鍾馗   作:駆露洲

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榛名からバブみを感じた翌日


着任

「提督...」ユサユサ

 

...温かい

このままずっとこうしていたい

榛名に起こされるも、中々起きれない

 

「あの...提督」ユサユサ

 

何故こんなにも人の温もりというのは気持ちがいいのだろう

いつもだったら直ぐに起きるのに...今日は起きたくない

この温もりを感じていたい

 

榛名「提督...あのっ...提督!」ユサユサ

 

提督「...まだ寝かせてくれ...」

 

榛名「あのっ...取り敢えず起きて下さい!」

 

提督「...ん?」

 

何故か仰向けの俺の上に榛名がいる

俺が抱かれる形で寝ていた筈なのにいつの間にか俺が榛名を拘束していた

...何してんだ睡眠中の俺ぇ!!

ただ...榛名の体温を全身で感じられて物凄く気分が良い

 

榛名「この体勢...すごく恥ずかしいのですが...///」

 

提督「...」

 

榛名「離してもらえると...助かるのですが...」

 

提督「もうちょっとこのままで寝かせて...」ギュ

 

榛名「ぁぅ...す、少しだけですよ?...あと1時間ぐらい」

 

提督「そんなにいいのか...あ、ところで今何時?」

 

榛名「〇九〇〇ですけど」

 

提督「なるほど九時ね......は?」

 

榛名「え?」

 

提督「明石と間宮が来るのって何時だっけ...」

 

榛名「は、榛名は分からないです...」

 

提督「たしか...この辺に...あった。どれどれ...あ」

 

榛名「ど、どうかしましたか?」

 

提督「到着〇九〇〇予定って書いてある...」

 

榛名「えぇっ!?」

 

鎮守府(ここ)に初めて着任する艦娘が来る日に寝坊をする提督て...

長門目覚ましがあるかと思ったが、流石に怠慢だった

...愚痴愚痴言ってないで早く行こう

 

提督「急げ榛名!今すぐ玄関行くぞ!」

 

榛名「提督はその格好でいいかもしれませんけど!私は寝間着なんです!髪の毛とかも直さないと...」

 

提督「...よく見たら寝間着姿可愛いな」

 

榛名「最後に着たのは何年も前なので、似合うかどうか心配だったのですが......な、ななななにを言ってるんですか!?」

 

実際可愛い

いつ洗ったのかは知らないが、しっかりと綺麗になっているし、保管方法が良かったのだろう。経年劣化による穴などの傷が見当たらない

抱き心地が良かったのもそのおかげだろう

 

榛名「もう...あ、そうだ...提督」ニヤ

 

一瞬だが榛名が不敵な笑みを浮かべた

お淑やかで涙脆い1面しか見ていない俺からすると、意外な表情

 

提督「ん?」

 

榛名「...提督の寝顔、可愛かったですよ」

 

突然の不意打ち

しかし...“可愛い”...か

気恥しいが、嬉しい

榛名がどんな意図で言ったのかは知らないが、勇気づけられた事は確かだ

俺にもそんな顔が出来たのか!(尚睡眠中)

 

提督「...よせやい」プイッ

 

榛名「...ふふ♪」

 

ー玄関

 

提督「ギリギリセーフ!」

 

長門「アウトだ。制服着てこい」

 

提督「他の艦娘は?」

 

長門「いくら総員が少ないからと言って、全員で歓迎するのは少し気が引けてな...代表だけで良いだろう。由良達には自分の部屋の掃除でもしとくよう言っといた」

 

提督「榛名に来るよう言っちゃったけど...いいか。...そういえば、俺が起きて来ないの不審に思わなかったのか?起こしに行くとかさ...」

 

長門「子供か貴様は。起こしに行ったんだが...提督が榛名を抱いてあまりにも気持ち良さそうに寝ているから起こしづらくてな...」

 

提督「...ありがとうございます」

 

長門「いつから恋仲になった?」

 

提督「いや...榛名にママになってもらっただけだ」

 

長門「提督...お前...」ゾッ

 

提督「違うから。別にそういう趣味じゃないから。...けど、あれは癖になりそうだ...凄いんだよ。女の子って、いい匂いするし、抱き心地もすげぇ良いんだ。柔らかいんだよ。体が」

 

