しかし、なんとか完成致しました!
約8500文字とボリュームたっぷりです!(また分割する事も考えましたが、勢いで全部まとめて書き上げましたww)
ちなみに一部、三人称になっているところがあります。
それでは、お楽しみ下さい!!
「「「スクールアイドルフェスティバル、スタート!!」」」
集まった観客やスタッフ全員の掛け声とともにスクールアイドルフェスティバルが幕を上げた。
俺は今、上原のライブ会場である夢の広場付近にいる。とある人を待っているのだ。
「輝助くーん!」
数分後、待ち人は現れた。
「時間ぴったし。さすが私だね」
「はいはい。さすがはあの山崎明莉元生徒会長でございますね……」
「その言い方は思ってないよね……?」
「当たり前じゃないですか。もう始まってますよ」
待ち人とは俺の前任の生徒会長、明莉さんだ。
「まだライブは始まってないから大丈夫だよ!」
「まぁ、そうですけど……」
「じゃあ早速行こうか。全部のステージを動画に納めないといけないからね!!We are tight on time!!」
フェスの開演時間は12時~19時。7時間ですべての会場を回るのは難しいと個人的には思うのだが、この人は本気のようだ。
昨日の電話で聞かせてもらったのだが、彼女はどうやらフェスの動画を撮りたいらしい。なんでも海外にいる知人にフェスの様子を撮った動画を送りたいのだそうだ。
海外の知人というのが誰なのかは検討もつかないが、明莉さんはスイス大使館の職員だ。おそらく仕事の関係者なのだろう。
「おーい!立ち止まってる暇はないよ~! Let's Go!」
色々思い返している内に置いてきぼりを食らってしまったらしい。
「今、行きます」
まず見に来たのは待ち合わせ場所の目の前──上原のライブ会場だ。
あ~るきだそ~ Dreaming way♪
み~らいへと~つ~づく♪
フラワーロードを歩きながら歌う上原の顔は満面の笑み。昨日俺の家に押し掛けてきて無理難題を突きつけてきた彼女と同一人物とは思えないほどの可愛い笑顔だ。
「ありがとー!みんなー!!」
ちなみに昨日作っていたあの曲はというと……
「いいステージだ。歩夢ちゃんの売りはファンとの距離の近さみたいだね!それじゃ、次行くよー!」
「あっ、はい。了解です」
……それは後で話そう。
次に来たのはヴィーナスフォート。彼方のステージなのだが……
「ふわぁ〜ちょっと横になっちゃおうかな〜」
ステージはベッド。客席もベッド。そして、彼方とそのファンが一緒に寝るお昼寝ライブ……
「こんなライブ、ありなのかな……?」
見に来ていた遥から漏れる困惑の声。隣の明莉さんも固まってしまっている。
「お祭りだから、ありなので~す」
うん。彼方らしくて、ありだと……思うぞ……
個性的なのは彼方だけではない。ダイバーシティ東京のフェスティバル広場の大階段ではせつ菜と中須、桜坂の寸劇が繰り広げられており、ジョイポリスでは天王寺がゲーム大会を行っていた。
どちらもスクールアイドルのライブなのか?と少し疑問に思うところもあるが、これこそが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の強みでもあると言える。
「やはり、ニジガクのスクールアイドルは面白いね。みんなそれぞれ個性が光ってるよ」
「ですね」
レインボープロムナードで宮下がステージ横にもんじゃ焼きの屋台を出していたので、そこで買ったもんじゃ棒を食べながら、俺と明莉さんは今まで撮ってきたライブ動画の確認をしていた。
