復讐といっても、暴力的な方法ですのでご注意ください。
ビジネス文章以外に久しぶりにこんな長文打ちましたけど面白いものですね。
*念のため注意*
直接的な描写は避けましたが、精神的に不安定な方は見ない方がいいかもしれません。
この文章は犯罪行為を助長する目的で書いたものではありません。
文体がころころと変わりますが、意図したものですのでご容赦ください。
初めての投稿ですので、おかしなところなどありましたら教えて頂けると幸甚です。(見直すとは言ってない)
激しい目眩と吐き気。
破裂してしまわないかと恐怖を覚える程に心臓が強く、早く脈打つ。
一瞬暗闇に放り出され、我に還ったその時にも、床に転がるスマホからはおぞましい音が聞こえてくる。
肺の中の空気を全て使い絶叫した後に、頭痛。
ーーそして天地が逆転した。
1.1 準備
「今日は浮気調査のご相談でしたよね?」
40代後半ほどだろうか?
あまり血色のよくない痩せた男は、事前に伝えてあった相談内容を確認してきた。
「あっはい、そうです」
緊張と、彼を"これ"に付き合わせてしまうことへの罪悪感で居心地がなんとも悪い。
調査方法や諸々の注意点などを説明する彼はお役所仕事感もなく、かといってフランクすぎない、いい塩梅の雰囲気をしていた。
好感を持つと同時に、やはり罪悪感が増す。
「今後どんな結果が出てきても、奥様とはこれまで通りに接するようにしてください」
はい、と答えながら、心の中で苦笑いを浮かべた。
それならもうやってますよ、と。
「まぁ軽率なことは言えませんが、杞憂という可能性もありますので」
微かに、穏やかな笑みを向けてくる。
ーーまったく、困ったなぁ。
証言の時は、絶対に彼に迷惑がかからないようにしないと。
そんなことを考えていたら、どうやら少し顔にも出てたようだ。
なにやら神妙な顔を僕に向けている。
そうですね、と口にしながらふと思う。
これが終わった時、僕はどんな気持ちになっているんだろうな。
……というか、どの時点で終わりなんだろう。
被害者家族が亡くなったら?
僕が死んだら?
この手の疑問は考えても仕方がないと解っていても、つい考えてしまうのが人の性なんだろう。
1.2 準備その2
ホームセンターってワクワクしないですか?
ドライバーとかハサミとか、どこの家庭にもありそうなものから、水準器とか指矩(さしがね)なんかの少し専門的なもの。
果ては溶接機まで置いてるんですよ。
仕事から帰った父親が作業服から漂わせる油の臭いが好きだったことを思い出します。
さて、買い物はさっさと終わらせたい性分なので、てきぱき行きましょう。
今のところリストアップしているのは、カセットボンベ式のバーナーに電動釘打ち機。
バーベキューを自分で開いたりしないんで、バーナー持ってなかったんだよなぁ。
初めて買うバーナーの用途がこれってのは複雑。
あ、あと強めのレーザーを照射できるものとかあったりするかな?
ーーあまり他人を巻き込まないこの行程は気が楽でよかった。
これからは楽しい思いをすることも難しいだろう。
早々に切り上げるつもりだったが、趣味と"実益"を兼ねた買い物は予想より時間がかかった。
2. 実行
あの時を思い出す。
ひどく体調が悪い。
頭痛に目眩、吐き気に息切れ。
もしかすると目の前で椅子にくくりつけられて物凄い眼で僕を見ているコイツよりも余程悪いかもしれない。
深呼吸して水を飲み、震える手で事前に用意した紙を眼前につきつけてやる。
彼は叫びとも呻きともつかない声をあげて必死に身を捩らせた。
声が漏れないように考え付く限りの対策はしたつもりだが、想像より大きな声だ。
鼻の穴を塞いでいないからかな、などと妙に冷静に考えたのは、やはり僕もどこかこの状況から逃避したいという心理があるんだろうか。
ふと思いつき、紙に少し文章を書き加える。
手が震えて仕方がない。
左手で書いたみたいに酷い字になった。
もう一度つきつけた紙を見た彼は、いっそう大きな声をあげた。
そりゃあ殺しはしないと言われても、怖いものは怖いよな。
ただこちらも腹を決めた以上、慈悲をかけるつもりは微塵も無い。
そこからは僕の記憶は曖昧だが、バーナーを手に取り、振り返って見た彼の姿がスマホで見たのとはまるで別人のように小さく見えた事は強く心に残っている。
3. 結果・コミュニケーション
弁護士さんは本当に気苦労が絶えなかったと思います。
他の依頼人がどんな感じなのかはよく知らないんですけど、割りと特殊な方だとは思うんで。
(こういうと自分が他人より異常な事に快感を覚える中学生みたいだな)
自分が言うのもなんなんですけど、よく引き受けてくれたと思います。
最初は国選でいいやと思ってたんですけど、名乗り出てくれて。
実は「売名じゃないか?」なんて思いもしたんですけど、蓋を開けてみれば思ったより報道されないものなんですね。
あ、いや別に大きく報道されて犯罪者として名が売れるのが望みとかそんなんじゃないんですけど、芸能人の恋愛の方が余程報道されてるって現実を見てると大丈夫かな?なんて他人事のように考えたりしちゃって。
(早口でまくしたてすぎかな?)
