蒼と緑の彩る軌跡 〜Revival Edition〜 作:咲野 皐月
……では、新年をお迎え致しましたので記念にあの挨拶で。
「祝え!2021年の到来を迎えたこの瞬間を!」
と言うわけで、開始となります。
前置きを長くしてもあれなので、それでは本編へと参りましょうか。スタートです。
「眠いから寝てていいですか」
「そんなの知らないよ。寝てたいなら寝てていいけど、あとのことは知らないからね」
「んじゃめんどくさいから起きる」
僕からの問いかけに、耀太はめんどくさそうなノリでそう答える。実際はと言うと、耀太の面倒くさがり屋は今に始まった事ではないので、そこまで気にはしてないのだが。
「ファー眠い。帰りたい。疲れた。もうヤダ」
学校へ行く道を歩いていても口から吐き出される無限の愚痴。聞かされるこっちの身にもなって欲しいものなんだけどな。
そんな事を考えながら歩いていると?
「おはよう、耀太にダーリン♡」
「あれ? 千聖って今日は仕事じゃねーの?」
「寝ぼけているの? それは昨日よ」
朝からこんな調子じゃ耀太はダメダメだね。面倒見るのも大変そうだよ。
「耀太、私のダーリンに迷惑はかけて無いでしょうね? 夜遅くまでNFOなんてしてたら、紗夜ちゃんに言いつけるわよ?」
「え、NFO? それは紗夜公認だから問題ない。なんならやんなきゃ学校でえらい目にあうからな」
「最近じゃソロでいけないんでしょ?」
「もうヤダ。紗夜コワイ」
僕がそう言うと、耀太は身を震わせて居た。……実際に僕もそのNFOはしてるのだが、専ら燐子とあこの二人とクエストをする事が多い。
耀太は……紗夜に連れ回されてる。毎度毎度庇えずに、そのままスルーするのがお決まりみたいな所があったりする。
「あ! 耀太く〜ん!」
「ん? 彩?」
「おはよ!」
「うん、好き」
朝っぱらの出会い頭で耀太がそんなことを言うもんだから、彩はボッと音を立てて湯気が出るぐらいまで顔が赤くなっていた。
「あらあら……」
「彩が耀太にお熱だね。……ま、それはこっちも同じ事か」
「そうね、ダーリン♡」
ちーちゃんは僕に擦り寄ってから、その身を預けていた。……こう言うちーちゃんも、僕は好きなんだよ。
「も、もう……ダーリンったら……」
僕は隣で顔を紅くしてしまったちーちゃんを宥めながら、僕たちは学校へと向かった。道中はすっごい視線に晒されて、僕は気が気じゃなかったけどね!
学校に着くや否や、耀太は彩と一緒に姿をくらませた。まったくもう、朝から何をしてるんだか。
「みなさん、おはようございます。耀太さんを見ませんでしたか?」
「紗夜? 耀太は……来る時は一緒だったけど見てないよ。ついでに彩もだけど」
「そう……ですか」
なんだか嫌な予感しかしないよ。
「盛谷さんと白鷺さんは、先に教室の方へ行かれて下さい。私はあの二人を見つけてお説教せねば」
そう言って紗夜は、校舎の方へと歩いて行って……姿を消した二人を探しに出始めた。その姿はまるで鬼が如く。
二人とも〜、早く戻らないと紗夜が怒るぞ〜。
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「眠い。眠すぎるぞこれ」
「どこに行ってるの?」
「どこって屋上。屋上でのんびり寝るんだよ」
「それじゃ私も寝よ〜っと♪」
そんな話をしながら、俺は彩と二人で屋上に向かっていた。……朝っぱらから紗夜に見つからなくてよかったわァ。見つかったらお説教待ったナシだしな。
そして訪れた屋上は、昼寝を決め込むには絶好の場所だった。
「よし、サボるか」
「えぇ!? サボるの!?」
「だって今日の授業は午後まで退屈だし。なんなら午前中の授業は寝てても点数取れるから何とかなる」
実際のところ、テストの点数だけだったら成績は満点に近いんだけどな。成績が一段階下がる理由は居眠りとサボりなんですけど()
そうして俺たちは昼寝を決め込んだ。……陽射しが暖かくて、絶好の昼寝日和だぜ……。
しばらくすると……扉の方から足音が聞こえて来た。
そんでもって、時間を確認するためにスマホを見ると、颯樹からのメッセが届いていて、一文「紗夜が探しに行ったよ」とだけ……え?
