明日は明日の風が吹く。 作:ぺんと
俺たちはギルドの前に来ている。
「おいアクア。少し大事な話がある」
「な、何かしら?」
「それはだな……」
カズマは押し黙り、アクアは固唾を飲む。
「初めて会う連中にどう対処するか…だ!」
「……はぁ?」
カズマは真面目に悩んでいる。アクアはそんな様子では無いが。
「えーと、いつもどうりでいいんじゃ無いかしら」
「だが、仲良い奴とかいるから距離感が掴めないかもしれない。その時に『なんだコイツキモッ』となったらまた四人で馬鹿騒ぎ出来ないかもしれない」
「むむ、確かにまずい問題ね」
少しカズマの話にアクアは食いついた。
まあ、とどのつまりカズマの言いたい事は、距離感が掴めなく嫌われたらどうしよう、と言う事だ。
「カズマさん、そこは陽気な奴って事でどうにかならないかしら」
「お前俺がそう見えるのか!?」
「いいや微塵も見えないわね」
カズマは壁に手をついて膝をついた。
「クソ、今のは響いたぜ」
「ご、ごめんね? でもどうするのよ、他に方法あるかしら?」
「まあ今の所は、頑張って演技でもしよう。少し酷だが」
仲が良かったものに演技を貫くのは辛いものだろう。でもいつかはまた元通りになると思えば。
「頑張るか! よし話終了! ギルドに入ろうぜ」
「ハイハーイ」
コイツ本当に分かってんだろうな? そんな不信感がカズマを襲った。
ギルドの扉を開ければそこは懐かしいうるさい声に溢れていた。
そして受付嬢の所は……いつも通りルナさんの所は繁盛している。隣はガラ空きだと言うのに。
「まあ、俺もこっちに並ぶがな」
「何言ってるのカズマさん」
俺の独り言に参加すんな。
数分後、やっと順番が回ってきた。
「はい、今日はどうされましたか?」
やっぱり受付はこの人だな。慣れている感じが凄いぜ。
男性と出会いがないのは……ドンマイ、いい事あるよルナさん。
「冒険者登録に来ました」
「それでは登録料の二千エリスになります」
そして諸々の説明が終わった。
そして! 俺が一番待ち望んだ時!
「それではこのカードに触れてください」
こう言う時は普通、俺にチート的な力が……。
「はい、ありがとうございます。サトウカズマさんですね。知力が高くて、筋力、生命力、魔力に器用度ら敏捷性…誰も普通ですね。あとは幸運値が非常に高いですね。でも冒険者にはあまり必要ないのですが……でもどうしましょう。これでは選択できる職は《冒険者》しかありませんよ?」
うん、分かってたよ……期待しててもいつもそうだったし……。
カズマは少し目を押さえた。
「あっ、でもスキルを何故か最初から習得していますね! …読めない文字ですが……」
慰める様にその情報を俺に伝えてきたルナさん。
最後の読めないなんて情報要らなかったよルナさん。
もうカズマの涙腺は崩壊しかけ、というかもう崩壊した。
後ろで妙に優しいアクアがちょっとムカついた。
その後、前の様にアクアのステータスに周りが驚いていた。……普通はそう言うイベントは俺用じゃないのかなー!
落ち込んでも仕方ない。カズマはルナさんの言っていた【読めないスキル】とやらを確認することにした。
スキル名:世界からの祝福
効果:幸運値が上がる。獲得経験値が倍になる。スキル獲得時にスキルポイントの消費を抑える。
日本語で書かれたスキル。
俺しか得しない様な内容。こんなスキルを最初から持たせてくれる女神は、俺は一人しか知らない。
転生特典とまではいかないが。これで十二分だ。
「……ありがとう。エリス様」
俺はボソッと呟いた。
まったく、これは頑張らないとな。
え? 『なにテメェへんなスキル追加してんだぁ?』ですって?
……だってこう言うの無いとつまらないかなって……
すんません! ごめんなさい! 許して!
許してヒヤシンス!
はい、おしまい。