鍾馗   作:駆露洲

15 / 16
視察に来た長官が帰った後から


再会

数日かけて床板は張替え終わり、家具なども適所に運ばれて荷物が片付いた

家具は決して高級なものでは無い。庶民的な俺を気遣ってなのか、ただ単にケチなのか

 

提督「この箱だけ俺宛だな...スマホ?」

 

LINEしか入ってねぇ

しかも友だちに長官いるんだけど

「^^」でも送っておくか

 

提督「うわ既読早」

 

『何か報告や要望があったらここで済ませてくれ。あと皆の写真撮りまくって送ってね』...なんだこいつ

 

しかし携帯は有難い。今の時代これが無いと始まらないな。

「鎮守府再建はスマートフォンと共に」ってか。観たことないけど

 

長門「提督。やたらと包帯があるんだが...私達には必要ないし、提督もそこまで使わないだろう...何だと思う?」

 

提督「榛名のさらしじゃね。毎日新しいの使えっていう長官の気遣いとみた」

 

長門「榛名が相当好きなんだな...」

 

提督「それは一旦置いといて...長門。皆をここに集めてくれないか?」

 

長門「自分でやれ」

 

提督「え、辛辣」

 

長門「放送的なこと出来るんじゃないか?」

 

提督「やってみるか...使えるかな」

 

 

放送室は床板張替え作業ついでに掃除してくれたようで、かなり綺麗だ

床板のおっちゃんに感謝だな

 

提督「俺こういうの初めてだからさ...やり方とか分かんねぇよ」

 

長門「ここに(イヤホンジャックを)さすんじゃないか?」

 

提督「ここか?」

 

長門「うーん...えぇいわからん。とりあえずここを引っ張ったり押したりしたら良くなるだろう」

 

提督「聴こえてるかわかんねぇけど...えー...戦闘艦は直ちに執務室に来るように。以上」

 

長門「なるべく速く(放送が)出来るように、毎日(放送)するとしよう」

 

提督「そうだな。今後の為だ」

 

 

榛名「...この雑音は...放送の音でしょうか」

 

加賀「珍しいですね...放送なんて」

 

提督『俺こういうの初めてだからさ...ヤり方とか分かんねぇよ』

 

榛名「提督の声...今なんて?」

 

長門『ココに挿すんじゃないか?』

 

加賀「なっ...何を挿すですって?」

 

由良「電ちゃん。聞いちゃダメよ」

 

不知火「...」

 

長門『うーん...えぇいわからん。とりあえずココを引っ張ったり押したりしたら良くなるだろう』

 

加賀「どこを引っ張ったり押したりすると何が良くなるのかしら...」

 

榛名「こういうのは良くないと思います...」

 

提督『聞こえてるか分かんねぇけど...えー...戦闘艦は直ちに執務室に来るように。以上』

 

不知火「...乱こ」

 

由良「しっ!」

 

長門『なるべく速くデキるように、毎日するとしよう』

 

提督『そうだな。今後の為だ』

 

加賀「あの二人は一体将来の事をどこまで見据えて...」

 

 

提督「全員揃ったな...さて...」

 

榛名「あの...い、今から何を始めるのでしょうか?」

 

提督「いや、今は何もしない。ここに集めた理由だが、今後の方針ってとこだ」

 

由良「この先どのくらいを見据えての?」

 

提督「しばらくってとこだ」

 

長門「して、その内容とは?」

 

提督「あぁ。いつまでも哨戒を任せっぱなしって訳にも行かない。だからリハビリを今後しばらく行いたい。異議は?」

 

不知火「あの...先程放送室で、長門さんと何を?」

 

提督「放送の仕方が分からなくてな、長門について来てもらったんだが、こいつもさっぱりでよ」

 

長門「解せぬ」

 

なんだか長門以外皆揃って安堵の表情を浮かべている

何かあったのか?

