鍾馗   作:駆露洲

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工廠からスタート


疑い

朝食を終え、俺も工廠へ向かった

工廠では、艤装の山を見つめている艦娘達が見える

真剣な顔付きで自分の艤装を選んでると思っていたが、意外にも工廠には笑声が広がっている

 

長門「提督。これを見てくれ」

 

少し得意気に自分の艤装を見せつける長門

この前は受け流したが、やはり戦艦の主砲なだけあってイカつい

主砲の側面に、「長」と刻まれている...つまり

 

提督「自分の艤装か。お気に入りか?」

 

姉妹艦の陸奥の物を使うと思っていた

榛名は性能よりも姉妹愛を優先した

別に薄情でもなんでもないが、人情深い長門だから「意外」と思う

 

長門「陸奥の主砲を使ってやりたいという気持ちはあるんだが...」

 

長門「...陸奥の主砲って...なんだかなぁ...」

 

提督「...あ」

 

思い出した

主砲の爆発で沈んだ戦艦陸奥

...とばっちりのようにも感じられるが、縁起が悪い...そんな感じがする

 

提督「41cm砲...申し分ない火力だな。偵察機と徹甲弾は適当でいいか?」

 

長門「ああ。んしょっ...重い...」

 

戦艦の主砲は他の艦の艤装に比べるとかなり大きいし、重い

トレーニングができなかった長門が重いと感じるのも納得だ

 

提督「海に出る前にこの贅肉を落とさないとな」ツンツン

 

長門「ひぁっ!?昨日やめろと言ったはずだ!全く...」

 

...え?

今の長門の声?

 

加賀「...そんなに可愛い声出せたのね」

 

不知火「『ひぁっ!?』...」プッ

 

長門「...」プルプル

 

電「真似するのやめて...」クスクス

 

由良「...長門さん...」ニヤニヤ

 

榛名「そ、その辺にしないと...」

 

長門「き、貴様らぁぁあ!」ガチャ

 

提督「おいなんでそんな軽々と持ててんだよ!」

 

長門「やかましい!これは制裁だ!!」

 

思い切り俺に向かって主砲を振りかざしている

...やばい

 

提督「ギャグ漫画じゃねぇんだからそんな物で殴られたら潰れる!頭潰れる!」

 

長門「...」ピンッ

 

提督「い”で”っ”!?」

 

昨日撃たれた傷をデコピンされた

中々鬼畜な事しやがる...

 

長門「痛い目見たな!人の腹を触るなどという無礼な行為今後するなよ!」

 

提督「...なんでヘソ出し服着てんだよ...」ボソッ

 

長門「何か言ったか?」

 

提督「いえ、以後気をつけます」

 

本当に長門が鍛えてなくてよかった

鍛えていたらデコピンで傷から血が噴き出たかもしれない

気を取り直して、他の艦娘はどの艤装を選んだのか見ていこう

 

提督「加賀はどうだ?」

 

加賀「私は...自分の物と、赤城さんの...それと...五航戦の二人の物を...」

 

提督「それは?」

 

選んだ艦載機()とは別に、もう一本持っている

 

加賀「これは...御守り。グラーフさんから貰った物です」

 

提督「グラーフ...ドイツの空母か。まさかここに着任していたとは」

 

鎮守府における海外艦の所属は直接「強さ」 を意味する

海外艦がいるということは、その分活躍しているという事

そこまで強力だったのか...ここは

 

加賀「1度も飛ばしたことはありません。グラーフさんからは『窮地の際に使え。きっと役に立つ』と聞かされています」

 

提督「ドイツの航空機か...。良い御守りを貰ったな」

 

矢根に史実の艦載機迷彩の紐が巻かれているから、誰の物か判別できる

これは赤の線があるから赤城、赤の二本線は加賀...

グラーフの矢はそもそも日本空母とは色が違う

“窮地の際に”と言うほどだ。余程強力な航空機なのだろう

そんな窮地の時が来ないといいが...

