ここから話が大きく動きますよ~!
楽しみにご覧下さい!では、どうぞ!
「以上で全校集会を終わります」
俺のその言葉の後、講堂に集まっていた全校生徒がぞろぞろと自分達の教室へ戻っていく。
「ねぇ、新しい会長ちゃんと内村君が付き合ってるって噂ホントなの?」
「知らないけど、もし付き合ってるなら内村君が会長やめて副会長になったのも納得出来るよね~」
「え? でも内村君ってライフデザイン学科の近江さんと付き合ってるんじゃなかったっけ?」
後期生徒会役員選挙の後からか、それより前からなのかは知らないが、俺に対する変な噂が学園内で流れているらしい。まぁ、こういうのは無視するに限る。いちいち相手にしていたら面倒だ。
ちなみに後期生徒会は会長 中川、副会長 俺、書記が右月さんと左月さん、会計監査は前期と変わらず、会計が一年生の子に変わった。
中川の会長としての手腕は……正直、見事としか言い様がない。彼女は高等部だけで3000人以上もいる全校生徒の前でも怖じ気付かず、冷静に喋る事が出来ている。職務も今のところ完璧にこなしているし……
どうやら俺は彼女を見くびっていたようだ。
当の本人を目の前にすると、本当に生徒会長として全校生徒の前に立っていた人物なのかと疑いたくなる時もあるが……
「はぁ……今日の朝は本当に緊張しましたよ。選挙の時も思いましたけど、ニジガクの生徒ってすごく多いんですよね~」
全校集会があった日の放課後、生徒会長席に座る中川はそう言って、机の上に突っ伏した。
今回が後期生徒会初めての全校集会だった為、緊張していたようだ。
中川も意外に演技が上手い。
「緊張してるようには見えなかったけどな」
「そうですか? 私は生徒会長らしくしようって心がけてただけなんですけど……」
もう少し中川は自信を持っていいと思う。
「んじゃ、今日もやるか~」
「はい!文化祭まであと一ヶ月! それまでに『CHASE!』の振り付けをマスターしなくては!!」
「それもあるけど、生徒会の仕事もな」
「そうでした!さっさと終わらせちゃいましょう!!」
そして、それから一ヶ月が経ち──
「遥ちゃん!!来て来て~!彼方ちゃんのクラスでね~手作りピザやってるの~!」
「うん、知ってる!お姉ちゃん楽しみにしてたもんね」
「そうなの、早く行こ~!遥ちゃんに食べさせたくって彼方ちゃん頑張った~!」
「あっ、待ってお姉ちゃん!……あの、輝助さん!また後で!」
「おう!高坂さんのライブは3時からだから、見るならそれまでに講堂来いよー」
「わかりましたー!」
「こーちゃんも彼方ちゃんのピザ食べに来てね~!」
「了解!遥も楽しんでってな~!」
「はーい!」
今日はついに文化祭当日だ!
虹ヶ咲の文化祭はクラス展示・部活展示は勿論、申請をすれば個人展示も可能であり、部活動に所属しておらず、クラス展示にも積極的に参加出来ない生徒も同人誌の販売などで楽しめる文化祭となっている。
すべての展示内容を生徒会と文化祭実行委員で厳正に吟味している為、問題ないとは思うが……大丈夫だよな?