「問題なさそうだね。それじゃあ次はエマと朝香果林さんだね。場所はどこだったかな……?」
「この時間なら二人ともセントラル広場ですね。早速行きますか」
俺がもんじゃ棒を食べ終え、地図を片手にベンチから立ち上がると、明莉さんはこう言った。
「おっ、君もノリノリだね。……お母さんが自殺したばかりの頃の暗い君と同一人物とは思えないよ」
「……俺もあいつらに変えられたって事ですかね?」
「ふふっ、君を生徒会長に推薦した私の判断は間違ってなかった訳だ」
そんな彼女の言葉に俺は逡巡する。そして……
「そうですね。感謝してます」
すると彼女は目を丸くする。
「君からそんな素直な言葉が聞けるとは思わなかった」
「俺も自分に驚いてます」
俺と彼女は目を見合わせて……笑いあった。
「ふふっ、それじゃ行こうか」
「はい。行きますか」
セントラル広場付近へとやってくると、自由の炎像がある辺りにプラネタリウムのような幻想的なステージがあった。そこで歌っていたのは……
Vividな世界 ねぇ どうして♪
一緒だったら心はずむの♪
「朝香果林さんだね。さすがの歌唱力だ」
「はい。ダイバーフェスの時もすごい存在感だったんですよ」
ちょうど歌っている曲と場所もダイバーフェスの時と同じだし、あの時の感動が再び蘇る。
「ダイバーフェスも凄かったらしいね。私は動画で見たんだけれど、今ここで実際に聞くと想像を遥かに超えてくるよ」
そんな朝香が歌い終わって少し経った後、エマのステージも同じ場所で始まった。
きっとこの場所で~♪
夢が目覚めてくから~♪
このフェスで先ほど仲良くなったばかりらしい子供達をステージに上げて、一緒に踊って歌っているエマ。
「エマらしいステージだね。癒されるよ」
明莉さんの言う通り。彼女の歌は優しく心地よい──まさしく癒しの歌。
「はい。それに楽しそうです」
子供達もエマ自身もとても楽しそうだ。
「日本に来て良かったね、エマ」
そんなエマのステージを見て、明莉さんは小さな声でそう呟いていた。
エマのステージが終わった後、明莉さんがエマに挨拶をしに行きたいと言ったので俺達は舞台裏へとやってきた。
俺達が舞台裏でエマを見つけた時、彼女はノートを開いて何やら確認をしているところだった。
「久しぶりだね、エマ。ライブとても良かったよ」
明莉さんがエマにそう話し掛けると、エマはノートから顔を上げる。
「あっ、アカリちゃん!本当に久しぶり!ライブ見にきてくれてありがとう!!」
「こちらこそありがとね!いいライブを見せてもらった。動画もばっちりだよ!」
「そっか、動画撮ってくれてるんだね。輝助くんもアカリちゃんもありがとう!」
「おう」
「ありがとう」が多いなぁとどうでもいい事を思いながら俺がそう返事した後、明莉さんがエマにこう尋ねる。
「それでエマは何を見てたの?」
「このノートの事?」
「うん。何?」
「輝助くん話してないんだ?」
「あぁ」
「え? 君はこのノートが何なのか知ってるの?」
「はい」
そう。俺はこのノートが何かを知っている。
「輝助くん、教えてあげてよ」
「頼むよ、何なんだい? このノートは?」
エマが教えればいいんじゃないのかとも思ったが、おそらくこの状況をエマは楽しんでいるのだろう。無論、俺もだ。普段、明莉さんに振り回されてばかりだから、反撃出来る数少ないタイミングは楽しまなければ……!