 

電「司令官さん!見て下さい!」

 

不知火「これは...中々」

 

提督「成程...駆逐艦はシールか。可愛いな...」

 

戦艦は字を刻んでいたが、駆逐艦はシールに名前を書いている

二基の主砲と魚雷発射管には「雷」「響」と、水上電探には「あかつき」と書いてある

 

提督「...暁って漢字書けなかったのか...」

 

電「はは...」

 

不知火は...主砲と魚雷発射管一基に「陽炎」もう一基と水上電探に「不知火」

 

不知火「姉妹が多いので...姉と自分の物だけにしました」

 

提督「明石がそのうち全部直すって言ってたし、その日の気分で変えたらいいさ」

 

不知火「ではイライラしている日は陽炎姉さんの物を...」

 

提督「なんでだよ...」

 

姉に対して何か気に食わなかったことがあるのだろう

長女は大変だなぁ

 

提督「...由良は?」

 

由良「ふふ...良いでしょう?この主砲」

 

提督「まぁ...使えないことは無いが...」

 

由良が持っている主砲

14cm単装砲でも無ければ、20cm連装砲でもない

さっき駆逐艦が持っていた“12.7cm連装砲”だった

 

提督「...何故それを?」

 

由良「これは夕立ちゃんの...これは村雨ちゃんの...私が第四水雷戦隊の旗艦を務めていた時の子たちですよ?」

 

使えない訳では無い

だが軽巡洋艦が所持するにはあまりにも口径が小さい

流石に見過ごせない...しかし今ここで由良を刺激する訳にも行かないので、言及するのはやめよう

 

提督「...そうか」

 

由良「...ごめんなさい提督。向こうで少し話しましょう」グイッ

 

俺の反応を見てか、由良が唐突に2人だけで会話がしたいという

 

長門「ちょっと待て」ガシッ

 

以前長門と話した通り、現状俺と由良を二人だけにするのは得策ではない

長門がいち早く気づき、由良を阻止しようとしている

 

由良「...お願い」

 

至って真面目な表情で、長門に向き合う

さすがの長門も一瞬戸惑う

 

長門「...」チラッ

 

提督「...」コク

 

長門「分かった。手短に済ませてくれ」

 

由良「...」グイッ

 

提督「うおっ...唐突に話が進む...」

 

かなり強引に引っ張られる

そこまで焦る必要はあるのだろうか

 

 

提督「で?態々二人になってどんな話をするんだ?」

 

由良「...私がおかしいの、分かるでしょう?」

 

自覚があったのか

なら尚更不気味だ

 

提督「俺の目には駆逐艦に依存しているように見えるな」

 

由良「依存...ですか」

 

提督「何故そこまで駆逐艦に固執する?ロリコンなのか?」

 

由良「...そうかもしれないですね」

 

由良「駆逐艦の子たちに迷惑を掛けているのは分かるんです。だから...」

 

由良「提督に助けて欲しい...」ギュ

 

突然異性...しかも美少女に手を握られると、動揺するのが一般的な反応だが、何故か俺は冷や汗が止まらない

 

提督「助けて欲しいったって、俺に何を求めているんだ?」

 

由良「ただ...由良のそばにいてくれれば良いんです...//」

 

...あれぇ?

俺が想像してたのと全く違う

これじゃまるで『今まで恥ずかしくて言えなかった』みたいな感じじゃないか

二人だけじゃないと言えなかったみたいな感じじゃねぇか!?

 

...しかしここで気を緩める訳には行かない

どうも俺には由良が本気で言っているように思えない

今まで“本気で言ってきた奴”と少し違う...演技混じりな感じがする

 

提督「...もう少し詳しく話がしたい」

 

由良「...どんな事?」

 

提督「由良についてだ。由良のことをもっと知りたい」

 

由良「それは...どういう」

 

提督「まだ俺は由良のことを全く知らない。好きな物嫌いな物とかな...だから教えて欲しい」

 

由良「...分かりました。でも、これ以上長く話してると長門さんに怪しまれるから、今夜お散歩でもしながらお話しましょう?...ね?」

 

別にそこまで長く話してる訳じゃないが

いくら長門に“手短に”と言われたからってまだ殆ど話してないぞ

“手短に”済ませたつもりなのか...夜にしか話せないから一旦区切ったのか

やはり怪しい...本当に夜2人になっていいのか?

