Vtuber銀玲の憂鬱   作:明日死ぬ

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カルマ

ふと、彼の言葉を思い出すことがある。

百合営業を消極的ながらも継続してきた当チャンネルでは、案件を厳選しているのもあって、男と絡む機会自体が少ない。

数少ない出会いの中で、強烈に印象に残っている一人。

五回目の転生だった。

vtuberという媒体に出会う前から転生を繰り返していた彼は、水を得た魚のように個人勢として、時には企業勢として現れては消えた。

過去の動画は全て消すから、私のチャンネルでアップされたコラボ動画が捜索掲示板として活用されている始末だ。

 

「音楽というのは瞬間的なものだから、時間が経ったものは消すようにしているんだ」

 

しかし彼がどんな肩書で転生しようが、これまでの行い全てがカルマとなって、彼という存在を定義する。

 

「すべてに始まりがあって終わりがある」

 

「私はコラボ動画、残しますよ。それはずっと残り続ける」

 

「君もいつかは、終わるだろう……?」

 

或いは、その言葉があったら今日まで頑張れたのかもしれない。いつの間にか、数字が大好きな奴らも、処女が好きな奴らも、日本語分からない奴らも、

此処しかなくなってしまって、なし崩し的に登録者100万を達成してしまった。

 

「100万人登録記念、どうしますか?」

「別にめでたくはないでしょ」

「じゃあ枠を祝じゃなくて呪に変えときます?」

「シンプルに100万でいいよ」

 

意地悪な奴らがぬか喜びさせて99万に戻すかと思ってたら100.1万に増えていた。

 

「ルリアのこと話そうか」

「…………そうですね、そろそろ」

「その前に、動画の収録をしよう」

 

ある所にルリアというvtuberがいて、それなりの人気を得ることが出来た。ストーカーも付いてきて、引退した。○○警察は無能だからしょうがない。

それを私が拾って、今彼女は妖精さんとして私が冒頭だけプレイして投げたゲームを別チャンネルでクリアしてもらっている。

私は直接言及してないけど、時折声を入れて匂わせている。

 

「やっぱり、素直に祝うって気持ちになれなくてさ」

「他の人は、喜んでますよ」

「何だろうね。不幸になりたいのかな、よく分かんないけど」

「やりたいようにやれ」

「スタッフ」

「最初からそういう話だ」

 

 

私こと銀玲は、あるアパートで三人暮らしをしています。同居人は、妖精さんとスタッフ。

勿論これらの名前は本名ではないですが、お互いの身バレを極力避けるとRP(ロールプレイ)を徹底するということで普段からそう呼び合っています。

スタッフは私をVの道に引き込んだ人で、動画の編集にご飯まで作ってもらってます。

そんな二人が見守る中で、私は配信を始めます。

 

始まった!

わこつ

同接1万だ

 

「まず、ありがとう。今日来てくれた人、これから来る人、アーカイブや切り取りで見る人、アンチにも言いたい。

ありがとう。貴方たちがいたからここまでこれた」

 

そんなことないよ

こちらこそ

銀玲がいなかったら死んでた。

律儀で草

 

「だからこそ伝えます。今すぐに引き返してください」

 

え?

どういうこと?

性根悪すぎだろ

 

「今から始まるのは、貴方達にとって見たくも聞きたくもないことかもしれないから」

 

逆に気になるんだが

それってアンチにとっても?

 

「まず、妖精さんについて話したいと思います」

「妖精さんはかつて、あるvtuberとして活動していました」

「妖精さんは、追われていました」

「私達が住んでいるバーチャル空間は、バーチャルセキュリティがしっかりしているのでバーチャルストーカーも来ません」

「バーチャルハッピーエンドです」

 

バーチャル使いすぎて意味わからん

百合じゃん

てぇてぇなぁ(思考停止)

 

「その次は、一週間の活動休止の件かな」

 

ああ、あの時の。

あれって何かあったの?