 

提督「さて、話を戻そう。えー...俺の提案に異議はあるか?」

 

加賀「私達は艦娘です。戦うことが好きって訳でもないけど戦わずにいるのは性にあわないの。異議なんてないわ」

 

加賀の言葉に合わせて全員が頷く

まぁ、ここまでは想定通り。問題はここから

 

提督「次だ。戦力の拡充をしたい。その為に艦娘を改めて建造したいんだが...構わないか?」

 

自分の中でもう死んだ友が、自分の事を知らない状態で目の前に現れて、どんな気持ちになるか分からない

精神的に滅入ることだって有り得る

 

長門「私達のせいで鎮守府の再建が遅れる事は嫌なんだ。いつまでも我儘言ってる訳にも行かない」

 

由良「覚悟ならもう決めたんです」

 

提督「...成程。俺はお前たちを見くびっていたかもな。ロビーウィアディクト並の変化だ。今のお前らは正しくボブストーンだよ」

 

電「...誰なのです?」

 

提督「もっと映画を観た方がいいぞ。せっかくハリウッド映画っぽい言い回しでカッコつけたのに台無しだ」

 

榛名「なんかごめんなさい...」

 

加賀「もっとわかりやすい例えが欲しいわね」

 

由良「多分マニアックな映画ですよね、それ」

 

提督「とにかく、そういう事で良いんだな?長官に資源の援助もしてもらってるんだ。おーい明石!そういう訳で駆逐艦建造しちゃっといてくれ!」

 

明石「Да」

 

実は聞き耳立てさせといた明石を工廠に急行させる

どんだけ建造したかったんだよって話だが、今すぐ戦力が欲しいのは“敵”駆逐“艦”が上陸してくるような鎮守府にうんざりしてるのと、なるべく早く自力で近海哨戒をしたいからだ。

 

提督「そういうこった。誰が建造されるか楽しみに待ってな。誰であっても再会だろ?」

 

長門「...あぁ。楽しみに待つよ」

 

榛名「どきどき...ですね」

 

由良「変な発作発症して嫌われないかな...」

 

電「姉妹艦を希望するのです」

 

不知火「司令、妹が欲しいです」

 

提督「かっこ意味深」

 

加賀「少し黙っててください」

 

まぁ、嫌な顔はしてないな。彼女らも彼女らなりに足を引っ張るまいと頑張っているのだろう

 

 

明石「建造終了です!提督!」

 

提督「おっしゃでは早速」

 

明石「皆呼ぶとか無いんですか!?」

 

提督「面倒だこの勢いでいってしまおう」

 

明石「えぇ...」

 

スイッチを押すと、とんでもなくメカメカしい機械の中から何かが出てくる

 

「...白露型駆逐艦の四番艦、夕立です」ピシッ

 

金髪の少女、夕立

電も不知火も、姉妹艦ではなかったが喜ぶはずだ

 

提督「ようこそ夕立。早速で悪いがこの鎮守府の事情を簡単に説明したい」

 

俺が夕立に話しかけると、何故か怖がっている様子だ

 

夕立「提督さん、夕立の事嫌いっぽい?」

 

...あぁ...忘れてた...

 

顔君さぁ...

ここ最近、俺の顔に慣れた奴ばっかと接していたからすっかり抜けてた

 

明石「夕立ちゃん。この人はね、確かに顔は怖いけど、めっちゃ優しいから!ね?」

 

ナイスフォロー明石

 

夕立「本当...?今も凄い睨んでくるっぽい...」

 

明石「あんな顔の可哀想な人なの!でも、さっき提督が言ってた『この鎮守府の事情』を聞けばきっと提督の見方が変わるはずだよ!さぁ、提督話しちゃってください!」

 

流石だぜ明石

 

夕立「...じゃあ、お願いするっぽい」

 

 

この鎮守府に関して、現状の全てを軽く説明した

 

 

夕立「そんな事があったっぽい...」

 

提督「その通りだぽいちゃん。だから誰かがお前を見て泣き出したり、記憶にない思い出話をされても悪く言ってやらないでくれ」

 

夕立「うん。夕立頑張るっぽい」

 

明石「ぽいちゃんて...」

 

提督「相変わらずいいセンスしてるだろ?」

 

明石「はぁ...」

 

夕立「気に入ったっぽい。提督さんは優しいっぽい!」

 

提督「理解が早くて助かるぜ全く」

 

明石「図に乗るなよモンスター」

 

提督「そんなに言うことないじゃん...ゴブリンか?俺の顔」

 

 

提督「というわけで、新しいお友達の夕立ちゃんだ。仲良くしてくださいね」

 

電「夕立ちゃんなのです!」

 

夕立「よろしくねー」

 

不知火「嬉しいような悲しいような...」

 

由良「新しく来た娘に気を遣わせる訳には行かないです。極力昔話はしないから、よろしくね...ね?」

 

