あの、内村先輩……一つお願い事してもいいですか?」
「あぁ、別にいいけど……なんだ?」
「私にピアノを教えて欲しいんです!」
詳しく話を聞くと、今回の天王寺のライブの準備の時、自分が何も出来なかったのが悔しいと高咲は感じていたらしい。
「高咲は天王寺のライブの計画をまとめてくれてただろ?」
「それだけじゃ嫌なんです!もっと皆の役に立ちたくて……」
「それで作曲ってことか」
「はい。先輩は忙しいですし、璃奈ちゃんにこれからずっと作曲を任せるのはダメだと思うんです!」
確かに芸能活動とかで忙しくはなってきたが、別に作曲が足枷になるとかそんな事はない。
まぁでも2学期になれば俺も本格的に受験勉強を始めなきゃならんだろうし、その間天王寺一人に他のメンバーの曲も作曲させるよりかは、もう一人作曲出来るやつがいた方がいい。
「わかった。じゃあとりあえずピアノから教えてやるよ」
「ありがとうございます!」
こうして俺は高咲のピアノの師匠となった。
そして、高咲にピアノを教えながら、芸能活動や同好会の手伝いなどを行い、虹ヶ咲学園の三年生として最後の学園生活を謳歌していると時はあっという間に過ぎていき……
7月を迎えてすぐ……とある事件が起こる。
その日の朝は
「こーちゃん、おはよー!」
「輝助さん、おはようございます!」
俺が玄関から出ると、家の前には彼方と遥が待ってくれていた。
東雲学院に登校する遥とも途中までは道が同じである為、俺と彼方と遥は三人で話しながらゆっくり歩く。
「今日は珍しく部活がお休みなんです! だからお姉ちゃんに頼んでニジガクのスクールアイドル同好会を見学させてもらう予定なんですよ!」
遥は嬉々としてそう話す。
「ふーん。でも彼方、学園の来場者手続きした事あるのか? そう簡単には部外者を学園の敷地内に入れられないぞ?」
「それをこーちゃんにお願いしようと思って、今話してるんだよ~」
……なんとなく、そんな気はしてた。
俺もそのつもりで話題に出したしな。
「まぁ、いいよ。来場者手続きはこっちでやっとく」
「さっすが、こーちゃん!元生徒会長は伊達じゃない!って感じだね~」
「ありがとうございます、輝助さん」
彼方に散々、「お前は遥に対して過保護過ぎる」って言ってきたけど、俺もなんだかんだで遥に甘い所があるな。俺は独りっ子だし、昔から知ってる遥を妹みたいに思ってしまっているのだろう。致し方ない。
「輝助さんも今日は同好会にいらっしゃるんですか?」
「いや、すまないけど今日はドラマの撮影が入っててな」
「そうなんですね~残念です。でもドラマ楽しみですね!」
「どんなお話になるの~?」
「いや、それはまだ言えねぇよ」
放送はもう少し先になるし、まだテレビで発表もされてないから話せない。ネタバレしたのがバレると契約違反になっちまうしな。
「企業秘密ってやつですね」
「それ、なんか違くねぇか……」
そんな風に話している間に、別れ道まで辿り着き……
「それじゃ、お姉ちゃん!輝助さん! 行ってきまーす!」
「あぁ、気をつけてな」
「放課後、ニジガク来る前に連絡してね~」
「わかった~!」
そう言って遥と別れ、俺と彼方は虹ヶ咲へと向かったのだった。
「遥さんが見学に!?」
「それも今日…って、随分急だね」
昼休み。スクールアイドル同好会の全員を部室に集め、俺と彼方は遥が今日見学に来る事を皆に伝えた。
「うん。今日は東雲学院のスクールアイドル部がお休みだから、ニジガクの練習を見に来たいんだって~」
「お前らが嫌じゃなければ早速遥の来場手続きを済ませてくるつもりだが、良かったか?」
俺の問いに皆はこう答える。
「もちろん大歓迎だよ!!」
「はい!問題ないと思います!!」
「侑ちゃんがいいって言うなら私も賛成」
「かすみんもまぁ……賛成です!うっしっし……」
「かすみさん、何考えてるの?」
「ふふーん。先手必勝だよ、しず子!」
「かすかすが何考えてるのかは知らないけど、愛さんも異議なーし!」
「かすかすじゃなくて、かすみんですっ!!」