あの人絡みって言っていいのかな

 

「皆さん知っての通り、あの人が居なくなってから私も一週間活動を休止しました。何事も無かったかのように復帰しましたが、本当はあの時何があったか」

 

何で休んでたっけ、体調不良?

復帰してから体制もちょっと変わったよね

銀玲も居なくなっちゃうんじゃないかってまとめで騒がれていたの、今でも覚えてる

あの時銀玲も居なくなってたら、vtuber見るの止めてた

 

「原因は、失恋です」

 

?????

え?…………誰に対して?

まさか、あの人?

 

「公言しているように、私はあの人に憧れてvtuberになりました。他のvtuberもそうです、私達のような個人勢は皆太陽のようなあの人みたいになりたいって思って、

vtuberを始めた。実際にお会いしても、想いは高まるだけでした。そんなある日、あの人に騒動が起こって、あっさりと止めた」

「私達は太陽の光を反射して輝く月に過ぎなかったのに」

「あの人のことが、好きだったのに」

 

それはどっちの?

 

「難しくて、答えられないな」

 

「何故、妖精さんと一緒に住むことになったのかという疑問があると思う。何で、他の人を救ってあげられなかったのかと怒る人も。

答えはね、妖精さんからあの人の面影を感じたからなんだ。だから、ごめんね」

 

そのごめんは誰に対して言ってるんだよ

重い、重すぎる

普通目の前でお前は代用品だって言うか?

ドン引きされてない

 

「そんな理由だったんだ」

「うん」

「私が、銀玲組を名乗ってたからじゃなくて?」

「それもある」

「なんと言うか嬉しくもあり、悲しくもあります」

 

てぇてぇなぁ(無我の境地)

湿度が高すぎる

 

「他の話題しません?」

「そうだね」

 

かつて『Viking』という、vtuber界を支配した「箱」があった。彼らは同じ船のメンバーとして、時に争い、協力し、数々のドラマを生み出した。

そして、たった一人の悪意によってバラバラになった。

問題はその後である。「箱」は潰れても、その残骸は残る。そのうち機材とスタジオを『Vark out』という私を中心とした音楽グループが(格安で)買取、個人勢などに貸し出している。当然赤字だが、メリットもある。強力なコネを手に入れるということだ。

 

「それじゃ告知でも」

「次、銀玲の部屋のゲストは、鬼さん」

「に、似た誰かが登場する予定」

 

え、嘘

復活!?

他のチャンネルで復帰告知はおかしくね

まさか、中身が変わるとか

 

居なくなったvtuberに対する風の噂も、聞こえてきたり。

言わずもがな……    あまりいいものではない。

 

「あまり期待しない方がいいとだけ。それから、これはいい告知」

「本当ですか?」

「Vark out所属のヨルノトバリのライブが決定しました」

「パチパチパチ」

 

 

あれ?誰の記念ライブだったっけ

人が良すぎる

銀玲はライブしないの?

 

「私のライブ……? 需要あるかな」

 

銀玲で需要無かったら他のVは一生ライブ出来なさそう

見てみたい

会場で銀玲コールがしたい

 

「だって歌、あんまり上手くないし」

 

銀玲で下手だったら(ry

このvtuber本当に音楽グループのリーダーなんですか?

キャラ声ではトップクラスなのに

 

「体力ないし」

 

それはそう

せやな

うん

 

「……鍛えた方がいいのかな」

 

そのままの君で居て

割と銀玲、こういうの本気で落ち込むタイプだよな

 

「こころの整理がつかなくて、その色々あったから」

 

てぇてぇ(ちくわ大明神)

今の誰だ

低評価で一々ショック受けてそう

 

「まぁ。一番大事なのはペイ出来るかどうかだから」

 

そういうのはシビアよね

お金になっても、本人が望まないならやってほしくないな

やるなら絶対行きます

 

「お金と言えば、グッズに関してだけど――」

 

それから色々なことを話して、低評価もそこそこ付いた。まぁ、無いよりかはいい。

微妙な話題も多かったから、他のvtuberもおめでとうとしか言ってくれなかった。

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