それでは、お楽しみ下さい!
まぶしいあの空へと~ 飛び立つよ~♪
藤黄学園との合同演劇祭は無事、大成功で幕を降ろした。
その舞台終わり、俺に声を掛けてきたのは懐かしい旧友だった。
「久方ぶりだね、内村輝助クン」
「あぁ、久しぶりだな。……相川」
彼女の名は相川涼。藤黄学園の三年生で桜坂同様、演劇部とスクールアイドル部を兼部しており、演劇でもスクールアイドルとしても絶対的エースとして活躍している。
「また舞台に立つ事にしたんだね。ドラマの出演も決まったらしいじゃないか? いい事だよ。限りある人生だ!諦めてしまうなんて勿体ないからね」
「さすがに耳が早いな」
「ワタシはステージに立つ為に生まれた人間だからね。ステージに立つ者すべての味方なのさ」
「そうか。ありがとな」
少し棒読み気味にそう伝えると、相川は不服そうな顔でこう言った。
「……キミはワタシへの扱いが
「そんな事ねぇよ」
別に
「それで?」
「ん?」
「いや、何か話があったんじゃないのか」
彼女の事だ。もしかしたら、本当に俺が舞台に戻った事に対して祝賀する為だけに話し掛けてきた可能性もなくはないが、なんとなく他に用件があるような気がした為、俺は本題を問う。
すると、やはり本題は別にあったらしく、彼女はこう話し始めた。
「輝助クンは話が早くて助かるよ。実はねワタシ達、藤黄学園スクールアイドル部は東雲学院のスクールアイドル部と一緒にダイバーフェスに参加する予定なんだけど、スクールアイドルの枠が一つだけ空いていてね。そこにニジガクを推薦しようと思うんだ。いいかな?」
スクールアイドルについての話だったようだ。
ダイバーフェスってのは確か毎年お台場で開催されてる音楽イベントだったか? ロックミュージシャンやシンガーソングライターが出演するとよくテレビで話題になっていたはずだ。あまり見に行った事はないが、スクールアイドルの枠もあったのか? もしかしたら今年から出来たのかも知れないな。
「ふーん。いや……でも、なんで俺にスクールアイドルの話をするんだ?」
「だってキミはニジガクのスクールアイドルのマネージャーみたいな事をしているんだろう?」
「……いや、マネージャーは別にいる。高咲って言うんだけどさ」
「ん? でもニジガクの演劇部の部長さんとか桜坂さんがキミも同好会を手伝っていると教えてくれたよ?」
「……まぁ、確かに手伝ってはいるけどな。楽曲提供くらいだよ」
部長と桜坂は俺の事をどう伝えたんだ……?
「そうなのか。じゃあ直接本人達に言った方がいいのかい?」
「まぁ、そうだな。そうしてくれた方がいい」
「それなら来週にでもニジガクに行かせてもらうよ」
「わかった。じゃあ来る日が正確に決まったら連絡してくれ。来場手続きは俺の方でやっとくからさ」
と、そんな話をしてから数日が経ったある日。
昼休みに食堂で昼食を食べていると、相川と……遥から次のような連絡が来た。
相川涼『明後日、藤黄からワタシの代わりに姫乃ちゃんってスクールアイドル部の子がニジガクに行く事になったから来場手続き頼むよ。あと東雲からも一人来るけど、彼女は直接キミに連絡すると言っていたよ。もしかしたらもう連絡来てるかい?』
近江遥『輝助さん、突然のご連絡すみません。藤黄学園の相川さんからもうお話は聞いているかもしれませんがニジガクのスクールアイドル同好会と少しお話したい事があるので、また前に見学に行かせてもらった時のように来場手続きをお願いしたいです』
『あっ! 色々伝え忘れてました! 私と藤黄学園の綾小路姫乃さんの二人で明後日にお伺いしたいです!あとお姉ちゃんを驚かせたいので当日まで内緒でお願いします!』
綾小路姫乃……確か藤黄学園スクールアイドル部の二年生の子だったっけか。
俺は二人から来た連絡に『了解』と返事をして、食事へと戻ったのだった。
そして、遥と綾小路さんが来る当日の朝
「本当に生徒会長からの許可は頂いてるんですよね?」
「当たり前でしょう。それで、さっきも言いましたけど今日の放課後に東雲学院と藤黄学園から見学者が来る事になってるんで来場手続き承認して下さい」
「分かりました。内村先輩は元会長ですもんね。信じます。でも今回で最後ですよ? 次からはちゃんと会長に承認手続きしてもらって下さい」
