虹の花咲くその日まで   作:T oga

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またしても遅くなってしまい申し訳ございません。

実は仕事で右手の人差し指を怪我しまして、一週間以上PCのキーボードが叩けませんでした……

もう治りましたので、これから更新速度上げていけるように頑張ろうと思います!

という事で今回はリハビリも兼ねていつもより文字数少なめでお送りします。それでは、どうぞ~





35話 一人の舞台

「お手伝い頂いてありがとうございました。内村先輩」

「いえ、大丈夫ですよ。でもこれくらいの仕事、中川や俺に頼らなくても自分で臨機応変に対応出来るようになって下さいね」

「……はい、分かりました」

「じゃあ、俺はこれで」

「はい! 本当にありがとうございました!」

 

 副会長とともに合宿棟のスケジュール調整を無事終えた俺は改めてスクールアイドル同好会の部室へと向かったのだが……

 

「ん? あれは……綾小路さんと遥か?」

 

 その道の途中、帰って行く様子の綾小路さんと遥を見かけた俺は二人にこう声を掛けた。

 

「二人ともダイバーフェスの話は終わったのか?」

「あ、輝助さん!」

「はい。私達が伝えたい事は伝えられましたと思います」

「ん?」

 

 綾小路さんの言葉に俺は「あまりいい返事はもらえなかったって事か?」と少し疑問に思う。

 その疑問に対する答えは遥がすぐに教えてくれた。

 

「でも、せつ菜さん達は少し考えさせてくれって言ってました」

「どういう事だ……?」

 

 虹ヶ咲のスクールアイドル同好会はまだ出来て間もなく知名度も低い為、今回のダイバーフェスのような大舞台は自分達の名前を売る大チャンスのはずだ。

 せつ菜達はもちろん二つ返事で今回の話を受けると考えていたのだが、その予想が外れて俺は困惑した。

 

 そんな俺の困惑を悟ったのだろう。綾小路さんはこう切り出した。

 

「涼ちゃんから聞いてませんか? ダイバーフェスのスクールアイドル枠は三曲分しかもらってないんです」

 

 続けて遥も次のように説明する。

 

「東雲と藤黄はグループなので問題はないんですけど、虹ヶ咲の皆さんはソロアイドルですから……」

「なるほどな……せつ菜達が「考えさせてくれ」って言ったのも理解出来たよ」

 

 スクールアイドル枠は三曲分しかない為、東雲学院と藤黄学園が各校一曲ずつ歌うと虹ヶ咲が歌えるのは一曲のみという事になる。つまりソロアイドルが集まった同好会である虹ヶ咲からは九人の中でダイバーフェスに出場する者を一人選出しなければならない訳で……

 

 ……あの中から一人を選ぶのは、特にせつ菜や中須には難しいだろう。

 

 音楽の方向性の違いで色々と揉めてしまったせつ菜と中須のように他の部員も衝突してしまう事を怖れた為、今回の話は一度保留という事に決めたのだろう。

 

「……って事は、今あいつらはそれについての話し合いをしてるって事だよな」

「はい。そうだと思いますよ」

「わかった。ちょっと俺もあいつらの様子見に行ってくるよ」

 

 

 という事で、綾小路さんや遥と別れた俺は同好会の部室へと戻ったのだが……

 

「あれ? いない……って事は屋上か?」

 

 おそらく柔軟のついでで話し合うつもりなのだろう。

 

 そう考えた俺は屋上へも見に行ったのだが……

 

「ここにもいないのか……」

 

 当てが外れたようだ。

 

 その後も思い当たるところを色々探したのだが一向に見つかる気配もなく、そろそろ帰ろうかと思った矢先に彼方から電話が来た。

 

『こーちゃん、まだ学園にいる?』

「あぁ、生徒会の仕事手伝ってて終わったから同好会と合流しようと思ってたんだが、見つからなくてな……」

『そっか、そうだったんだ。ごめんね。でも今日の同好会はもう終わりだから、帰るなら送ってって欲しいなー』

 

 どうやら、今日は早めに終わるようだ。ダイバーフェスの話し合いはどうなったのか気になるが、それは彼方を送る時に聞けばいいだろう。

 

「了解! じゃあ自転車置き場で待ち合わせにするか」

『わかったよ~ ありがとうね、こーちゃん』

「おう。んじゃ後で」

 

 俺はそう言って電話を切り、自転車置き場へと向かって足を進めたのだった。

 

 


 

 

 そして、彼方を自転車の後ろに乗せて帰る道の途中、俺は彼方にダイバーフェスについてこう質問をした。

 

「なぁ、彼方。今日、遥と藤黄の綾小路さんが来てただろ」

「うん。せつ菜ちゃんが知らなかったからやっぱりこーちゃんが来場手続きしてたんだね」

「あぁ、ホントは二人と一緒に部室行く予定だったんだが、副会長に仕事の手伝いを依頼されてな。ちょっとそっちに行ってた」

「そうだったんだね~」

 

 ここで本題を切り出す。

 

「それでダイバーフェスは結局誰が出る事になったんだよ」

「その事でちょっとね……それで今日は早く同好会が終わったんだよ~」

 

 そう言った後、彼方は今日の同好会での話し合いについて教えてくれた。

 

「果林ちゃんがね。「今回のステージに立てるのは一人だけだから誰が出るか決めよう」って言ってくれたんだけど、皆遠慮しちゃって……」

 

 


 

『互いに遠慮し合った結果、運頼み。そんなのでいいわけ?』

『ですが私たちは……』

『衝突を怖がるのは分かるけどそれが足枷になるんじゃ意味ないわ。それで本当にソロアイドルとして成長したと言えるの? ……遥ちゃんはともかく綾小路さんは好意だけで私たちを誘ったわけじゃないでしょうね』

『えっ?』

『そうなの?』

『いずれにしても今回は同好会が試されるライブになる。だから本気でそれに立ち向かえるメンバーを選ぶべきよ。……今日は帰るわね』

 


 

 

「ふーん。まぁ、朝香の言う通りだな」

「だよねぇ。果林ちゃんが正しいのは分かってるんだけど……」

「また同好会が壊れるのが怖いんだよな」

「……うん」

 

 気持ちは分かる。俺ももう以前のようなせつ菜を見たくはない。もちろん他の誰かがせつ菜のように悩むのも……

 

「でも、やっぱりこのままじゃお前らも成長出来ないよな」

 

 自転車の後ろから小さく「うん」と返事が聞こえる。

 

「どうすべきなのか、もう一度ちゃんと話し合ってみろよ」

 

 今回の件、俺からはあまりアドバイス出来るような事は無さそうだ。俺みたいな部外者の助けなんか無くても自分達で解決出来なきゃ、本当にスクールアイドルとしての成長は見込めないと思う。

 

「そうだよね……彼方ちゃんも考えてみる」

 

 その日の彼方はそれ以上、何も言う事はなかった。

 

 




読んで頂いてありがとうございました!!

次回もお楽しみに!!
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