 

由良「『由良が怪しい』って思ってます?」

 

提督「...!」

 

由良「その事も含めて、今夜話します」

 

勘が良い...人を観察する能力が長けているのか

護衛娘長門作戦はこれじゃ無理だな

...とりあえず戻って長門と打ち合わせだな

 

 

長門「あ。随分早かったな」

 

由良「少し伝えづらい事を伝えただけですから...」

 

提督「女々しいこと言いやがる」

 

由良「提督さん!」

 

電「...由良さん、笑顔が増えたのです」

 

不知火「何か嬉しかったことでもあったんですか?」

 

由良「嬉しい...もあるんだけど、“楽しみ”の方が近いかな」

 

加賀「何かあるの?」

 

由良「...秘密ですっ♪」

 

由良がとても楽しそうに皆と話している隙を狙って、長門が近づいてくる

 

長門「外で話そう」ヒソヒソ

 

 

長門「...で、提督の目には由良がどう映った?」

 

提督「俺の腐った目じゃわからん。グレーってとこだ」

 

長門「なにやら由良が『楽しみ』とか言っていたがらそれは?」

 

提督「今夜散歩がてら雑談だとさ」

 

長門「...大丈夫なのか?」

 

提督「出来れば長門に監視してて欲しいんだが...多分あいつ滅茶苦茶勘が鋭い。警戒されると余計厄介だ」

 

長門「...一人で大丈夫か?」

 

提督「なんか親に言われてるみたいだな。大丈夫...とは言えない」

 

長門「死ぬなよ?身の危険を感じたら逃げてくればいい。絶対に命を二の次にするな」

 

何かある度にすぐ俺死ぬじゃん

物騒すぎるこの鎮守府

 

長門「...由良も、昔はあんなに駆逐艦に依存してなかったんだがな...」

 

提督「...察しは着くさ」

 

これに関わってるのなんてたった1人...1匹の虫野郎しかいない

 

長門「面倒見が良かったから、駆逐艦達は由良を姉のように慕っていた」

 

そんな由良も、駆逐艦達を妹のように思っていたんだろう

だが、姉妹艦も駆逐艦も消されて、残ったのが電と不知火

沢山の“仲間”も、“姉妹”も失った由良が、たった二隻だけ残った駆逐艦に依存するのも無理はない

...他の艦娘も同じ境遇だが、その後の変化は性格も関わってくるのだろうか

 

提督「俺は死なない。お前らを幸せにするまで心臓を潰されても生き続ける」

 

長門「馬鹿言うな。これを持っていけ」

 

提督「...これは」

 

拳銃...九四式拳銃だ

 

提督「随分古いもん持ってるなぁ...これ本物ぉ?」

 

長門「偽物とでも?工廠に落ちてたんだ」フフン

 

提督「そんな誇らしげに言う事...?」

 

長門「明石に軽い点検をして貰ったから多分撃てる」

 

提督「あの短時間でどんな点検?」

 

長門「油刺してもらった」

 

提督「えぇ...」

 

大丈夫かよ...暴発しないよなこれ

火薬しけってない?

しかし...これで何を?撃てってか?由良を

 

長門「地面に向かって撃て。...ヤバかったら由良に向かって撃て。即死じゃなければ艦娘は大丈夫だ。頭と胴体は出来れば避けろ」

 

提督「いや駄目だろ...新しいトラウマ植え付けちゃうよ...」

 

長門「そのトラウマ級の顔で良く言えたものだな」

 

提督「酷くない?」

 

長門「工廠は明石が戸締りをするから艤装は持ち出せない。厨房も間宮が戸締りをするから榛名みたく包丁は持ち出せない。撃つことは無いと思うが、護身用だ」

 

提督「艦娘と言えど、女の子だもんな。流石に長門に殴られたら痛いが、由良だったらまだ長門よりかは...」

 

長門「私を釣り合いに出すな...」

 

提督「拳銃は撃たない。だが個人的に貰っておこう...こんな貴重なもんなんで鎮守府(ここ)にあるんだよ...」

 

長門「そこまで驚くことか?小さいとはいえ私達の艤装も本物と同じだ」

 

提督「実物とは迫力が違うんだよ小さいから。この九四年式ちゃんは大きさも本物だからロマン溢れる」

 

長門「むぅ...」

 

