鍾馗   作:駆露洲

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由良が仲間になった翌日から


辞めるとか辞めないとか

翌日

 

明石「提督。工廠の機械が壊れました」

 

長門「提督。しばらく使ってない空き部屋に榛名が入って床板が抜けた」

 

加賀「提督。食堂の椅子が壊れたわ」

 

 

提督「...上に報告しに行くか...」

 

色々あった夜が明けてこのブラブラ鎮鎮にも仮の平穏が訪れた朝

何となく分かってはいたけど、人の手が加わっていなかったからか色んな所で色んなものがぶっ壊れる

 

長門「理解のある上官だといいがな...」

 

提督「そもそも士官学校卒業して数ヶ月の人材をいきなり超高難易度鎮守府に着任させたやつのことなんて全く信頼してないが」

 

長門「...まぁな。取り敢えず、そうと決まれば間宮に迎車要請の電文を打ってもらおう」

 

提督「間宮さん様々ですわ」

 

 

間宮「分かりました。早急に送りますね」

 

長門「あぁ。助かる」

 

提督「車で8時間か...今日中に帰れそうにない」

 

長門「宿にでも泊まっておけ」

 

提督「...ない」

 

長門「ん?」

 

提督「そんなお金ない...」

 

長門「...負担してくれることを祈ろう」

 

 

お昼時に送迎車が到着。着くのは夕方になりそうだ

 

提督「じゃ、行ってくるよ。色々と話つけてくる」

 

榛名「...」ギュ

 

提督「なんだよ子供じゃあるまいし、すぐ帰ってくるから、な?」

 

榛名「...はい」

 

電「ヨシヨシなのです...」ナデナデ

 

由良「驚くべき状況ね...ね?」

 

加賀「榛名さんの幼児化が止まらないわ...」

 

長門「...できるだけ早く帰ってきてくれ」

 

提督「その方が良さそうだ」

 

脳の配線が日に日にたるんでく榛名

そういう病気なのかと心配するぐらいに...

 

明石「提督!いい工具買うよう言っておいて下さいね!」

 

提督「話はつけとく」

 

間宮「本部は初めてでしょう?私がお供しましょうか?」

 

提督「いや、問題ない。間宮さんが離れると誰も飯を作れるやつがいなくなるからな」

 

それだけ言って車に乗り、運転手に出発を促す

だってさ...別に皆して玄関で見送らなくても、別にこれで1週間ここを開けるわけでもないし...

 

不知火「司令...」コンコン

 

提督「どうした?」

 

不知火「忘れ物です」

 

提督「...何だ?」

 

不知火「...」グッ

 

提督「忘れ物って...」

 

不知火「不知火との握手」

 

提督「なんじゃそりゃ」

 

あったけ皆

 

提督「...大袈裟だなぁ」

 

運転手「モテモテですな」

 

提督「やかましいわ」

 

 

鎮守府を発ってから1時間位たった頃だろうか

突然運転手が声をかけてきた

 

運転手「随分お若いのに、数々の戦争を生き抜いたかのような貫禄をされておる顔ですな」

 

提督「貫禄のある顔よりも、親しみやすい顔が欲しかったです」

 

運転手「そうですかな?私的には十分親しみやすいですが...」

 

提督「ご冗談を。まともに笑顔も作れませんよ」

 

運転手「人間の顔というのは、笑えるように作られているものです。ただ、個人差があるだけで」

 

提督「...そういうもんですかねぇ...」

 

運転手「大丈夫です。少なくとも、私はそう信じてます」

 

提督「...そりゃどうも。...にしても唐突ですね。本当に運転手やってるだけですか?」

 

運転手「今まで数々の提督を乗せてきた。それだけです」

 

提督「...前任を知っていますか?」

 

運転手「えぇ。前に来たでしょう?あの時私が運転してたんですよ」

 

提督「どんな様子でした?」

 

運転手「行きは静かにしてたんですけどね。銃声がしたと思ったら息を切らして車に乗ってきて「早く出せ」と言うもんですから驚きましたよ。帰りはブツブツ何か言っていましたね」

 

情けない奴だ

何故こんなにも惨めな人間が軍人になれてしまったのだろう

 

運転手「昔乗せた時とは大違いでした...」

 

提督「...昔?以前乗せた事が?」

 

運転手「えぇ。まだ“前任”では無かった頃に」

 

提督「その時の印象は?」

 

