『あと1分で第二部が開演します』
MCを務めた妖精さんがそのままギターを持ち、私が現れる。
『God knows…』作詞:畑亜貴 作曲:神前暁
「渇いた――」
配信はちょっとカメラがあちこちに動いて、ライブを作画する代わりに舞台裏の話で尺を稼ぐみたいなやり口にしてみました。私はエアギターを弾いて、ハルヒの如く歌います。
「淡い夢の美しさを描きながら 傷跡なぞる」
パーンとクラッカーが鳴る。第二部の始まりです。
『レイメイ』作詞:さユり/Hiro 作曲:さユり/Sho
引き続き私と妖精さんのデュオ。女性パートと男性パートに別れていますが、私が女性担当で妖精さんが男性担当。結構難しいと思うけど……楽しそうに歌ってる。
カンペが出る。あ、そうか次は
「イエーイ」ハイタッチ「……いえーい」
「大成功だね」「そうかな?」
「こんな風に歌えるなんて、夢みたい」「そうかも」
「次はどうするの?」「え?」
「登録者を増やして、大きな舞台で歌ってさ。メジャーデビューとか?」
「いや、メジャーデビューは■■レーベルから◎日×日にする予定」
「あれ、私は何をすればいいのだろう」
「登録者をさらに増やす?」
「色んな所で歌う?」
「夢って何だったっけ」
「そうだ、あの人に憧れて……」
「………………………………」
「昔、あの人と一緒に歌を歌いませんかって言われたことがあって」
「歌に自信が無くて、断ってしまった」
「一生の後悔ってこういうものなのかな」
何か長いせいかガチ目に心配してそうな人が居るな。
「もし、あの人と歌えたら」
あの人のモデルと曲が使えないということで、代わりに何を歌うってなった時にアイカツの曲にしようっていうのは割とすんなり決まって。何にするかはカレンダーガールがいいとか、Glass Dollを私が歌うとか、オリジナルスター☆彡とかそれっぽいとか、色々言い合った末、この曲になった。
こつ、こつ、足音が響く。
「Hi signalize」
『Signalize!』 作詞:畑亜貴 作曲:NARASAKI
あの人が歌う。ざわつく。サプライズにして心から良かったと思う。練習で散々歌い倒したから、特別な感慨は今更無いが。本来、三人で歌う曲だが、あの人が一人で進める。
「ほら挑戦待ってるよ」
曲が一旦止まる。この構図が作りたかった。私にとってあの人は永遠の目標で、ライバル。これで復帰しても軽んじられることはないと信じたい。後輩も呼んであるし。
『Don't think, スマイル!!』 作詞:高瀬愛虹 作曲:伊藤翼
続いて、Re:ステージ!ドリームデイズ♪より『Don't think, スマイル!!』をチョイス。この曲は六人用なので、3人他箱から呼ぶ(紹介はしないけど)。他箱のメンバーを呼ぶ時、どの箱にするか、誰にするかというのは懸案事項だったから幾つかの箱からそこそこ人気(割とコア)なのを引っ張ってきた。変にエースとか呼んでも代理戦争起きるだけだからね。人気所はこの舞台に自力で立ってください。
『lucky train!』 作詞:只野菜摘 作曲:中野領太
再びアイカツより『lucky train!』。これが第二部最後の曲だ。
「シンデレラだから パーティの終わり」
「みんなの記憶に残らせてほしい」
皆で手を繋ぐ。
「「「「「「ありがとうございました」」」」」」
速攻で手を放す。
「ほら、ここに倒れこめ」「あい」
画面の向こうでは、アンコールの声。良かった。ちゃんと催促されて。私の代わりに後輩たちが出て行ってお辞儀し、時間を稼ぐカーテンコールだ。後輩やあの人の紹介もここでこなしておく。私が居ないということと、バーチャル猫耳メイド美少女おじさんDJのレイムちゃんが出て行ったことから、勘づく人も居るかな。
「急いで飲むと吐くぞ」「…………」
妖精さんが帰ってくる。第二部にずっと出ていたから疲れたはず。
「私に」「え?」
「私にとっての憧れはあなただけです」「…………」
「かましてきてください」「うん」
「まだ、一人来てないね?」
「皆で呼んでみよう せーの」
「銀玲ーーーーー」