 

工廠で十四年式拳銃を明石に“しっかり”見てもらってから、執務室に来た

夜までは特にすることが無いため、昼間は久しぶりに息抜きができる

 

提督「拳銃ってなんかかっこいいよな...構えた時の高揚感はなんとも」カチャ

 

榛名「提督、ここですk...」ガチャ

 

提督「あっ」

 

榛名「うっ、撃たないでぇ!」

 

提督「いや撃たねぇよ。ごめんて」

 

榛名「なんでそんな物持ってるんですか...危ないですよ...」

 

提督「こんなところに危ないも何もありません」

 

榛名「...確かに」

 

提督「で、何か用か?」

 

榛名「ちょっとバタバタしててすっかり忘れてたんですけど、正面玄関の扉前任に壊されて穴空いてて...」

 

提督「...そういえば、そうだったな...そういえば...俺も腕を撃たれて...」

 

ブシュッ

 

提督「あっ」

 

榛名「わっ...わっ...」

 

榛名「て、提督!大丈夫ですか?死んじゃいませんか!?」アセアセ

 

提督「落ち着け。さっきデコピンされた衝撃で今血が出てきただけだから。死なないから」

 

榛名「とにかく間宮さんのところに!」グイグイ

 

提督「分かったから。落ち着こうよ。分かったって」

 

 

間宮「...危なかったですね...。後もう少し遅かったらウジが湧いてましたよ。よくこんな傷でなんともなく過ごせましたね」

 

提督「何故だろう...殆ど痛みを感じない...」

 

不思議なもんだ

怪我をすれば痛いし、殴られれば痛い。当たり前だけど、何故か俺は今痛みを感じない

人体の異常とかそういうのではなく、抓ると痛いし、殴ると痛い

ただ昨日の傷はマジで痛まないし、適当に巻いた包帯でほとんど止血もできてた

さっき長門にデコピンされた時は痛かったが、ズキズキ来る痛みではなく、一瞬だけの痛みだった

 

榛名「...その、大騒ぎして申し訳ございません...」カァァア

 

提督「心配してくれてたんだよな。ありがとう」

 

間宮「しっかりと体洗ってますか?」

 

提督「風呂がないから濡れタオルで拭くぐらいしか...」

 

間宮「え...無いんですか?」

 

提督「まぁ...“いろいろ”とあるからな。今日から暫く皆と時間をずらして入渠施設を使わせてもらう事になった」

 

間宮「私も皆さんと同じ時間には入らないので被っちゃうかも...」

 

提督「それは避けたい!俺は何時でもいいから出来れば間宮も時間を指定してくれ」

 

間宮「そうですね...フタヒトマルマルからフタフタマルマル位まで良いですか?」

 

提督「分かった。負担をかけるようですまない」

 

間宮「いいえ...この鎮守府の事情は殆ど知りませんけど、私も一員です。私にも色々と皆さんのためになることをさしてください...」

 

天使...もう既に食事面や衛生面で十分世話になってるのに...

本当にありがたい。心強い仲間が増えた事に、喜びを隠せない

 

提督「淑女ってのはこういう人を言うのかな」

 

間宮「...夜ご飯ちょっと多めに盛っておきますね」カァァ

 

めっちゃ喜んでるじゃん

可愛い

 

榛名「可愛い」

提督「可愛い」

 

提督「っ!?」バッ

 

...榛名に先を越された...

 

間宮「な、なんですかもう...///」

 

提督「榛名も褒めてみろ。なんか貰えるぞ」ヒソヒソ

 

榛名「間宮さんは...その...熟女ですね!」

 

間宮「...榛名さん。今日のご飯抜きですよ」

 

榛名「え...」

 

提督「誤解だって。榛名は“淑女”って言いたかったんだよ。ちょっと教養が足りてないんだ」

 

間宮「あっ...そうでした。そういう所でしたね...。榛名さん、私が勉強教えましょうか?」

 

...榛名の頭はこの鎮守府の事情と関係あるのか?