他にもお台場を中心に活動する路上シンガー達のステージやスター○ックス・サーティ○ンなどの著名な飲食店による出店など見所は目白押しで毎年、他校の文化祭とは負けず劣らずの賑わいを見せる。
特に今年は元スクールアイドルである女性歌手『高坂穂乃果』のライブ出演も決まり、去年以上に人が多い気がする。
高坂穂乃果のステージの前座として、優木せつ菜の初ライブを盛り込む予定だ。
文化祭の日は文化祭開始のアナウンスをする生徒会長と文化祭開始前に準備をする生徒達以外は自由登校になる。
会長の座を中川に譲った俺は珍しくいつもより遅めの時間に家を出て、遥を連れて登校した。クラス展示であるピザ屋の準備のため先に来て門の前で遥を待っていた彼方に遥を返して、二人と別れた後、俺は生徒会室へと向かう。
ちなみに俺のクラスはサックスやアコースティックギターなどの初心者でも弾きやすい楽器の体験が出来る『楽器体験教室』をやっている。
サックスは一見、複雑そうに見えるが演奏の方法はリコーダーとさほど変わらない。初心者でもすぐに弾けるはずだ。
アコースティックギターもヴァイオリンなどの他の弦楽器に比べれば非常に演奏のしやすい楽器だ。教えてもらえば初心者でも弾けるようになるだろう。
少し難しくなるがフルートも体験出来るって聞いたな。生徒会の方が忙しくてクラスの方の準備は全くと言っていいほど手伝えていないので、せめて当日くらいは顔を出してやらないと……
と、そんな事を考えている内に生徒会室の扉の前までやってきた。
コンコンコン
「内村です。誰か居ますか~?」
「内村副会長。おはようございます」
「開いてますよ」
扉をノックすると、部屋からは右月さんと左月さんの声が聞こえてきた。
生徒会室の扉を開いて中に入るが、どうやら中川はいないらしい。
「右月さん、左月さん。おはようございます」
「内村副会長、今日は遅いですね」
「ええ、生徒会の企画である高坂穂乃果さんのライブは午後からになりますし、知り合いの娘を連れてくる事になってましたから遅めに登校したんです」
「そうでしたか」
「それで、中川はどこに?」
「あぁ、中川会長なら……」
右月さんと左月さんに中川の居場所を教えてもらった俺はそこへ向かう……前に彼方のクラスのピザ屋に寄った。昼食だ。
「あっ、こーちゃん!さっそく来てくれたんだね~」
「輝助さん、さっき振りですね」
「そうだな」
教室に入ると、俺を見つけた彼方と遥が声を掛けてくれた。
二人とも席に座ってピザを食べている。
「彼方は休憩か?」
「うん。そうだよ~」
「俺も同席していいか?」
「勿論ですよ。はい、輝助さん!これメニューです!」
遥から渡されたメニューを開いて、俺は心底驚愕した。
「なんか、すごい本格的だな。ピ○ーラとかピ○ハットみたいだ……」
「えへへ……彼方ちゃんたち、頑張った~!」
俺は『和風もちベーコン味』のピザを頼み、昼食を済ませた後、中川がいるという一年の教室へと向かう。
「よぉ、中川」
「あっ、内村先輩!おはようございます!」
お化け屋敷の受付をしながら、一人でノートを読んでいる中川に声を掛けると、中川は「今気付いた」といった様子で少しだけ驚いた顔をした後、そう答えた。
このノートは以前にも見せてもらった『CHASE!』の歌詞が書かれたものだ。
「お前のクラスはお化け屋敷をやってるんだな。中川はお化け嫌いとかじゃなかったっけ?」
「むしろ、お化け屋敷は結構好きですよ!ワクワクしませんか!?」
ワクワク……? わからん……
「まぁいいや。もう昼だけど中川はなんか食べたか?」
「はい!出店のたこ焼きや焼きそばを友達から頂きました!」
「そうか。良かった」
生徒会の見回りとクラスの手伝いで昼食を忘れてしまって、ライブの時に力が入らないとかになってしまったらマズイからな。
「ライブ前までには講堂来いよ……」
「わかってますよ。初ライブなんですから、準備は念入りにしなくては……!」
「わかってんならいい。んじゃ、とりあえずお化け屋敷入る事にするわ」
「了解です。少しお待ち下さい!」
中川が他のクラスメイトに「一人、入られます!」と伝えた数秒後、俺はお化け屋敷の中に通された。
感想としては……まぁ、よくあるお化け屋敷って感じだったよ。
その後、自分のクラスに寄った後──
「吹奏楽部の演奏、めちゃくちゃ上手かったね~!」
「そりゃそうでしょ! ニジガクの吹奏楽部って全日本コンクールに出場出来るくらいの強豪校なんだよ!」
俺は講堂のステージ展示を見に来ていた。
今、吹奏楽部の演奏が終わったところだ。次は何だったかな?
「……っ!?」
講堂ステージのタイムスケジュールを確認すると、今から始まるのは演劇部の舞台だった。
俺は中学の頃まで演劇スクールに通っていて、虹ヶ咲に入学した後も一年の一学期だけ演劇部に所属していたが、訳あって演劇から逃げた身だ。
まだ演劇を見るのは少し怖い……
俺は一度、講堂から出る事にした。
そんな俺の背を見つめる一人の女子中学生がいた事に俺はこの時、気付いてもいなかった。
「あれ? あの人、もしかして……」
文化祭編……一話で終わらせる予定だったんだけどな……何故か書いてたら長くなってしまったので前後編に分けます。
それと穂乃果のライブは元々、プロット段階では予定してなかったので、次回触れるかどうかはまだ分かりません……
(じゃあ、なんで出したんだ……?)
あと、最後に少し出てきた中学生……誰かわかりましたか……?
次回もお楽しみに!