まぁ、でも今日は時間に余裕がある訳でもないし……隠す事でもないから、教えてあげないとな。
「歌詞ですよ、新曲の」
「新曲?」
「今日のフェスのエンディングで披露する曲です。昨日作り始めたばかりで、まだ完成しきってないんですけどね」
俺がそう言うと、彼女は驚きの声を上げた。
「昨日!? それにまだ完成じゃない!? それって大丈夫なのかい?」
「今、この歌詞ノートを皆に回して最終確認をしてるところなの。東雲と藤黄のライブの時に練習時間が取れるから、そこで最後の練習をしてフェスの最後に披露する予定なんだ~」
「ん?皆に回してって事は……」
エマの言葉に明莉さんは違和感を覚えたようだ。さすがに察しがいい。
「そうです。虹ヶ咲の同好会メンバー全員で歌う曲ですよ」
「なるほど……それは確かにエンディングに相応しいね」
俺はこのノートについて気になっている事があったのでエマにこう尋ねてみた。
「エマ、このノートはどこまで回ってるんだ?」
「今から彼方ちゃんに渡して、その後果林ちゃんと愛ちゃん、璃奈ちゃんに回して、最後にかすみちゃんとしずくちゃんって流れだから……」
「まだまだじゃねーか」
「でもなんとか間に合いそうだよ。早速、彼方ちゃんに渡してくるね」
「出来るだけ早く確認して回せって彼方に伝えといてくれ」
「わかった~! 輝助くんとアカリちゃんも動画撮るの頑張ってね~!」
そう言って、エマは走っていった。
「本当に間に合うのかい?」
「うーん。エマもああ言ってたし、大丈夫だと思いたいです」
大分ギリギリだけど、なんとかなるか……? これは賭けだな。
その後、東雲学院や藤黄学園のライブも録画し終えた頃──
「あれは……璃奈ちゃんとしずくちゃんかな?」
明莉さんが指を差した先には、確かに天王寺と桜坂の姿があった。
「はい。しずくちゃん」
「ありがとう、璃奈さん。後は私とかすみさんで最後だっけ?」
「うん」
どうやら天王寺が確認し終えた歌詞ノートを桜坂に渡しているところのようだ。
「おっ、なんとか間に合いそうだな」
「あっ、輝助先輩!!」
「桜坂は確かこの後、またせつ菜と中須との寸劇第二部の時間だろ。行ってこいよ」
「寸劇第二部って……まぁ、確かに即興でやってますけど……」
「頑張って、しずくちゃん!りなちゃんボード『ファイト』!」
「ふふふっ、ありがとう。行ってきます!」
桜坂を見送った後、俺は天王寺にこう聞く。
「曲の方はどうだ?」
「大体オッケーです。でもちょっと内村先輩にも確認してもらいたいところがあって……」
俺がちらっと後ろを振り向くと……
「ライブの動画はあらかた撮り終えたから、後は私一人でも大丈夫だよ。今日は手伝ってくれてありがとう」
明莉さんがそう言ってくれたので俺は天王寺と一緒に曲の最終確認へ向かう事にした。
「じゃあ、すいませんけど俺はこれで失礼します」
「エンディングまで楽しみに待っているよ」
「今日は一緒に回れて楽しかったです。ありがとうございました!」
彼がそう言った後、明莉の顔が赤くなっていたのに気付いたのは天王寺璃奈ただ一人であった。
(内村先輩、色んな人にモテるんだなぁ……)
曲の最終確認が終わった17時頃──
ポツポツ
「ん?」
ザー!
突然、雨が振りだした。
「雨?」
「…………」
「内村先輩?」
「天王寺は皆と合流してくれ。俺も後で行く」
天王寺にそう指示を出した後、俺は携帯を取り出した。
「もしもし……」
ステージが使えるのは19時まで……
おそらくこの雨の降り方だと19時までにやむかどうかは五分五分と言ったところだろうか?
コラボステージは諦めるしかない。だがエンディングだけはどうしても諦めきれない!
「もしもし、明莉さん?」
『うん。この雨の事だろう。今お母様に連絡は取ったよ。30分なら引き伸ばせる』
「つまり19時半までですね。……了解しました。生徒会へは俺が連絡しましょうか?」
『残念だったね。私は今、神枝姉妹と一緒だ』
「双子書記と……なるほど、じゃあ副会長にファンをなんとか引き止めるよう言っておいて下さい」
『分かった。同好会への連絡は
「はい」
よし、高咲……いや、上原に連絡しよう。
さて、サプライズライブのスタートだ!!