随分と涙ぐんだ「ね」

 

長門「皆して挨拶するのもな...まぁ、よろしく頼む。夕立」

 

それに合わせて榛名と加賀が一礼。長門の言う通り、全員がその場で挨拶ってのも堅苦しいし面倒だ。たまたま会った時に世間話でもすればいい。そう思う

 

提督「あ、そうだ。ほーらみんなこっち見て笑ってー」カシャ

 

榛名「今何か光りましたけど、発行信号ですか?」

 

提督「やっぱスマホ知らないかぁ。カメラだよ。カメラ」

 

長門「そんな薄い物で写真が撮れるのか...」

 

提督「ほら、長門も笑え」

 

長門「わ、私は作り笑顔をするのが苦手なんだ...」

 

提督「その困ってる顔ごちです」カシャ

 

早速長官に送ってあげよう

...さっきは早かったが、今回は中々既読がつかないな

取り込み中だったかな

 

長門「本人の了承を得てだな...」ブツブツ

 

提督「そう言うなって。思い出を残すのは大事なことだ。...さて、引き続き駆逐艦と軽巡洋艦をそれぞれ1隻建造して、夕立含む計3隻で哨戒をしてもらう。問題ないか?」

 

夕立「大丈夫っぽい」

 

加賀「私達も早く訓練を始めないと、いつまでも戦力外のままね」

 

榛名「榛名、艤装を持って訓練場に向かいますね」

 

長門「やはり訓練か。いつ始める?私も同行する」

 

不知火「花京院!」

 

由良「何言ってるの、この2人」

 

電「盛り上がってるのです...」

 

 

建造が終わるまでの間、訓練を覗きに行こう

まずは射場にでも行けばいいか

 

 

加賀「...」

 

提督「肘をもっと前に出せ。姿勢が駄目だ」

 

加賀「...来ていたんですか...執り弓の姿勢、知っているんですか?」

 

提督「あぁ、学生時代は弓道部だったんだ。入ってひと月で辞めたから射ったことは無いが」

 

加賀「...何がしたかったんですか?」

 

提督「いやぁ、人付き合いが苦手なもんで...察せ」

 

加賀「...あ、はい」

 

提督「いやしかし、弓道ってのは何から何までかっこいいな。憧れるよ」

 

そんな思いがあったから、学生時代入部したのかもしれない

結局周りと馴染めず今後一生こういうものには入らない事を決意したのだが

 

加賀「この際、姿勢はどうでもいいです。私は矢を射って敵に当ててる訳では無いですから...」

 

提督「そりゃそうだが...そういうのって攻撃の命中率に関係するのかな?」

 

加賀「...とりあえず、射ってみます」

 

弓は、それなりには引けているようだ

しばらくの静寂の後、ヒュウと風を切る音が聞こえ、トン、と的に命中した音が響く

 

提督「...ギリギリだな」

 

加賀「当たった...とは言えませんね」

 

命中はしたが、的のギリギリ。

 

提督「上出来だ。技能ではなく、本能で当てたって感じだな。意味伝わった?」

 

加賀「えぇ...まぁ」

 

提督「俺もやってみたいな。また今度、俺に教えてくれ。“教えられるようになったら”な」

 

加賀「...頭にきました。私は厳しいですよ?」

 

提督「その意気だ。忘れんじゃねぇぞ?」

 

 

加賀は闘志に火がついたようだ

上手いこと戦意高揚出来て良かった

砲撃の皆様はどうしているかな

 

海上射撃場の方から、雷鳴の如く砲撃音が響いてくる

 

うわー...かっこいいなぁ...全然当たってないけど

こっちは音がデカすぎて俺の声は届かないだろう

見学だけさせてもらうとしよう

 

長門「榛名よ!全く当たっていないでは無いか!射撃装置が故障でもしたのか?」

 

榛名「なんで自分も当たってないのにそんな人の事煽れるんですか!?」

 

由良「電ちゃんと不知火ちゃんは前に撃った時の命中率良かったし、大丈夫そうね」

 

不知火「銃みたいに撃てますからね」

 

電「簡単で良かったのです」

 

何て言ってるのかは分からないが、皆活き活きとしているのが分かる

今は当たっていない戦艦共の砲弾も、次第に的に近づいている

 

