虹の花咲くその日まで   作:T oga

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今回は菜々目線です。
オリジナルの新キャラが登場します。

本作では重要なオリキャラが主人公の他に二人出てくるんですけど、その内の一人が今回登場するキャラになります。

では、お楽しみ下さい!




3話 中川菜々の出発(たびだち)

 私、中川菜々は所謂(いわゆる)「優等生」っていうタイプの人間だと思うんです。

 

 小さい頃から親の言いつけを守って、それをあまり苦だとは感じていなくって……

 勉強も知らないことを学んでいけるので楽しいと思っています。

 

 だけど、窮屈なリアルは息が詰まる、こんな毎日から逃げ出してみたいって……少しだけですけど、そう感じてしまっていた自分もいて……

 でもやっぱりハミダシモノは怖くって……

 

 そんな時、走り出したこの思いは止めちゃいけないって教えてくれた人がいたんです。

 悩んだら、手を引いてくれるって約束してくれた人がいたんです。私はその人に救われた。

 

 交差点で迷っていた私に道を教えてくれて一歩を踏み出す勇気をくれた人──

 

 その人のためにもやってみたいって本気で思ったんです。スクールアイドルを!!

 

 

 ……と、そんな事を考えていたからでしょうか?

 

 私は見落としてしまっていたのです。

 

 生徒会室の前に掛けられた『生徒総会中。関係者以外立ち入り禁止』と書かれた立て看板を……

 

 

「失礼します!内村会長いらっしゃいますか!?」

 

 生徒会室の扉をノックして、少し浮わついた声で室中にいるであろう内村先輩に声を掛ける私。

 

 しかし、帰って来た返事は期待していた内村先輩の声ではありませんでした。

 

「現在、生徒総会中なので少しそこでお待ち下さいませ」

 

 冷静な大人という印象を受ける女性の声……全体朝礼とかでよく聞く副会長の声です。

 

 その後に内村先輩の声も扉の向こうから聞こえてきました。

 

「すまない。少し待っていてくれ」

「あっ、分かりました……。お邪魔してしまい、申し訳ありませんっ!」

 

 恥ずかしい……

 

 ふと、生徒会室周辺を見渡すとそこで私はやっと『生徒総会中。関係者以外立ち入り禁止』と書かれている立て看板に気付きました。

 

 あぁ、やっちゃった……

 

 恥ずかしさに(もだ)えていたので、ここから生徒総会が終わって生徒会室の扉が開くまでの事はあまり覚えていません……

 多分、その場で膝を抱えて静かに崩れていたんだと思います。

 

 

「すまんな、中川。待たせたか」

 

 生徒総会が終わって、生徒会室から出てきた内村先輩は私にそう声を掛けてくれました。

 

「いえ、生徒総会中ってそこにも書かれていたのに見落としていた私の責任です……」

「会長、その子が……?」

「あぁ、さっき話に出したこの学園のスクールアイドルになりたいって一年生だ」

 

 ……え?

 

 私の聞き間違いでしょうか……? さっき話に出した……!? 「さっき」っていうのは生徒総会のことですよね……つまり、生徒総会で私の話が……!?

 

「あぁ、中川。安心してくれ。お前の名前は出してない。会計と監査、書記の二人には別の仕事を任せてあるから、お前がスクールアイドルを目指してるって知ってるのは俺と副会長の神枝(かみえだ)先輩だけだ」

 

 多分、私は不安そうな顔をしていたのでしょう。それを察してか、内村先輩はそういう風にフォローして下さいました。

 

「生徒会副会長の国際交流学科三年、神枝(かみえだ)月子(つきこ)と申します。(わたくし)は服飾同好会の部長も務めさせてもらっていますので、スクールアイドルの衣装については(わたくし)にお任せ下さいませ」

 

 そのように自己紹介をする神枝月子先輩はおそらく由緒正しき家系のお方なのでしょう。

 薄緑色の綺麗な長い髪を(なび)かせて、とても丁寧にお辞儀をして下さいます。

 

 ……って、見とれてる場合じゃないです!

 

「あっ、普通科一年、中川菜々です!えっと……あの……よろしくお願いします!」

「はい、何卒よろしくお願い致しますわ」

 

 内村先輩はあれから私を見掛けたらたまに声を掛けて下さったり、交換したラインでのやりとりもあって私も彼に慣れて来たんですけど、やっぱり初めて話す上級生は緊張してしまいます……。

 神枝副会長は三年生だし、お綺麗だし、特に緊張がすごいです……。

 

 ちなみにあの日の後、すぐに期末テストの試験期間に入ってしまったので、スクールアイドルについての話は期末テストが終わってからってことになったんです。

 その期末テストのテスト返却もすべて終わって、今日からやっと私のスクールアイドル活動が始まるって日だったんですけど、いきなり失敗してしまいました……。

 

 

「んじゃ、場所変えるか」

 

 内村先輩は私と神枝副会長の挨拶が終わったのを見計らって、そのように提案します。

 

「え?生徒会室じゃないんですか?」

 

 私がそう質問すると内村先輩は「は?」と呆れた声を出した後、こう言いました。

 

「生徒会室で何が出来るんだよ」

 

 ごもっともです。

 

「屋上で柔軟とダンスレッスン、録音室で歌のレッスン。俺は中学までダンススクールに通ってたからな。特にダンスは厳しく行くぞ」

(わたくし)は民謡を学んでおりましたので、歌についてはお教え出来る事があると思いますわ」

「……お手柔らかに、お願いします」

 

 


 

 

 疲れました。とっても疲れました。私、軽い気持ちでスクールアイドルやりたいとか言ってたかもしれません。ここまでキツイなんて思ってもみませんでした。

 

「中川……お前、今まで勉強ばっかしてたんだろ」

「……はい、その通りです」

「運動不足だな。まず柔軟と走りこみ、ダンスはそれからだ」

「はい……」

「歌に関しては、まだ素人ですけれど悪くはないと思いますわよ。カラオケとかで練習なさったんですの?」

「ありがとうございます。そうなんです!カラオケは良く行きます!」

「誰と……?」

「一人カラオケです……。って、内村先輩!別にいいじゃないですか!?」

「ははははっ、すまんすまん」

 

 神枝副会長の飴と内村先輩の鞭、二人とも教えるのがとても上手で分かりやすいのが幸いです。

 

「スクールアイドルについて不勉強なので(わたくし)の個人的な所感になりますが、センスはあるのでは……?」

「まぁ、やってきゃ上手くなるポテンシャルは秘めてると思うぞ」

「あ、ありがとうございます!!」

 

 褒められるのって、嬉しいですね!

 特に内村先輩から褒められたのがすごく嬉しいです!

 

「あと、他に問題があるとすれば……」

「えぇ……」

 

 ゴクリ、と私は息を飲みます。

 

「眼鏡だな」

「眼鏡ですわね」

「はぁ……」

 

 




なんでや!眼鏡っ娘ええやろ!

みたいな感想来そうですけど、そういう意味じゃないですww
踊る時、眼鏡は危ないよ。って話です

次回もお楽しみに!

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