誰かに甘えたいのは人間ならある事だと思う

長門も知ってしまったら抜け出せないだろう

もはや薬物だ...あれは

 

長門「これで2回目だな。同じ布団で寝ていいのは恋人だけだぞ」

 

提督「それは違うな...恋人と母親だ。ちなみに母親枠は常時募集している」

 

長門「吹っ切れたな...いつそんな変態になった」

 

確かに今の自分は中々にやばいと思うが、欲望には抗えない

そんな会話をしている内に、鎮守府の前を通る道路に1台の車が見えた

 

提督「...あれか。緊張するな」

 

特に俺は顔が心配だ

長門が説明するとはいえ、それが良い結果になるとは限らない

 

長門「...何を心配している。この鎮守府の事情を話せば、分かってくれる」

 

遠くから聞こえていたエンジン音は次第に大きくなり、やがてそれが鎮守府の前で止まった

...ついに来た

 

「あ、ありがとうございました!運転お疲れ様です。では...」

 

「ありがとうございます。帰りも気を付けてくださいね」

 

運転手に感謝を述べ、2人の女性が降りてきた

1人はピンク髪で、もう1人は綺麗な茶髪

 

長門「長旅ご苦労。明石、間宮、歓迎する」

 

提督「どっちが明石で...どっちが間宮?」

 

長門「ピンクが明石で、茶髪が間宮だ」

 

明石「あの...そちらの方は?」

 

長門「だから制服を着ろと言ったのに...こいつが提督だ」

 

提督「十分な歓迎が出来ずすまない。俺からも...歓迎する」

 

間宮「貴方様が提督でしたか!私は間宮と申します。以後宜しくおねがい...し...」

 

明石「...?どうしたんですか?間宮さん...そんなに提督の顔み...て...え?」

 

挨拶を途中で止めて、恐怖なのか驚愕なのかそれとも両方なのか...俺の顔をよく見て気付いたようだ

 

提督「あー...長門頼んだ」

 

俺の口からよりも、同じ艦娘であり真面目な長門が説明した方が良い

 

長門「つまりだな...」

 

 

明石「なるほど...大本営で噂は聞いていましたが...それほど酷い事があったのですね...」

 

間宮「申し訳ありません!外見で提督の事を疑ってしまいました...なんとお詫びしたらよいか...」

 

提督「心配ない、慣れっこだ。どうしても詫びたいのなら...」

 

長門「...おい、変な事言うんじゃないぞ」

 

提督「なんか甘いものない?」

 

間宮「...え?は、はい。ありますけど...」

 

長門「まぁ、そういう奴だ。慣れてくれ」

 

明石「慣れるのにはかなり時間がかかりそうですね...」

 

提督「よし、では午前中は鎮守府の案内をする。午後からは仕事をしてもらうぞ」

 

明石には工廠の整理、稼働

間宮には美味い飯で艦娘を労って貰わなくてはいけない

 

「了解!」

 

 

間宮「な、なんですか...加賀さん...」

 

各役職に適した場所から案内した方が良いだろうという長門の提案を受け、途中から来た榛名に明石を任せ、間宮を食堂へ案内している最中

途中で会った加賀が、間宮を見た瞬間飛び付いた

流石大食らいなだけあり、間宮のことは大好きらしい

 

長門「最後に間宮の飯を食ったのが何年も前だが...忘れられないらしいな」

 

加賀「提督、大事な事を忘れているわ」

 

提督「...なんかあったか?」

 

加賀「...」グゥゥウ

 

提督「...朝飯まだだったな」

 

加賀「ということで間宮さん。お願いできるかしら」

 

間宮「そういう事なら...お任せ下さい!」

 

提督「食材とかないけど...」

 

間宮「大丈夫です!食材は満載してきました」

 

さすが給糧艦...積載量はかなり多いのだろう

...しかし

 

提督「加賀はかなりの大食らいだぞ。いくら給糧艦と言えど、加賀の食事の量の方が多いんじゃないか?」

 

実は昨日場所を明かしたカップラーメンだが、箱で置いてあったのが殆ど無くなっている

加賀が食べたのだろう。朝は流石に不健康と思ったのか、食べなかったようだ

 

間宮「正式な手続きが終わったので明日から食材が届くと思います。だから沢山作るので、安心してください」

 

加賀「...気分が高揚します」

 