それに、裁判でも言いましたけど他人の配偶者に手を出した時に、もしかしたらこんな頭のおかしな人間の配偶者なのかもしれないって、抑止力?みたいになればいいなと思ったりもしてるんで。
あの、勿論そういう正義感でやったことじゃないんですけどね。
完全に自分のためにやったので。
でも副産物というか、そんな感じになればいいなって。
考えですか?
うーん、当時は頭に血が昇り過ぎてた部分はあるとは思うんです。
裁判官の方の言ったことも反論しようがないですしね。
でもやっぱり今同じ状況におかれてもまたやると思います。
どうしようもないクズですね。
まあもう自分でも諦めてます。
冷静に対処される方は凄いと思います。
見習いたいですが、無理ですね。
あぁ、リハビリされてるんですね。
また聞くんですね。
それは最初に言った通りですよ。
死んでほしいけど、苦しみながら生きてもほしいです。
矛盾ですね。
すいません、できればあの人に関する質問はもうしないでもらえませんか?
僕が生きてる限り、この感情は余程の事がない限り変わらないと思います。
もし変わったらこっちから言いますんで。
***
目の前にいるこの人は、何を目的に面会に来るんだろうか?
単に仕事ということもあるだろうけど、たまにそれだけじゃないような時がある。
…まるで綺麗な女性を見るようなギラついた目をする時が。
僕自身、自分がいわゆる"正常"な人間ではないと思っている。
正常な人間は嫁さんの浮気相手に拷問したりはしないだろう。
ただ、この人もどこか狂っているような気がする。
犯罪者の体験や考えを聞いて擬似的に犯罪を犯したつもりになって興奮しているんだろうか?
もしそうだとしたら少し気持ちが悪い。
理性が働かずに罪を犯した僕に言われるのは心外かもしれないし、なんだかんだ興奮する気持ちは解らなくはない。
でも、それを隠そうとしないで僕に会いに来ている。
薄気味が悪い。
まあ、これも想像でしかない。
本当は記者としての使命に燃えてるだけのいい人かもしれないし、わざわざ直接確認するつもりもない。
なにより、この時間は僕の息抜きにもなる。
自由に話ができるというのはいいものだ。
内心軽蔑されていようが、表向きはそれを出さない。
我ながら幼稚な考えだな。
入る前に全肯定BOTなんて言葉をよく目にしたけど、僕もそれを求めてるみたいだ。
いけない、また余計な事を考えていた。
今なんて言った?
思索にふけって折角の外の人との交流の機会を失うのは惜しい。
「あの、こっちからも質問いいですか?
この前言ってた人ってーー」
読んでいただいてありがとうございます。
一応書いておきますが、 これはフィクションです。
フィクションです!!!
服役したことはないですし、たぶんこんな簡単に記者が面会なんてできないと思います。。
そのあたりはフィクション特有のご都合主義世界観という事でお許しくださいませ~
あと読み返してて気付いたんですが、なんで浮気してるのわかってるのに浮気調査をするの?って疑問に思われる方もいるかもしれないので書いときます。
一応浮気相手は知人ではない設定なので、どこの誰かを調べるためです。
考えてみるとどこまでを明確に描写して、どこからを考察にお任せするかのラインって凄く難しいですね。。
これはさすがに描写不足かと思いこちらに書きました。
なお、この文章を読んで気分を害された方がいましたら、お詫び申し上げます。
本当に悪気はありませんので、そっとブラウザバックして記憶から消去していただけると幸いです。。