「私も彼方さんがいつも可愛いって言ってるし、会ってみたい」
「いいんじゃない。私も賛成よ」
「お客さんが来るならおもてなししないとね。ティーセットどこかで借りられないかな?」
「あっ、それなら今日子ちゃん達の焼き菓子同好会から借りられるかも」
どうやら主だった反対意見もないようだ。
「遥さんとは私も何回かお会いした事ありますし、部室までのご案内は私がします!」
「あっ、じゃあ私も!せつ菜ちゃんと一緒に遥ちゃんの案内するー!」
「えっ? じゃ、じゃあ私も!!」
「もちろん、彼方ちゃんも案内するよ~」
校門から部室までの案内はせつ菜と彼方、高咲と上原が担当し、焼き菓子同好会から借りてきたティーセットで歓迎の準備をするのを残りのメンバーで行うようだ。
中須が何やら企んでるようだが、どうせ敵情視察に来る遥に虹ヶ咲のスクールアイドルの力を見せつけようとか考えてるんだろう。
ラブライブに出場しないなら別に敵でも何でもないと思うんだけどな。
「じゃあ、せつ菜。俺は5限の後すぐにドラマの撮影で早退するから今、来場者手続きのサインくれよ。もう遥の来場許可書は書いといたから」
「了解です。早速、生徒会室に行きましょう!」
ちなみに今、せつ菜は中川の姿のまま同好会の部室に来ている。最近は良く同好会メンバーと一緒にいるし、実は噂でバレ始めてもいる。
本当に中川は隠す気はあるのだろうか……
でもまぁ、本人はこれでも必死に隠しているつもりなんだろうな。
一応、新聞部には中川とせつ菜についての真実を話した上で「
……と、少し話が脱線したが、こういう経緯で遥が同好会の見学に来たのだが、そこで事件が起こったらしい。
俺は直接それを見た訳じゃないんだが……後で俺も痛い目を見る事となる。
まさか、こんな事になるなんてこの時の俺は思ってもみなかった……
ドラマの撮影も早めに終わり、夕方頃に帰宅した俺は家の前で遥とばったり会った。
「おぉ、遥。今帰りか~おかえり……ってあれ、彼方は? 一緒じゃないのか?」
「…………」
遥はどうやら少し怒っているようだ。いや、悲しんでるのか? とにかく何かあったのだという事だけはわかった。
「あの、輝助さん。少しお話、いいですか?」
「あ、あぁ……」
近くの公園までやって来て、そこのベンチに座りながら、俺は遥の話を聞いた。
「なんだ、そんな事か」
その話を聞いた俺は、ついそう口走ってしまう。
話の内容は彼方の事だ。今日の同好会の練習後、彼方が急に寝込んでしまったので、それを遥は心配したらしい。そして遥は彼方との喧嘩の末、「スクールアイドルをやめる」とまで言ってしまったようだ。
「そんな事って……!? 輝助さんも知ってたんですか!? お姉ちゃんが同好会で良く寝ちゃうってこと!」
「今日は練習後に寝たんだろ。練習中に倒れて寝るよりよっぽどマシな方じゃねぇか」
「……天王寺さんも同じ事言ってた。本当に練習中にも寝ちゃうんだ……」
どうやら遥は彼方が学園内で寝ている事を知らなかったらしい。おそらく彼方は遥の前では弱い自分を見せないようにしているのだろう。
「そうか、遥は知らなかったんだな……」
「なんで……」
「ん?」
遥は体を小刻みに震わせながら、小さく何かを呟いた。
「なんで……」
「え?」
そして次の瞬間、遥は声を荒げて怒鳴った。
「なんで、そこまでお姉ちゃんが疲れてるのを知ってて、止めてくれなかったんですか!?」
「えっ……? いや、遥……俺はな……」
「もういいです!! 輝助さんなんか知りません!!」
そう言って、遥は走って家まで戻っていった。
読んで頂いてありがとうございます!
アニガサキ7話の後半である30話は少し長めのお話になりそうです。
書いてて少し気になったんですが、同好会メンバーの誰が喋っているか、とか分かりますかね?
分かりづらい場合は感想等で指摘してくだされば、台本形式を採用して、台詞の前に名前をつけますので、気軽にお尋ね下さい。
感想等も募集してます!次回もお楽しみに!!