普段ポーカーフェイスの加賀だが、少し口が緩んで口角が上がっている

相当嬉しいようだ

 

間宮「では早速...向かいましょうか」

 

提督「すまないな...まだ案内が終わってないのに」

 

間宮「仕事ですから。それに、私の力で皆が笑顔になれるなら...と考えると、ついつい燃えちゃうんですよね」

 

提督「いつか、俺も間宮さんの飯で笑顔になってみたいもんだ」

 

間宮「顔に出ない事は悪いことじゃありませんよ。『美味しい』って一言言ってくれれば、私は嬉しいですよ」

 

提督「...そうか」

 

間宮「では、私はこれからお仕事なので、行ってきますね」

 

提督「おう。...あ、食堂の場所分かる?」

 

間宮「...あっ」

 

長門「私が案内しよう。加賀は一足早く向かってしまったのでな」

 

提督「助かる。間宮さん、どのぐらいで作れる?」

 

間宮「1時間あれば...って感じですね」

 

提督「分かった。では一〇〇〇にここにいない奴らも呼んで食堂行くから、よろしく頼む」

 

間宮「はい!」

 

 

場所は変わって工廠前

いるとすればここだが、榛名にあの艤装の山をまだ見せていないことを思い出した

どんな反応をしているか...

 

提督「おーい明石ぃーいるかー」

 

明石「あ、提督。...これなんですか...?」

 

艤装の山に困惑する明石

その前に立ち尽くす榛名

 

提督「まぁ、長門が話してくれた事の延長線上って感じだな。榛名...何か見つけたか?」

 

榛名「...これって...」スッ

 

ダズル迷彩を施した主砲を指している

 

提督「...榛名のか?」

 

たしか...戦艦榛名はダズル迷彩の35.6センチ砲を載せていたはず

榛名のだとしたら、思い出深い物だろうか

 

榛名「とても...懐かしいです。今すぐ撃ってみたいぐらい...」

 

明石「ちょ、ちょっと待ってください!もう何年も使ってないんでしょう?ちゃんと直さないと...」

 

精密機械だろうし、定期的に整備しないとすぐに使えなくなるだろう

そんな物を撃とうとしたら、どっかのビッグセブンみたいに主砲が爆発する気がする

 

提督「整備が終わったら、訓練場でいくらでも試し撃ちしていいから、落ち着け..な?」

 

榛名「...さすがに冗談ですっ!今すぐ撃ちたくはなりません!...今すぐには」

 

いずれにしろ撃ちたいことを自ら告白する榛名

嘘が苦手な女の子って可愛いよな

兎に角、榛名がこの艤装の山をみて落ち込んだりしないで良かった

昨日で完全に解決出来たと祈っているが、まだ不安要素はある

しばらく榛名には気を配った方がいいかもしれない

 

明石「これ全部を修繕となると...かなり時間がかかりそうですね...」

 

提督「取り敢えず今後すぐに使うような物から直してくれ。はいメモ」スッ

 

戦艦の主砲×4

巡洋艦の主砲×2

駆逐艦の主砲×4

艦上攻撃機×2

艦上爆撃機×1

艦上戦闘機×1

小型対水上電探×2

偵察機×3

徹甲弾×2

 

明石「うひゃあ...中々多いですねぇ...」

 

提督「出来るだけ質の良い奴を選んでくれ。少しずつでいい...頼めるか?」

 

明石「それ、もうほとんど命令ですよね...まぁ、やりますけど...」

 

提督「助かる。...榛名?」

 

艤装の山をぼーっと見つめている

何か見つけたのだろうか

 

榛名「...榛名、あれが使いたいです」スッ

 

指したのはごく一般的な35.6センチ砲

普通なら41センチ砲が望ましいところだが、榛名が“使いたい”と言うんだから何か理由があるのだろう

 

提督「何か思い入れでもあるのか?」

 

榛名「...これを見てください」

 

提督「これは...“金”?」

 

砲には“金”と刻まれていた

“かね”か...“こん”か...