「よ、耀太くぅん……」
「さ、紗夜が来るのかよ……仕方ねぇ、梯子を昇って上に移動するぞ。声は出さない様に気をつけろよ」
そして上っている途中、扉から紗夜が出てきた。
「まったく、ここにもいないなんて」
「うし、このまま『しょうがないですね。気は乗りませんが電話しましょうか』( 'ω')ふぁっ」
俺は急いでスマホの電源を切ろうとしたけど、時すでに遅し。バッチリ通知音なりました()
「よ、耀太くん……」
「……紗夜だなこれ『ミツケマシタヨ、ヨウタサンニマルヤマサン』」
「と言いたいところですが、学業のこともかんがみて、丸山さんは先に教室に戻っていていいですよ」
「え? わ、わたし?」
「もう授業始まりますよ?」
「い、急がなきゃ!」
紗夜の威圧と授業のことを考えた彩は一目散に階段を下って教室に向かっていった。え、俺は?
「な、なぁ……俺はどうすんの?」
「もちろんあなたも授業ですよ?」
「だよな。んじゃクラスに『ただし、私と二人っきりの生徒会室での特別授業ですが』oh(´・ω・`)」
このまま逃げ帰りたいんだけどな……。颯樹、助けてくれ……。
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一方。
「それじゃあ、二人一組でペアを作って課題に取り組め〜」
「ダーリン、一緒にやりましょ? 英語はアナタの得意分野なのだし、私に教えて欲しいわ♡」
「うん。なんでも聞いて」
ちーちゃんの言う通り、英語は僕の得意分野。だから他の人も聞きに来るんだけど……。
「ちーちゃん、その黒いオーラを止めようか」
「ナニを言ってイルノ? ダーリンから教えて貰うのは私だけって決まっているでしょう?」
「はいはい。また後で相手してあげるから」
そう言ってちーちゃんを適当に流す。だって、授業中に相手出来るわけないもん()
そして、なんやかんやあり……昼食の時間へ。
「ね、ねぇ、耀太君知らない?」
「一緒じゃないの? そう言えば紗夜ちゃんもいないけれど……」
「まさか何も無いとは思うけど……探してみるか」
そう決めて僕たちは、耀太と紗夜を探しに向かった。
……可能性としてありそうなのは、屋上か空き教室か中庭に生徒会室のどれかだけど……。
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「あのーさ、いい加減教室戻ってもいいか? もう昼だぜ?」
「何言ってるんですか? お弁当も持ってきて居ますので、ここで食べればいいじゃないですか」
朝から俺は紗夜に生徒会室の中に監禁されてました。はい、帰りたいです。
「そ、そうじゃなくて……颯樹たちのとこに戻んねぇと、後で何されるか『ヨウタサン?』なんでしょう」
「いい加減に気づかないんですか? あなたには丸山さんのことしか見えてないようですが、かなり女子生徒から人気なんですよ?」
「へー、それで?」
「私もその1人ということです」
……は? 紗夜が、俺を?
「本当に無自覚なんですね。盛谷さんですが……そろそろ気づいた方が、自分の身のためですよ」
「は? 身のため……?」
「そうですよ。気づかないとこうなりますから」
そう言われると、俺は紗夜に覆い被さられた後に……勢い良く唇を奪われた。
……ん、んんッ!? 俺、今……紗夜に、キスされた!?!?!?!?!?
「ちょっと!?」
「無自覚だからこうなるんですよ。初めてはご馳走様です♡」
そう言われて俺は、紗夜にズボンへと手をかけられた。今から俺を襲うと言うのに、当の本人はと言うと……恍惚な表情を浮かべて、目をギラつかせていた。
……やべ、もうダメかもな俺……。約束を守れなくてすまねぇな、彩……。
「耀太、紗夜、いる?」
襲われる直前に生徒会室の扉から颯樹の声がした。
「ほら、颯樹もきたぜ?」
「しょうがないですね……今日のところは、諦めます。ですが、次は無いですよ?」
いや、今日だけじゃなくて……永遠に諦めてくださいお願いします(切実)。
「それで、何の用ですか?」
「一緒にお昼を食べようと思って。彩が耀太と食べたいみたいだったんだけど、耀太が居ないから探そうって事になって」
「そうですか……それなら今日は終わりですね」
「今日はってなんだよ今日はって!」
え、マジで怖いめぅ。
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そして一緒にお昼ご飯を食べたのだが、耀太は紗夜に構い続けてしまうという事態に陥り……。
「耀太君が紗夜ちゃんとイチャイチャしてる……私のヨウタくんなのに、私だけのヨウタくんなのに……」
という感じで、彩が自分のお弁当に入ってるハンバーグをフォークで滅多刺しにしてるんだよね。見ているだけでも胃が詰まりそうだし、こんな状態を放っておいたら後々大変でしょ。