確かに皆抜けてるとこはあるが、榛名程ポンコツな訳じゃない

 

榛名「あ、ありがとうございます!学ぶことは楽しいですからね!是非!」キラキラ

 

...まぁ、榛名が嬉しそうだしいっか

学ぶことが楽しいなんて、何だか羨ましい

 

間宮「化膿止めは塗りましたけど、しっかりと診てもらった方がいいと思います。近々病院に行ってくださいね?」

 

提督「...そういえばさ、なんで間宮って医者みたいなこともできるの?給糧艦だよな?」

 

間宮「提督が負傷した時を想定してそういう勉強を少しするんです。薬も自分で持ってきました」

 

だから艦娘は絶対に使わない化膿止めなんて持ってたのか

 

提督「...病院船でも造ればいいのに」

 

間宮「どんな怪我するつもりなんですか...」

 

提督「まぁ、取り敢えずは大丈夫だな。ありがとう。ほら、行くよ榛名」

 

榛名「あ、はい。失礼します」ペコ

礼儀はしっかりしてるんだよな...

これも前任の影響か

皮肉というかなんというか

というか、『前任』ってなんか『善人』って聞こえるから嫌だな

虫けら...悪人...

 

間宮「...提督」

 

提督「ん?」

 

間宮「その銃創は一生残るし、今回は少し肉を抉っただけですけど、当たりどころが悪ければ一生腕は使えなくなっていたかもしれないんですよ?銃を持ってる人を刺激するなんて...漫画に影響されすぎですよ」

 

提督「俺は不死身だぁぁあ!!」

 

榛名「ひっ!?」ビクッ

 

間宮「全く...あ、そういえば、なんで痛みを感じなかったんでしょうねぇ...」

 

提督「アドレナリンがめっちゃ出てたから?」

 

間宮「そんなんじゃカバー出来ないですよ...いつまで出してるつもりですか」

 

提督「まぁ、前任...もとい虫けら曰く、『顔だけじゃなく頭までイカれてやがったか!』だってさ。そうかもな」

 

間宮「...詳しく診てもらった方がいいですよ」

 

提督「そうだな...そのつもりだ」

 

 

榛名「提督は不死身なんですか?」

 

提督「なわけないだろ。死ぬときゃ死ぬわい」

 

榛名「...死なないでくださいね」

 

提督「無茶言え。一応ここも戦線だぞ。俺を死なせたく無かったら、死ぬ気で戦うことだな」

 

榛名「榛名、提督の為ならこの生命、何時でも捨てる覚悟です!」

 

提督「前言撤回。死なせたくないから俺の為に命張るのはやめて」

 

榛名「提督...///」

 

加賀「お盛んね」ヒョコ

 

提督「お、加賀」

 

榛名「!加賀さ〇△□▽⇧*◀◇▷▽...」

 

提督「落ち着けって、言葉になってないよ」

 

加賀「先程選んだ艦載機の機種の確認をするついでに弓を使ってみようかと思うのですが...良ければご一緒に」

 

提督「めっちゃ見てみたい。是非お供したい」

 

榛名「は、榛名も射ってみていいでしょうか...」

...

 

『えいっ!っぅあ!』グルッ

 

『あっ!』バシュ

 

グサ

 

なんかなぁ...想像しちゃうよなぁ

幾ら練習してたとはいえポンコツ榛名だとなぁ...

さすがに心配しすぎか?

 

加賀「えぇ。一緒にやりましょう」

 

提督「榛名」

 

榛名「はいっ!」

 

提督「頼むから俺には当てるなよ」

 

榛名「当てませんよ!榛名をなんだと思ってるんですか!」

 

提督「ポンコツ。ドジ」

 

榛名「...否定できません...」

 

 

開けた場所を探し、そこで射ることになった

本来であれば射らなくても謎の力で矢を航空機に変身させることはできるが、練習がてらということか

 

加賀「少し軋むわね...折れないといいけれど」

 

提督「流石に手入れしてからの方がいいんじゃないか?」

 

加賀「明石さんに油刺してもらったから大丈夫よ」

 

提督「おい、お前らKURE556信用しすぎだろ。弓に油を刺すな」

 

榛名「私のやつも残っていました。良かった...」

 

榛名の弓は加賀のものより一回り小さい

なんか可愛いな

...そういえば、長門は主砲を重いと言っていたが...

