異世界でも大東亜共栄圏   作:えなかま

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 大日本帝国ととグラ・バルカス帝国が接触したころ、パガンダ王国に交渉に赴いたグラ・バルカス帝国の皇族ハイラスを処刑されたことによって発生した移転後初の戦争はレイフォルとその保護国まで巻き込んだ全面戦争にまで発展した。


第二話 ムー大陸西方海域海戦

中央歴 1639年 9月1日 夜間 ムー大陸西方海域

 

 第一打撃軍より抽出された夜襲部隊(レイフォルカチコミ艦隊)は順調にレイフォルの首都であるレイフォリアの沖に向かっていた。

 

 「レイフォルが夜襲に気づくと思うか。」

 

 夜襲部隊の指揮官である第一戦艦戦隊司令官のラクスタル少将は傍らに立って話を聞いている参謀長のフェデリーゴ大佐に言った。

 

 「パガンダ王国攻略を行っている陸軍からはレーダーの報告は受けておりません。我々の世界の常識では戦列艦程度の技術レベルでは到底レーダーがあるとは考えられませんが、この世界には魔信なる通信機器がある以上、疑って然るべきであり夜襲を警戒している可能性は十分にあると愚考します」

 

 「その通りだ。さらに相手にはワイバーンもいる。現状ワイバーンによる夜襲は確認されていないが、まだ出し惜しみしているだけかもしれないし、そうでなくても夜間偵察くらいは出来るかもしれない。」

 「今回虎の子であるグレードアトラスターを任務に入れたのも敵の脅威を正確に判定するための強行偵察という目的もあります。まあ実際には実用試験ついでですが…」

 「とにかく、この船に搭載されているレーダーや火器管制装置等の電子装置はわが軍でも最新のものだ。これが通用しなければ我が国は滅ぶということだ。だからこそ成功させねばならん。」

 

 ラクスタル少将とフェデリーゴ大佐がひとしきり会話を交わすと、再び黙って敵との対決を待った。

 

 「レーダーより反応!北東の方角、方位45度方向に反応。数は10隻。なお増大中です。速力は12ノット!」

 

 レーダー員の言葉に気を引き締めたラクスタル少将は直ちに全艦に向けて指示を伝えた。

 

 「全艦に告ぐ。我が艦隊の方位45度方向、距離30kmに敵艦隊を発見した。これより、我々は全艦を挙げて敵に一戦挑む。速度を28ノットまで上げよ。」

 

 ラクスタル少将はレーダー上に映る敵艦を見ながら作戦を考えていた。

 

 

 

 

グラバラカス夜襲部隊

 第一戦艦戦隊:「グレードアトラスター」「コルネフォロス」「クヤム」

 第一巡洋艦戦隊:「アルドラ」「ウェズン」「フルド」

 第一水雷戦隊:「プロキオン 」「ゴメイサ」…計8隻

 

レイフォル艦隊

 第一、第二、第三戦列艦隊 各74門艦8隻、100門艦1隻(計27隻)

 

 

 

 

刻々と近づく敵艦との距離に各艦の艦長や乗組員の緊張が高まっていき、遂に20キロまで接近した頃…

 

 「敵艦隊反転!速力も20ノットまで増速!さらに反転した敵艦は3列の単縦陣を形成しつつあります!」

 

 再びのレーダ員の報告にラクスタル少将とフェデリーゴ大佐は驚きを隠せない 

 

 「…やはり敵さんにもレーダーがあったようだな。」

 

 「レーダーかまでは分かりませんが少なくとも敵には何らかの観測手段があるようですね。ある程度予想していたとはいえ夜間も使えるとは驚きです。」

 

 「わが軍の最新レーダーに劣るとはいえやはり魔法は侮れんな…」

 

 ラクスタル少将は少しの間考えて全艦に向けて指示を出した。

 

 「敵艦隊は3列縦陣でこちらに真っ直ぐ向かってきている。我々はこれに対しT字有利に持ち込むため取り舵に転舵し集中して1番艦を叩く!各艦はそれぞれの判断で撃ち方始め!」

 

 先に取り舵に転舵した第一戦隊は敵戦列艦の有効射程に入る前にこれを撃沈すべく砲撃準備を始める。レーダーから送られて来る情報を基に、推測した敵の位置に向けて、各砲塔の1番砲が放たれる。

 

 「右砲戦用意!距離15000メートル。目標、先頭の敵一番艦。弾種榴弾、交互打方始め!」

 

 ラクスタル少将の指示のもとグレードアトラスターの46㎝砲が咆哮する。そしてグレードアトラスターに続けとばかりに後続の戦艦も射撃を開始する。

 

 しばらくして第1射が敵艦の船首側海面に着弾した。

 

 「第1射、敵艦の船首側海面に着弾。」

 

 続いて第2射が船尾側500m付近に落ちる。

 

 「レーダー射撃といえど、すぐに命中弾を得る事は難しいな…」

 

 最新のレーダーと火器管制装置をもってしてもなかなか砲弾が当たらないことに

砲撃戦の難しさを実感する。

 

 「最初に敵艦に夾叉したものには褒美をやるぞ!なんとしても敵艦の有効射程に入る前に夾叉するんだ!」

 

 部下を鼓舞したからか分からないがグレードアトラスターが4射目にして敵艦を夾叉する。

 

 「敵艦を夾叉しました!」

 

 見張り員が弾んだ声で報告して来た。

 

 「よし!次で当てるぞ!」

 

  ラクスタル少将も弾んだ声で部下を鼓舞する。

 

  第5射目、遂に敵1番艦の艦首付近に命中したかに思われたが…

 

 「敵1番艦に命中! ん? こ、効果なし!?」

 

 船体にぶつかることによって作動するはずの着発信管はまるで曳下射撃かのように空中で爆発した。その瞬間、青白く光り輝く魔法陣が船を包み込み、着弾周辺の空間は一瞬時間が止まったかのように爆炎と衝撃波を留める。次には空間が歪み始め時空の狭間に飲み込まれていき、それとともに魔法陣も消えていった。

 

 「今のは何なんだ…あれも魔法か…」

 

 ラクスタル少将とフェデリーゴ大佐信じられないことを前にして数秒呆然としてしまった。

 

 「各艦も狼狽えているはずです、士気を下げないためにも改めて指示を出した方が良いかと」

 

 フェデリーゴ大佐も内心狼狽しているが参謀としての義務を果たそうとする。

 

 「よし!仕切り直しだ!水雷戦隊へ通達。敵艦隊へ突撃し敵一番艦へ集中して雷撃。戦艦戦隊と巡洋艦戦隊は水雷戦隊が狙われないよう砲撃で支援!敵のバリアのようなものを装甲と解釈し徹甲弾を使用せよ。」

 

 ラクスタル少将は敵の摩訶不思議な光景に動揺しつつも正攻法で対処しようとする。

 

 こうしてこの世界で数千年ぶりに科学文明国と魔法文明国と海戦が始まった。

 

 

◆◆◆

 

時間:同上 場所:???

 

 「レイフォルとグラ・バルカス帝国の海戦が始まったようです」

 

 「魔導機関のログはとれているか?」

 

 「は!抜かりなく。」

 

 「皇帝直々のご命令だ。この戦いには大変興味を持たれているようだ。失敗は許されん。よろしく頼むよ。」

 

 「は!」

 

 「では行け。」

 

 諜報員が部屋から立ち去ると再び一人になった。

 

 「科学文明の力……私を失望させないでくれよ…」

 

 

 

 

 

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