運転手「落ち着きのある真っ当な軍人...な印象を持ちましたね。とてもやる気に満ち溢れた顔をしていた」

 

提督「...それが聞けてよかった。感謝します」

 

運転手「いえいえ。年寄りに出来ることなんてこれぐらいです」

 

 

...ここが本部ね

 

時刻は18時。すっかり暗くなってしまった

 

タクシーの中では運転手のおっちゃんと色々話した

実家の事。鎮守府の事。見聞を広めるのに丁度良かった

どうやら連絡を受けた司令長官は「遅くても構わない」らしいので、今から会いに行くことに

 

どういう人なのか全く知らないから、正直怖い

 

上官に対しても対等に話し合うことを望むが、いざ対面すると怖くて何も出来ないで終わりそうだ

 

警備兵「何か身分を証明するものは?...いや、必要ありません」

 

提督「...なぜ?」

 

警備兵「失礼ですが...“噂”を耳にしたので」

 

提督「そんなに個性的ですかい。私の顔は」

 

警備兵「まるで睨まれてるみたいですよ。それはそうと、司令長官がお呼びです。どうぞお通りください。ご案内します」

 

提督「...」

 

睨んでるつもりないのに...

あの警備兵は人が良かったからいいが、警戒心の強い人だったら相当面倒な事になるかもしれなかった

何せこんな顔した奴が自分目掛けて向かってくるんだからな

 

にしても大きい建物だ。うちの鎮守府よりも2回りくらい大きい

流石多方面からの情報を統制する場所なだけある

それにしても先の運転手の言っていたことが気になる

 

「以前はあんな人じゃなかった」

 

...本当か?

今となっては悪人の前任が善人だった時があったのか?

...その事も本部(ここ)なら知れるだろう

 

警備兵「こちらで少々お待ちください」ガチャ

 

果たしてどんな人か...

白い髭を伸ばしたいかついおじさん...とかだろうか

 

警備兵「ただいまお連れしました」

 

提督「...」

 

司令長官「やぁ。待っていたよ」

 

...女?

 

司令長官「...なんだその目は」

 

提督「いや、意外だなーと...時代は変わりましたね。軍の司令長官に女性が就く日が来ようとは」

 

司令長官「性別は関係ない。大事なのは戦果だ」

 

意外とラフな性格を思わせる立ち振る舞い

身長は165くらいだろうか

容姿は艦娘で例えると足柄と長門を足して2で割ったような感じ

見た目判断だが、若いぞ

 

司令長官「そんな事はどうでもいいんだ。私は貴殿の意見、もとい話が聞きたい」

 

提督「早速本題ってことで良いんですね?司令長官殿...」

 

司令長官「私の事は長官でいい」

 

話したい事は色々ある

しかし展開が急すぎてついていけない

まず司令長官が女性な事が1番の衝撃

...今の時代、驚く事では無いのかもしれない

しかも厳格な方かと思えば親しみやすい姉貴的な存在感

挙句の果てには美人ときた

緊張で顔が強ばらないといいが

 

提督「...長官は私の顔を見てあまり怯む様子がないですね」

 

長官「顔は特に重要ではないからな。別に我々は接客業をしてるわけじゃない」

 

要は「顔は確かに怖いけど気にしない」って事か

しかし“気にしない”事が俺にとってはありがたい

 

提督「単刀直入にお聞きしますが...何故私をあの鎮守府に?」

 

長官「まぁ待て。質問は後でじっくり聞くから先に報告を頼む」

 

こんなアナログな方法で報告してるの家ぐらいだ

軍だから仕方ない。極力通信機は使いたくない

 

提督「...はい。まず“なんとか”ではありますが所属艦娘のメンタルケアに成功。友好関係を築きつつあります」

 

長官「やれば出来るじゃないか」

 

提督「なんとか...ですが」

 

長官「...敬語はいらない。堅苦しいのは苦手だ」

 

提督「...じゃ?前任のカチコミがあった。これにより艦娘が1人負傷。適切処置を頼みたい」

 

長官「軍法会議もんだな...」

 

提督「それと...鎮守府内に敵艦が侵入。何とか対処出来たけど、あと一歩で大事故に繋がるところだった。鎮守府も床は抜けるわ茶碗は割れるわで。最後に...ここ大事」

 

長官「何か...?」

 

提督「俺用の風呂が無い!」

 

長官「じゃあ普段どうして...」

 