 

榛名「“金剛”の“金”です。整備してもらう時に誰の物か分かるようにするために削ったんです」

 

提督「...なるほどな。分かった...」

 

明石「皆さんにも、自分がどれを使いたいか聞きます?」

 

自分と何か関係のある物であれば、士気の向上にも繋がるかもしれない

 

提督「...午後に皆で来ることにしよう」

 

明石「...私、これ全部直しますよ」

 

提督「ありがとな。皆喜ぶよ」

 

明石「鎮守府の一員としての当然の仕事ですよ!」

 

随分と良い子だな...と思う

こうやって俺の事をすぐに受け入れてくれる艦娘もいれば、しばらく疑い続ける奴もいるだろう

 

士官学校に通っていた時、ある鎮守府へ見学に行ったことがある

そこでその鎮守府の提督に罵声を浴びせている艦娘がいた

たしか...提督は「曙」と言っていた気がする

そういう気の強い艦娘と話す時、この顔は足枷になるかもしれない

 

榛名「提督...実はまだ明石さんの事案内しきれてなくて...」

 

提督「じゃあ俺も一緒に行こう。...つっても、実は俺もまだ知らないとこがあったり...」

 

明石「提督としてそれは良いのでしょうか...?」ジト

 

榛名「まだ鎮守府(ここ)へ来られて三日目ですからね...それに、私が迷惑をかけたせいで鎮守府を回る時間も殆ど無かったでしょうし...」

 

それを聞いた途端、明石の表情が一変した

ジト目が瞬時に丸くなり、口を大きく開けている

 

明石「えぇっ!?提督って着任してまだ三日目なんですか!?」

 

提督「...何も聞かされてないのか?」

 

明石「『最近着任した』とは聞きましたが長門さんが話していた内容があまりにも濃かったので最低でも1週間以上は経っていると思ってました...」

 

俺自身も既に1週間ここにいる気分だ

こんなにも短時間で信頼を得れるとは思っていなかったし、前任の襲来も俺が暴れた事でたった数分の出来事に終わった

榛名を2回もあやした。2回目に関しては俺もあやされた

 

提督「...確かに濃いな...昨夜なんて、榛名が『お化けが怖い』とか言ってきたんだぜ」

 

明石「お化け...?」

 

榛名「て、提督だって榛名に甘えたくせに!」

 

明石「甘えた...?」

 

提督「今日も甘えさしてくれ!」

 

榛名「ぇっ...それは...ちょっと...うぅ...//」

 

明石(夫婦...?)

 

 

工廠での作業に区切りがついたところで鎮守府を榛名に案内してもらっている

俺が知っているのは重要区画だけで、その他の設備は全く分からない

 

提督「そういえばさ、俺用の風呂ってあんの?」

 

鎮守府にいる男は俺だけ

シャワーぐらい私室にあるだろう

 

榛名「無いです」

 

提督「え?」

 

明石「え?」

 

榛名「前任が壊しました」

 

前任(あいつ)は絶対にぶちのめす

 

榛名「私たちと同じ入渠施設に入って身体を洗わせて...ぅ...」ガクッ

 

提督「大丈夫か?」

 

明石「酷い...」

 

提督「これがこの鎮守府の実状だ。多少元気を取り戻したとはいえ、過去の記憶を消し去ることは...出来ない」

 

明石「よくそれで今も立っていられますね...尊敬します」

 

過去の記憶があるからこそ、強くなれた

皮肉にも前任の愚行が今の彼女達を強くしている

最悪の記憶を糧にする事がどんなに難しいか...

 

明石「...強いですねぇ」

 

提督「あぁ...強いさ。誰よりもな」

 

明石「範馬勇〇郎よりもですか?」

 

提督「なんでそいつが出てくる...」

 

明石「お風呂に関しては...私が造りますよ。明石建設にお任せ下さい!...けど」

 

提督「...けど?」

 

明石「すぐにできそうもないので、暫くは入渠施設で...って感じになりますね」

 

俺はそこまで気にならないが、艦娘達はどうだろうか

生理的に受け付けられないとかあるだろう

 

提督「時間ずらすぐらいの方法しか取れないけど...てか、俺も入れんの?入渠って」

 

明石「...行けるっしょ」

 

こいつ絶対知らないぞ

人体に及ぼす影響...

