「その子はどうするの?」
学園への帰路につきながら、錦織は九十九が抱えているチャームを見ながら問いかけた。
日が暮れることもあり、ヒュージに刺さっていた残りのチャームの回収は後日にすることにしていた。もっとも、ピナカの一撃を受けて融解してしまった可能性は高いのだが、手にしていた一機はそのまま持ち帰ることにしたのだった。
「この子は、元の仲間と眠りたいって。幸い近くの学園の子だったみたいだから、学園長にお願いして送り届けて貰おうかなと思っています」
「仇討ちしたんだ! 胸を張って戻れるに違いないよな!」
「ああ、そうだな」
「きちんと戻れると良いですわね」
「戻れるに決まってますよ!お任せください!」
「いや、三宮ちゃんの役目じゃないでしょ……」
談笑している彼女たちを見て、このレアスキルを持っていて良かったと改めて思っていた。死神、ネクロマンサー。様々な呼ばれ方で畏怖され、敬遠されてきた。始めは孤独を感じていた九十九も、様々なリリィと出会い、弔う中で理解されようとするのが間違いであると悟っていた。己のスキルもある意味ではネクロマンシーであると認め、スキルの内容を勘違いしているとしても正そうとはしない。
一人であっても、独りではない。だから九十九にとってはこれが日常で、幸せな事だったのだ。
もう日が暮れようとしている。授業はとっくに終わっている時間だ。
学園までの道のりは遠かったかもしれないが、話していればあっという間の時間だった。報告は先に戻っていったフロレズンの誰かしらが済ませていることだろう。その確認だけをして、チャームを修理して、お風呂に入って……。
「あの……九十九様!」
そんな風に考えていた最中、声をかける者がいた。
校門の影から姿を見せた少女が一人。背丈は九十九よりも少し高いが、両横で結ばれたおさげと少し大きめの髪止めが彼女の幼さを際立たせている。
「……貴女は、確か……」
九十九がレギオン未所属のリリィと出動する際、後衛を担当していた子だった。九十九は最前衛に居ることが多く接点はほぼなかったが、やや主張が控えめで大人しそうな子であったと記憶している。
「ご、ごきげんよう! 申し遅れました、わたし……一年生の十六夜明里と言います」
一年生・十六夜明里。話しかけるのにも勇気を出しているようで、その顔は真っ赤だ。
「その……」
しどろもどろになりながらも、懸命に何かを伝えようとしているのはわかるので、九十九は彼女の事を待った。
「── 九十九様が、欲しいんです!!」
端から見れば二人だけ。しかし九十九からすれば六人もの人物に見られていることになる。
「む」
「!」
「わぁ!」
「あれま」
「は!?」
「まあ」
突然の告白に六者六様の驚きを見せるが、目の前の少女にその声は届かない。
「……へ?」
少し遅れて間抜けな声だけが、唯一返答として彼女に届いた。
さも続きがあるような終わり方をしていますが、これで完結で続きはありません。
アニメ三話までを見た段階で考えた構成を、アニメ最終話まで見ながら書きました。
原作の設定を参考にしながら話を練りましたが、ほぼアニメのみの履修となるので設定の勘違い等あったら申し訳ございません。