提督「入渠施設に入ってる」

 

長官「なるほど...」

 

提督「苦労しますよ...」

 

長官「なんだか...すまない。思ったより鎮守府の状態は酷かったようだ」

 

長官ですら把握してないのか...尚更俺が送られた意味がわからない

 

提督「床板の張り替え、家具や道具の新調、鎮守府近海の哨戒を依頼します。報告以上」

 

長官「...風呂はいいのか?」

 

提督「明石が造ってくれるらしい」

 

長官「それは良いな。それがドラム缶風呂じゃないといいが」

 

流石にそれは勘弁して欲しい

本当にそうだったら工具取り上げてメ〇カリで売り捌いてやる

 

長官「さて、報告も終わった事だし、そろそろ世間話でもどうだ?」

 

提督「いいですけど...」

 

長官「場所を変えよう。ここよりは話しやすいだろう」

 

 

そう言って連れてこられたのは長官室

 

長官「改めて、長旅ご苦労」

 

提督「落ち着かねぇ...」

 

長官「コーヒーでも入れよう」

 

提督「そりゃどうも。落ち着ける」

 

提督「まず...単刀直入に聞きます。なぜ俺をあの鎮守府へ?」

 

長官「不服か?」

 

提督「そういう訳じゃない。ただ...ああいう現場はベテランがやる所でしょう」

 

長官「だが君は生還した上に鎮守府を復活させている」

 

提督「自分よりも上手くやれる人はいたはず」

 

なんとか生きて帰っては来たが、あれが俺ではなく一流の提督だったらもっと早くに完璧に艦娘の心のケアをしてあげれたはずだ

 

長官「...元々は教官の嫌がらせだったそうだな。だが許可を下ろしたのは私だ。何故だと思う?」

 

提督「...嫌がらせ?」

 

長官「阿呆、そんな訳ないだろ。ちゃんと理由があるわい」

 

提督「長官のような人間は少ないもんでして、生憎僕がいくら秀才であってもこんな面じゃね...」

 

長官「私もそこまで酷いとは思わなかったんだ...あ、顔の話じゃなくて鎮守府の話な」

 

提督「...」

 

なんかいじってくるなこの人

距離感が会って数分なのに大分近い

 

長官「何せ提督...もとい前任の戦果は目まぐるしいものでな。そんな男がまさか“そんな事”をするとは今でも信じ難くて...しかし、信じるしかあるまい」

 

提督「...随分お悩みのようですね」

 

長官「...増えてるんだ」

 

提督「何が?」

 

長官「こういった事例がな...近年増えている。理由は恐らく戦争の長期化だろう。精神的に参ってくる前線の指揮官が少なくない」

 

提督「では俺を配属したのは...」

 

長官「同期の中では優秀な成績を残している君...優秀な若者が欲しかったんだ」

 

前任もそういった理由からの行動だろうか

しかしあいつは精神がやられてるような感じはしなかった

残念な事に元気そうだったし

 

...要は人手不足って訳か

 

提督「着任して1週間経ってないってのに...苦労しましたよ...」

 

長官「その件は本当にすまない。遅くなったが鎮守府の問題解決に全面協力しよう」

 

提督「本当に大変だった...これからも大変だ...」

 

長官「...すまない」

 

提督「新人には荷が重すぎる...」

 

長官「うぅ...」

 

提督「...そのおかげで俺も護るべき仲間が出来た。その点は感謝している」

 

長官「...そうか」

 

出会わなければ何も無かったが、会ってしまった以上見放す訳には行かない

 

長官「...コーヒーでも飲んでゆっくり話そうじゃないか」

 

提督「いただきます。...実は前任が来た時にこんな事を言っていたのですが...」ウメェ

 

去り際に言っていた捨て台詞を長官に伝える

 

長官「...確かに奴は予備役入りしているが、そんな権限は無いはずだ」

 

あいつ何考えてやがる

焦って変な事言っただけか?

