明日は明日の風が吹く。 作:ぺんと
明るさを感じられて、目を開く。
パチパチと瞬きをし、視界に鮮明に写る世界に、カズマは少し感動した。
そこには街が見えた。
懐かしい騒がしさと、穏やかな風がカズマ達を迎えた。
そして隣には、あの素晴らしい駄女神が。
「なあアクア。新しい世界? に来たことだし、何か目標でも立てないか?」
「はあ? 目標なんて魔王討伐でいいでしょ! それよりも、さっさとギルドにいきましょ!」
カズマの首根っこを引き、ギルドへの道を走り出した。
せめてもう少しマシな運び方をして貰いたかったとこだが。
引きずられながら、カズマは思う。
そう言えばコイツは面倒くさがりだった事、そして目標は。
【目標: 仲間を危険な目に合わせない】
自分勝手な目標を定めたカズマ。カズマなりに気に掛けている結果なのだろう。
青空を眺めて黄昏ているカズマはある一つのことに気づく。
「おいアクア、金はどうするんだよ」
「あっ 確かに。カズマさん流石ね」
コイツ……考えなしでここまで来たのかよ。
「まあ良い、俺たちは二回目なんだぜ? 一瞬でバイトなんか終わらせて、美味い飯でも食おうじゃないか!」
「賛成よ! じゃあ、善は急げ、早くいきましょ!」
そして走り出す。バイト先へ。勘違いしているアホどもは元気に走り出した。
◯
ザク、ザク、と土にシャベルを突き刺す音が聞こえる。
そしてもう一つ聞こえるは、疲れが混ざったため息、吐息などだ。
カズマは忘れていた。自分がレベル1にもなれていない事を。
前世はレベルがそこそこ高かった故に無茶ができた訳で、レベル1にもなっていない引きこもりの体力には限界が近付いていた。
そんな情けないカズマに比べ、アクアは元気が有り余っている様だった。
粘土を城壁に塗り広げ、みるみる内に仕事を終わらせていく。
相方の活躍を見て自分の手を見て頭が痛くなるばかりだ。
「おいカズマぁ! 手ェ動かせぇ!!」
「サーセン親方ぁ!」
まだまだカズマには労働は厳しい様だった。
◯
あれから一ヶ月。流石にカズマも少しは筋肉がついた…ついた筈だ。
「あらカズマさん。少しは鍛えられたんじゃないかしら? ヒキニートの頃に比べて少しはマシなんじゃない。プークスクス!」
「うぜぇ」
一言しか言えないカズマ。別にアクアの言葉に反論できなかった訳ではなく、ただ単にカズマは疲れていた。
毎日シャベルを振り回す日々を送ったカズマ、筋肉がついたとは言えニート、精神面ではぐしゃぐしゃなのだろう。
「おいアクア、給料どうだった?」
「ん? 軽く三万エリスくらいかしら?」
「……。俺は二万五千エリス」
その結果とともにカズマはガバッと体を叩き起こす。
「おっかしいだろぉぉ! 何で五千エリスも違うんだぁ!? 何でだよ、不平等だよ! アホか!」
「オイゴラうっせぇぞ!!」
「「サーセン!!」」
壁を叩かれてしまった……。
「ほら、カズマさんの所為で壁叩かれちゃったじゃない」
小声でカズマに抗議するアクア。
「でも五千エリスの差はおかしいだろ」
自分の給料に納得いかないカズマ。
「まあいいじゃない。さっさと寝ましょ、明日もお仕事なんだから」
「まあ確かに」
アクアの意見に納得し、ワラのベットに横になる。
ああ、疲れたからやっと眠気が……。
……てか何でバイト始めたんだっけ?
……。
「アホかぁぁぁぁぁあぁぁあぁああ!」
「うぎゃーーー!」
「うっせーつってんだろぉ!」
カズマの大声。アクアの悲鳴。壁越しの文句。
「ちょっとカズマ! 急に何叫んでるの! 寝れないんですケド!」
「おい待てアクア。俺たちは何でバイトを始めた!?」
少しの沈黙がカズマ達を包んだ。
「……そうだわ! 全くそれを忘れるなんてカズマはどう言うこと!?」
「いや、お前もな」
本気で忘れていたんじゃないだろうなコイツ。
「じゃあ、明日にでもギルドに行ってカード作ろうぜ」
「良いわね。じゃ私は寝るわ」
てか俺も本気で忘れかけてしまったからな……。
コイツヤバイな。と言うか、こう言う二回目の世界と言うか。なんかこう言うのって凄い特典とかつく奴じゃないのか?
チートがもらえる系じゃないのか!?
カズマは少しの期待を胸に、明日を迎えましたとさ。
遅れ遅れ、毎度私はこんなペースで。
お気に入り登録してくれた人も居ると言うのにお恥ずかしい。
あと文章が所々おかしい場面もあると思われますが、報告して頂ければ幸いです。