こんだけ楽しそうにしてれば、直ぐに上達するだろう

...怪我するなよ

 

 

提督「明石さんや建造は終わってるかね」

 

明石「えぇ、終わってますとも提督さん」

 

提督「そんじゃまポチッとな」

 

艦娘が出てくる瞬間、ガチャみたい

 

 

「オレの名は天龍。怖いか?」フッ

 

提督「いや、そんなことは無い」

 

天龍「あ?なんだ...と...へ?」

 

めちゃくちゃカッコつけて出てきたのに、俺の方が怖いとかなんかごめんな

 

天龍「く、口答えして悪かったから...そんなに睨まないでくれ...」プルプル

 

明石「あんな怖い人は無視して、こっち来ましょうね。大丈夫です。落ち着いて」

 

ひでぇ。整形しようかな

ここは一旦落ち着いて、もう1隻の方行ってみよう

 

「陽炎型駆逐艦8番艦、雪風です。どうぞ、よろしくお願いしますっ!」

 

陽炎型...不知火の妹か。良かったなぬいぬい

とても元気そうな娘だ

 

雪風「...しれぇ、雪風、もう何かしてしまいましたか?怒らせてごめんなさい...」

 

提督「違うんだ。雪風は全然悪くないんだ。すまない。俺が悪いんだ」

 

なんていい子なのだろう

自分が悪くないって分かってるはずなのに、直ぐにごめんって...

 

明石「はい、2人まとめて説明しちゃいますね。つまり...」

 

 

天龍「ってことは、別に怒られてた訳じゃないってことか...」

 

提督「そういうことになります」

 

天龍「それならそうと早く言ってくれよ」バシバシ

 

提督「あの、笑いながら肩叩くのやめてください。なんか怖いです」

 

雪風「雪風はしれぇのこと、名君だと思います!」

 

確かにちょっとすごいかもしれないけど名君って言うほどではない

 

天龍「しっかしまぁ、ここの艦娘(奴ら)も気の毒だな。俺が前の天龍じゃなくて良かったぜ」

 

提督「そう聞くと、やっぱ何隻でもいるお前らってすげぇ不思議だな」

 

天龍「同じ車がいっぱいあるのを想像してみな。特に違和感は無いだろ」

 

提督「まぁ、『うわーなんだこの光景』とはなるがな」

 

天龍「提督、俺達艦娘とこの砲はなんだ?」

 

提督「...軍人と武器?」

 

天龍「違うね。主砲(これ)艦娘(俺達)モノ(・・)だよ、提督。とことん意味を還元していけば、残るのはその言葉だけさ。モノっていう単語だけだ」

 

提督「この世界に存在してる時点で全て誰かしらのモノだ。お前らだけじゃない。俺だって俺の上の人間だって、結局はモノなのさ」

 

天龍「...そういう考え、嫌いじゃないぜ」

 

提督「だろ?口だけは達者なトーシロってのはまさに俺の事だ」

 

天龍「提督が良い人間ってことは分かった。ただし夜道とかでは会いたくないな...正直泣くかも」

 

雪風「もう仲良さそうですね...」

 

明石「ほーんと話術が凄いんですよねぇ」

 

提督「あ、そうだ雪風。この鎮守府には不知火がいるんだ。案内するよ」

 

雪風「お願いします!」

 

礼儀正しいな。笑顔も満点だ

 

天龍「そういえばこの鎮守府に龍田いるか?」

 

提督「まだいないな」

 

天龍「早く来てくんねぇかなぁ。待ち遠しい」

 

皆、理解が早くて助かる。主に俺の顔に対しての

一筋縄じゃ行かない艦娘も、今後邂逅することになるだろう

今のうちになんか素晴らしい説明とか考えとかないとな

いちいち口頭で経緯を説明するのは面倒だし、纏めないと

 

雪風「しれぇ!早く行きましょう!」グイグイ

 

あぁ、こんなにも信頼してくれてる。天使。好き。

 

 

 




しばらく書いて無かったら、続きの内容忘れてちょっと大変でした。
寝る前の布団の中でしかアイデアが浮かんでこないのも関係してめちゃくちゃ時間かかりました。一応読んでくれてる人いるの忘れてた。
いきなりなんですけど、僕結構自分の好きな映画とか漫画とかのセリフパクって来るの好きなんですよね。これまでに何書いたか覚えてないけど
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。