「はい、ダーリン♪ 口を開けて? あ~ん♡」
一方で僕はと言うと、ちーちゃんから唐揚げを食べさせられていた。……隣がカオスになってるが、大丈夫かな。
「私にはヨウタくんが居ないのに、千聖ちゃんだけズルい。ズルい、ズルい……」
「ち、ちーちゃん? ちょっとやめない?」
「いやよ♡」
これは後々嫌な予感がするね。
そう思っていると、今度は……なんと、ちーちゃんは僕の膝の上にお姉さん座りで座って来た。……そしてお箸でつかんでいるのは、卵焼き。
……察した。
「ダーリン♪ 食べて♡」
「いやでも「あーん♡」」
顔はすっごく良い笑顔なんだけど、僕にはわかるんだよね。ちーちゃんは今……めっちゃ怒ってるということを。
「ん、あーん」
僕は大人しく、彼女から差し出された唐揚げを食べる事にした。……これで余計な地雷は踏んでないはず。
「よく出来ました♡」
ふぅ……。これで何とか、今日一日は平和に過ごせそうだな。
そしてお昼休みを終えて、午後の授業を受けたのだが……B組の方では、数学があったらしく。
「じゃあこの数式を解いてみろ、真宮」
「耀太くん、当てられたよ」
耀太くんは先生に当てられると、出された問題の数式を解いて行きました。やっぱり耀太くん、頭がイイなぁ〜。だってあんな難しい数式を一回で解いてしまうんだもん。
そして書いてしまった後……。
「ここをこうしてこうやって……」
「まぁ改善点はあるが正解ではある。あと途中式をもっと詳しく書かないからテストで落とすんだぞ」
「ソンナノシリマシェン」
耀太くんは担当の先生に怒られながらも、何とか問題を正解して戻って来ました。
「耀太くん、すごい♪」
「ということでおやすみなさい」
「だから寝るのが早いって」
「もう寝ちゃってるよ?」
なんかのどこかの丸メガネの人みたいだなぁ……しょうがないか。でもこれは、耀太くんの彼女として心配になっちゃうなぁ……私がしっかりしないと。
そんな事を思いながらも、私たちの一日はゆっくりと過ぎて行くのでした。
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「ほら耀太、帰るよ?」
「はいはい、今行くから」
「今日も丸一日寝てたわね……。成績は大丈夫なのかしら?」
「少なくとも意欲関心は低評価食らうから僕とテストの点数同じでも勝てないからね」
「( 'ω')ふぁっ」
僕が当たり前のことを言った途端に、耀太は驚きの余りに目を丸くしていた。こんなの中学生でもわかるんだけどね。
「その点、ダーリンはキチンと授業を受けてるから……額面通りの成績トップよね♡」
「やめてよ小っ恥ずかしい……やるべき事を確りやってたら、誰でも出来る事なんだしさ」
当たり前のことを平然にやれば、普通に出来る事でしょ?
まぁ耀太は夜遅くまで起きてるし、サボるし居眠りするから減点対象なのはよく分かる。だけどテストだけはちゃんと点数取るからもったいないんだよな〜。まぁ、難しいところできるのに、簡単なところとか外してるけどね。
「ま、俺が本気出せば? 颯樹なんざ一捻りだろうが」
「けど、居眠りしてたんじゃ意味無いよ。この前なんて、睡眠検査を受けたけどバッチシ夜更かしが原因じゃんか」
……そう。耀太は三年生が始まる少し前には、僕の母親が以前勤めていた病院に通院して、一日がかりの睡眠検査を受けたのだ。
結果の方はと言うと、睡眠に大きな障害が出ているのだとか。普段は寝ていないと行けない時間に起きてたりする為に、成長に必要なホルモンバランスが崩れかけているとの事で。
夜遅くまでのゲームが影響してるのだと、結果が出た時は軽く論破してやったが(本人はなおも駄々を捏ねてました(情けない))。
「それは紗夜に文句言って」
「紗夜の目の前でそれ言える?」
「あ、無理です」
いったい紗夜に何されてたんだか……。まぁ、寝なくなるならいいんだけどさ。
「とりあえず、帰ったら宿題ね。やって無かったら夕飯抜きにするからそのつもりで」
「( 'ω')ふぁっ、マジですか」
「僕が嘘でもそんな事言うと思う?」
「ダーリンは私と一緒に終わらせてるから、全然心配要らないわよ♪」
「……頑張らせていただきます」
それでよろしい。なんなら授業中に出された課題を終わらせて、余った時間でやればいいぐらいなのにね。
本当に耀太は大丈夫なのかな……少し心配になるくらい。
普段の耀太は、キチッとやる時はやるので……僕とちーちゃんの心配が杞憂に終わる事もあるのだが、今回は睡眠検査の結果も知っているため、完全に信用できるかは微妙な線となっていた。
そんな事も有りつつ、僕たちの一日は過ぎて行くのだった。少しは平和に過ごさせて欲しい……。