捨て台詞ダサすぎだろ

 

長官「それで、肝心の前任なんだが...連絡が取れてなくてな」

 

提督「大人しく隠居してりゃ良いのに...」

 

...そういえば

何故予備役入りしたのだろう

やつの考えてる事など理解出来そうもないが

 

提督「何故やつは予備役に?」

 

長官「分からない。突然言ってきてな...私も驚いた。最近は戦果を上げていなかったし戦力も大幅に縮小したから特に断る理由も無く、信頼出来る人間だったから鎮守府も調査は入らなかったんだが...それが間違いだった」

 

提督「...そんな信頼出来る野郎がどうして...」

 

長官「前述した通り...かもな」

 

提督「...まぁ、前任の事をこれ以上話しても無意味だ。そんなことより長官には家の鎮守府の艦娘の話をしたい!」

 

長官「...何かあるのか?」

 

提督「榛名がな...」

 

長官「...」ゴクッ

 

長官も固唾を呑んで俺の言葉を待つ...

大した事は言わないんだが

 

提督「馬鹿なんだ...」

 

長官「ブ-!!」ビチャ

 

提督「うわっ汚ねっ!」

 

長官「...失礼。いやお前が失礼だ。何を言うかと思ったら...」

 

提督「いやこれは重要な事だ。分かるか?あいつマジで甘えん坊の馬鹿なの!ガキなの!」

 

長官「甘えん坊榛名...気になる...」

 

提督「それに...加賀は記憶が1部飛んでいる」

 

長官「...こっちの方が重要だ。原因は分かるか?」

 

提督「聞いてないから分からんが...前任が絡んでいるのは確実だ」

 

長官「医者に診てもらうべきだな...他には?あるだろ?」

 

提督「由良がサイコなんだ...」

 

長官「...なんでだよ...」

 

これには長官も頭を抱える

 

提督「血を見るのが大好きでな。ほら見てここ...昨日噛まれたの」

 

長官「吸血鬼か...?」

 

提督「電不知火長門...この辺だな。恐らくまともなのは」

 

長官「......」

 

長官も俺の鎮守府の現状を理解して閉口する

めちゃくちゃ考え込んでる。...そうなるか

 

長官「...言い方は悪いが...戦時中において1指揮官が兵器をおもちゃにしていい訳が無い...そして...部下の暴走を止められなかった私の責任でもある」

 

提督「『やめる』とか言いませんよね」

 

長官「...駄目か?」

 

提督「少なくとも僕が現役でいる間は後ろ盾になってもらわないと」

 

長官「...正直な、疲れているんだ。国土にこそ戦争を思わせる戦火は無いが、ここ数年間ずっと戦争に身を置いている。時には深海棲艦の大攻勢もあった。若い力は凄い...そろそろ身を引く時期かと、最近思い始めてな」

 

確かに、本土は全く戦争を思わせない日常が続いている

しかしその裏では艦娘が奮戦し、指揮官もまた知恵を振り絞り共に戦っている

時々戦死者はもちろん出る。戦争だから

 

提督「辞めるとか辞めないとか、あんたそれでも軍人か」

 

長官「...分かってくれ...」

 

提督「何の為にここへ来たのか、何の為にここにいるのか...ここへ来た以上、最後まで軍人を全うする覚悟を決めるべきです」

 

長官「...何かに気付かされた気がするよ。サッパリした...悩みとは、呆気ないものだね」

 

提督「長官が単純なだけでは?」

 

長官「やかましいぞ。お前みたいにすぐ解決しないような問題を持ってないからだ」

 

提督「すぐいじる...」

 

長官「悪い悪い...気を悪くしないでくれ。...なぁ、榛名の事教えてくれないか?飯奢るからさ」グイ

 

提督「...語るか...榛名の素晴らしさを。飯はいらねぇ...」

 

その後、榛名の事をあった頃の話から今日の朝の話まで全て語った

 

長官「会ってみたい」

 

提督「前線視察ってことで来れそうじゃない?」

 

長官「それだっ!」

 

提督「冗談のつもりだったんだが...」

 

長官「そうと決まれば書類の作成だ!ついでに補給物資の件もまとめておこう」

 

提督「ついでって...」

 

長官は意外と面白い人物かもしれない




この間隔を見ればわかる通り、モチベが全くありません。
ほんの出来心で始めた執筆が意外と見に来る方が多くて書いてたけど、効果音とかの表現とかで悩んだりストーリーの進行で悩んだりと、試行錯誤を繰り返しながら何となく投稿していた結果、本来であればもう少し盛れたストーリーを薄いものにしてしまって後続が伸び悩んでいます。こんな調子でやってるもんですから読者は段々と減っていって遂には低評価を貰いました(なぜ今まで無かったのか不思議な位だけど)
というわけなんで、続けはしますが投稿間隔は次々と空くかもです。
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