「雨、やっとやんだね」
藤黄学園の紫藤美咲が空を見上げて呟く。
「でも……」
同じく藤黄学園の綾小路姫乃も力ない声を漏らした。その理由は……時間だ。
姫乃の携帯画面に映しだされている時間はすでに19時を過ぎていた。
「これで終わりなんですか?」
遥がそう尋ねると、侑はこう答える。
「そうだね。もうステージは使えないし、集まってくれたみんなも帰っちゃっただろうし……こんな、終わり方……」
俯く侑に歩夢は力強くこう言った。
「終わりじゃないよ。これで終わりになんて……出来ない!……まだ伝えたい事があるから……」
「え……?」
そんな時、侑のスマホが鳴る。
『雨、やみましたね!』
『みんな待ってますよ!』
「みんなって……?」
『みんなはみんなです!』
侑の電話の相手は今日子、色葉、浅希。
『ほら!』
浅希がテレビ電話に切り替えてカメラを客席へと向ける。
「あっ……!」
その客席には同好会の皆のステージを今か今かと待ち望んでいる大勢のファンの姿があった。
『副会長があとワンステージだけやれるように学校に掛け合ってくれたんです!』
本当は輝助と明莉の働きなのだが、ファンのみんなは副会長の働きだと思い込んでいる。輝助も明莉も影に徹したのだ。
『それぞれのステージにも、まだ人が残ってます!』
『だから、まだ終わりじゃないです!』
実は歩夢だけは輝助からこの事を事前に聞いていたのだ。雨のやむ時間がどうなるかわからず、もしかしたらこのまま本当に終わりになってしまう可能性も残されていた為、他の人に何も伝えていなかったのだが、歩夢は心のどこかであとワンステージなら出来ると確信していた部分もあったのだろう。もしかしたら侑を想う気持ちが空を晴らしたのかもしれない。
「走れば間に合うよ!」
「早く行かなくちゃ!」
「急ぎましょう!」
愛とエマ、せつ菜と藤黄学園の皆が走り出す。
「私たちも!」
「ダッシュですよ!」
しずくとかすみも
「「ふふっ」」
果林と彼方、東雲学院の皆も同様に走り出す。
「ほら、侑ちゃん!」
そして、歩夢が侑の手を引いて皆を追うように駆け出したのだった。
テントのあったウエストプロムナードの南側から虹ヶ咲学園まで最短で行くにはあけみ橋を通るルートが最適である。せつ菜やエマ、愛、璃奈、かすみ、しずく、そして藤黄学園のメンバーがそのルートで虹ヶ咲学園へ向かう。
歩夢と侑、果林と彼方、東雲学院のメンバーは夢の大橋を渡っていったようだ。
歩夢と侑が一番最後に虹ヶ咲学園のエントランスプラザに到着したのだが……
「はぁ……はぁ……」
この中で一人だけスクールアイドルではない侑が一番息切れが激しい。
「準備は出来ていますよ、虹ヶ咲の皆さん」
「想いをちゃんと伝えてくださいね!」
姫乃と遥が集まったニジガクの全員に声を掛ける。東雲と藤黄にもエンディングライブの事はあらかじめ伝えてあった。
そんな時、彼方はステージの舞台裏にいる輝助を見つけた。姫乃の「準備は出来ている」という言葉は彼の合図があったからなのだろう。
「ありがとう」
彼方の感謝の言葉は、輝助へ向けての言葉でもあった。
「侑ちゃん。このステージは客席から見ててほしいの」
「あっ……えっ?」
歩夢はそう言った後、他の皆と一緒にステージの舞台裏へと走っていく。
一人取り残された侑は歩夢に言われた通り、客席へと向かうのであった。
「昨日作った曲のデータはもう入れてある。あとは再生ボタンを押すだけだ。こっちいつでも行けるぞ」
俺はニジガクのメンバーが舞台裏までやってきた事を確認して、今の状況を伝えた。すでに準備は万端だ。
