虹の花咲くその日まで   作:T oga

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休みの日はやっぱり筆が進みますね。
ここまでが第一章って感じかな?




6話 Next for you

 俺が生徒会室に入ると、そこには神枝先輩と他に二人の女子生徒がいた。

 扉を開けた音に反応して、ソファに座っていた三人のうち、神枝先輩だけが立ち上がる。

 

「お待たせしました。神枝先輩」

「いえ、こちらこそお呼び立てして申し訳ありませんわ」

「気にしないで下さい。元々、ここに来る予定でしたから」

 

 そう話しながら、俺は生徒会長席へ向かう。

 ソファに座っていた神枝先輩以外の二人は下座に座っていた為、扉の方から見ても後ろ姿しか見えなかったのだが、なんとなく誰なのか分かってはいた。

 

 ……俺の予想は当たりだ。

 

「そちらにいるのは右月(うづき)さんと左月(さつき)さんですね」

「「はい。お初にお目にかかります」」

 

 そう。神枝先輩の双子の妹、普通科二年の右月(うづき)さんと左月(さつき)さん。

 後ろ姿の見分けがつかなかったので双子の妹さんだろうとほぼ確信していた。

 

「神枝右月です」

「左月です」

「生徒会長、内村輝助です。お姉さんにはいつもお世話になっております」

 

 挨拶を済ませた後、神枝先輩は早速本題へと入った。

 

「お呼び立てしたのは、生徒会についてなのですが……」

「はい……」

 

 生徒会について……?

 

「実は神枝本家の指示で二学期の前半は(わたくし)、海外へ赴く事となりまして……前期生徒会副会長の任期は後一ヶ月ありますのに……」

 

 そういうことか……

 前期生徒会の任期は9月まで。あと一ヶ月ほど生徒会の任期が残っているが、家の都合で海外へ行く事になってしまった為、生徒会副会長を辞めたいってことだな。

 

「問題ありません。9月後半は後期生徒会の選挙期間になりますし、半月くらい副会長の席が空白でも何とかなると思います。今まで散々神枝先輩にはご迷惑をお掛けしましたし、後は僕と他の生徒会メンバーでやっておきますよ」

「迷惑だなんて思っていませんのに……。本当にありがとうございます。明莉(あかり)お嬢様のわがままで生徒会長を引き受けて下さった事、この一年間生徒会長として尽力して下さった事、感謝してもしきれませんわ」

 

 そう言って神枝先輩は俺に頭を下げる。

 

「いや、礼なんていいですよ。僕の方こそ色々とお世話になりました。一年生で生徒会長になった僕をこれまで支えて下さった事、本当に感謝しかありません」

 

 僕もそう言って、神枝先輩に頭を下げた。

 

「姉上」

「お姉様」

 

 お互いがお互いを誉め称えるだけみたいな空気になりそうだったこのタイミングで右月さんと左月さんが口を開いた。

 さすが神枝家のご令嬢。こういう時、話が止まらず別の話に即座に切り替えられるのは本当に有難い。

 

「あぁ、そうでしたわ。それで後期生徒会のお話なのですが……」

 

 神枝先輩の言いたい事はなんとなくわかった。

 俺はこう質問する。

 

「右月さんと左月さんが後期生徒会に立候補するんですか?」

「えぇ、さすがは内村会長。お話が早くて助かりますわ」

 

 やっぱりか。

 

「右月と左月には後期生徒会で書記を担当してもらおうと思っておりますの」

 

 虹ヶ咲の生徒会は『会長一名』『副会長一名』『会計一名』『会計監査一名』そして『書記二名』で構成されている。

 現在の前期生徒会は俺が会長、神枝先輩が副会長、会計と監査は俺や彼方と同じ二年生。書記の二人は三年生で運営していた。

 

 三年生は受験もあるので後期生徒会への続投は難しいだろう。

 書記の後任に右月さんと左月さんを推薦するのは正しい判断だ。

 

「理事会への報告の時、(ショウ)家と繋がりのある神枝家の生徒がいて下さるととても助かりますし、有難いです。右月さん、左月さんこれからよろしくお願いしますね」

「「はい」」

 

 この後、神枝先輩と右月さん、左月さんと少し世間話をしてその場は解散となった。

 