「あぁ、分かったよ。ありがとう」
信じてくれた副会長には悪いが、勿論中川から許可などもらってない。せつ菜にもサプライズを仕掛けるつもりだからな。
少し調べたのだがダイバーフェスはお台場の野外特設会場で開催される大規模な音楽フェスらしい。観客数はざっと3000人を超える。こんな大きな舞台に立てる機会はそうそうないから皆も喜んでくれるはずだ。
この時はそう思っていたのだが、このライブに同好会が参加するにはとても大きな問題がある事に俺は全く気が付いていなかった……
「涼ちゃんからお話は聞いていると思いますが、藤黄学園二年、スクールアイドル部に所属させて頂いております綾小路姫乃と申します。以後、お見知り置きを」
「こちらこそ、よろしくお願いします。お待たせしてしまいましたか?」
「大丈夫ですよ、輝助さん!私達も今来たばっかりなので!」
放課後、虹ヶ咲学園の校門前にやってくるともうすでに綾小路さんと遥が学園に到着していた。
「それと今日も来場手続きありがとうございます!」
「おう。ここまでちゃんと来れたか、遥?」
「もうっ!子供扱いはやめて下さいって前も言ったじゃないですか!!」
「はははっ、分かってるよ。冗談だって」
遥と俺のそんなやり取りを見ていた綾小路さんは上品に笑ってこう言った。
「ふふっ、内村先輩と遥さんはとても仲がいいんですね。確か、家がお隣同士だとお聞きしましたけれど……?」
「あぁ、遥から聞いたんですね。そうなんですよ。遥は俺にとって妹みたいなもんで……」
俺がそう話すと、遥は少し俯いて何かを呟いたが、よく聞こえなかった。
「妹……そうだよね……」
その為、こう問いたのだが……
「ん? 何か言ったか、遥?」
「いえ、何でもないです! さっそく同好会の部室行きましょう!!」
何故かはぐらかされてしまった……
遥は以前、見学をしに虹ヶ咲学園に来ており、部室棟の場所を知っている為、スタスタと同好会の部室へと歩いて行ってしまう。
「あらあら、うふふ」
「ん?」
綾小路さんは遥の声が聞こえたらしく小さく笑っていた。
「綾小路さん、遥はなんて言ったんです?」
「これは私の口からは言えません。遥さんが「何でもない」って言ったんですから、何でもないんですよ」
「……そうなんですかね?」
よくわからないが、まぁいいか。
俺と綾小路さんも遥の後を追って、同好会の部室へと向かった。
「えっ?じゃあ内村先輩ってあの竹中裕子さんの息子なんですか!?」
「まぁ、はい。そうです」
「あっ! あの~内村先輩!」
先行く遥の背を見つつ、ゆっくり話ながら綾小路さんと歩いていると副会長が声を掛けてきた。
「副会長、どうかしたんですか?」
「あの~中川会長、見掛けませんでしたか?」
中川は今、部室のはずだが……素直に答える訳にもいかないしな……
「いえ、見てませんですけど?」
「そうですか……実は、夏休みの合宿棟の予約が重なってる部活があって……どうすればいいのか会長に相談しようと思って探してたんですけど……」
「あぁ、それなら両部活とスケジュール調整しないといけませんね。僕でよければ手伝いましょうか?」
「いいんですか? すいませんがお願いしたいです……」
中川の仕事の負担を増やすのも不味いしな。これくらいは俺の方で片付けちまおう。
「ってことで綾小路さん。同好会への説明はおまかせしちゃっても大丈夫ですか?」
「ええ、問題ありませんよ。遥さんは先に行ってしまいましたけど、部室は……」
「あぁ、スクールアイドル同好会の部室はこの階段を登ってすぐの233号室になります」
「分かりました。では……」
部室の場所を伝えると綾小路さんは優雅に階段を登って行った。
おそらく何か武道をやっているんだろうな、身のこなしがとても綺麗だ。
「じゃあ副会長。さっさと仕事終わらせますか!」
「はい! よろしくお願いします。元会長!!」
読んで頂いてありがとうございます!
次回からアニガサキ9話本編に入っていきたいと思います……と言ってもやはり主役はスクールアイドル!!
オリ主である輝助にはいつも通り裏方から見守って貰いましょう!
感想等も募集してます!次回もお楽しみに!!