まぁ...死にはしないか

 

榛名「事情は言わなくても皆分かってくれるだろうし、榛名は良いと思います」

 

提督「どの道体を洗わない方がまずいし、入らせてもらうか」

 

そんな会話をしつつ榛名について行くと何やら道場らしきもの見えてきた

これは...見学した時に来た事がある

 

提督「弓道場か」

 

弓道場...主に航空母艦が使用する訓練場

入口の目の前はすぐに射場で、左側に更衣室、右側に矢道がある

 

榛名「加賀さんに後でやってもらいましょう。どれだけ腕が落ちてるのか気になります」

 

提督「1年のブランクは大きいな。榛名も射撃精度かなり落ちてるだろ」

 

榛名「水上に立てるかどうか...」

 

明石「そこまでですか...」

 

思いの外艦娘の士気が早く安定したので、明日にでも訓練を始めようと思う

暫く訓練を続けて、その間に資材を備蓄。艦娘を建造して戦力の増強...って感じか

 

提督「それで?まずここに連れて来たのは何か理由があるのか?」

 

榛名「実は榛名、少々弓道を嗜んでいたんです...」

 

明石「凄いですね!趣味ですか?」

 

榛名「はい。戦場で弓を引く空母の方達の姿をみて「私もやってみたい...!」って思ったんです。...また引いてみたいなぁ」

 

提督「弓を引く榛名...絵になりそうだな」

 

明石「ですねぇ」

 

榛名「?」

 

時々出てくる褒められてる事を理解していない鈍感系榛名

ここまで来ると照れ隠しなんじゃねぇか

 

榛名「だんだん記憶が戻ってきて榛名も楽しくなってきました!次の場所に行きましょう♪」

 

めっちゃはしゃいでる

可愛い

 

提督「可愛い」

明石「可愛い」

 

榛名「うぇっ!?」ビクッ

 

 

提督「ここは?」

 

連れてこられたのは鎮守府の海に面している部分

工廠から近く、弓道場に行ってから戻ってきた感じ

 

榛名「桟橋です。ここから戦場に向かったんです」

 

提督「...思ってたのと違う」

 

明石「しっかりした造りですけど木造だから質素に見えますね...」

 

榛名「...腐食が進んでますね。ここも新しくしてもらわないと」

 

しかし...何の変哲もない桟橋

ここが思い出の場所なのか...?

 

提督「...分かった」

 

明石「何をですか?」

 

この桟橋はちょうど西を向いている

つまり...

 

提督「夕陽が良く見えそうだな」

 

榛名「はいっ!ここから見る夕陽がとっても綺麗なんです!また後で皆で見ましょう♪」

 

はしゃいでる

めっちゃはしゃいでる

 

提督「尊い」

明石「尊い」

 

榛名「さ、さっきからなんですかそれ!」

 

提督「おっと、そろそろ11時だな。間宮が飯を拵えてくれてる」

 

明石「あ、私はいらないので工廠で仕事に取り掛かってますね」

 

提督「頼んだ。さ、行くぞ榛名」

 

明石「提督。ちょっとしたお話なんですけど」

 

提督「ん?」

 

明石「...大本営に知り合いの元帥がいるんですけど、顔がすっごい威圧的で有名なんです」

 

提督「有名になる程怖いいのか?」

 

明石「いえ、提督程じゃないです。でですね、その元帥、大本営にいる艦娘から異様に好かれてるんです」

 

若干貶された気がする

 

明石「私達艦娘は、意外と怖い顔の人が好きかもしれないですね」

 

榛名「...ただ怖いだけじゃなくて、優しいですからね」

 

明石「ギャップ萌えってやつです」

 

提督「いやそれは違うだろ」

 

男に使うかよそれ

例えだけど、めちゃくちゃ大柄な人の声が高かったら気色悪いだろ

 

1度会ってみたいが、元帥か...

とてもじゃないが俺が会えるような人では無い

 

〜食堂

 

由良達を呼んで食堂に来た

早速飯を...と思ったのだが

 

間宮「加賀さん...中々やりますね」バチバチ

 

加賀「鎧袖一触よ」バチバチ

 

提督「...なにやってんの?」

 

長門「加賀があまりにも食うからな、間宮に火がついた」

 

提督「俺らの分残るかな?」

 

長門「それはもう用意してくれているぞ、あれだ」

 

カウンターの反対側にある長机の上に一人一人の飯がしっかり用意されている

既に長門は食したようだ

 

提督「The、朝食って感じのメニューだな」

 

青魚、冷奴、納豆、おひたし、味噌汁、白米

昔ながらの健康食

 

電「納豆...あまり好きじゃないのです」

 