 

提督「...弓引ける?」

 

加賀「鎧袖一触よ。こんなも...の...」グググ

 

提督「随分力入れてるけど...」

 

加賀「...油断したわ。上手く引けない...鍛錬不足ね」

 

提督「弓は諦めよう。ちゃんとした整備をしてからの方がいいしな」

 

加賀「そうね...そうしましょう」

 

榛名「ふ...」グググ

 

提督「お、榛名は結構しっかり引けてるな」

 

加賀「流石戦艦ね...あ、榛名さん胸当て」

 

榛名「えっ?」ビュン

 

加賀「あっ...」

 

榛名「〜〜!!」バタバタ

 

滅茶苦茶痛そう...

やっぱり榛名はポンコツだった

そう痛感させられる

文字通り榛名はそれを痛く感じてるだろう

 

提督「大丈夫?怪我してない?」

 

榛名「真っ赤になってそうです...」

 

提督「榛名の服装だと横からちょっと見えるな...うん。真っ赤だわ」

 

榛名「っ!?」バッ

 

提督「今更恥ずかしがるなよ。それ正装だろ?」

 

加賀「...早く艦載機見たいのだけど...」

 

榛名「〜!///」ポコポコ

提督「よし、じゃあ早速見せてくれ」

 

加賀「...え、えぇ」

 

その場に4本の矢を並べた

赤い紐を一本巻いたものと、二本巻いたもの

白い紐を一本巻いたものと、二本巻いたもの

加賀の手に触れた瞬間、蒼白い光を発しながら矢が段々大きくなっていく

プラモデルぐらいのサイズになると、やっと光が消えて全体像が見えてくる

 

提督「不思議なもんだなぁ。どんな原理だよこれ」

 

加賀「これは...零戦ですね。52型です。これも52型。これは...天山。こっちは彗星」

 

提督「こう言うのもなんだが...装備の質はそこまで高くないんだな」

 

かなり強力な戦力を有していたはずだが、装備の質ではなく艦娘の練度によるものだったのか

 

加賀「質より練度よ。どんなに強力な雷撃機でも魚雷が当たらなければ意味が無いわ。妖精さんが熟練搭乗員だからこそこの艦載機には価値があるの」

 

提督「...この状態でエンジンってかかる?」

 

加賀「妖精さんが頑張れば...」

 

 

10分たっても掛からない

妖精さんが必死に試行錯誤してるが、多分無理だな

全く整備されてなかったんだから、かかる方がおかしい

 

提督「お、おーい。もういいって。諦めてって。話聞けって。」

 

加賀「ここでも不覚を取ってしまった...」

 

提督「いや加賀のせいじゃないから。元気だせって」

 

榛名「...そういえば、榛名が練習中に使ってる矢も変形するんですか?」

 

加賀「...えぇ。貸してみなさい」

 

空母以外が射っても変形しないのか

益々不思議だ...本当に謎だ...

 

提督「...ん?これって...」

 

橙色の複葉機...

九三式中間練習機...

 

提督「赤とんぼ...確かに練習用だな」

 

まさかそこまで考えられて使われてたのか

 

榛名「可愛いです...」

 

加賀「その赤とんぼ。榛名さんにあげるわ。あなたぐらいしか使わないし」

 

榛名「本当ですか?...ありがとうございます!」ワ-イ

 

加賀「付き合わせて悪かったわ。時間を取らせてしまったわね」

 

提督「いやいや変な要望したの俺だから。俺が謝りたい」

 

加賀「...こんどは、矢を射る所まで見せる」

 

提督「楽しみにしてるさ。...記憶。戻るといいな」

 

加賀「えぇ...きっと思い出してみせるわ」

 

加賀、間宮との親密度が上がり、調子は良好

由良がどう出てくるか分からない以上、迂闊に喋らない方がいい

深読みしすぎかもしれないが、俺が由良を警戒しなくては行けないことは彼女自身もわかるだろう

今夜、由良はどう出るか

俺はどうするべきか

長門に頼らず、自分で結論を出した方が誠意が籠るか

どちらにせよ...残り約10時間。有効に使わせてもらおう

 




マンスリー小説
月一投稿からいい加減脱したい
変な設定盛り込んだせいで伏線回収が大変ですわ
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