「失礼しました」

「明日から、何卒よろしくお願いいたします」

 

 そう言って右月さんと左月さんが生徒会室を後にした数分後──

 

「失礼します!中川菜々、参りました!」

 

 中川も生徒会室へとやってきた。まぁ俺と神枝先輩が呼んだんだがな。

 

 中川を呼んだ理由は勿論……

 

「ええっ!?神枝副会長が海外に!?」

「はい……。ですので明日からは中川さんに歌のお稽古をする事が出来なくなってしまいますの……」

「そうなんですか……悲しいですね……。もっと色々教えて頂きたかったのに……」

「もう中川さんは大丈夫だと思いますわ。歌も踊りもこの夏休みで見違えるように上手くなりましたもの。自信を持って下さいまし」

「あぁ、神枝先輩の言う通りだ。中川、お前はもう大丈夫だよ。舞台に立てるくらいにはなったさ」

 

 お世辞じゃない。本当にそう思ってる。中川はこの夏休みで急成長を遂げた。俺の教えられる事なんてもうないほどに……

 

 だが、中川はまだ自分に自信がないようだ。

 

「本当ですか? 私は実感してないんですけど……」

「そりゃ、まだ舞台に立ってないからな。近々、その舞台は整えるつもりだよ」

「その舞台の準備も着々に進んでいましてよ。詳しくは内村会長からお聞きくださいませ。(わたくし)からはこちらをお渡ししておきますわ」

 

 そう言って神枝先輩が中川に渡したのは……

 

「これって……!?」

「あぁ、スクールアイドルの衣装だよ」

「はい。服飾同好会で中川さんの為に(わたくし)が作らせて頂きましたわ」

 

 服飾同好会で作った中川の……優木せつ菜のスクールアイドル衣装だ。

 黒いネクタイを締めた白いキャバリアブラウスの上に(スカーレット)色のジャケットを羽織る、華やかだが学生らしさも演出したフォーマルな装いになっている。

 俺も実際見るのは初めてだが、さすがは神枝先輩だ。露出度も少ないし、真面目だが自分に自信の持てていない中川の性格を強く反映したとても良いデザインだと思う。

 

「もしかして夏休み前、神枝副会長に私の身体測定の結果表をお見せした理由って……」

「はい。これを作る為に中川さんの身長とスリーサイズを調べる必要がありましたの」

「そうだったんですか……!?」

 

 そうだったのか。まぁ、確かに身長やスリーサイズを知っておかないと衣装は作れないよな。男の俺に見せる訳にもいかないし……

 本当に神枝先輩は頼りになる人だ。改めてそう思った。

 

「海外から戻ってきたら大学受験になりますし、(わたくし)はもう中川さんのお手伝いをする事は出来ませんが、これからも応援しておりますわ。頑張って下さいまし」

「はい!ありがとうございます!!」

 

 そうして、神枝先輩は日本を少し離れる事となった。

 

 やはり少し悲しい気持ちはあるが、ここから本当に虹ヶ咲学園のスクールアイドル『優木せつ菜』の物語が始まるんだ。

 

 彼女の輝きを影で見守り、全力で助けてやる!

 

 俺はそんな決意を胸に抱き、二学期を迎えた。

 

 

 この二学期、ついに彼女は舞台に立つ

 

 




読んで頂いてありがとうございます。

ほぼオリキャラばかりで話を進めてしまって申し訳ないですが、次の次くらいにはしずかす顔見せ出来たらいいな~って思ってますので楽しみにしていて下さい!

次回は生徒会長選です!


追記

執筆当時は右月・左月姉妹に苗字がなかった為、スクスタの監視委員会の「かんし」から(かん) ()神枝(かみえだ)と苗字をつけたんですが、アニガサキ2期1話放送直前に「佐藤」という苗字が判明しました。
しかし、佐藤だとあまりにもありきたりな苗字で本作の姉妹と二人の姉としたオリキャラの月子先輩のお嬢様設定が壊れてしまうため、敢えて変えずに執筆当時のままの苗字にしたいと思います。
(アニガサキの双子書記は生徒会書記としかクレジットされていないので苗字が違っても問題ないと勝手に解釈しました)

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