虹の花咲くその日まで   作:T oga

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お久しぶりです。2期編開始です!

(ラン)(ホー)(ジー)(シュ)阅读(ユェドゥ)(それでは、どうぞ)




2期編
新章1話 嵐のような鐘の音


 性格が、波長が、気が合わない。

 

 そのような『合わない人』というのは誰にでも存在する。

 

 俺──内村輝助(こうすけ)にとって(ショウ)嵐珠(ランジュ)やミア・テイラーはその『合わない人』に該当するのだろう。

 

 元から名前を知っていたり、知り合いだったりはしたのだが……彼女達と出会った日はやはりあの日──虹ヶ咲学園のオープンキャンパスだ。

 

 そう。あの日から波乱の第二章が幕を開けた。

 

 


 

 

 虹ヶ咲学園の生徒会長は学校行事の日程などをある程度変更出来る権限を持っている。

 

 俺が生徒会長の時は毎年金曜日に開かれていた文化祭を土曜日に移動して、そこで新入生へのオープンキャンパスも兼ねるという形を取った。

 

 しかし、今年は文化祭を通常通りの金曜日開催に戻し、新入生へのオープンキャンパスは別日に設ける事にしたようだ。

 

 そのため二学期に入ってすぐに学園内はオープンキャンパスの準備に追われる事となった。

 

 スクールアイドル同好会はどうやらオープンキャンパスで第二回スクールアイドルフェスティバルのPVを流す予定らしい。

 

「確か東棟の巨大スクリーンで15時半からだったよな……まだ時間あるし、あそこも覗くか~」

 

 そして、今日がオープンキャンパス当日。

 

 俺はもう生徒会でもないし、同好会メンバーでもない。自由気ままに色々な部活や同好会などの出し物を見て楽しんでいた。

 

 

「流しそうめん同好会でーす!」

 

 中庭を歩いていると、流しそうめん同好会が2階からそうめんを流している最中だった。

 

「あっ、元会長だ!そうめん食べてって下さいよ~!」

「ありがとう。それじゃあ、もらおうかな」

「はい!お椀とお箸です!」

 

 リボンの色的に二年生か。名前の知らない生徒から元生徒会長だと認知されているのもさすがにもう慣れっこだ。

 彼女からお椀と箸を貰って流れてくるそうめんを取った後、近くのベンチで座ってそうめんをすする。

 

「うん、うまい」

 

 俺がそうめんを味わっていると……

 

「so good!」

 

 隣のベンチに座っていた少女がそう呟いた。

 

 プラチナブロンドのショートヘアにアッシュグレーの左目。右目が髪で隠れているからもしかしたらオッドアイやカラコンという可能性も捨てきれないが、英語で呟いていたし、やはり外国人だろう。大分改造されてはいるが一応ニジガクの制服を着ているし、2学期から二人来ると言っていた留学生の一人か?

 

「what? 何だよ? 人の顔をジロジロと……」

「あぁ、すみません」

 

 彼女にそう謝りながら、俺はベンチを立った。

 

 そうめんを食べ終えたので、流しそうめん同好会の部員にお椀と箸を返してその場を後にする。

 

 ……さっきの子、どこかで見た事ある気がするんだが…………気のせいか?

 

「what's that guy?」

 

 俺の後ろ姿を見て、その少女はそう呟いていた。「何だよ、あいつ?」と言っている。

 

 やはり、気のせいか……他人の空似ってやつなんだろう。

 

 

 その後、写真同好会や観覧車同好会、ざるそば同好会、紅茶同好会など色々と見て回りながらスクールアイドル同好会の展示を見にやってきた。

 

「あっ、輝助くんだ!」

「あら、本当だわ。内村くんじゃない」

 

 スクールアイドル同好会の展示エリアにいたのはエマと朝香だった。

 

「二人だけか?他の皆は?」

「せつ菜は運営の仕事に行ってて、しずくと璃奈が今日流すPVの最終調整中。かすみがさっき二人を呼びに行ったところよ」

 

 おいおい当日納品かよ。大丈夫か?

 

 呼びに行ったのが中須っていうのも心配だ。嫌な予感がするけど、杞憂であってくれよ……

 

「彼方ちゃんと歩夢ちゃん、愛ちゃんと侑ちゃんは香港から来た留学生のランジュちゃんを連れてチラシ配りに行ってるよ」

 

 エマの言葉の中に知らない名前が出てきた。

 

「ランジュ?」

「ええ、スクールアイドルになりたくて香港から留学してきたらしいわよ」

「スクールアイドルフェスティバルの動画を見たって言っててね!私もスクールアイドルの動画を見てスイスから来たから親近感湧いちゃった!」

「へぇ~そうなのか」

 

 香港からってことはさっき会った英語少女とは別の留学生だな。あの子は多分アメリカかイギリス辺りだと思う。

 

 でも、ランジュ……か。どっかで聞いたことある名前だな……またもや、気のせいか?