不知火「納豆が嫌いとは...信じられません。非国民ですね」

 

電「そんなにですか!?」

 

由良「そういう食べ物だから仕方無いわよ...どうしちゃったの不知火ちゃん」

 

提督「さぁ座ろう。朝から何も食ってなくて倒れそうだ。」

 

「いただきます」

 

...美味い

そこらの健康食品より健康になれるぞこれ

 

電「納豆...」パクッ

 

電「...!意外と美味しいのです...」

 

不知火「ようこそ日本国へ」

 

由良「どうしちゃったの不知火ちゃん...」

 

日に日に笑顔が増す食卓

この笑顔を絶対に崩しては行けない...一生

...護らねば

 

加賀「おかわり!」

 

間宮「まだまだありますよ!」

 

長門「もう10杯目だぞ。そろそろやめておけ」

 

加賀「そんなに食べましたか...気付きませんでした」

 

提督「10杯であんなに涼しい顔できるのか...流石の燃費だな」

 

士官学校でも正規空母の燃費はよく話されていた

あまりにも食うので、空母を増やしすぎるとそのまま鎮守府が潰れるって噂があったんだが...少々現実味を帯びてきた

 

加賀「誰の燃費が悪いと?」ジロ

 

提督「いや、長門って燃費悪そうって話をしてたんだ」

 

長門「なっ!?」ガタッ

 

話を誤魔化すためにとっさに長門への悪口が出た

すまんと言いたいが、興奮してる加賀の方がよっぽど恐ろしい

 

長門「...どういうことだ。この私の燃費が悪いだと?」

 

提督「実際悪いだろ戦艦だし。あ、榛名は例外な」

 

榛名「?」モグモグ

 

長門「...言い返せん」

 

提督「あ、そうだ。おーい皆、この後各自工廠に来てくれ。艤装の調達をしたい」

 

長門「調達?開発でもするのか?」

 

提督「いや、長門と加賀は知っているが、工廠に昔鎮守府(ここ)にいた艦娘の艤装がある。そこから選んで欲しいんだ」

 

皆の表情がお食事ムードから真剣になる

驚いた様な表情をしている駆逐艦達や、顔が強ばる加賀

 

加賀「...今すぐ行かせてもらうわ」

 

長門「私も行こう。...しかし、いい提案をしたな、提督」

 

提督「明石の提案だ。礼なら彼女に言ってくれ...直してくれるのも明石だしな」

 

榛名「ちなみに私は金剛お姉様の主砲を直してもらいます!」フフン

 

提督「俺も飯食ったら行くから、明石に一言挨拶でもしとくんだな」

 

加賀「...えぇ」ダッ

 

提督「走らんでも...」

 

長門「それ程嬉しいということだ。艤装というのは私たち艦娘にとって体の一部。自分が想う艦娘に“また会える”訳だからな」

 

提督「...お前も走りたいか?」

 

長門「いや...私は...」

 

提督「行ってこい」

 

長門「...あぁ。では」ダッ

 

“また会える”...

随分と悲しい形での再会

どんな形であろうと再会は再会...喜ばしいことだな

 

電「電も早く食べないとっ!」ガツガツ

 

不知火「んぐっ!んぐっ!?」

 

由良「そんな急いで食べなくてもっ!不知火ちゃんほら水!」

 

提督「これこれ...そんなに急がなくても艤装は何処へも逃げないぞ」

 

榛名「なんだかか本当の姉妹みたいですね...由良さんと駆逐艦(あの娘)達...」

 

提督「いっつも一緒にいるよな」

 

榛名「トイレにもついて行くんですよ?『心配だ』って」

 

一見するとただの心配性だが、俺はそうは思えない

由良が駆逐艦に依存している感じがする

正直気味が悪い

まだ由良との会話はあまりしていないし、不審な点も多い

 

提督「姉妹というより母子だな。そりゃ」

 

榛名「提督はママっ子ですか?」

 

提督「もちろんママっ子だ」

 

やることが山積みで、正直今後が心配

長門がいるが、一応本部からの大淀の派遣要請をする事も念頭に置いておこう

 

 

 

 




ほんとに一月間隔ですね。クオリティ低いのにこんだけ時間がかかって申し訳ない。
一月も経つと前回の内容忘れて前回の見直しに行かせる高度な裏技とかじゃないです。次回は早めに作れるかな?
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