「衣装はどうするんですか?」
遥がそう尋ねると、せつ菜はこう答えた。
「全員一緒の衣装というと、やはりこのTシャツでしょうか……?」
「うーん。それだとなんか味気ないよね~」
俺も彼方の言う通りだと思う。しかし、今さら衣装を作っている暇などない。
「全員バラバラでいいんじゃないですか?」
悩む時間も惜しいと言いたげに中須が言った。
「うん。私もかすみさんの意見に賛成かな」
「バラバラな方がニジガクって感じするよね!」
「私もそう思う」
桜坂、宮下、天王寺が中須の意見を肯定する。
「ふふっ、そうね」
朝香も頷く。他の皆も異論はないようだ。
「じゃあ、皆それぞれの衣装に着替えよう!」
「急がないとね!」
上原とエマの言葉で全員が一斉に動き始める。
「私達も手伝います!」
綾小路さん達も着替えを手伝うようだ。なら俺はさっさと退散しよう。
「それじゃ、全部終わったら連絡してくれ。今、生徒会が照明をやってくれてるから、俺もそっちに行くよ。曲のスタートは東雲か藤黄の誰かがやってくれればいいからさ」
「「「「わかりました!」」」」
『こーちゃん!オッケーだよ!』
数分後、彼方から来た連絡を見て俺は副会長に合図を出す。
「準備出来たってさ」
「わかりました!」
副会長がステージをライトアップさせるとともに客席からは大きな歓声が上がった。
ステージの上には虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の九人がそれぞれの衣装を見に纏い、横一列にズラっと並んでいる。
その中で最初に一歩前へと踏み出したのは中須だった。
「最後のステージに集まって頂いた皆さん!そして、モニター越しに見てくれている皆さん!」
俺は中須へとライトを向ける。
「今日は私たちと一緒に楽しんでくれて 本当にありがとうございます!」
次に前に出てきたのは宮下。中須へ向けている物とは別のライトで宮下を照らす。
「ちょっとアクシデントもあったけど、みんなのおかげでこのステージに立つことができました!」
次は天王寺。
「今日はいろんなステージを回って、みんなと繋がることができて……とっても大切な一日になりました」
「スクールアイドルフェスティバルはみんなの夢を叶える場所」
桜坂も他の三人と同様にライトアップ。
「私たち同好会はグループとしてではなく、一人ひとりがやりたい夢を叶えるスクールアイドルとして歩き始めました」
この後は朝香のようだ。桜坂の言葉の途中で前に出てくれたおかげで照明もやりやすい。
「一人で夢を追うことは簡単ではなくて……それぞれが、それぞれの壁にぶつかったけど」
「その度に誰かが誰かを支えて、今日ついに大きな夢を叶えることができました!」
「私たちは、一人だけど……一人じゃない!」
エマのライトアップはタイミングばっちりだったが、彼方へは少し遅れたな。
「今までみんなに支えてもらった分、次は私たちがみんなの夢を応援します!」
せつ菜は手を前に出して、そう宣言する。
そして……
「これからも、つまずきそうになることはあると思うけど……あなたが私を支えてくれたように、あなたには私がいる!」
上原の言葉はおそらく高咲への言葉だろう。
「この想いは一つ!だから……全員で歌います!」
「「「「あなたのための歌を!!」」」」
ラ~ラ~ラ~ ラ~ラ~ラ ラ~ラ~♪
その手を伸ばして♪
ラ~ラ~ラ~ ラ~ラ~ラ ラ~ラ~♪
夢を追いかけて♪
歌い始めた曲は『夢がここからはじまるよ』。
上原の言葉と伴奏を被せるように曲を再生させたのが誰かは知らないが最高のタイミングだ!