 

 

 二人と少し話をしてスクールアイドル同好会の展示エリアを後にした俺は、駄菓子同好会、コッペパン同好会、釜めし同好会、占い同好会と道すがら見て回った。

 

 そうこうしている内に第二回スクールアイドルフェスティバルのPVを流す時間が近付いてきたので、俺は東棟へと向かう。

 

 

「そろそろ開始時間なのに大丈夫かな?」

「ん?」

 

 東棟に着くと放送室の前から上原の声が聞こえてきた。どうやら俺には気付いていないらしい。

 

 上原の隣には高咲ともう一人。薄桃色の長い髪を両側で軽く結んでいる長身の女性だ。水色の瞳は若干つり目で、気の強い印象を受ける。

 

 おそらく彼女が朝香とエマが言っていた香港から来た留学生「ランジュ」なのだろう。

 

 俺は高咲達に声を掛けようとしたのだが、その前に反対側から中須が走ってきたので、言葉を飲み込む。

 

「せんぱーい!!」

「あっ!かすみちゃん!!」

 

 桜坂と天王寺も中須の後ろから走ってくる。PVの最終調整が今終わったのだろう。時間的にチェックは出来ないからぶっつけ本番になるな。……大丈夫だろうか?

 

「せんぱい!これを!」

「お疲れ様」

 

 中須からUSBメモリを受け取って放送室に入っていく高咲。

 

「……さて、俺はスクリーンが見やすいとこに移動しようかね」

 

 少し嫌な予感がするけど杞憂であってくれよ。

 

 

 

『うわぁぁぁぁぁ!!』

 

 

 

 ……俺の祈りはどうやら届かなかったようだ。

 

 

「マジかよ……」

 

 

 今、スクリーンに映っている映像は中須が坂で転けた映像である。その後も中須が扇風機の風に煽られ、転倒する映像や彼方と天王寺が一緒に寝ている映像などに切り替わっていく。……これはおそらくNG集だろう。

 

「なっ!? なななな……なんですか、これはぁぁぁ!!?」

「使わない方の映像データだよ!?」

「あわわわわ……間違えた、あわわ……」

 

 そのまま映像は朝香が居眠りしているシーンに映り変わり……

 

『もうちょっと寝かせて、エマ~zzz』

 

「今すぐ止めてぇぇ~!!」

 

 朝香の叫びとともに映像は止まった。

 

「正しいデータを持ってくる!」

「お願い!」

「かすみんも行きます!」

「私も!」

 

 天王寺達が走り出すが、スクリーンのある東棟から部室のある西棟へはどれだけ急いで走っても3分は掛かる距離だ。

 

 3分あればカップラーメンが作れるし、ウルトラ◯ンの活動時間も限界だ。当然スクリーンを見に来た新入生達も離れていってしまう。

 

「これで終わり?」

「よく分からなかったけど面白かったね」

「他のところ回ろうか」

 

 放送室の方を一目見ると、上原と高咲がオープンキャンパス実行委員の子と何やら話し合っている様子だ。

 

「上映の時間をずらせませんか?」

「すみません。特別扱いはできないんです。ここに集まった人の多くはスクールアイドルだけを見に来たわけではありません。残念ですが……」

 

 彼女の言うとおりだ。

 

「どうすれば……」

 

 高咲がそう言って俯くと、ランジュが自信ありげな口調でこう言い放つ。

 

無問題(モーマンタイ)ラ。任せなさい!私が出るスクールアイドルフェスティバルにケチがつくのをただ見ているわけにはいかないわ。……みんなをここに釘付けにすればいいんでしょ?……ミア!」

「はいはい。I gotta use this(ここ使わせてもらうよ)

 

 ランジュが呼ぶ声に合わせて、先ほど中庭で見たもう一人の留学生が放送室へと入っていく。どうやらランジュがスマホで呼び出したようだ。

 

 

 ……しかし、「ミア」だと?

 

 

 ……まさか、な。

 

 

「何をする気ですか!?」

 

 オープンキャンパス実行委員の子の言葉には目もくれず、彼女はスクリーンの前に立った。

 

 そして……

 

 

大家注意(ダージャーヂューイー)(みんな待って)!(ジゥ)(ヂェ)(ジャ)(フェイ)(チュ)(ディ)(ファ)(クァ)(ジゥ)(クゥェイ)(リャ)(アー)(このまま帰ったら損するわ)!スクールアイドル『(ショウ)嵐珠(ランジュ)』のデビューステージよ!伝説のはじまりを心に刻みなさい!!

 

……(ルー)()(ショウ)(ゲイ)(ニー)(メン)(カン)(カン)(私の力を見せてあげる)」

 

 

 "Hey.It's me!准备好没(ヂュンベイハオメイ)(準備はいい)?"♪

 

 もっと熱く高く~ 光より~もは~やく~♪

 

 Your heart 連れて~くよ Higher~♪

 

 

 

 その曲はまさに嵐のような波乱のはじまりを告げる鐘の音だった。

 

 

 




谢谢(シェシェ)(ニー)(ディ)阅读(ユェドゥ)
(読んで下さってありがとうございます)

2期編ですが、まだ完全にプロットが出来てないので、手探りでゆっくり書いていく予定です。
投稿頻度はおそらく1ヶ月に1話くらいのペースになる気がしてます。

お待たせしてしまうのは申し訳ありませんが、感想等頂けるととても嬉しいです。

(ツァ)(ツー)(ウォ)(メン)期待(チーダイ)!(次回もお楽しみに!)


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