客席からはまだ歌い出しにも関わらず、驚きと感動の声がもう漏れ始めている。
心のアルバムに~ 溢れ~てる思い出~♪
零れ~た涙だって~ 今輝き出すよ~♪
A、Bパートの振り付けはそれぞれのソロ曲の振り付けをそのまま流用している。
この振り付けを流用するという名案を生み出したのは上原だ。作った曲と歌詞のフレーズに合うようにうまく合わせてくれた。なんと回していた歌詞ノートはどこに誰の振り付けを合わせるか考える為でもあったようだ。これについては俺も後で知った。
始まるんだ New Stories♪
あの日芽生えた勇気♪
そしてサビ等の全員で合わせる振り付けは出来るだけ難しくないものを俺が考えた。手を振ったり、伸ばしたり、足踏みしたり、飛んだりなど単純な動作しか選んでいない。まぁ、時間も無かったからな。
新しい明日へと さぁ夢が~♪
ここから始まるよ~♪
初めて全員で合わせたとは思えないくらい綺麗に振り付けが揃っている。
確かにそれぞれ個性があり、バラバラな同好会ではあるが、今この瞬間は高咲の為に想いを一つにして歌っている。同じ想いだからこそここまで綺麗に揃ったパフォーマンスを披露出来ているのだろう。
始まるんだ New Stories♪
あの日芽生えた勇気♪
曲がラスサビに入ると同時に東雲学院や藤黄学園のスクールアイドルもそれぞれの衣装を着て、ステージに現れた。
おそらく歌詞ノートを見て、この短時間で歌詞を覚えたのだろう。虹ヶ咲と東雲、藤黄のスクールアイドル全員で歌っている姿は圧巻だ。
ラ~ラ~ラ~ ラ~ラ~ラ ラ~ラ~♪
その手を伸ばして♪
ラ~ラ~ラ~ ラ~ラ~ラ ラ~ラ~♪
夢を追いかけて♪
「「「「ありがとうございました!!」」」」
最後のステージが終わった後、高咲が俺の元へとやって来た。
「内村先輩、ありがとうございました!」
「高咲……ごめんな。お前の作ったフレーズ使っちまった」
「いえいえ、最高の曲を作って下さって……それに皆で歌ってくれるなんて……本当に嬉しいです!ありがとうございます!!」
「その言葉、上原にも言ってやれよ。このエンディングライブを企画したのは上原だからな」
「歩夢が……!」
「もちろん上原だけじゃない。同好会の全員がお前の為を想って歌ったんだ。……愛されてるな、高咲」
「みんなにもありがとうを伝えてきます!」
「おう!行ってこい!」
走っていく高咲の後ろ姿を眺めていたら、彼女は立ち止まってこちらを向き直った。
「……ん?」
「内村先輩!!私、内村先輩の曲よりも素敵な曲を必ず作ってみせます!!」
そう宣言して、彼女はまた駆け出していった。
「ふふっ……ははははっ!!」
思わず笑ってしまった。でも高咲ならきっとやってくれそうな気もしてくる。
昨日は高咲がいなかったら、あの同好会は生まれなかったと中須の言葉を聞いて思ったのだが、その高咲がスクールアイドルに興味を持ったのも俺が提案したせつ菜の引退ライブがきっかけになっている。
それを思うと、やはりすべての始まりは生徒会長だった俺をせつ菜が訪ねてきたあの日だったんだと思う。
しかし、俺一人の力ではこのフェスを……同好会を作る事は出来なかった。
ここから先の物語は
「期待してるぞ、高咲。そして、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会……!」
ここまで読んで頂いてありがとうございます!!皆さんのおかげでなんとか完結させる事が出来ました!
2期の1話を見て2期編の構想も何となーく浮かんでますけど、アニガサキ2期の展開次第といった感じですね……
とりあえずここで完結とさせて頂きます!
改めまして、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました!これからも何回も読んでこの作品を愛して頂けたらとても嬉しいです!